JPH0421906Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、局部洗浄機能及び乾燥機能等を備え
て水洗便器に固定する衛生洗浄装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、水洗便器において、便器本体の後部側に
洗浄及び乾燥機能を持つ衛生洗浄装置を固定配置
したものがある。

この衛生洗浄装置は、ケーシング内に洗浄水を
加熱貯溜する貯湯槽、加熱された洗浄水を噴出す
るノズル装置、洗浄水の流量及び温度等を制御す
るバルブユニツト及びその制御装置、さらに温風
を供給して乾燥を行うための温風フアン等を内蔵
したもので、便器本体の後部に一体的に固定する
構成のものである。

この衛生洗浄装置の便器本体への固定は、便器
の後部側の取付け面にボルト孔を開け、ボルトを
衛生洗浄装置のケーシングの底のボルト挿通孔か
らこのボルト孔に挿入し、さらにボルト孔の下部
でナツトボルトに螺合する構造となつている。

そして、ケーシングのボルト挿通孔は、便器本
体のボルト孔と容易に整合できるように長孔状と
し、ボルトの位置を任意に変えることにより作業
を容易にするとともに、寸法形状の異なる便器に
対しても衛生洗浄装置を連結できるようにしてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように、ケーシング底のボルト挿通孔を長
孔状とすることにより、便器本体のボルト孔位置
が様々に異なるものであつてもボルトの連結は可
能である。

しかし、ボルトはボルト挿通孔の長手方向に自
由で何等その移動を拘束されないので、ケーシン
グを便器本体の取付け面に載置してボルトを便器
本体のボルト孔に挿入したとき、ボルトはボルト
孔によつて定位置に固定されてもケーシングはボ
ルト挿通孔の長手開口方向に移動してしまう。

従つて、ボルトをナツトに螺合してケーシング
を便器本体に連結する場合には、位置決めを正確
に行いかつケーシングが動かないように保持しな
がら固定する必要があり、組立作業が煩雑となり
生産効率の面で好ましくない。

また、ボルトとナツトによる締結力が緩んでし
まうと、ボルトによるケーシングへの係合力が低
下し、ケーシングが正規の位置からずれてしまう
という問題もある。

本考案の目的は、衛生洗浄装置の便器本体への
固定を、確実な位置決めを保つて定位置からずれ
ることなく行えるようにすることである。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

本考案は、洗浄用機器等を内蔵したケーシング
を便器本体の取付け面に載置しかつ固定ボルトで
同ケーシングを便器本体に固定する構成の衛生洗
浄装置において、前記ケーシングの底部に、固定
ボルトの頭を下方から同ケーシング内まで挿入可
能な挿入用開口と、同挿入用開口に連続して展開
し固定ボルトの本体部が移動可能であつて且つ該
固定ボルトの頭が着座係合可能な固定用開口とを
設け、前記固定用開口の開口幅方向に互いに対向
し合う内縁の少なくとも一方に弾性変形可能な突
部を設け、該突部を設けた部分の前記固定用開口
の開口幅を前記固定ボルトの本体部の外径よりも
僅かに小さくし、更に前記突部は前記固定ボルト
の自由移動を拘束可能としたことを特徴とする。

固定ボルトを挿入用開口の下から差し込み、そ
の本体部を固定用開口側に移動させると、開口幅
が小さくなつている突部を弾性変形させながらこ
の突部を越えて固定用開口の中に進む。そして、
固定ボルトは突部によつてその自由移動を拘束さ
れるので、固定ボルトとケーシングとの間の位置
決めが保たれる。したがつて、ケーシングを便器
本体に固定するとき、便器本体に対するケーシン
グの位置決めも可能となり、また固定ボルトが緩
んでもケーシングが便器本体からずれることが防
止される。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例に基づいて本考案を説
明する。

第１図は本考案に係る衛生洗浄装置Ａを配置し
た水洗便器の斜視図で、Ｂは便器本体、Ｃは洗浄
水タンク、Ｄ及びＥは便座と便蓋である。

衛生洗浄装置Ａは、同装置の下部ケーシングと
して機能しかつ内蔵機器を固定するための取付け
基板１に上部、側部及び操作部のケーシング２，
３，４を連結して便器本体Ｂの後部上面に固定さ
れている。

第２図は衛生洗浄装置Ａと便器本体Ｂとの取付
け部の拡大断面図、第３図は取付け基板１の概略
を示す平面図である。

取付け基板１は左から順に、洗浄水加熱貯溜用
の貯湯槽上部側を固定する貯湯槽取付け部５、洗
浄水の配管系を構成したバルブユニツトを配置す
るバルブユニツト取付け部６、洗浄水噴出用のノ
ズル装置を固定するノズル取付け部７、及び乾燥
用の温風フアンを設置する温風フアン取付け部８
をそれぞれ形成し、これらの機器固定のためのビ
ス孔９及び上部、操作部ケーシング２，４連結用
の孔１０を所定位置に設けている。

第３図においては、２０はノズル取付け部７を
挟む位置に左右対称に設けたボルト固定部で、第
５図は同部及び固定ボルト１１の斜視図である。

固定ボルト１１は螺子加工した本体部１２の上
端に四角形の頭１３を形成したもので、便器本体
Ｂの取付け面３０に貫設したボルト孔１４を挿通
しこのボルト孔１４の下部でナツト１６を螺合す
ることにより取付け基板１を固定する。

ボルト固定部２０はその周囲を固定ボルト１１
の頭１３寸法より大きな間隔のリブ２１で囲むと
ともに固定ボルト１１の頭１３を挿通可能な挿入
用開口２２を設け、さらにこの挿入用開口２２に
連続して取付け基板１の前後方向に長円状の固定
用開口２３を固定ボルト１１の本体部１２が挿通
可能なように貫設している。

これらの挿入用及び固定用開口２２，２３の開
口縁とリブ２１とで区画された部分は固定ボルト
１１の頭１３下面に当接する係合面２４として機
能する。

さらに、２５は固定用開口２３に設けたノツク
アウト部材で、前後方向の一縁２７が挿入用開口
２２の縁に略整合するように位置して取付け基板
１成形時に連結片２６によつて固定用開口２３の
内縁に一体化されている。このノツクアウト部材
２５は、取付け基板１を合成樹脂等で成形するこ
とにより不要な場合には手で簡単に捩じり取るこ
とができる。

また、２８は固定用開口２３の開口縁に対向し
て設けた突部で、挿入用開口２２との境界部分に
位置するとともに両突部２８先端間の距離を固定
ボルト１１の本体部１２径より小さく形成してい
る。

上記構成において、衛生洗浄装置Ａを便器本体
Ｂに固定する手順は、まず取付け基板１のそれぞ
れの機器取付け部５〜８に対応する装置（図示せ
ず）を固定した後、上部、側部及び操作部ケーシ
ング２〜４をこの取付け基板１に連結固定する。

次に固定ボルト１１の頭１３を取付け基板１の
挿入用開口２２へ下方から挿入し、第６図で示す
ように矢印方向に移動させて頭１３の下面が係合
面２４上に位置する状態として固定ボルト１１を
取付け基板１に係合させ、さらに頭１３を固定用
開口２３側に移動させる。この場合、取付け基板
１を合成樹脂製としておけば、固定ボルト１１を
強制的に固定用開口部２３方向に向けて移動させ
るときの作用力によつて突部２８は弾性変形し、
固定ボルト１１は容易に固定用開口部２３内に移
動できる。またこの移動後においては、頭１３の
下面はボルト固定部２０の係合面２４に支持され
る。

このように固定ボルト１１を固定用開口２３域
に移動させると、固定ボルト１１の本体部１２は
突部２８によつて拘束されかつこの突部２８とノ
ツクアウト部材２５間に保持される。

従つて、固定ボルト１１は取付け基板１の定位
置に停まり、固定ボルト１１をボルト孔１４に挿
入すると取付け基板１は動くことはなく、衛生洗
浄装置Ａを便器本体Ｂに対して確実に位置決めで
きる。

この後、固定ボルト１１をボルト孔１４に挿入
しさらに下方からパツキン１５を介してナツト１
６を取付け面３０の下部において螺合すれば連結
固定を完了する。

この連結固定において、万一固定ボルト１１・
ナツト１６の締結力が緩んでも取付け基板１は突
部２８により固定ボルト１１の本体部１２に係合
するので、正規の位置からずれることはない。

また、ボルト孔１４の位置が以上の範囲での固
定ボルト１１の移動で含みきれないときは、ノツ
クアウト部材２５を取り除いて固定ボルト１１を
固定用開口２３の略全域にわたり移動自在とすれ
ばよい。この場合、ノツクアウト部材２５を除い
たとき連結片２６の一部が固定用開口２３の内縁
に残るようにして突部２８と同様の機能を持たせ
ることができる。

以上のように、突部２８を設けたことによつて
ケーシングの位置決め及び固定作業が容易で、し
かも正規の位置からずれることなく便器本体に連
結できる。

〔考案の効果〕

本考案は、ケーシング固定用の固定ボルトの位
置を自在に変えかつ設定位置に拘束保持してケー
シングに対して停止状態とできるので、便器本体
への位置決め及び取付けが容易で、固定ボルトが
緩んでもケーシングを正規の位置に保持できる。
た、固定用開口の内縁に固定ボルトの自由移動を
拘束する突部を設けるので、たとえばボルトの頭
に係合するような段部等をケーシングに設ける場
合に比べると、コンパクトな構造で済み、洗浄用
機器の組み込み等に障害を与えることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る衛生洗浄装置を備えた水
洗便器の斜視図、第２図は衛生洗浄装置と便器本
体との取付け部の拡大断面図、第３図は取付け基
板の平面図、第４図は第３図の−線矢視拡大
断面図、第５図はボルト固定部及び固定ボルトの
斜視図、第６図は固定ボルトの移動を示す平面図
である。 １……取付け基板（ケーシング）、１１……固
定ボルト、１２……本体部、１３……頭、１４…
…ボルト孔、１５……パツキン、１６……ナツ
ト、２２……挿入用開口、２３……固定用開口、
２８……突部、３０……取付け面、Ａ……衛生洗
浄装置、Ｂ……便器本体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 洗浄用機器等を内蔵したケーシングを便器本体
   の取付け面に載置しかつ固定ボルトで同ケーシン
   グを便器本体に固定する構成の衛生洗浄装置にお
   いて、前記ケーシングの底部に、固定ボルトの頭
   を下方から同ケーシング内まで挿入可能な挿入用
   開口と、同挿入用開口に連続して展開し固定ボル
   トの本体部が移動可能であつて且つ該固定ボルト
   の頭が着座係合可能な固定用開口とを設け、前記
   固定用開口の開口幅方向に互いに対向し合う内縁
   の少なくとも一方に弾性変形可能な突部を設け、
   該突部を設けた部分の前記固定用開口の開口幅を
   前記固定ボルトの本体部の外径よりも僅かに小さ
   くし、更に前記突部は前記固定ボルトの自由移動
   を拘束可能としたことを特徴とする衛生洗浄装
   置。