JPH0424565B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は油圧機器技術分野のサーボ弁の改良に
関する。

（従来の技術） サーボ弁は、微弱な電気的入力、すなわち数ミ
リワツト程度の電気信号によつて、数馬力ないし
数十馬力に相当する油圧動力を制御することので
きる一種の電気油圧変換器である。

従来のサーボ弁は、電気信号を受入れる制御モ
ータ部は揺動変位可能な鉄心を備え、中間ケーシ
ング内の制御装置部には鉄心に連結された噴流受
板が２つの制御ノズル間に配置されて変位を圧力
信号に変換し、切換弁部ではそのスリーブ中を圧
力信号により移動するスプールが圧力媒体の流れ
を制御する。信号入力が無くなつた場合にスプー
ルを中立位置に戻すため長い中立もどしばねを介
して噴流受板に結合された中立もどし球がスプー
ルの凹入部内にはめあわされている。

このタイプの従来のサーボ弁は、中立もどし球
が鋼製または硬質金属製であり、中立もどしばね
と一体構造とするが、溶接、ロー付、接着により
結合されており、ロー付、接着による場合は中立
もどしばねは中立もどし球に設けた受孔に挿込ま
れている。

（発明が解決しようとする課題） 前記従来技術のサーボ弁では、切換弁部のスプ
ールもまた機械加工の必要上通常は同様に鋼製と
されるので、スプールと中立もどし球との間の接
触は金属と金属との直接接触となる。サーボ弁の
切換弁部のスプールは端面に働く媒体の圧力によ
り切換移動させられるので、これを中立にもどす
中立もどしばねも充分なばね力を保有する必要が
あり、前記の接触面には強い接触圧力が作用する
ことがある。

サーボ弁は反覆使用の後には圧力媒体中に不純
物が混入することを免れない。不純物の固体微粒
子が中立もどし球とスプールとの接触部に介入す
ると、この接触部の摩擦損耗が生ずる。また多結
晶組織の金属に強い接触圧力で応力が加わると、
金属の粒界腐蝕が促進されて進行する。スプール
を耐蝕性の良い黄銅に変更した場合でも、上記の
摩擦損耗および粒界腐蝕は充分に防止できない。

本発明は従来技術の前記サーボ弁に起こる粒界
腐蝕および摩擦損耗の問題を防止することを目的
とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は前記タイプのサーボ弁の中立もどし球
とスプールの接触部に起こる粒界腐蝕、摩擦損耗
を防止するには、この接触部を金属対金属の直接
接触することなく、接触部材の一方を高い表面硬
度を呈する非金属の単結晶、代表的には鋼玉を充
当して構成し、その高硬度の特性を利用して点接
触させることが有効であることを知見し、この知
見に基づいてなされたものである。はめあわされ
る中立もどし球とスプールとの間において、単結
晶の中立もどし球と金属のスプールとを組合わせ
るか、金属の中立もどし球をはめあわせるスプー
ルの凹入部には単結晶のグツシユを挿入結合して
内張り被覆とし中立もどし球と組合せる。

すなわち本発明のサーボ弁は、全体的構成とし
ては、入力電気信号に応じて揺動変位可能な鉄心
を備える制御モータ部と、鉄心に結合された噴流
受板が２つの制御ノズル間に配置された中間の制
御装置部と、圧力媒体を切り換える切換弁部とか
らなり、長い中立もどしばねを介して噴流受板に
連結された中立もどし球が切換弁部のスプールの
凹入部にはめあわされているサーボ弁において、
はめあわされる中立もどし球またはスプール凹入
部の内面を被覆するブツシユ状体の何れか一方が
単結晶を素材としていることを特徴とする。

（作用） 本発明において、上記タイプのサーボ弁の切換
弁部のスプールとそれにはめあわせる中立もどし
球との接触部の一方の部材を単結晶とし他方を金
属とすることにより、接触部には従来技術の金属
対金属の接触で生じた粒界腐蝕および摩擦損耗が
発生しないようになる。このことは本発明からは
じめて得られた経験であり、何故そのようになる
かは適確に理論的解明することは困難である。し
かし推考される理由づけとしては、単結晶の代表
例として使用する鋼玉はモース硬度９であり、ダ
イヤモンドの10に次ぐ高硬度であり、金属材料と
の間には硬さに大きな差異があり、従つて、両材
の接触部にかなり大きい中立もどし力が作用して
も高度に点状の点接触状態が保持され、従つて接
触部には不純物粒子の介入が起こらずここでは圧
力媒体が潤滑作用するので、滑り特性が良好で摩
擦損耗が防止され、また高い応力を生ずる領域が
高度に点状に局限されるので、金属の結晶粒界に
沿つて起こる粒界腐蝕の進展が遮断されるという
ことが考えられる。

この点で、油圧機器の弁の技術分野は単結晶の
技術分野とは隔りが大きく、単結晶を含む弁の従
来技術としては、ドイツ特許第2911407号には、
圧力媒体が強く当たる流体要素を持つ弁が開示さ
れており、この流体要素の少なくとも圧力媒体の
流れが影響を及ぼす部分が鋼玉製であるが、この
流体要素はノズル、噴流受板または少なくともそ
れらの一部であつて、金属部材との間にその摩擦
損耗、粒界腐蝕の原因となる固体接触力の作用す
るものではない。また米国特許第3391901号明細
書には弁要素と弁座と協働する部分がサフアイ
ア、焼結金属またはステライト製の弁が開示され
ているが、高真空弁に関するものであつて、圧力
媒体を取り扱うものではない。従つてこれらから
作用の異なる本発明に到達することは容易に考え
られない。

（実施例） 以下、本発明を添付図を参照しその特長をさら
に詳しく説明する。第１図は本発明の第１実施例
の縦断側面図、第２図はその要部の拡大断面図、
第３図は第２実施例の第２図該当部分の断面図で
ある。

第１および２図に示す実施例では入力電気信号
を受入れる上位の制御モータ部１には制御モータ
ケーシング１７内に上極板２および下極板３があ
り、両者は側部に設けたＵ字形の永久磁石４で相
互結合されている。極板２，３の間にそれらによ
り囲まれる個所に図では水平軸線の２つのコイル
５，６を同軸に配置する。２つのコイル５，６の
両側には極板２，３中にコイル５，６に対し垂直
に配置された軸線の極板ねじ７，８を設ける。

コイル５，６には棒状鉄心９が貫通しており、
この鉄心９はコイル５，６の中間位置で下極板に
固着した薄肉弾性筒状ばね１０により支持され、
ばね１０を支点として揺動変位可能である。

鉄心９には上極板２と反対側にばね１０の中空
腔を貫通して下方に延びる噴流受板１１が固着さ
れており、噴流受板１１はばね１０を支点として
鉄心と反対方向に変位する。この噴流受板１１は
中間位の制御装置３２内にあつて２つの同軸配置
のノズル１２，１３の噴口の間にノズル軸線と直
角に配置されている。これらのノズルは中間ケー
シング１４にねじ込んで取付けられており、そし
てノズルには中間ケーシングの外側でナツト１
５，１６を螺着し調整位置に固定する。

中間ケーシング１４は制御モータケーシング１
７と反対側で下位の切換弁部３３の切換弁ケーシ
ング１８に装着され、切換弁ケーシング１８内に
は制御スリーブ３８が収容配置されている。制御
スリーブ３８のノズル１２，１３と平行軸線でま
た中立静止状態では鉄心９とも平行軸線の軸線方
向スリーブ腔内には、軸線方向に可動のスプール
１９が配置されている。

スプール１９は６つのピストン状部すなわちラ
ンド部２０，２１，２２，２３，２４，２５を持
ち、そのうちランド部２０，２５は端位置にあつ
て外端には圧力媒体の圧力が作用する。この圧力
は、圧力制御装置（図示せず）からの圧力媒体が
接続口３７から導入され、フイルター経由後２分
流し、それぞれ絞りを経由したのち、１つはノズ
ル１２とランド部２０の外側に導かれ、他の１つ
はノズル１３とランド部２５の外側に導かれ、各
ノズルからの噴流が噴流受板１１に当たつたのち
接続口３６からリザーバに戻り脱圧されるので、
ノズル１２，１３の上流の圧力に相当する。両圧
力は噴流受板の変位により噴出流量に差が生じる
ことにより圧力差が生ずるので、差力によつてス
プール１９はスリープ３８内で移動する。

スプール１９のランド部２１，２４は制御スリ
ーブ３８のそれぞれの制御開口の開度を変化させ
る働きをする。その結果、接続口２９から導入さ
れる圧力源（図示せず）からの圧力媒体が２つの
接続口３０，３１を経て圧力媒体消費装置（図示
せず）に送出される流量が制御される。接続口２
８は圧力媒体リザーバ（図示せず）に接続して脱
圧するためのものである。

スプール１９のランド部２２と２３との間には
環状溝があり、この環状溝に鋼玉（コランダム）
製の中立もどし球２６が保持される。中立もどし
球は棒状の中立もどしばね２７の下端に取付けら
れ、中立もどしばねの上端は噴流受板１１に固着
されている。中立もどしばねはサーボ弁の中立静
止位置ではスプール１９の軸線と直角方向に延び
ている。

制御モータ１、中間ケーシング１４内に存在す
る制御装置部３２ならびに切換弁ケーシング１８
内に存在する切換弁部３３の構造と作動はそれ自
体公知である。

本発明の上記実施例では中立もどし球２６は単
結晶の鋼玉、例えば紅玉（ルビー）あるいは青玉
（サフアイア）製であり、スプール１９は鋼、黄
銅等の金属製である。中立もどし球２６とこれに
接触するスプールのランド部２２，２３の端壁面
との間には0.1乃至４ミクロンメータ（1/1000mm）
の間隙があり、このすきまばめ状態の間隙に圧力
媒体が入つて潤滑作用する。中立もどしばね２７
は中立もどし球２６の受孔に挿込まれており接着
剤でそれに結合される。

第３図に示す第２実施例においては第１実施例
と同じ部分は同じ参照符号で示し、変化した部分
は添記号ａを付して示してある。

この実施例の切換弁部３３ａにおいては、スプ
ール１９ａと中立もどし球に第１実施例と異なる
形状が与えられている。同様に鋼製のスプール１
９ａは中央部に、第１実施例の環状溝によつて相
互に分離された２つのランド部２２，２３の代り
にただ１つの中央ランド部（２２ａ）が設けら
れ、その縦方向貫通孔に１つの鋼玉製のブツシユ
３５が挿入されて緊密に固定されて凹入部の内面
の被覆となつている。このブツシユ中に中立もど
しばね２７に固着された鋼製の中立もどし球２６
ａが0.1乃至４ミクロンメータの間隙ですきまば
め状態にはめあわされている。この鋼玉製ブツシ
ユは縦方向貫通孔３４の内張被覆となつているの
で、鋼製の中立もどし球２６ａはスプールの同じ
鋼製の部分と協働作用することはなく、金属対金
属の接触は避けられている。中立もどし球２６ａ
は盤状に形式されて筒状のブツシユとの接触面の
両側の少なくとも１つは平坦面化されており、従
つてブツシユ３５の孔内に侵入した圧力媒体中の
不純物粒子はブツシユを通過して排出される。好
ましくは鋼製の中立もどし球２６ａには二面幅の
平坦面を形成するのがよい。

（発明の効果） 以上のように本発明によると、サーボ弁の中立
もどし球とスプールの凹入部とのすきまばめのは
めあい部のいずれか一方を単結晶とし他を金属の
接触部とすることにより、従来の金属対金属の接
触で生じていた金属部材の摩擦損耗および粒界腐
蝕は防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例の縦断側面図、第
２図はその要部の拡大断面図、第３図は第２実施
例の第２図該当部分の断面図である。 １……制御モータ部、２……上極板、３……下
極板、４……永久磁石、５，６……コイル、７，
８……極板ねじ、９……鉄心、１０……薄肉筒状
ばね、１１……噴流受板、１２，１３……ノズ
ル、１４……中間ケーシング、１５，１６……ナ
ツト、１７……制御モータケーシング、１８……
切換弁ケーシング、１９，１９ａ……制御スプー
ル、２０，２１，２２，２２ａ，２３，２４，２
５……ランド部、２６，２６ａ……中立もどし
球、２７……中立もどしばね、２８，２９，３
０，３１，３６，３７……接続口、３２……制御
装置部、３３，３３ａ……切換弁部、３４……縦
方向貫通孔、３８……ブツシユ、３８……制御ス
リーブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入力電気信号に応じて揺動変位可能な鉄心９
   を備える制御モータ部１と、鉄心に結合された噴
   流受板１１が２つの制御ノズル１２，１３間に配
   置された中間の制御装置部３２と、圧力媒体を切
   り換える切換弁部３３とからなり、長い中立もど
   しばね２７を介し噴流受板に連結された中立もど
   し球２６，２６ａが切換弁部のスプール１９の凹
   入部にはめあわされているサーボ弁において、ス
   プール側の凹入部にはめあわされて直接接触する
   中立もどし球２６またはスプール側の凹入部の内
   面を被覆してスプール側を中立もどし球２６ａに
   間接接触させるよう特設したブツシユ状体３５の
   何れか一方が単結晶を素材としていることを特徴
   とするサーボ弁。 ２ 単結晶が鋼玉であることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載のサーボ弁。 ３ 中立もどし球２６とそれに接触する部材２
   ２，２３，３５との間に、0.1乃至４ミクロンメ
   ータの間隙があることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項および第２項のいずれか１に記載のサー
   ボ弁。 ４ 中立もどし球２６ａの接触点から隔たつてい
   るその少なくとも１つの面が平坦であることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項、第２項および第
   ３項のいずれか１に記載のサーボ弁。