JPH042339B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ベルト式キヤスターで製造される薄
鋳片の厚みが均一になり、かつベルト式キヤスタ
ーの短辺壁に溶湯が差し込むことによるブレーク
アウトを防止する技術に関するものである。

（従来の技術） 薄鋳片を連続的に製造するベルト式キヤスター
の外観を第２ａ図に、そのモールド部の断面図を
第２ｂ図に示す。このベルト式キヤスターは、駆
動輪２，３，４で駆動される金属ベルト１により
モールド９の長辺を、また金属ベルト１の両端に
配置される短辺壁６でモールド９を構成し、金属
ベルト１の背面に水膜形成ボツクス５を設けてあ
る。第２ｂ図に示すように、高圧の冷却水はこの
水膜形成ボツクス５の給水口６′より供給され、
水膜形成ボツクス５に設けられている排出口６″
より金属ベルト１の裏面に排出され、金属ベルト
１と水膜形成ボツクス５との間に厚みδの水膜が
形成される。この水膜により金属ベルト１を支持
するとともに金属ベルト１の冷却を図つている。

（発明が解決しようとする問題点） このように金属ベルトの裏面には金属ベルトを
支持するための水膜が形成されるが、その水膜の
厚みは鋳辺の厚みに大きく影響し、水膜の厚みの
変動は鋳片の厚みの変動となる。次工程の圧延工
程を考慮すると、厚みが変動した鋳片、即ち不均
一な厚みの鋳片は好ましくなく、圧延の際の負荷
を大きくしなければならず過剰の設備が必要とな
る。

また、短辺壁における水膜の厚みが変動する
と、金属ベルトと短辺壁間の隙間の変動となる。
このために、金属ベルトと短辺壁との間に溶湯が
侵入しブレークアウトが生じる。

本発明の目的は、前述したような製造される鋳
片の厚みが不均一となることを解消するとともに
ブレークアウトが生じないように金属ベルトの裏
面に形成される水膜の厚みを制御する装置を提供
することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、輪回移動する一対の金属ベルトとこ
の金属ベルトの相互間に配置してそれらの相互の
組合せによつて連鋳モールドを形成する一対の短
辺壁とを備えるベルト式キヤスターの水膜厚制御
装置であつて、上記水膜厚制御装置は、各金属ベ
ルトの背面にそれぞれ配置するとともにその内部
を短辺壁および連鋳モールドに対応する領域に区
分した複数の空間を有する水膜形成ボツクスと、
各空間内に供給する水の流量を制御する流量制御
弁とを備え、上記水膜形成ボツクスの金属ベルト
に沿う面には、金属ベルトとの間で形成した大気
開放になるすき間へ水を供給して水膜を形成する
複数の開孔と、短辺壁間および連鋳モールド間に
おける水膜の厚さを測定する水膜検出器を配置し
たことを特徴とするベルト式キヤスターの水膜厚
制御装置である。

本発明に従う水膜厚制御装置の具体的構成を第
１ａ図、第１ｂ図に示す。

水膜形成ボツクス５は、短辺壁６に対応した領
域ａと連鋳モールド９に対応した領域ｂとに区分
した複数の空間を有するとともに、各空間には、
そこへ供給する水の流量を制御する流量制御弁１
２，１２′，１２″が配置される。また、水膜形成
ボツクス５の金属ベルト１に沿う面５ａには、金
属ベルト１との間で形成した大気開放になるすき
間ｔへ水を供給して水膜を形成する複数の開孔ｈ
と短辺壁間および連鋳モールド間における水膜の
厚さを測定する水膜検出器１１，１１′，１１″が
配置される。

上記水膜厚検出器としては、特開昭59−217407
号公報に記載されている超音波を利用する形式の
ものである。この水膜厚検出器は、超音波探触子
を水膜形成装置に設けるとともにベルト式キヤス
ターの金属板と水膜支持装置の途中に反射体を設
けて、金属板からのエコーと反射体からのエコー
との時間差から水膜の厚さを検出する装置であ
る。

（作用） 本発明の水膜制御装置の作動を第１ａ図及び第
１ｂ図に基づき説明する。

水膜形成ボツクス５の各区分領域に設けられて
いる水膜厚検出器１１，１１′，１１″により鋳造
中の短辺壁部の水膜厚みと連鋳モールドに対応す
る部分の水膜の厚みを測定する。上記の水膜厚検
出器１１′により溶湯部に対応する部分の水膜の
厚みを測定し、この部分の水膜の厚みが所定の水
膜厚みになるように冷却水の流量制御弁１２′を
制御して水圧を調整する。また、短辺壁６，６に
対応する部分の水膜の厚みを水膜厚検出器１１，
１１″により測定し、この部分の水厚の厚みが所
定の厚みになるように流量制御弁１２，１２″を
制御して水圧を調整する。

このように水膜形成ボツクス５を短辺壁に対応
する部分と連鋳モールドに対応する部分とに区画
して、各区画した水膜形成装置の水圧を個別に調
整する。このために、連鋳モールドに対応する部
分の金属ベルト１が溶湯の静圧、ベルトテンシヨ
ンの求心力等により変形することにより生じる水
膜の厚みの変化を防止できるので、鋳片の厚みが
均一となる。また、短辺壁に対応する部分の金属
ベルトがベルトテンシヨンによる求心力等により
変形して、金属ベルトと短辺壁との間の隙間が発
生することを防止できるのでブレークアウトが生
じない。

（実施例） 第１ａ図および第２ａ図に基づき、本発明の実
施例について述べる。

第１ａ図に示すように、駆動輪２，３，４で駆
動され、駆動輪４を介してシリンダ１０により必
要な張力が与えられて駆動する金属ベルト１と短
辺壁６で構成されるモールド９に浸漬ノズル８を
介して溶鋼を供給した。金属ベルト１の背面に配
置された水膜形成ボツクス５は第１ａ図に示すよ
うに区画されており、鋳造中水膜検出器１１，１
１′，１１″により水膜の厚みを検出しつつ冷却水
の流量制御弁１２，１２′，１２″を調整し、水膜
の厚みが目標値0.8mm±0.1mmとなるよう制御し
た。この結果、鋳片の厚みの偏差は、±0.3mmとな
り、操業事故なく鋳造できた。

（発明の効果） 以上説明したように本発明によれば、一定の厚
みの鋳片をブレークアウトなく鋳造できる。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図および第１ｂ図は本発明の装置を示す
図、第２ａ図はベルト式キヤスターの外観図、第
２ｂ図はベルト式キヤスターのモールド部の断面
図である。 １……金属ベルト、２，３，４……駆動ロー
ル、５……水膜形成ボツクス、６……短辺壁、
６′……給水口、６″……排出口、７……溶湯、８
……浸漬ノズル、９……モールド、１０……シリ
ンダ、１１，１１′，１１″……水膜厚検出器、１
２，１２′，１２″……流量制御弁、１３……鋳
片。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 輪回移動する一対の金属ベルトとこの金属ベ
   ルトの相互間に配置してそれらの相互の組合せに
   よつて連鋳モールドを形成する一対の短辺壁とを
   備えるベルト式キヤスターの水膜厚制御装置であ
   つて、 上記水膜厚制御装置は、各金属ベルトの背面に
   それぞれ配置するとともにその内部を短辺壁およ
   び連鋳モールドに対応する領域に区分した複数の
   空間を有する水膜形成ボツクスと、各空間内に供
   給する水の流量を制御する流量制御弁とを備え、
   上記水膜形成ボツクスの金属ベルトに沿う面に
   は、金属ベルトとの間で形成した大気開放になる
   すき間へ水を供給して水膜を形成する複数の開孔
   と、短辺壁間および連鋳モールド間における水膜
   の厚さを測定する水膜検出器を配置したことを特
   徴とするベルト式キヤスターの水膜厚制御装置。