JPH0421713Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車の床に敷かれるマツトに関する
ものであり、特に運転操作中に位置ずれ防止効果
の高いフロアマツトを提供するものである。

〔従来の技術〕 従来より、自動車用フロアーマツトの位置ずれ
の防止には種々の検討が行われている。そのうち
で、最も汎用されている方法に、マツトの裏面に
突起を設け、自動車の床に配置されたカーペツト
の起毛部等との絡みや摩擦抵抗により位置ずれを
防止する方法があり、実開昭59−149539等で突起
の改良も種々検討されている。又、突起の代替と
して、例えばUSP4361610に示されるフロアーマ
ツトの裏面に剛毛を配する方法も知られている。

又、キノコ状突起や鉤状突起を有する布製フア
スナーも使用したり、ボタン止めやフツク止めに
よる方法も知られている。

上記方法は、何れも自動車床面との何らかの抵
抗やかみ合いによるものであるが、これらと全く
異る方法として、フロアーマツトにおける自動車
床面の水平部と接触する部分を曲がり難い材料で
構成し、自動車のドア下の側壁、プロペラシヤフ
ト用のセンタートンネル、エンジンルームと乗室
を仕切る壁、及び運転席等の床面より垂直又は斜
め上方へたち上がつた部分へは、実質的に曲がら
ないため移動することのないフロアーマツトが
USP4382986やUSP4465720等で知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

突起や剛毛等を裏面に設けて、フロアーマツト
の位置ずれを防止する方法は、自動車の床面に敷
きつめられたカーペツト等と突起等との絡み抵抗
を利用するもので、平面的な位置ずれに対しては
効果的であり、又、種々の形状の自動車の床形状
に対しても柔軟性があるため適合性の高いという
長所を有するが、運転時のアクセル操作やブレー
キ操作等のような動作範囲や踏力の大きな動きに
は抵抗力が不足するため、マツト自体に波うち現
象を生じ突起等が床面のカーペツトから浮き上が
り、大きな位置ずれを生じるという欠点があつ
た。

又、自動車の水平床部に接するフロアーマツト
の部分を剛性化することが、エンジンルームとの
隔壁やセンタートンネル等の垂直又は傾斜した部
分には移動しない用にした前記米国特許に開示さ
れた方法は、波うちによる位置ずれ防止効果が高
いという利点はあるが、実質的にその効果を期す
るためには、殆ど曲げられないハガネの様な剛体
を配置する必要があるか、又は、厚みや重量の大
きいマツトとする必要があり、しかも、水平床面
の形状とほぼ同一の大きさの剛性部を必要とする
ので、様々の形状の床に対応させることは困難で
専用のフロアーマツトが必要となり、汎用性がな
く、又金型等の設備コストや、量産が困難なため
の製造コストが高くなり、高価なものとなつてい
た。

〔問題点を解決するための手段〕

第１図に本件考案による一実施例の断面図を示
す。

本考案は裏面に突起５を適当な間隔で配置し
た、シヨアーＤ硬度が10〜30の柔軟な合成樹脂よ
りなる下地シート１と、表面シート２の間に、シ
ヨアーＤ硬度が60〜90の硬質材料よりなる板状体
４を、本考案によるフロアーマツトの一部切欠平
面図である第２図における斜線部分で示す様な、
少なくともヒールエリア７を含んで部分的に配置
し、一体化せしめた複合構造の自動車用フロアー
マツトである。なお、本考案におけるヒールエリ
アとは、運転操作において、運転者の踵がマツト
上を動く範囲に相当する部分をいう。

このような複合構造を採用することで、従来で
は達成出来なかつた位置ずれ防止効果が高く、し
かも、安価で汎用性のある自動車用フロアーマツ
トを提供することが出来る。

本考案に使用する下地シート１は、シヨアーＤ
硬度10〜30の柔軟で成形可能な合成樹脂であれば
良く、コストや加工性等の点から軟質の塩化ビニ
ールを主体としたシートが有利である。シヨアー
Ｄ硬度が10未満では柔軟すぎるので形状保持性等
に劣り、30を越えると剛性が強すぎるため各種床
形状へのフイツト性に欠ける。又、裏面に設けら
れた突起５は、高さ２〜６mm、突起間隔５〜40mm
の、円錐や円錐台形等任意の形状の突起５が配列
されたものが、自動車床面のカーペツトとの絡み
抵抗が大きく、位置ずれ防止効果が高い。

表面シート２は、カーペツト３、等の繊維材料
又は、柔軟な合成樹脂であれば良いが、下地シー
ト１と同種材料の熱可塑性合成樹脂や、カーペツ
トに下地シートと同様に合成樹脂によるバツキン
グ６加工を行つておくと、特に接着剤を使用しな
くても、熱圧着により強固な結合が得られるため
更に有利である。

硬質材料の板上体４は、シヨアーＤ硬度60〜90
の剛性のある材料であり、特に該硬度70〜80、厚
み0.3〜１mmの材料を使用すると、板上体が介在
するための異物感もなく適度な弾性を有するため
好適である。板上体の材料としては、硬質塩化ビ
ニール板、アクリル板、ポリスチレン板等の周知
の板状体で良い。

次に、これらの表面シート、下地シート、及び
剛性板状体を一体化する方法であるが、前記の様
に、表面シートや下地シートを熱可塑性樹脂より
作成しておけば、特に接着剤を使用する必要はな
く、熱圧着により強固な一体構造物を得ることが
可能である。又、接着剤を使用する場合は、ホツ
トメルト系接着剤や周知のドライラミネート用接
着剤等を利用することが有利であり、フロアーマ
ツトの各材料により適宜選択をすれば良い。

〔作用及び効果〕

本考案による自動車用フロアーマツトは、剛性
板状体が少なくともヒールエリアーを含む所定部
分に存在するため、運転操作時における足の動き
によるフロアーマツトの波打ちが発生しない。こ
のため、波打ちを原因とするマツトの位置ずれに
対する防止効果が非常に高い。しかも、従来の剛
性体を使用したフロアーマツトが、前記の様に汎
用性及びコストの点で欠陥があつたのに対し、本
考案によるマツトは、周知の位置ずれ防止方法で
ある突起を有効に利用し、しかも突起物のみでは
困難であつた波うち防止作用を有し、且つヒール
エリア部の突起を板状体全面で押圧するため、ヒ
ールの接触する部分の点によるずれ防止抵抗でな
く、面抵抗として従来よりも数段有効に突起を作
用させることになり、しかも、板状体が占める面
積を小さくすることが出来るので、マツトの周辺
部が柔軟であり、各種形状の床面への適用が可能
となり汎用性が高い優れたフロアーマツトであ
る。又、特別な材料や製造設備を必要としないの
で、コストの低いフロアーマツトを安価に提供出
来ることも、本考案のフロアーマツトの利点であ
る。

〔実施例〕

表面シートとして、軟質塩化ビニールによりバ
ツキング加工したカーペツトを用い、下地シート
には、インジエクシヨン成形法により、高さ４
mm、ピツチ間隔15mmに設定された円錐状の突起を
有するシヨアーＤ硬度が20の軟質塩化ビニールシ
ートを使用した。

硬質板状体として、フロアーマツトが車輌の水
平床部に接すると考えられる面積の約30％であつ
て、ヒールエリアを充分に覆う形状に切断された
シヨアーＤ硬度78、厚み0.5mmのアクリル板を使
用した。

次いで、表面シート及び下地シートの各接着面
側から樹脂が軟化融着可能な温度に加熱した後、
硬質シートを両シート間の所定位置に配して積層
し、プレス圧着を行い一体化せしめた。

得られたシートは、運転時の位置ずれもなく、
又、種々の形状の車輌床面への適用が可能であつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の断面図である。第２図は、本
考案の一部切欠平面図であり、斜線部はヒールエ
リアを示す。 １……下地シート、２……表面シート、３……
カーペツト、４……剛性板状体、５……突起、６
……バツキング、７……ヒールエリア。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 裏面に、突起を適当な間隔で配置した、シヨ
   アーＤ硬度が10〜30の合成樹脂よりなる軟質下
   地シートと、表面シートとの間に、シヨアーＤ
   硬度が60〜90の硬質材料よりなる板状体を、少
   なくともヒールエリアを含んで部分的に配置
   し、それらを一体化せしめた複合構造の自動車
   用フロアーマツト。 (2) 下地シートが、シヨアーＤ硬度10〜30の軟質
   塩化ビニールを主体とするシートである実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の自動車用フロア
   ーマツト。 (3) 表面シートが下地シートと同一材料の熱可塑
   性樹脂である実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の自動車用フロアーマツト。 (4) フロアーマツトが自動車の床の水平部分と接
   する面積に対し、硬質板状体がその50％以下の
   面積で配置された実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の自動車用フロアーマツト。