JPH0421873Y2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0421873Y2
JPH0421873Y2 JP17091587U JP17091587U JPH0421873Y2 JP H0421873 Y2 JPH0421873 Y2 JP H0421873Y2 JP 17091587 U JP17091587 U JP 17091587U JP 17091587 U JP17091587 U JP 17091587U JP H0421873 Y2 JPH0421873 Y2 JP H0421873Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vegetation
sheet
enzyme
activity
meicelase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP17091587U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0175154U (ja
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority to JP17091587U priority Critical patent/JPH0421873Y2/ja
Publication of JPH0175154U publication Critical patent/JPH0175154U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JPH0421873Y2 publication Critical patent/JPH0421873Y2/ja
Expired legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本考案は切土法面等の緑化工事に用いられる植
生帯、特に、有機質土壌改良材とパルプとを抄造
してなる植生シートを用いた植生帯に関するもの
である。 (考案の背景) 従来、一枚又は複数枚のシートで、植物種子、
土壌改良材、肥料等の緑化源を保持した植生帯が
種々提供されており、その一態様として、前記シ
ートに、叩解されてフイブリル化された植物繊維
よりなる有機質土壌改良材とパルプとを抄造して
乾燥させた植生シートを使用したものが、本出願
人により実開昭 61−64210,〜,61−64212,61−77710,〜,61
−77714号公報等で提案されている。 前記植生シートを用いた植生帯は、切土法面等
の緑化地盤に敷設されると、植生シートが大気中
の水分を吸収し、又は降雨等の水分を吸収して水
分解し、土壌改良材及び肥料が土壌の肥沃化を図
る。また、発芽した種子は前記分解した土壌改良
材及び肥料から栄養分を吸収して生長が促進され
る。 このように、前記植生帯は、植生シートが水分
を吸収して素早く分解することが、土壌の肥沃化
を図るとともに、種子の発芽、発根を阻害するこ
となく促進し、植物の成育を図るうえに必要な要
素である。 そこで、本考案者は植生シートの水分解性を向
上すべく種々検討を重ねた結果、前記植生シート
が土壌改良材、木材パルプ、及び、水溶解繊維若
しくは熱溶融繊維又は合成樹脂繊維の三要素から
なることから、これらのうち一つでも何らかの手
段により水分解しやすい状態におくことにより、
植生シート全体の水分解性向上を図ることができ
る点に着目した。 しかし、前記三要素のうち、熱接着のために混
入されている合成樹脂繊維は植生シートの中で僅
かな重量比を占めるにすぎず、これの水分解性を
向上させたところで全体の水分解性に及ぼす影響
は僅かであるため、十分な効果を発揮できない。
しかも、合成樹脂繊維はポリエチレン繊維を使用
することが多く、その性質は化学的に安定してお
り、これを分解するのは容易でない。 また、土壌改良材は土壌と一体化して土壌改良
効果を発揮するものであるから、物理的、化学的
性状を変えることは避けるべきである。 そこで、対象となるのは植生シートの形成にお
いてバインダとしての役割を果たす木材パルプと
なるが、この木材パルプを物理的、化学的に変化
させたところで、植生基板の土壌改良効果を低下
させたり、植物の生育に悪影響を及ぼすものでは
ない。 ところで、前記植生シートには木材パルプとし
て、一般にNBSP,NBKPなどの漂白化学パル
プが使用されており、これらの細胞膜の主成分で
あり、骨格成分をなすものはセルロースである。
そして、このセルロースは分解酵素により生成反
応(脱水縮合)と逆の反応、つまり加水分解によ
りブドウ糖に分解される。 したがつて、植生シートにセルロースの加水分
解に関与する物質を導入すれば、結果的に植生シ
ートの水分解性向上を図ることができる。 (考案の構成) 本考案は、以上の考察をもとになされたもの
で、一実施例を示す第1a〜1h図、第2a〜2
g図を参照して説明すると、少なくとも一枚の、
植物性有機質土壌改良材とパルプとを抄造してな
る植生シート2と、緑化源[種子3、肥料4、土
壌改良材(図示せず)]とを備えた植生帯[A1
A8,B1〜B7]において、植物細胞膜の分解に関
与する酵素5を加えたものである。 (実施例) 以下、添付図面を参照して本考案を説明する。 第1a〜1h図は本考案にかかる植生帯A1
A8をそれぞれ示し、1は従来公知の水分解性シ
ート、2は有機質土壌改良材を主成分とする植生
シート、3は植物種子、4は肥料、5は植物細胞
膜の分解に関与する酵素、6は藁、7はネツト
で、前記酵素6は植生シート2に含浸されてい
る。なお、植生シート2は、叩解してフイブリル
化された木材パルプ3と土壌改良材4との混合物
に内部添加剤を加えて紙料液を調整し、この紙料
液を抄紙して乾燥してなるもので、その具体的な
製造方法は本出願人により特開昭61−25423号公
報で開示されている。 そして、第1a図に示す植生帯A1は、上下に
配置された水分解性シート1の植生シート2との
間に、植物種子3と肥料4を挾持したものであ
る。第1b図に示す植生シートA2は、植生シー
ト2の表面に適宜固定剤を用いて植物種子3と土
壌改良材4とを固着したものである。第1c図に
示す植生帯A3は、上下に配置した2枚の植生シ
ート2,2の間に、植物種子3と肥料4とを介在
したものである。第1d図に示す植生帯A4は、
下から順に植生シート2、2枚の水分解性シート
1,1を重ね、上段と中段の水分解性シート1,
1の間に植物種子3を、中段の水分解性シート1
と下段の植生シート2の間に肥料4をそれぞれ別
に収納したものである。第1e図の植生帯A5は、
前記植生帯A4における中段の水分解性シート1
に代えて植生シート2を用いたものである。第1
f図に示す植生帯A6は、第1d図の植生帯A4
水分解性シート1に代えて植生シート2を使用し
たものである。第1g,1h図に示す植生帯A7
A8は、第1a図に示す植生帯A1の上面にそれぞ
れ藁6、ネツト7を設けたものである。なお、酵
素6は、植生シート2に限らず、水分解性シート
1に含ませるようにしてもよいし、水分解性シー
ト1と植生シート2の両方に含ませるようにして
もよい。 酵素5は、例えば、第3図に示す製造工程によ
り植生シート2又は/及び水分解性シート1に含
浸される。 まず、植生シート2はシートロール11から矢
印方向にくり出され、中間ローラ12を介して上
ローラ13と下ローラ14との間を搬送される。 ここで、下ローラ14の下には溶液槽20が配
置され、そこには植物細胞膜の分解に関与する酵
素5を含む液体6が収容されている。そして、下
ロール14の回転に伴つてその外周部に保持され
た液体6は、ブレード15により均一化され、上
下のロール13,14とで挾持搬送されている植
生シート2に含浸される。 次に、植生シート2は、搬送ローラ16,17
の間を搬送されつつ図示しない乾燥工程を通り、
巻取ロール18に巻き取られる。なお、巻取ロー
ル18の前に、植生シート2に適宜間隔を以て孔
を開ける工程を設け、これらに植生シート2と通
すようにしてもよい。また、植生シート2に酵素
5を含浸させる方法としては、前述の方法に限ら
れるものでなく、酵素5を含む液体6をスプレー
で吹き付けて含浸させてもよい。 前記溶液槽20に収容される酵素5としては、
土壌改良材が分解するにあたつて、種子の発芽、
発根及び植物の生育を阻害せず、さらに土壌に悪
影響を及ぼすことのない天然に産するものを使用
する必要があり、前記「考案の背景」で述べた考
察より、木材パルプの細胞膜を分解するものとし
て、例えばセルロースをグルコース(多糖類)に
分解するのに関与するセルラーゼ、ペクチンを分
解するに関与するペクチナーゼ、ヘミセルロース
を分解するに関与するヘミセルナーゼ等を使用す
るのが好ましい。 次に、第2a図から第2g図は、植生帯の別の
実施例を示し、植生帯B1,〜,B7は、前記1a,
1c,〜,1h図に示す植生帯A1,A3,〜,A8
とそれぞれ同一形態のもので、これらと異なる点
は、酵素5として粉末状のものを用い、これを上
下のシートの間、つまり、水分解性シート1と植
生シート2、又は植生シート2と2との間に介在
している点にある。 なお、植生帯B1,〜,B7において、酵素5を、
シート間に介在させるだけでなく、前記植生帯
A1,〜,A8のように、植生シート2に含ませて
もよい。 また、植生帯A1,〜,A8では、酵素5を植生
シート2又は水分解性シート1に含浸し、植生帯
B1,〜,B7では、酵素5として粉末状のものを
用い、これを上下のシート間に介在させるものと
したが、これに限らず、第3図に示す溶液槽20
に固定剤を加え、該固定剤を介して酵素5を植生
シート2の表面に展着するようにしてもよい。 なお、前記固定剤としては、ニカワ、ゼラチ
ン、カゼイン、デンプン、変性デンプン、デンプ
ン誘導体、繊維素誘導体、アルギン、パラフイン
誘導体、合成ゴム乳剤、ケイ素樹脂、フツソ樹
脂、尿素樹脂、スチレンマレイン酸共重合体、ポ
リ酢酸ビニール、ポリビニールアルコール、酢酸
ビニルマレイン酸共重合体、ポリアクリルアミ
ド、アミン系重合物、コロイド状ケイ酸が使用さ
れる。 また、酵素5は、植生シート2のスリツター加
工の印刷工程で、印刷インキに溶解して展着する
ようにしてもよい。 さらに、以上の実施例において、植生シート2
に対する酵素5の添加量は、植生シート2の厚
さ、植生帯の種類、施工地の土壌、施工時期等に
応じて適宜調製するようにしてもよい。 以下、前記酵素5としてセルラーゼを使用した
とき、これが植生シート2の分解性に及ぼす影響
について実験した結果を示す。 セルラーゼ、植生シートの性質 セルラーゼにはセルロースの結晶構造を崩壊し
グリコースを生成する性質があり、この活性を示
す指標として“濾紙崩壊力”と“アビセラーゼ活
性”がある。 “濾紙崩壊力”は文字通り濾紙を崩壊する効力
であり、“アビセラーゼ活性”とは微結晶セルロ
ースのアビセルに作用し、グルコースを生成させ
る活性である。 この他、ヘミセルロースを分解する性質である
“キシラナーゼ活性”、ペクチンを分解する“ペク
チナーゼ活性”、CMCを分解する“CMCアーゼ”
などがある。 以上の活性のうち、植生シート2のセルロース
を分解する上で重要なのは“濾紙崩壊力”と“ア
ビセラーゼ活性”であるが、どの様な酵素でもそ
れが作用するに最適な温度とPHがある。 本実験で用いたセルラーゼは、明治製菓(株)製の
「メイセラーゼ(商品名)」であるが、このメイセ
ラーゼの酵素活性と、温度及びPHとの関係は、表
−1,2、第4,5図の通りである。
【表】
【表】 セルラーゼ(メイセラーゼ)について、その酵
素活性、その他の性質をまとめると次の通りであ
る。 (a) 濾紙崩壊力、アビセラーゼ活性を有効に発揮
させる条件はPH4.0〜5.5、温度40〜50℃であ
り、PH4.5、温度50℃のとき最も強い活性を呈
するが、20℃以下またはアルカリ性サイドでは
効力が低下する。 (b) 紫外線や高温に対して安定性があり、メイセ
ラーゼ原末の製造時の温度は170℃であるため、
メイセラーゼは少なくとも170℃までは劣化し
ないと考えられる。 (c) セルラーゼに対する作用が加水分解であるか
ら乾燥している状態では効力が発現しない。 (d) 加水分解の妨害物質のひとつとしてリグニン
があり、これを含む物質については作用力は低
下する。 (e) PHの変化が生じてもメイセラーゼの潜在的な
活性の劣化は少ない。 一方、植生シート2の主成分であるピートモス
は酸性を呈し、そのPHは5.8(JIS P8113)である。 また、ピートモスは各種の緩衝性(土壌の塩類
障害等に対する緩衝性)を有しており、酸、アル
カリに対する緩衝性は第6図の通りで、多少の酸
性あるいはアルカリ性の雨ではPHの変化が起こら
ないものと予想される。なお、一般植生用紙の緩
衝性は、図中点線で示してある。 さらに、一般に、植生シート2が施工される日
本の土壌は酸性土壌(PH4〜5)が多く、植生シ
ート2は酸性化されることが予想されるが、植生
シート2のPH値(5.8)はメイセラーゼの酵素活
性のピークをやや外れており、自然条件下では温
度は冬期と夏期ではかなり異なる為、施工後に最
適な条件を得ることは難しい。 しかし、植生シート2の分解は数時間で達成し
なければならないものでなく、種子の発芽までに
達成されれば良いのであるから、少なくとも降雨
後4〜5日の日数が許容される。 また、植生シート2の分解はセルロースの完全
分解まで到達せずとも、セルロースを脆化する効
果だけで、充分水分解性を促進することができ
る。 従つて、必ずしも植生シート2の性質や施工地
の条件をメイセラーゼの酵素活性の最適条件と合
致させる必要はなく、むしろPH等は種子の発芽や
施工地への影響を考慮すると、現状のままで良い
ものと判断する。 メイセラーゼによる各種実験における添加指
数について 本実験には酵素活性力の異なる2種類のメイセ
ラーゼを使用したため、添加量は、メイセラーゼ
の酵素活性と植生シート2に添加した重量を含め
たかたちで表す。 即ち、植生シート2を3枚重ねた状態で1m2
(シート重量100g)につきどれだけの酵素活性を
もつメイセラーゼを何g添加したかみついて、
「添加指数」という表現を用いる。 高純度メイセラーゼの潜在的な酵素活性を10と
し、これを10g、1m2の植生シート2に添加した
ときの添加指数を100(g−活性/m2)とする。 従つて、酵素活性10のメイセラーゼを植生シー
ト1m2当たりに1g添加すると、添加指数は10g−
活性/m2になる。 下記する表−3に各メイセラーゼの潜在的酵素
活性を示す。
【表】 高純度メイセラーゼの酵素活性を10とした場合の
比率 なお、メイセラーゼは全て粉末状であり、実験
に用いた「メイセラーゼ溶液」はこれらを水溶解
してつくつたものである。 −1 メイセラーゼの添加と植生シートの溶解
速度() 以下、メイセラーゼの添加によつて植生シート
2の水分解性の指標である溶解速度がどの様に変
化するかについて行つた実験について示す。 a 実験方法 後に説明する紙の溶解度試験により得られた溶
解速度が40秒である植生基板を5×5cmに切断
し、これを重ねて2gとしたものをガラス製シヤ
ーレに入れ、次いで0.1%メイセラーゼ溶液に水
を加えて20mlとしたものを添加し、24時間室内に
て浸漬した。 メイセラーゼは最も酵素活性の高い“高純度メ
イセラーゼ”を用い、添加指標は0,1,2,
4,6,8,10g−活性/m2の7種類とした。 浸漬後、湿潤状態のまま溶解速度を測定した。 そして、その結果を表−4、第7図に示す。
【表】 b 実験結果 メイセラーゼの添加による植生シート2の脆化
は非常に顕著なるものであつた。 メイセラーゼの添加指数が1g−活性/m2とい
う低い添加量であつても、無添加のものに比べて
溶解速度は約2倍程度速くなり、添加指数の増加
に伴い溶解速度が速くなることが確認され、10g
−活性/m2では約8倍に促進された。 また、グルコースの生成量を試験紙にて確認し
たところ、添加指数の増加とともに、生成量も増
加していることが判明した。 浸漬後の状態は浸漬直後と外観では判別できな
いものであつたし、浸漬後も植生シート中には多
量のパルプ繊維の存在が確認された。 従つて、この程度の添加指数ではセルロースの
完全分解(加水分解)には到底達しないものであ
るが脆化効果を得るのには充分な添加量であるこ
とがわかつた。 浸漬時のPHはいずれの試料も6.0であり、浸漬
中の温度は14〜23℃(平均20℃)の変化があつ
た。 この様に、浸漬中はメイセラーゼの酵素活性を
充分発揮でき得る状態ではなかつたにもかかわら
ず良好な結果が得られた。 また、顕微鏡観察による植生シート2の中のピ
ートモスは浸漬の前後で変化は認められなかつ
た。 c 紙の溶解度試験 本試験は、トイレツトペーパや便座シート用紙
等のように、水溶性を必要とされる紙について適
用される試験で、その方法は下記する通りであ
る。 まず、水300mlをいれたビーカ(500ml用)をマ
グネテイツクスターラ上に乗せ、その中に50×50
mm(±0.1mm)に裁断した試験用紙料片を入れて、
回転子(直径約7mm、全長35mm、重さ約7g)を
約600rpmで回転させる。 次に、回転が安定すると、前記紙料片2枚を前
記ビーカに投入し、紙料片が完全分解するまで
(面積0.25cm2以下の小片となつたとき)の時間を
測定する。 以上の実験を少なくとも3回行い、夫々の時間
を平均して、これを溶解速度とする。 −2 メイセラーゼの添加と植生シートの溶解
速度() 前記溶解速度()の実験により、乾燥時には
溶解速度40秒の植生シートが水中に2拾4時間浸
漬すると(湿潤状態のまま測定すると)20秒にま
で速まることが確認された。 しかし、植生帯及び植生シート2が現場に施工
された場合、種子の発芽までには雨水による湿潤
状態と晴天時等による乾燥状態のもとに繰り返し
さらされる。 したがつて、一度湿潤状態にあつた植生シート
2を乾燥させたとき、その溶解速度はどの様な変
化を示すか解明するために、植生シート2にメイ
セラーゼを添加した後湿潤して一度脆化させ、そ
の後植生シートを乾燥してその溶解速度を測定し
た。 (a) 実験方法 実験()で処理した植生シート2の残留物
(非検査試料)を、含水率が30%となる様に搾水、
積層して室内にて24時間乾燥(風乾)し、乾燥後
の溶解速度を測定した。 (b) 実験結果 実験結果を表−5及び第8図に示す。
【表】 第8図から明らかなように、添加指数の増加に
伴い、風乾後も溶解速度は速まる傾向にある。 −3 実験()、()のまとめ 前記実験()、()の結果を、表−6に示
す。
【表】 この表からも明らかなように、植生シート2へ
のメイセラーゼ(セルラーゼ)の添加は、植生シ
ート2の水分解性向上を図るうえで極めて有効な
手段と考えられ、1g−活性/m2程度の少量添加
でも溶解速度は2倍程度の向上が認められた。 メイセラーゼのピートモスに与える影響は、1
〜10g−活性/m2程度の低添加率ではほとんどな
いものと判断できる。 また、メイセラーゼの添加により植生シート2
は柔軟性(手の感触による)が増加する傾向にあ
つたため、土壌への密着性の向上が望めるものと
考えられる。 現場に施工される場合は、実験の様な条件とは
異なることが予想されるが、実用的なメイセラー
ゼ添加指数は1〜4g−活性/m2程度であると考
えると、施工後において特別な条件(温度やPHに
ついて)を与えずとも、植生シート2の脆化は達
成できると考えられる。 屋外放置実験 室内実験によつて植生シート2の脆化に要する
実用的なメイセラーゼ添加指数は1〜4g−活
性/m2との結果を得た。 これに基づいて、メイセラーゼ添加後の植生シ
ート2の屋外における分解状態を観察した。 (a) 実験方法(第9,10図参照) 10×10cmに切断した溶解速度40秒の植生シート
2を三枚重ね、四隅と中心を通る十字形に、幅5
mmのハンダゴテによつてヒートセツトした二つの
試験体を用意し、試験体には0.1%高純度メイ
セラーゼ溶液を、添加指数が4g−活性/m2とな
る様に含浸させ、試験体は水を含浸させ、両者
を一日間室内にて風乾した。 風乾後、直径3〜5mmφの小石を少量含む砂地
(区分:砂土[記号:S])の試験地上に放置し
た。 b 実験結果 放置後、三日目から三日間連続した雨天にな
り、積算降雨量は100mmであつたが、降り始めは
特に激しい降雨(60mm/日)であつた。 メイラーゼを添加した試験体は三日目の降雨
とともに崩壊が始まり、五日目には第9図に示す
ように一辺が5mmの小片に分解した。これに対し
メイラーゼ無添加の試験体は土壌表面に密着す
るも、第10図に示すように、崩壊は認められな
かつた。 このように、メイセラーゼ添加と無添加のもの
では分解性に顕著な差が現れた。 したがつて、実用面でのメイセラーゼ添加指数
は4g−活性/m2を最大添加量とし、以下の実験
においては1ないし2g−活性/m2で検討するも
のとする。 V−1 植生帯による実験について 以上の実験より、メイセラーゼが植生シート2
に与える脆化作用(水分解性向上効果)は、これ
までの実験により明らかになつた。 次に、植生シート2が植生帯となつて現場に施
工された場合、果たして同様な効果が得られるか
否か、つまり、肥料の影響はあるのか、また種子
に対してメイセラーゼが発芽阻害などの悪影響を
及ぼすかなど、これらを総合的に判断すべく、植
生帯にメイセラーゼを添加し、これを試験地に敷
設して状態を観察した。 加えて、メイセラーゼを添加する場合、含浸に
よる添加法と粉体のまま混入させる添加法が考え
られるが、それぞれにどのような特徴があるかに
ついても検討した。 V−2 植生帯の構造と試験地 第11,12図に示すように、試験体である植
生帯21(酵素無添加)は、20×30cmに切断した
植生シート2にて種子層22及び肥料層23を挟
持した5層構造である。 種子層22の種子は、ハイランドベントグラス
(HBG)を用い、肥料層23の肥料は化成肥料
(N:P:K=10:10:10)を用いた。 挾持量は、種子1g、肥料10gで、1m2当たりに
換算すると種子16.7g肥料167gである。 なお、植生シート2にはあらかじめ1cm2当たり
1個の割合で直径2mm程度の穴を空けて(貫通の
み)おき、四隅と5×4cm間隔で格子状に5mm幅
でヒートセツトした。 一方、試験地24は、第13図に示すように、
全体の厚さが9cmで、底から1cmまでに直径1cm
程度の小石25を敷き、この上に厚さ4cmの焼軽
石層26、さらに厚さ4cmのサボテン培養土層2
7を重ねた構造である。 なお、試験地24のサボテン培養土(砂土)層
27のPHは6.6(NaCl溶液にて抽出したときは5.3)
であつた。 V−3 含浸法による実験 植生帯を用いた屋外実験において、まず植生帯
に含浸法によつてメイセラーゼを添加した。 (a) 実験方法 メイセラーゼの添加方法は、前記植生帯21の
作成前に、3枚重ねの植生シート2に1%メイセ
ラーゼB液を1g−活性/m2、2g−活性/m2とな
る様あらかじめ含浸させたのち1日風乾し、1g
−活性/m2の植生シート2を用いて植生帯Bを作
成し、2g−活性/m2の植生シート用いて植生帯
Cを作成し、さらに、植生シートを水に浸し、そ
の後これを一日風乾したものを用いて植生帯Aを
作成し、これらの植生帯A,〜,Cを試験地24
に施工した。
【表】 A:酵素無添加 B:1g−活性/m2 C:2g−
活性/m2 (c) 実験結果(第14a,14b図,第15a,
15b図参照) 実験開始の翌日から3日間連続した雨天で、特
に雨天の初日は20mmと比較的多量の降雨であつ
た。 5日後に再び雨天になり、三種類の植生帯A,
〜,Cの全部に縦方向に沿つて長さ1〜2cmで数
箇所裂け目が生じた(第14a図参照)。 また、植生帯B,Cが、この日植生シートを突
きぬける様に発芽し、翌日植生帯Aが同じ様に発
芽した(第14a図参照)。 15日後に実験を終了したが、この時点において
三種の植生帯A,〜,Cには多数の裂け目が生じ
ており、植生帯A<B<Cの順にその数が多くな
つていることが確認された(第14b図参照)。 なお、この方法は植生帯が緻密な場合に有効で
ある。即ち、酵素が繊維層に浸透しているため、
水分の湿潤により速やかにその効果を発揮するこ
とができるとともに、繊維層の毛管力で酵素の流
出を防止するという効果を有する。 V−4 シート表面添加による実験 前記実験は含浸法にてメイセラーゼを添加した
が、本実験はメイセラーゼ粉末を肥料層23に混
入させる「表層添加法」を採用した。 肥料層23に混入させたのは、種子層22に添
加した場合、ごく少量の雨のときに局部的に高濃
度の状態になり、種子への悪影響が懸念されるか
らである。 また、肥料層23への混入は次の様な利点が考
えられる。 肥料層23の下の植生シート2は雨滴衝撃力
を最も受けにくい部分であるから、この部分を
脆化させることにより全体的な水分解性の向上
が期待できる。 実験に用いた肥料のPHが5であるため、メイ
セラーゼを作用させるのにあたり条件が良い。 水溶性固定剤にメイセラーゼを混合したもの
を印刷ローラで植生シート2に展着させるのは
比較的容易であり、均一に酵素を分布させるこ
とができる。 脆化により最下部の植生シート2が土壌への
密着性を増す。 激しい降雨による流出が少ない。 (a) 実験方法 下記する表−8のように、1g−活性/m2及び
2g−活性/m2の添加指数が得られる様に、あら
かじめメイセラーゼと肥料をそれぞれ混合した第
11図に示す形態の植生帯B′,C′と、前記植生帯
Aと同一の植生帯A′を作成し、これらを試験地
24に施工した。 なお、使用したメイラーゼは「メイラーゼB粉
末」である。
【表】 である。
【表】 (c) 実験結果(第16a〜16d図,第17a〜
17d図、第18,19図参照) 本実験は3月から4月に渡つて行つたものであ
るが、雨の多い時期でもあつた。 施工後16日までに積算して43.5mmの降雨があつ
た全植生帯とも崩壊は認められなかつた(第16
a,16b図参照)。 17日後、20.5mmの降雨によつて全植生帯が崩壊
し始めたが、メイセラーゼ添加と無添加では崩壊
の状態に明らかなる差異が認められた(第16c
図参照)。 特に、2g−活性/m2の添加指数では崩壊が激
しく、小片状に分解した部分が多かつたが繊維状
に分解している部分もあり、土壌表面に完全に密
着しているのが確認された。 30日後、植生帯A′では全体の30%、植生帯
B′は50%、植生帯C′は70%が崩壊(ほぼヒートセ
ツト部分を残すのみ)した(第16d図参照)。 発芽は、第17a〜17d図に示すように、施
工して18日後に全植生帯に起こり、その後の生長
は植生帯B′が僅かに速い程度であつたが、ほぼ
同様と判断してさしつかえない程度のものであつ
た。 発芽20日後の生長分布をみると、第18図に示
すように、植生帯A′よりもメイセラーゼを添加
した植生帯B′,C′のほうが生長にバラツキがな
い。 また、メイセラーゼ添加の植生帯B′,C′の
HBG根は、第19図に示すように、メイラーゼ
無添加の植生帯A′と同様で特に異常は認められ
なかつた。 結論 以上の説明で明らかなように、植生帯へのセル
ラーゼ(メイセラーゼ)の添加は、植生シート2
及び植生帯の水分解性向上の手段として有効なも
のである。 セルラーゼを添加したものと、無添加のものの
水分解性の差は20mmを超える比較的多量の降雨に
よつて現れる傾向にある。 添加指数は、表層添加の場合1〜2g−活性/
m2、含浸による場合は2〜4g−活性/m2が実用
範囲である。 含浸法、表層添加法いずれの方法も低添加量で
植生シートの脆化が実現できるとともに、ピート
モスに対しても、また種子の発芽生育についても
悪影響を与えず、かえつて生成したグルコースが
土壌微生物の繁殖を促進させる効果を有する。具
体的に、根粒菌を10g−活性/m2水溶液で培養し
たところ、未添加のものに比べて、表−10に示す
ように、5日で2.17倍の繁殖数から得られた。
【表】 なお、セルラーゼがピートモスに与える影響に
ついて別に実験を行つたが、100g−活性/m2
添加指数にて14日間室温で植生シート2を浸漬し
たところ、その残留率は68.5%(パルプのみ加水
分解されると仮定した場合の残留率は65%)であ
り、浸漬したセルラーゼ溶液が僅かに褐色を呈し
た程度であつたため、かなりの添加指数(コスト
高になり実現不可能な値)までピートモスは変化
しないものと考えられる。 (考案の効果) 以上の説明で明らかなように、本考案では、植
物性有機質土壌改良材とパルプとからなる植生シ
ートを備えた植生帯に、植物細胞膜の分解に関与
する酵素を含ませている。このため、植生シート
は、水を含むことによつてパルプ中のセルロース
が加水分解されて脆化する。 したがつて、植生帯を法面等の土壌に施工する
と、植生シートが降雨又は大気中の水分を吸収し
て容易に分解し、土壌改良材、肥料を素早く土壌
に供給することができる。 それ故、土壌の肥沃化を早期に達成できるとと
もに、種子の発芽、発根を阻害することなく、そ
の成長を助長することができる。 そして、酵素として粉末状のものを使用した場
合、いく層にも植生シート、水分解性シートを重
ねて形成した植生帯に対して、所望の層に必要量
の酵素を介在させることができるとともに、固定
剤等を使用せず単体で存在しているため、雨水等
の水分と直接接触して素早く分散し、早期にその
効果を発揮できるとう利点がある。 一方、酵素を植生シートの表面に展着したり、
植生シートに含浸させた場合、酵素を植生シート
の全面に均一に、しかもむらなく供給することが
できるため、一様に植生シートを細かく脆化及び
分解して土壌に供給できるという利点がある。ま
た、これらの方法によれば、植生シートに対して
部分的に酵素を付与し、局部的な脆化及び分解を
図ることが可能である。特に、酵素を含浸させる
方法では、厚手の植生シートに対しても均一に含
ませることができる。 また、前記植生シートに直接酵素を含ませる含
浸法又は展着法と、粉末状の酵素を植生帯に添加
する方法とを併用することにより、例えば、粉末
酵素の添加量を調整することにより、施工地の土
壌、施工時期、植生帯の形態、植物種子の種類等
に応じて最適のものを緑化地盤に適用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1a〜1h図は本考案にかかる植生帯の一部
断面図、第2a〜2g図はその他の実施例を示す
植生帯の一部断面図、第3図は植生シートへの酵
素の添加工程を示す工程図、第4図セルラーゼの
濾紙崩壊力活性の特性を示す図、第5図はセルラ
ーゼのアビセラーゼ活性の特性を示す図、第6図
は植生シートの緩衝性を示す図、第7図は植生シ
ートの湿潤時の溶解速度を示す図、第8図は湿潤
状態の植生シートを再度乾燥させた後の溶解速度
を示す図、第9図はセルラーゼを含浸した植生シ
ートの分解状況を示す図、第10図はセルラーゼ
無添加の植生シートの分解状態を示す図、第11
図は植生帯の平面図、第12図は植生帯の一部断
面図、第13図は試験地の一部断面図、第14
a,14b図は植生帯の崩壊状態を示す平面図、
第15a,15b図は植生帯の発芽状態を示す平
面図、第16a〜16d図は植生帯の崩壊状態を
示す平面図、第17a〜17d図は植生帯の発芽
状態を示す平面図、第18図は発芽から20日後の
成育状態を示す図、第19図は植物の発根状態を
示す図である。 A1,〜,A8、B1,〜,B7……植生帯、1……
水分解性シート、2……植生シート、3……パル
プ、4……土壌改良材、5……酵素層、6……酵
素。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも一枚の、植物性有機質土壌改良材
    とパルプとを抄造してなる植生シートと、緑化
    源とを備えた植生帯おいて、植物細胞膜の分解
    に関与する酵素を加えたことを特徴とする植生
    帯。 (2) 前記酵素が粉末状のものであることを特徴と
    する前記実用新案登録請求の範囲第1項記載の
    植生帯。 (3) 前記酵素が前記植生シートに含まれているこ
    とを特徴とする前記実用新案登録請求の範囲第
    1項記載の植生帯。 (4) 前記酵素が前記植生シートに展着されている
    ことを特徴とする前記実用新案登録請求の範囲
    第1項記載の植生帯。
JP17091587U 1987-11-09 1987-11-09 Expired JPH0421873Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17091587U JPH0421873Y2 (ja) 1987-11-09 1987-11-09

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17091587U JPH0421873Y2 (ja) 1987-11-09 1987-11-09

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0175154U JPH0175154U (ja) 1989-05-22
JPH0421873Y2 true JPH0421873Y2 (ja) 1992-05-19

Family

ID=31462276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17091587U Expired JPH0421873Y2 (ja) 1987-11-09 1987-11-09

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0421873Y2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0175154U (ja) 1989-05-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2925409C (en) Growing medium structures based on sphagnum moss and method for the manufacture thereof
WO2006039283A3 (en) Seed mat
US20080280760A1 (en) Composite Growth Media for Plant Propagation
US20100229465A1 (en) Processed rice hull material as germination and plant growth medium
KR20090083786A (ko) 식생용 시트, 이를 포함하는 식생매트 및 이를 포함하는식생포대
US5759225A (en) Culture soil, process for producing the same, and seedling-growing peat board
US20160366839A1 (en) Biodegradable Landscape Fabric
JP2003503076A (ja) 植物生育用基材および植物生育用ブロックの製造方法
JPH0421873Y2 (ja)
GB2245555A (en) Horticultural material
JPH0432173B2 (ja)
CN108033848A (zh) 裸露土壤保湿营养覆盖物的制备方法及其产品
JP2003511571A (ja) マルチング紙の促進分解法及びその方法を行うためのマルチング紙
KR100475291B1 (ko) 씨앗발아대 및 이의 제조방법
JP3492553B2 (ja) 法面緑化基盤材及び法面緑化工法
JP2514891B2 (ja) 植物育生用シ―ト及びその製造法
CN117904891A (zh) 一种能够缓释养分的竹基农用纸地膜及其制备方法
JPH045565Y2 (ja)
JP2881727B2 (ja) 両面黒着色マルチング紙
JPH0723620A (ja) 古紙を使用した種子マット及びその製造方法
KR200345880Y1 (ko) 짚 유래 멀칭 시트
KR20050067719A (ko) 짚 유래 멀칭 시트 및 그 제조방법과 이를 이용한 멀칭구조체
JPH0349143Y2 (ja)
JPH10201381A (ja) 肥料含有物質を有する紙製の園芸用被覆資材及びその製造方法
JPH045564Y2 (ja)