JPH041803Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、リール本体にスプールを前後方向に
往復動から回転可能に軸支し、スプール軸をリー
ル本体の後部まで延出せしめてドラク機構をリー
ル本体の後部に設けてなるリヤードラグタイプの
スピニングリール、更に詳しくは、上記リールを
合成樹脂製としたスピニングリールに関する。

［従来の技術］ 従来のリヤードラグタイプのスピニングリール
は、本体の後部に設けたドラグワツシヤ収納凹部
の本体の底壁に嵌合孔を貫通形成し、該嵌合孔に
中央部にフランジ状の歯車部を有するクリツクを
直接、又は、ワツシヤを介して嵌合し、前記クリ
ツクに中心小判孔を設けこの中心小判孔にスプー
ルを固着したスプール軸の後端小判形状をクリツ
クとは非回転かつ軸方向へ摺動可能に内装し、前
記クリツクの外周部に重合嵌挿したワツシヤ群を
リール本体後部に螺合したドラクノブにより押圧
することによりスプール軸の前方に固着したスプ
ールの回転力を調節可能としたリヤードラグ機構
が実公昭51−10151号公報によつて知られている。

然しながら、当該公報出願時ではリール本体は
アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等金属鋳造品
が主流であり、前記ドラクノブの締付力を増大し
た押圧力がドラクワツシヤ群を介してクリツクに
伝わりクリツクの中央部に設けた歯車部が直接も
しくはワツシヤを介して本体の底壁部を圧縮し、
かつスプールに巻き付けられた釣糸が大きな力で
繰り出されることによつてスプールが回転する回
転に伴つて前記クリツクが回転し、本体底壁とク
リツクとの間に摩擦による高熱と押圧力とを受け
ても金属製の底壁は耐え得たものであつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 近年リールの軽量化と合成樹脂の改良が進み、
リール本体も合成樹脂により製造されるようにな
つたが、リール本体の底壁部はドラクノブによる
押圧力とスプールと一体回転するクリツク回転摩
擦による発熱に耐えられず、著しく摩損され耐久
性の低いものとなり、本体の合成樹脂化を図るう
えで問題となつた。

本考案は上述従来の欠点を解消して、特にドラ
グ機構の構成を大きく替えることなく、簡単な構
成でドラグ機構の耐久性の向上を図り得てしかも
合成樹脂化された軽量な本体を有するリヤードラ
グタイプのスピニングリールを提供しようとする
のが、その目的である。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成する為に本考案は、リール本体
の後部に形成した収納凹部の底壁の嵌合孔に歯車
部にワツシヤを介在させて可回転に支承したクリ
ツク中心小判孔にスプールを固着したスプール軸
の後端部小判形状を嵌挿すると共に、前記クリツ
クの外周部に重合嵌挿したドラクワツシヤを前記
リール本体後部に螺合したドラグノブにより押圧
可能なリヤードラグタイプのスピニングリールに
おいて、前記リール本体を合成樹脂にて形成する
と共に、前記リール本体と歯車部のワツシヤ間に
フランジを、又前記嵌合孔とクリツクとの間に中
心孔の外側筒部を介在すべく一体に形成した金属
製のクリツク受を前記底壁に対して回転不能に支
承するよう構成したものである。

［作用］ 従つて、本考案に係るスピニングリールは合成
樹脂製のリール本体と歯車部のワツシヤ間にフラ
ンジを又前記嵌合孔とクリツクとの間に中心孔の
外側筒部を介在すべく一体に形成した金属製のク
リツク受を前記底壁に対して回転不能に支承した
ので、ドラグノブからドラクワツシヤ等を介して
伝えられる押圧力とスプールの回転によつて生じ
るクリツクやドラグワツシヤの摩擦熱は直接合成
樹脂本体の底壁に伝わらず金属製のクリツク受け
に伝えられ、さらにクリツクの中央部のフランジ
状の歯車部の回転も底壁とクリツクとの間にある
回転しない金属製のクリツク受けがドラクワツシ
ヤを介して受け止める。

［実施例］ 本考案の実施例を図面に基づいて、説明する
と、第１図に示したように、リール本体１と、該
本体１の一側開口部にビス止めにより固定される
蓋体２は、熱硬化性及び熱可塑性の適正な合成樹
脂にて夫々成形してあり、その本体１の前端部に
あつて、当該本体１には、ベールアーム４を備え
たローター３が管軸５により回転自在に軸支して
あると共に、前端にスプール６を固着したスプー
ル軸７を上記管軸５に貫通することによつてスプ
ール６は該管軸５に回転、かつ前後方向へ摺動可
能に配設させてある。

該管軸５にはピニオン８が刻設してあり、該ピ
ニオン８を、上記リール本体１及び蓋体２に回転
自在に支承したハンドル軸９と一体回転可能に嵌
合したメインギヤ１０と噛合させてある。一方上
記スプール軸はオシレーテング機構を介して上記
メインギヤ１０と連動運動を行い、このことによ
り、ハンドル９ａを回転するとハンドル軸９を介
してメインギヤ１０が駆動回転されることによつ
てローター３は連動して回転すると同時にスプー
ルは該オシレーテング機構によつて前後方向に往
復運動し、上記ベールアーム４に掛装した図示し
ない釣糸はスプール６に巻回される。

又、リール本体１の後部には後方へ開口し本体
と一体に突出形成される螺筒１３が設けられドラ
クワツシヤ１９ｂ…の収納凹部１２を構成してい
る。該収納凹部１２の前方側には本体１と一体に
底壁１４が成形されて、該底壁１４にはスプール
軸７と同軸心に嵌合孔１５が貫通形成してある。

そして更に本考案は第２図イ，ロに明示した如
く適当な金属にて中心孔１６ｃを有するクリツク
受１６の円筒状の筒部の一側端には外向きのワツ
シヤ受けフランジ１６ａを設け、かつ底壁１４の
嵌合孔１５に前記中心孔１６ｃを有する円筒状の
筒部を嵌合した際フランジ１６ａは底壁１４に対
して非回転になるよう例えば、フランジ１６ａに
直交する円筒部側へ突出する突起１６ｂを裏側に
切り起して設け、底壁１４の後側方立壁に凹部１
８を形成して嵌め合うことで非回転に係合し得る
クリツク受１６が底壁１４に嵌合して構成されて
いる。

前記底壁１４の嵌合孔１５に嵌合するクリツク
受１６の小判形状をした中心孔１６ｃに はドラ
グワツシヤ１９ｂ…を介してクリツク１７の一側
端の筒部が回転自在に嵌り合い前記クリツク１７
の中央部にはフランジ状の歯車部１７ｂが形成さ
れドラクワツシヤ１９ａ、クリツク受１６を介し
て底壁１４の嵌合孔１５に嵌合している。そして
前記クリツク１７のドラグノブ２１側の他端部は
欠円状の筒部を構成しその外周には公知のドラク
ワツシヤ１９ｂが重合嵌挿されていて、クリツク
１７の欠円状の筒部に嵌り合うドラグワツシヤ１
９ｂはクリツク１７と一体回転し、本体１の後側
の螺筒１３内に設けた溝部に嵌り合うドラグワツ
シヤ１９ｂはクリツク１７とは非回転にそれぞれ
交互に重ね合せて適数枚設け、前記リール本体１
の後部に設けた螺筒１３の雌螺子と螺合するドラ
クノブ２１の押圧力がドラグバネ２１を介してド
ラグバネ２２に伝達されることで、摩擦クラツチ
型のドラグ機構１９が構成されているので前記ド
ラグノブ２１を回転することでドラグノブ２１は
該螺筒１３内を螺進退することで上記クリツク１
７を上記ドラクワツシヤ１９ｂ…に弾接させドラ
ク力の強弱即ち回転制動力の調節を行い得るよう
構成されている。

又、さらに前端にスプール６を固定したスプー
ル軸７は後端部小判形状７ａに形成されていて前
記クリツク１７の中心小判穴１７ａに前後方向摺
動可能にかつ非回転に嵌合されいるから、スプー
ル６の図示しない糸の繰出し力を受けたスプール
軸７は回転し、この回転力はクリツク１７に伝え
られ該クリツク１７もドラグ力に抗してスプール
軸と一体回転する。そこで、該回転力はドラクワ
ツシヤ１９ａを介してクリツク受１６のワツシヤ
受けフランジ１６ａ面で歯車部１７ｂを滑動せし
める。

同時にクリツク１７のクリツク受１６の中心孔
１６ｃ嵌合部もクリツク受１６内にて回動される
ことになる。ここでクリツクストツプ２０は板バ
ネ等弾性体で構成されリール本体１の後部に設け
た螺筒１３の基部に螺着され、ドラグノブ２２の
一端部内側円周状に設けた凹凸に係合し、クリツ
クストツプ２０の弾撥力にてドラグノブ２１の螺
進退動に節度感を与えるとともに、ゆるみ止めを
行うべく設けられている。

［考案の効果］ 本考案に係るリヤードラグタイプのスピニング
リールによれば、リール本体１を合成樹脂製とし
た場合においても、ドラグ機構１９のドラグワツ
シヤ１９ａ，１９ｂ…の収納凹部１２の底壁１４
に穿設した嵌合孔１５に、一端にワツシヤ受けフ
ランジ１６ａを設けた金属製のクリツク受１６を
非回転に嵌合してそのワツシヤ受けフランジ１６
ａを上記底壁１４に重ね合せ、該クリツク受にク
リツク１７を回転可能に嵌合して、該クリツク１
７をスプール軸７と非回転かつ軸方向に摺動可能
に外装して合成樹脂製のリール本体１の底壁１４
と該底壁１４の方向にドラクノブからの押圧力を
受けスプールの回転に連動して回転するクリツク
１７との間にドラクワツシヤ１９ａを介してクリ
ツク受け１６を配しする構成としたものであるか
ら、クリツク１７とドラクワツシヤ１９ａは上記
クリツク受１６のワツシヤ受けフランジ１６ａ面
にて滑動し、かつ上記クリツク１７もクリツク受
１６内にて回動されるので、上記ドラグワツシヤ
１９ａ及びクリツク１７は直接上記底壁１４のド
ラグノブ２１側の面での滑動や嵌合孔１５内にて
回動されることはないので、合成樹脂製のリール
本体１の上記底壁１４及び嵌合孔の耐摩耗性を向
上できるばかりでなく、金属製のクリツク受１６
によつて保護される部分の耐熱性も何上させるこ
とが出来ることによつてリールの耐久性を向上で
き、しかも上記底壁１４や嵌合孔１５は偏摩耗す
ることはないので、ドラグ調整も円滑にして的確
に、しかも微調整をも可能ならしめ得る等の実用
的効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るリヤードラクタイプのス
ピニングリールを示した一部縦断平面図、第２図
イ，ロは同リールにおけるクリツク受を夫々示し
た正面図と縦断面図である。 １……リール本体、６……スプール、７……ス
プール軸、７ａ……後端部小判形状、１２……収
納部、１４……底壁、１５……嵌合孔、１６……
クリツク受、１６ａ……フランジ、１６ｃ……中
心孔、１７……クリツク、１７ａ……中心小判
孔、１９ａ……ドラグワツシヤ、１９ｂ……ドラ
グワツシヤー、２１……ドラクノブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リール本体１の後部に形成した収納凹部１２の
   底壁１４の嵌合孔１５に歯車部１７ｂにドラグワ
   ツシヤ１９ａを介在させて可回転に支承したクリ
   ツク１７の中心小判孔１７ａにスプール６を固着
   したスプール軸７の後端部小判形状７ａを嵌挿す
   ると共に、前記クリツクの外周部に重合嵌挿した
   ドラグワツシヤ１９ｂ…を前記リール本体後部に
   螺合したドラクノブ２１により押圧可能なリヤー
   ドラグダイプのスピニングリールにおいて、前記
   リール本体を合成樹脂にて形成すると共に、前記
   リール本体と歯車部のワツシヤ間にフランジ１６
   ａを、又前記嵌合孔とクリツクとの間に中心孔１
   ６ｃの外側筒部を介在すべく一体に形成した金属
   製のクリツク受１６を前記底壁に対して回転不能
   に支承したことを特徴とするリヤードラグタイプ
   のスピニングリール。