JPH0421796Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、窯炉の燃焼室と窯炉に並置された蓄
熱室とを連結する窯炉のポートの構造に関する。

〔従来の技術〕

ガラス溶融炉などの窯炉の燃焼室と窯炉に並置
された蓄熱室の上部空間とを連結するポートは、
蓄熱室で予熱された燃焼用空気を燃焼室へ供給す
るための吹出通路であり、また燃焼室で発生した
排ガスを蓄熱室を経て外部へ放出するための排ガ
スの排出通路でもある。燃焼室側のポートの吹出
口の下部には燃焼用バーナが配設され、このバー
ナから噴出した燃料が燃焼用空気と混合して燃焼
フレームが生成される。この燃焼フレームを調整
することにより燃焼室の温度分布が保持される。
このように窯炉の燃焼に重要な役割をするポート
の構造は、燃料と燃焼用空気とをいかに効率よく
混合するか、燃焼室内の温度分布を保持するため
に燃焼用空気をどのように供給するか等、いろい
ろの操炉条件を考慮して設定される。

従来、窯炉たとえばエンドポート式ガラス溶融
炉のポートの構造においては、第３図示のように
溶融炉１１の上部空間すなわち燃焼室１２と、溶
融炉１１に並置された蓄熱室１３の上部空間と
は、左右一対のポート１４によつて連結され、溶
融炉１１の後壁上部に吹出口１５が開設されてい
る。一般的に、ポート１４の内側壁１７および外
側壁１８は、吹出口１５の壁面に直交して設けら
れ、吹出口１５の下部には燃焼室１２を指向して
それぞれ一対の燃焼用バーナ１６が配設されてい
る。燃焼室１２における燃焼は、設定された時間
毎に左右のポート１４のバーナ１６が交替して行
なわれる。たとえば右側のバーナ１６が燃焼する
場合、右側の蓄熱室１３から右側のポート１４を
通つて予熱された燃焼用空気が燃焼室１２へ供給
され、吹出口１５に設置されたバーナ１６から燃
焼フレームとして燃焼室１２の前方へ伸びる。燃
焼室１２の前方まで伸びた燃焼フレームは不輝炎
排ガスとなりＵ字状に流れて左側のポート１４か
ら排出され、左側の蓄熱室１３の格子煉瓦を予熱
する。このポートの構造において、燃焼用予熱空
気と燃焼フレームおよび排ガスからなる一連のＵ
字状気流２０は、燃焼室１２の側壁１９に衝突ま
たは沿つて流れるので、炉材の損傷、これに起因
するストーン等のガラス不良の発生、また中心部
に湧昇点を得ることが難しいなどの欠点があつ
た。

上記の欠点を改善するために、第４図示のよう
にポート２４の方向を溶融炉２１の燃焼室２２の
中心側へ向け、内側壁２７および外側壁２８を蓄
熱室２３から内側寄りに斜めに設けたポートの構
造が提案されている。このポートにあつては、燃
焼フレーム等の気流３０は燃焼室２２の側壁２９
に衝突することはないが、ポート２４の吹出口２
５付近において燃焼室２２の中心側の燃焼用予熱
空気の流れが疎になり、吹出口２５に設置された
内側寄りのバーナ２６の燃焼状態が不安定とな
り、また左右両ポート２４の間に熱気流の死角が
生じ、溶融炉の温度制御に支障がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記のように従来のポートの構造にあつては、
燃焼フレーム等のＵ字状気流が燃焼室の側壁に衝
突して炉材を損傷し、ストーン等のガラス不良を
生じたり、また吹出口のバーナの燃焼状態が不安
定となり、炉内温度の制御に支障を生ずるなどの
問題があつた。

本考案は上記事情を考慮してなされたもので、
燃焼フレーム、予熱空気等のＵ字状気流を炉内広
範囲に拡大し、安定した燃焼状態を得ることがで
きる窯炉のポートの構造を提供することを目的と
する。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記の目的を達成するために、窯炉の
燃焼室と蓄熱室の上部空間とを連結し該炉の後壁
上部に吹出口を有する窯炉のポートの構造におい
て、蓄熱室から燃焼室へ向けて内側寄りに斜め方
向に設けたものである。

〔作用〕

本考案のポートの構造にあつては、その外側壁
が燃焼室の内側寄りに斜め方向に設けられている
ので、燃焼フレーム等の気流は燃焼室の側壁に衝
突することなく炉内を広範囲に流れ、また内側壁
が燃焼室の吹出口壁面に直交して設けられている
ので、内側寄りにも予熱空気が円滑に流れ安定し
た燃焼状態が得られる。このように燃焼室内に広
範囲にＵ字状気流が形成されるので、熱効率が高
く、炉内の温度制御も容易である。さらに燃焼フ
レームによる炉材の侵蝕が抑止され、炉材侵蝕に
よるガラス不良が減少する。

〔実施例〕

本考案の実施例について第１図および第２図を
参照して説明する。

溶融炉１の燃焼室２とこれに並置された蓄熱室
３の上部空間とは、左右一対のポート４によつて
連結され、溶融炉１の後壁上部にポート４の吹出
口５が開設され、吹出口５の下部にそれぞれ一対
のバーナ６が燃焼室２内に向けて配設されてい
る。ポート４の内側壁７は吹出口５の炉壁面に直
交して設けられ、外壁面８は蓄熱室３から燃焼室
２に向つて内側寄りに斜め方向に設けられてい
る。

このポートの構造にあつては、蓄熱室３から燃
焼室２へ供給される燃焼用予熱空気は、ポート４
全体に均一に流れる。外側壁８に沿つて流入する
予熱空気は、吹出口５から燃焼室２の側壁９に衝
突することなく前方に伸びて、Ｕ字状に旋回し反
対側の側壁９にも衝突することなく後方へ流れ、
別のポート４から排出される。また内側壁７に沿
つて流入する予熱空気は、吹出口５から燃焼室２
へ入ると直ちにＵ字状に旋回して別のポート４か
ら排出されるので、燃焼室２内の広範囲に均一な
Ｕ字状の予熱空気の気流１０が形成される。ポー
ト４の吹出口５に設置されたバーナ６の燃焼フレ
ームは、前記予熱空気の気流１０に合流してＵ字
状フレームが形成され、安定した燃焼が行なわれ
る。

なお本考案は、上記実施例のようにポートの吹
出口の下部に燃焼バーナを設置するアンダーポー
トバーナ方式に限定されるものでなく、たとえば
ポートの外側壁からポート内に燃焼バーナを設置
したスルーポートバーナ方式の場合にも適用する
ことができる。

〔考案の効果〕

本考案のポートの構造は、上述のとおり構成さ
れているので、蓄熱室から燃焼室へ供給される燃
焼用予熱空気は、燃焼室の側壁に衝突することな
く、また燃焼室の中心側寄りのポートの吹出口付
近の流れも疎となることなく、燃焼室内に広範囲
のＵ字状気流が形成される。これにより、燃焼フ
レームによる側壁炉材の損傷が抑止されてガラス
不良が減少し、熱効率のよい安定した燃焼状態が
得られ、炉内の温度制御が容易となるなどの利点
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すガラス溶融炉の
平面から見た断面説明図、第２図は第１図のＸ−
Ｘ線に沿つた断面説明図、第３図および第４図は
従来例を示すガラス溶融炉の平面から見た断面説
明図である。 １……溶融炉、２……燃焼室、３……蓄熱室、
４……ポート、５……吹出口、７……外側壁、８
……内側壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 窯炉の燃焼室と窯炉に並置された蓄熱室の上部
   空間とを連結し該炉の後壁上部に吹出口を有する
   窯炉のポートの構造において、前記燃焼室の吹出
   口壁面に直交して設けられた内側壁と、前記蓄熱
   室から燃焼室へ向けて内側寄りに斜め方向に設け
   られた外側壁とを具備した窯炉のポートの構造。