JPH0421247Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、電子機器等の電源として使用される
電解液電池に関し、当該電池における耐漏液性、
および安全性の向上を図るものである。

〔従来の技術〕

従来から、この種電池として、第３図に示すよ
うにステンレス製の電極缶１の上端開口に同じく
ステンレス製の封口体２を冠合し、該封口体２の
中央に形成した開口２ａに対して断面コ字形の環
状を呈する絶縁体４を介してピン状のステンレス
製電極端子３を封着したものが知られている。こ
の電池の組み付けに際しては、あらかじめ電極缶
１内に正極と負極（ともに図示せず）を絶縁配置
し、電解液を注入する一方で、封口体２に絶縁体
４を嵌合し、該絶縁体４に電極端子３を通し、さ
らに絶縁体４の下側にスナツプリング５を配して
電極端子３の下端３ａを潰してカシメた上で、封
口体２を電極缶１に溶接冠合する。また他の例と
して、第４図に示すように封口体（2.チタン製）
と電極端子（3.チタン製）の間にアルミナ絶縁体
４′を加熱接着するハーメチツク方式のものや、
第５図に示すようにガラスフリツト６を用いて封
口体（2.ステンレス製）に電極端子（3.コバール
製）を封着するものが知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

これらの電解液電池は、各種電子機器の電源と
して使用される。最近、電子機器は、その低消費
電力化や長寿命化が急速に進み、この種電池に対
しても長期間安定した性能を維持することが求め
られるが、上記従来の電池は、使用箇所の雰囲気
温度の異常な上昇によつて内部圧力が異常に上昇
すると、電池全体が破滅するおそれがある。

本考案は上記事情に鑑み、当該電池に要求され
る基本的な性能である耐漏液性を維持向上させる
とともに、温度上昇に伴なう内部圧力の上昇によ
る電池全体の破壊を防止し、長期信頼性を高める
ようにした電解液電池を提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕 すなわち本考案に係る電解液電池は、電極端子
の軸部外端に鍔部を形成し、この鍔部と、封口体
開口に、互いに径方向に並列する環状突部を周設
し、絶縁体を、電極端子の軸部および前記両環状
突部の３者間で適当な締め代をもつて軸方向摺動
自在に圧着嵌合してなる構成を備えている。

〔作用〕

この構成によれば、封口体および電極端子と絶
縁体のシール面が大きくかつ曲がりくねつた断面
形状となるため、電極缶内部に封入された電解液
等に対するシール性が向上し、また、封口体、絶
縁体および電極端子は径方向に対する締め代のみ
によつて嵌合がなされているため、電池の内部圧
力が何らかの原因で異常に上昇したときは、電極
端子および絶縁体はその圧力を軸方向へ受けて封
口体開口から離脱し、圧力解放を行なう。

〔実施例〕

つぎに、本考案電解液電池の一実施例を第１図
に基づいて説明する。

この実施例において１１は内部に電解液等を封
入したステンレススチール製の電極缶、１２は電
極缶１１の上縁開口に冠着・溶接した封口体、１
３は封口体１２の中央開口１２ａに挿通した電極
端子である。封口体１２の開口１２ａには外向き
（図における上向き）の環状突部１２ｂを有して
いる。また、電極端子１３の外端に形成した円板
状の鍔部１３ａの外周縁には内向き（図における
下向き）の環状突部１３ｂを有しており、この環
状突部１３ｂの内周面と前記封口体１２の環状突
部１２ｂの外周面は径方向に互いに対向してい
る。１４はこの封口体１２の環状突部１２ｂおよ
びこれに連なる径方向部１２ｃと、電極端子１３
の軸部１３ｃ、鍔部１３ａおよび環状突部１３ｂ
との間に介在し、ゴム等の適宜弾性を有する材料
からなる絶縁体で、電極端子１３の軸部１３ｃと
封口体１２の環状突部１２ｂの間、および該環状
突部１２ｂと電極端子１３の環状突部１３ｂの間
で適宜な締め代をもつて軸方向摺動自在に圧着嵌
合している。１５は電極端子１３の環状突部１３
ｂ外周面にカシメ嵌合した締付環である。

上記実施例は、図示の態様から明らかなよう
に、封口体１２および電極端子１３と絶縁体１４
とのシール面が大きく、しかもその断面形状が曲
がりくねつたラビリンス状になるため、電極缶１
１内に封入された電解液等に対して優れたシール
性を有している。また、電極端子１３および絶縁
体１４は、電極缶１１の内部圧力を軸方向に受け
るため、この圧力が何らかの原因で異常に上昇す
ると、絶縁体１４は、その内径部１４ａが前記圧
力を受けることによつて、電極端子１３と一体的
に図の上方へ押し出されて封口体１２から離脱
し、圧力解放を行なう。さらに詳しくは、上記缶
内圧力の上昇によつて、まず封口体１２が第１図
中に破線で示すような歪みを受け、これに伴つて
封口体１２内径の環状突部１２ｂが外側へ開くよ
うな歪みを受けるため、絶縁体１４の内径部１４
ａに対する締め代が減少する。すると、このとき
絶縁体１４の内径部１４ａ及び電極端子１３の軸
部１３ｃの内端面は、軸方向外側へ向けて前記圧
力を受けていて、その受圧面積が大きいので、前
記締め代の減少によつて前記環状突部１２ｂの内
周から外側へ向けて変位する。そしてこの変位に
よつて、第２図に示すように、前記環状突部１２
ｂと前記内径部１４ａの間に隙間δが生じ、この
隙間δ内にクサビ状に作用する前記缶内圧力Ｐに
よつて、絶縁体１４は、電極端子１３と共に、封
口体１２から一気に離脱するのである。

なお、当該電池の内部圧力の許容値の設定、す
なわち該圧力がどの程度まで上昇したときに上記
圧力開放動作が行なうようにするかは、絶縁体１
４等の材質や、締め代の変更による嵌合圧力の調
整によつて任意に設定可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり、本考案の電解液電池は、
封口体開口に絶縁体を介して電極端子を挿通した
構造において、該３者間のシール面を大きく、か
つ曲がりくねつた形状としたため、長期に亘つて
優れた耐漏液性を維持し、また、電池の内部圧力
が異常に上昇したときは、該圧力を受けて上記電
極端子が絶縁体とともに封口体から容易に離脱し
て圧力開放を行なうため、電池の爆発等の危険性
を回避することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案電解液電池の一実施例を示す断
面図、第２図は同実施例による作用説明図、第３
図は従来例に係る電解液電池を示す断面図、第４
図および第５図はそれぞれ他の従来例を示す要部
断面図である。 １１……電極缶、１２……封口体、１２ｂ，１
３ｂ……環状突部、１３……電極端子、１３ａ…
…鍔部、１３ｃ……軸部、１４……絶縁体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電極缶の開口に封口体を冠着し、封口体の開口
   に絶縁体を介して電極端子を封着した電解液電池
   において、電極端子の軸部外端に鍔部を形成し、
   この鍔部と、封口体開口に、互いに径方向に並列
   する環状突部を周設し、絶縁体を、電極端子の軸
   部および前記両環状突部の３者間で適当な締め代
   をもつて軸方向摺動自在に圧着嵌合してなること
   を特徴とする電解液電池。