JPH0417592Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、多数の編針を一定のピツチで配列
支持した編機の針床に関し、特に、多数のシンカ
ーを編針の配列ピツチの少なくとも２倍のピツチ
で列設したシンカー支持部材を有する編機の針床
に関するものである。

（従来の技術） 各種編成方法のうちには、編機の編針を全て使
用するのではなく、一部のみ使用する仕方があ
る。太編糸を使用する場合であれば、例えば一本
おきに編針が使用される。この場合には、不使用
となる編針を後方位置へ退避させておかねばなら
ず、一本おきに使用針と不使用針との選別を行な
うこととなる。従来の場合、これら不使用の編針
を後方休止位置へ退避させておくことができるよ
うになつてはいるが、この位置に保持しておく手
段としては設けられていない。したがつて、以下
のような問題を生じる。

（考案が解決しようとする問題点） それは、後方休止位置にある不使用の針に対し
何らかの外力（例えば、編針のバツトに誤つて触
れた場合の外力、キヤリツジを作動させている際
の振動等）が作用した場合の前進のおそれであ
る。特に、編針のバツトは突出状態にあることか
ら、一層手を触れやすい。こうなると、後方休止
位置から離れて前進した編針がキヤリツジと干渉
する可能性を生じ、編成作業に支障をきたす。

そこで、この考案では不使用の編針を確実に後
方休止位置に保持しておくことができるようにす
るのを目的とした。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、この考案は多数
の編針を一定のピツチで配列支持した針床と、前
縁に多数のシンカーを前記編針の配列ピツチの少
なくとも２倍のピツチで列設したシンカー支持部
材とを備え、そのシンカー支持部材を、各隣接す
るシンカー間の中央にそれぞれ使用する編針が配
置される関係にして支持した編機に於いて、前記
シンカー支持部材に、針床の後方休止位置に配置
された不使用の各編針のフツクと対向し、かつそ
の各不使用の編針の前方への移動を規制する針進
出規制部を設けることとしたのである。

（作用） 上記の構成によれば、シンカー支持部材におい
て、不使用となる編針に対向してこれら編針の前
進を規制する針進出規制部を設けてあるため、不
使用編針に何らかの外力が作用しても、後方休止
位置に確実に待機保持される。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面にしたがつて
説明する。

第１図、第２図及び第６図において、編機の針
床１は、その針床本体をなす合成樹脂製の針支持
体２と、この針支持体２の前縁部に着脱交換可能
に支持される合成樹脂製の第１シンカー支持部材
１１及び第２シンカー支持部材２４を主体として
構成されている。

前記針支持体２は、前脚３、後脚４及びこれら
前後の両脚３，４の間において一体に架設された
溝板５を主体として構成されている。前記溝板５
には多数の編針６を一定のピツチで配列支持する
ための針案内溝７が隔壁８によつて区画形成され
ている。そして、各針案内溝７には前記編針６
が、そのバツト６ａを溝板５上面より突出した状
態において前後摺動可能に配列支持されている。
また、溝板５の前端部には、各隔壁８の上面に沿
つて針押え板９が架設されている。この針押え板
９の下面と前記各編針６との間には、弾性圧縮可
能なスポンジゴム等よりなる帯状の針浮上がり防
止帯１０が介装され、この針浮上がり防止帯１０
の弾性力によつて各編針６の浮上がりが防止され
るようになつている。

前記針支持体２の前縁部に着脱交換可能に支持
される第１，第２の両シンカー支持部材１１，２
４のうち、第１シンカー支持部材１１は、その基
板１２の前縁部において、この基板１２と一体に
多数のシンカー１３が前記編針６の配列ピツチと
同ピツチで列設されている。そして、前記第１シ
ンカー支持部材１１は、その各シンカー１３が針
支持体２のそれぞれ隣接する両編針６の間に配置
されるように、針支持体２の前縁部に対し、支持
片１４と係合体１６との係合並びにこれら支持片
１４と係合体１６とを係合する結合手段によつて
着脱可能に支持されている。すなわち、針支持体
２の前脚３の前面上部には第３図、第４図及び第
５図に示すように、左右２箇所において各一対の
支持片１４が突設されるとともに、これら一対の
支持片１４の間に前記結合手段としての弾性結合
片１５が突設されている。これに対し、第１シン
カー支持部材１１の基板１２の下面には、前記各
一対の支持片１４並びに弾性結合片１５が後方か
ら嵌挿される後方開口する係合体１６が形成され
ている。そして、係合体１６の底板１６ａには、
その後部において、前記弾性係合片１５の先端部
下面に形成された係止爪１５ａを挿入案内するた
めの傾斜状の案内面１７が形成されている。さら
に、前記係合体１６の底板１６ａの前部には、前
記係合体１６に対し、前記一対の支持片１４並び
に弾性結合片１５が所定位置まで嵌挿された状態
において、前記弾性結合片１５の係止爪１５ａと
係着する係止孔１８が貫設されている。さらに、
係止孔１８から弾性結合片１５の係止爪１５ａを
上方へ押上げて係止孔１８と係止爪１５ａとの係
合を解除した状態において、針支持体２に対し第
１シンカー支持部材１１が前方に離脱されるよう
になつている。

また、この実施例では、針支持体２の前脚３の
左右方向中央部にはガタ付き防止片１９が突設さ
れ、第１シンカー支持部材１１の基板１２の下面
には前記ガタ付き防止片１９が後方から挿脱可能
にかつ密に嵌挿される係合凹部２０が形成されて
いる。そして、ガタ付き防止片１９と係合凹部２
０との密な嵌合作用によつて、針支持体２の所定
位置に第１シンカー支持部材１１が位置決めされ
るとともに、針支持体２に対する第１シンカー支
持部材１１の左右方向並びに上下方向へのガタ付
きが防止されるようになつている。

前記第１シンカー支持部材１１の基板１２の上
面には、その各シンカー１３の後方に連続する起
立壁部２１が突設されている。これら各起立壁部
２１の後端は、第１図と第２図に示すように、針
支持体２の後方休止位置に配置された編針６のラ
ツチ６ｃが開かれた状態において、そのラツチ６
ｃの先端部付近まで延長されている。さらに、各
起立壁部２１の後側上縁部の間には平帯板状の連
結片２２が一体成形によつて架設されており、こ
の連結片２２によつて各起立壁部２１が連結され
ている。前記連結片２２は、その前縁部２２ａが
前記後方休止位置の編針６のフツク６ｂの前端よ
りも後方に配置されるように、その板幅が設定さ
れている。また、連結片２２の上面には各編針６
に対応する針番号が表示された番号シート２３が
接着されている。

前記針支持体２に対し、前記第１シンカー支持
部材１１と交換使用される第２シンカー支持部材
２４は、第６図に示すように、その基板２５の前
縁部において、この基板２５と一体に多数のシン
カー２６が前記編針６の配列ピツチの２倍のピツ
チで列設されている。この第２シンカー支持部材
２４の基板２５の下面には、第１シンカー支持部
材１１とほぼ同様にして、係合体１６と係合凹部
２０とがそれぞれ形成されている。そして、第２
シンカー支持部材２４の係合体１６に、針支持体
２の支持片１４と弾性結合片１５が、係合凹部２
０にガタ付き防止片１９がそれぞれ嵌挿され、前
記弾性結合片１５の係止爪１５ａが前記係合体１
６の係止孔１８と係合することで、針支持体２に
対し、第２シンカー支持部材２４が装着される。
また、この状態において、前記針支持体２の各編
針６のうち、使用する編針（１つおきの編針）６
が、シンカー２６の間の中央に配置されるように
なつている。

前記第２シンカー支持部材２４の基板２５の上
面には、その各シンカー２６の後方に連続する起
立壁部２７が突設されている。これら各起立壁部
２７の後部には、編目編成に使用しない不使用編
針６の前進を規制する針進出規制部が設けられて
いる。即ち、各起立壁部２７の後部には前方が閉
塞された格納部２７ａが各不使用編針６のフツク
６ｂを包囲するようにして形成されており、これ
ら各不使用編針６を後方休止位置に拘束可能とし
ている。これら各格納部２７ａの後端は、後方休
止位置に配置された使用の編針６のラツチ６ｃが
開かれた状態において、そのラツチ６ｃの先端部
付近まで至るよう、延長されている。さらに、各
格納部２７ａの後側上縁部の間には平帯板状の連
結片２８が一体成形によつて架設されており、こ
の連結片２８によつて各格納部２７ａが連結され
ている。また、連結片２８は、その前縁部が前記
後方休止位置にある使用の編針６のフツク６ｂの
前端よりも後方に配置されるように、その板幅が
設定されている。さらに、連結片２８の上面に
は、使用の編針６に対応する針番号が表示された
番号シート２９が接着されている。

また、この実施例においては、針支持体２に対
し、これとは別体で略同一構造の所定数の針支持
体２が、第７図に示すように、その長手方向に連
続し、かつ連結金具３０によつて着脱可能に連結
されている。そして、左右両側の針支持体２の各
外側面には、連結金具３１によつて合成樹脂製の
側面覆体３２，３３が着脱可能に装着されてい
る。前記各針支持体２並びに側面覆体３２，３３
の後端部上面にはキヤリジ３４の摺動脚３５が左
右摺動可能に嵌挿される上方開口の案内溝３６，
３７，３８がそれぞれ左右方向に連続して形成さ
れている。さらに、各針支持体２並びに側面覆体
３２の後端上縁には、キヤリジ３４の係合片３９
と係合する浮上がり防止片４０，４１，４２がそ
れぞれ左右方向に連続して形成されている。

この実施例は上述したように構成される。した
がつて、普通の大きさの編目編成を行う場合、第
１図と第２図に示すように、針支持体２に第１シ
ンカー支持部材１１が装着された状態において、
キヤリジ３４を左右摺動させることで、普通の大
きさの編目編成がなされる。

また、太編糸等を使用して大きい編目の編成を
行う場合、まず、針支持体２に対し、前記第１シ
ンカー支持部材１１を取外す。この第１シンカー
支持部材１１の取外しは、弾性結合片１５の係止
爪１５ａが係止孔１８より外れる位置まで弾性結
合片１５を上方へ押上げた状態において、針支持
体２に対し第１シンカー支持部材１１を前方に引
抜くことで容易に行なわれる。次に、第２シンカ
ー支持部材２４の係合体１６を、前記針支持体２
の支持片１４と弾性結合片１５に、係合凹部２０
をガタ付き防止片１９にそれぞれ対向させた状態
において、第２シンカー支持部材２４を所定位置
まで後方に押込むことで、弾性結合片１５の係止
爪１５ａが係止孔１８に係着し、これによつて針
支持体２の前縁部に第２シンカー支持部材２４が
容易に装着される。

そして、第１シンカー部材１１から第２シンカ
ー部材２４への着け換えに伴い、使用する編針６
と不使用の編針６とが同時に選別される。すなわ
ち、この着け換えに伴い、使用される編針６は各
格納部２７ａ間に配置されるものの、その間の不
使用の編針６は、各フツク６ｂがそれぞれ格納部
２７ａ内に納められて前進が規制されるからであ
る。したがつて、これら不使用の編針６に外力が
作用しても、各不使用編針６が不用意に前進する
ことがなく、確実に後方休止位置に保持される。
このため、キヤリツジ３４との干渉が未然に回避
されることから、大きい編目の編成作業に切り換
えても、作業を円滑になしうる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、この考案はシ
ンカー支持部材において不使用となる編針の進出
を規制する規制部を設けたため、不使用編針が作
業中に不用意に前進することがなく、後方休止位
置に留めておくことができる。したがつて、不使
用編針の不用意な前進に伴う作業上の問題が未然
に解消できる、という優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は第１シンカー支持部材が装着された針床の一
部を示す平面図、第２図は第１図の−線断面
図、第３図は針支持体と第１シンカー支持部材と
を分離した状態を示す平面図、第４図は第３図の
−線に基づく側断面図、第５図は第３図の
−線に基づく側断面図、第６図は針支持体に第
２シンカー支持部材を装着して不使用編針の格納
状態を一部破断して示す平面図、第７図は針床全
体を示す平面図、第８図は第７図の−線側断
面図、第９図は第６図の−線側断面図であ
る。 １……針床、６……編針、６ｂ……フツク、１
１……第１シンカー支持部材、１３……シンカ
ー、２４……第２シンカー支持部材、２６……シ
ンカー、２７ａ……格納部（針進出規制部）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 多数の編針を一定のピツチで配列支持した針床
   と、前縁に多数のシンカーを前記編針の配列ピツ
   チの少なくとも２倍のピツチで列設したシンカー
   支持部材とを備え、そのシンカー支持部材を、各
   隣接するシンカー間の中央にそれぞれ使用する編
   針が配置される関係にして支持した編機に於い
   て、 前記シンカー支持部材に、針床の後方休止位置
   に配置された不使用の各編針のフツクと対向し、
   かつその各不使用の編針の前方への移動を規制す
   る針進出規制部を設けたことを特徴とする編機の
   針床。