JPH0424270Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、均熱性に優れた低NOxマルチバー
ナに関するものである。

（従来の技術） 均一加熱が必要な加熱炉として、メツキ鋼板の
熱処理加熱炉（CGL炉等）や焼結点火炉がある
が、鋼材等の一般的な加熱炉においても均一加熱
することが望ましいことは勿論である。

ところで、従来において均一加熱を行う方法と
しては前記焼結点火炉で採用されているように、
可能な限り多数のバーナを設置する方法や炉内燃
焼ガスをフアンを用いて循環させる方法がある。

そして、前者の方法に使用するバーナとして、
実開昭58−132314号が開示されている。

（考案が解決しようとする問題点） 前記実開昭58−132314号のバーナは、燃焼特性
の異なる各種固体燃料、例えばオイルコークス、
微粉炭、粉コークスおよび気体、液体燃料の燃焼
を行なう際に、１次、２次空気の配合割合を調節
するものであるが、当該バーナを多数設置した場
合には、バーナ直下部の温度は高いのであるが、
各バーナの中間部は温度が低くなるため、該低温
部を所定温度以上とするためには燃焼量を増大す
る方法を採らざるを得ない。

これに対処せんとして特開昭59−89919号等の
バーナが提案されている。このバーナは、均一加
熱性を確保せんとするものであるが、燃焼用空気
に旋回が付与されていないため、空気および燃料
の噴出速度が低下した時には火炎安定性が悪化し
て安定燃焼範囲が狭くなる。従つて、従来のバー
ナに比べて制約された条件で使用しなければなら
ず、操業変動に対する追従性が十分でない。

一方、加熱炉内の燃焼ガスをフアンで循環させ
る方法は、炉内温度が低い特別な場合にのみ使用
が可能な方法であり、炉内温度が高い場合にはフ
アンやシヤフト軸の耐熱性が問題となり実際上は
使用できない。また、この方法は設備費や運転費
が極めて高価になるという問題も併せもつてい
る。

本考案は上記問題点に鑑みて成されたものであ
り、比較的安価な設備費で、かつ、運転費の増大
もなく、長手方向に完全に連続したカーテン状の
火炎を形成でき、均一加熱が可能なマルチバーナ
を提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記目的を達成するために、本考案
に係るマルチバーナは、噴射燃料の外周に旋回を
与えた燃焼用１次空気を供給する形式のバーナ
を、複数個順次隣接的に配置すると共に、これら
各バーナに供給する燃焼用２次空気の噴出孔を、
前記各バーナ毎の火口を一体的に包囲し、かつ前
記火口の先端より２次空気を噴出すべく所定間隔
のスリツト状に連通形成したこととしている。

（作用） 本考案に係るマルチバーナは、燃焼用１次空気
に旋回を与える形式のバーナを複数個順次隣接的
に配置してなるバーナの燃焼用２次空気の噴出孔
を、前記各バーナ毎の火口を一体的に包囲し、か
つ前記火口の先端より２次空気を噴出すべく所定
間隔のスリツト状に連通形成した為、燃焼用空気
が全域的に存することになつて長手方向に連続し
たカーテン状の均熱火炎が形成でき、応用範囲の
広い汎用的な均一加熱が可能となる。

（実施例） 以下本考案を添付図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。

第１図は本考案に係るマルチバーナの第１実施
例をしめしたもので、例えば実開昭58−132314号
に開示されたバーナ１を複数個順次隣接的に配置
すると共に、これら隣接する各バーナ１のバーナ
タイル２外周に設けた２次空気噴出孔３を所定間
隔のスリツト状に一体的に連通化したものであ
る。なお、図中４は旋回羽根、５は１次空気導入
管、６は２次空気導入管、７は燃料噴射管、８は
炉壁であり、本第１実施例では前記燃料噴射管７
は、気体燃料用の燃料噴射管７′と微粉炭等の固
体燃料用の燃料噴射管７″の２重管構成されたも
のを示している。

９は前記２次空気の噴出孔３の出口開口部で、
かつ、隣接する各バーナ１の中間位置に夫々設け
られた閉塞部材である。この閉塞部材９は燃料種
によつては必ずしも必要はないのであるが、これ
を設けた場合には、閉塞部材９の近傍においては
２次空気噴出速度が低下し、該部分では火炎中へ
の炉内高温燃焼ガスの逆流循環量が増大して火炎
形成が促進されると共に、燃焼領域の酸素分圧が
低くなりNOxの生成が低減されるという効果が
付加される。この第１図に示した本考案に係るマ
ルチバーナは、難燃焼性燃料である固体燃料（オ
イルコークス）、重油等に対して特に優れた燃焼
特性を示すものである。

他方、灰分を含有した固体燃料、例えば微粉
炭、微分コークスでは、各バーナ１の中間位置に
あるバーナタイル２部に、灰分が付着するという
問題があるため、第２図に示すように、燃焼用空
気若しくは排ガス等をパージ気体として噴出させ
るパージ気体噴出孔１０を形成し、該パージ気体
により灰分の付着を防止する構造のものが望まし
い。

なお、本考案に係るマルチバーナに使用される
バーナ１は、第１図および第２図に示すような、
固体燃料、重油等の高度な燃焼技術を要する燃料
を使用するものばかりでなく、例えば実開昭57−
145103号（実用新案登録第1525694号）に開示さ
れているような気体燃料や液体燃料等の専焼ある
いは混焼用のバーナとして使用してもよいことは
勿論である。このような燃料速度が速く、着火性
にすぐれた燃料を使用するバーナ１を採用する場
合には、前記した閉塞部材９は特に設ける必要は
ない。

第３図に示す第３実施例は、前記第１実施例に
おけるバーナ１に、実用新案登録第1525694号の
バーナを使用し、かつ、そのバーナタイル２をス
トレートに形成したものであり、燃焼用空気に酸
素富化を行う場合のようにNOxが極端に増大す
るような燃焼条件に適している。

第４図に示す第４実施例は、前記したように連
通化した２次空気噴出孔３を円形状に形成したも
のであり、例えばロータリ炉の天井バーナ等に適
したものとなる。

第５図に示す第５実施例は、連通化した２次空
気噴出孔３を閉ループとしてバーナ火口を内向き
にしたものであり、パイプや円柱鋼材等の端部お
よび外周面を加熱するのに適したものである。こ
れとは逆に第６図に示したように、バーナ火口を
外向きにリング状と成し、火炎が外向きとなるよ
うに構成した場合には、パイプの内周面の加熱に
適したものとなる。

第７図に示すバーナは、連通化した２次空気噴
出孔３の内側のバーナ火口外面およびバーナ火口
部を熱伝導性の優れた耐熱性部材（SUS310S等）
で形成し、この部分に燃焼用空気が通過するよう
に構成したものであり、個々のバーナ１をよりコ
ンパクトにすることが可能となるばかりでなく、
バーナ火口部の内面等が冷却されるため、灰分を
含有する固体燃料である微粉炭および粉コークス
燃焼の場合には、バーナ火口内面およびその外周
部への石炭灰の溶融付着を防止できる。

また、第８図に示すように、連通化した２次空
気噴出孔３の外方および延長部に、連通化したバ
ーナ火口を設けた本考案マルチバーナは、局部的
な高温均一加熱に適しており、スラブ端面の加熱
用に最適である。

以上説明したような本考案に係るマルチバーナ
は、一列のみならず、各々の列を互いに内外接せ
しめて多種構造とすることも可能である。この場
合には、第９図に示すように、連通化した２次空
気噴出孔３をマルチバーナ列相互で共有化させれ
ば、設備費が安価でコンパクトなものとなつて、
平面的な均一加熱に適したものとなる。

なお、本考案マルチバーナに使用するバーナの
旋回羽根４がない場合には、安定燃焼範囲はごく
限られたものとなり、燃焼可能範囲は例えばコー
クス炉ガスを燃料とした場合、空気比1.1〜1.5、
ターンダウンはせいぜい1/2までであり、それ以
外の範囲では火炎がきわめて不安定となり失火す
る場合もある。これに反し、旋回羽根４を設置し
た場合には、火炎が外方に広がり、隣接したバー
ナ相互の火炎が合体して切れ目のない連続したカ
ーテン状の火炎が形成されるばかりでなく、燃料
と空気との混合が促進されて火炎温度が均一化さ
れると共にNOxが低減し、安定燃焼範囲は著し
く広がる。例えばコークス炉ガスを燃料とした場
合では、空気比0.4〜４、ターンダウンは1/20以
下まで可能となる。しかし、ターンダウンが1/8
以下の場合には、１次空気割合を50％以上とする
ことが望ましい。

閉塞部材９を設けない構成のバーナでも、従来
のバーナを複数個設置した場合に比べ、火炎温度
の均一化は、はるかに向上したものとなり、この
ような構成のバーナも本考案中に含まれることは
言うまでもない。

（実験結果） 従来は実開昭58−132314号に開示されている微
粉炭バーナを６本設けた焼結点火炉で焼結鉱の焼
成を行なつていたが、この場合、コークス炉ガス
を燃料として使用した場合と同等の燃焼熱量で焼
成すると、バーナ直下部の焼結鉱は十分に焼ける
のであるが、バーナ中間部に位置する焼結鉱は生
焼となる為、燃焼熱量を20％増大して行なつてい
た。

これに対し、第２図に示した本考案に係るマル
チバーナを設置して微粉炭燃焼を行なつたとこ
ろ、バーナ中間部に位置する焼結鉱の極端な生焼
けはなく、従来のバーナを使用した場合に比べ、
燃焼熱量を20％低減できた。

（考案の効果） 以上述べた如く本考案は、複数個のバーナを隣
接的に配置し、これらバーナの燃焼用２次空気の
噴出孔を連通化した為、均熱性および燃焼性に優
れ、ひいては燃焼効率の向上にも寄与できる大な
る効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第９図は本考案に係るマルチバーナの
実施例を示す図面で、第１図イは第１実施例を断
面して示す正面図、ロは側面図、第２図イ，ロは
第１図イ，ロと同様の第２実施例を示す図面、第
３図は第３実施例を断面して示す正面図、第４図
は第４実施例の第１図ロと同様の図面、第５図イ
は第５実施例の説明図、ロはイの部分拡大図、第
６図は第６実施例の説明図、第７図および第８図
は第７および第８実施例を断面して示す正面図、
第９図は本考案に係るマルチバーナを多重構造と
した場合の態様を示す説明図である。 １はバーナ、３は２次空気噴出孔、４は旋回羽
根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 噴射燃料の外周に旋回を与えた燃焼用１次空気
   を供給する形式のバーナを、複数個順次隣接的に
   配置すると共に、これら各バーナに供給する燃焼
   用２次空気の噴出孔を、前記各バーナ毎の火口を
   一体的に包囲し、かつ前記火口の先端より２次空
   気を噴出すべく所定間隔のスリツト状に連通形成
   したことを特徴とするマルチバーナ。