JPH0417297B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） この発明は給油脂ポンプに関するもので、主と
してチエンコンベアや荷物搬送用パレツト等の移
動体における被給油脂部に、該移動体と共に移動
しながらグリース等を供給する際に使用される給
油脂ポンプに係る。

（従来技術） 従来より、給油脂ポンプを使用するに際して、
その補給ラインをできるだけ高圧にするのが好ま
しいとされている。その理由は、一台の給油脂手
段（ポンプ又は加圧式タンク）から多数の給油脂
装置に油脂を補給する一括給油脂システムを採用
する場合に、末端の給油脂ポンプにおいて生ず
る、油脂の流動抵抗に起因する圧力損失を補償す
るためである。このように補給ラインの圧力を高
くすると、給油脂手段の近傍に位置する給油脂ポ
ンプは高圧で作動させる必要がある訳で、このた
め高圧での作動が可能な給油脂ポンプが要望され
ている。また、給油脂時間を短縮する上において
も、上記のように補給ラインの圧力を高くするの
が好ましい。

ところで、従来より知られている給油脂ポンプ
としては、例えば、特開昭51−74171号に記載さ
れた装置がある。しかしながら、このポンプにお
いては、次のような理由から、上記のような補給
ラインの圧力を高くすることができないという欠
点がある。すなわち、上記給油脂ポンプにおいて
は、該ポンプが待機状態にあるときに、計量した
油脂がノズルから漏洩するのを防止するために逆
止弁を用いている訳であるが、計量した油脂を軸
受等に給脂する際には、上記逆止弁をノズル端部
の接触力で開放するような構造を採用している。
そのため、補給ラインの圧力を高くすれば、それ
に伴つて、上記逆止弁を開放するのに必要な押圧
力も大きくなり、その結果、被給油脂部（軸受に
設けたニツプル等）やノズルにも大きな押圧力が
作用することになり、これら各部の破損を招くと
いう不具合が生じてしまうためである。

（発明の目的） この発明は上記に鑑みなされたもので、その目
的は、補給ラインを高圧にしても、上記のような
破損の生ずることがなく、正確に作動し、そのた
め広範囲にわたる一括給油脂システムの実現や、
計量のための補給時間の短縮を図ることのできる
給油脂ポンプを提供することにある。

（発明の構成及び作用） 上記目的に沿うこの発明の給油脂ポンプは、 本体ケーシング内に形成されたシリンダと、 このシリンダ内に配置され、流体によつて押動
されるピストンと、 上記ピストンによつてさらに押動されるポンプ
本体と、 上記押動されるポンプ本体と共に移動し、かつ
上記押動されるポンプ本体とは逆方向にも移動可
能に配設され、上記押動方向にスプリング等によ
つて付勢されたノズル部材とを有し、 上記ポンプ本体にはスプール摺動室を開設し、
上記スプール摺動室内には上記ノズル部材と連動
するスプールを配置し、上記スプール摺動室の周
面には注油脂孔と連結孔とを開設し、上記注油脂
孔は外部の給油脂手段に、上記連結孔はポンプ本
体に内設された計量室にそれぞれ接続し、また上
記計量室には上記ピストンによつて押動されるピ
ストン部材を挿入し、 一方上記ノズル部材には、その先端部に給油脂
ノズルを装着すると共に、このノズルと上記連結
孔とを結ぶ油脂通路を設け、 上記ノズル部材がポンプ本体とともに移動する
状態においては、上記スプールが中立位置に存し
て、上記注油脂孔と連結孔を連通させると共に、
上記連結孔及び注油脂孔と上記油脂通路を遮断
し、 上記ノズル部材が上記スプリング力に抗してポ
ンプ本体側へと移動した状態においては、スプー
ルが切換位置へ存して、上記注油脂孔と連結孔を
遮断すると共に、上記連結孔と上記油脂通路とを
連通させることを特徴とするものとなる。

上記の結果、注油脂の際には、ノズル部材のポ
ンプ本体に対する相対移動にスプールが連動し、
このスプールの移動によつて、連結孔と油脂通路
とを連通させて、計量室とノズルとを連通させる
と共に、ピストンによつてピストン部材を押動
し、計量室の油脂を連結孔及び油脂通路を経て、
ノズルへと導くことが可能となる。また、待機状
態においては、スプールによつて、連通孔と油脂
通路が遮断され、ノズルは計量室及び給油脂手段
から遮断されることになるので、油脂の漏洩を防
止することが可能となる。

（実施例） 次ぎにこの発明の給油脂ポンプの具体的な実施
例につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。

図において、１は略筒状の本体ケーシングであ
つて、この本体ケーシング１の内部にはシリンダ
２が形成されており、このシリンダ２内に、流体
によつて押動されるピストン３が摺動自在に配設
されている。上記シリンダ２内には、さらにポン
プ本体４が摺動自在に配設されているが、このポ
ンプ本体４は、その後端部が上記ピストン３によ
つて押動され、前方へと移動し得るようなされて
おり、またその周側部と上記本体ケーシング１の
内側先端部との間にスプリング５が介設され、後
方へと付勢されている。上記ポンプ本体４の先端
部には、ノズル部材６が摺動自在に取着されてい
る。

上記ポンプ本体４は、外部の給油脂手段（図示
せず）から送られてくる油脂を計量し、常に一定
量の油脂をノズル部材６を通して、被給油脂部へ
と供給する機能を有するものである。以下にその
構造について説明する。まず、ポンプ本体４の先
端側の軸心部には、前面に開口したスプール摺動
室７が形成されており、このスプール摺動室７の
周面には、注油脂孔８と、連結孔９とが穿設され
ている。なお、上記スプール摺動室７の後部に
は、このスプール摺動室７に連通すると共に、ス
プール摺動室７よりもやや径大な油脂溜部７ａが
形成されている。また、上記注油脂孔８と連結孔
９とは、図のように、互いに径方向に相対向する
位置であつて、軸方向にはややずれた位置に形成
されている。そして、上記注油脂孔８はジヨイン
ト１０を介して、図示しない給油脂手段に接続さ
れている。なお、上記本体ケーシング１の周側部
には、長孔１１が穿設されており、上記ジヨイン
ト１０がこの長孔１１を通つて外方へと導出さ
れ、前後方向へと移動し得るようになされてい
る。また、ポンプ本体４の後端部の軸心部には、
後面に開口した計量室１２が形成されており、こ
の計量室１２は通路１３を介して上記連結孔９に
連通している。上記計量室１２内には、ピストン
部材１４が摺動自在に配設されており、このピス
トン部材１４の後端部は上記後面を超えてさらに
後方へと延び、上記ピストン３に当接している。

一方、上記ノズル部材６は、上記ポンプ本体４
の先端側に形成された筒状部１５の内周壁に摺接
するスリブ１６と、スリブ１６に固着されると共
に後方に延びる筒状体１７と、この筒状体１７の
先端から前方に延びる可撓性チユーブ１８と、可
撓性チユーブ１８の先端に接続された給油脂ノズ
ル１９とを有しており、上記筒状体１７及び可撓
性チユーブ１８の内方が油脂の通過する油脂通路
２０となされている。なお、上記スリブ１６と給
油脂ノズル１９との間における可撓性チユーブ１
８の外周部には、コイルバネ１８ａが介設されて
いる。また、上記筒状体１７の後端部には、１つ
の輪溝２１と、その両側に位置する２つのランド
２２，２３とを有するスプール２４が形成されて
おり、このスプール２４が上記ポンプ本体４のス
プール摺動室７内に挿入され、このスプール２４
の移動によつて、上記連結孔９を注油脂孔８と油
脂通路２０とに切換連通し得るようになされてい
る。上記ノズル部材６のスリブ１６と、上記ポン
プ本体４の筒状部１５底面との間には、スプリン
グ２５が設されており、ノズル部材１６は常に、
ポンプ本体４に対して先端側へと付勢されてい
る。なお、２６はストツパであつて、ノズル部材
６がポンプ本体４から抜出すのを防止するための
ものである。また、２７は流体入口であつて、こ
の入口２７からシリンダ２内に流入する流体によ
つて、ピストン３が押動される。

次ぎに上記した給油脂ポンプの作動状態につい
て説明する。まず、給油脂ポンプが待機状態にあ
る場合には、第１図に示すように、ノズル部材６
はスプリング２５の力によつて、ポンプ本体４に
対して最も突出した位置にあり、そのためスプー
ル２４も先端側の中立位置に存する。この際、同
図のように、注油脂孔８と連結孔９とは、スプー
ル２４の輪溝２１を介して連通しており、給油脂
手段からの油脂が、連結孔９及び通路１３を経
て、計量室１２へと流入した状態となつている。
一方、給油脂ノズル１９へと連通する油脂通路２
０は、スプール２４の後部に位置するランド２２
によつて、連結孔９とも、また注油脂孔８とも遮
断されており、この結果、ノズル１９からの油脂
の漏洩が防止されている。

上記の状態から、シリンダ２内へ流体（例えば
エヤ）を導入し、ピストン３を前方へと押動す
る。この場合、ポンプ本体４とノズル部材６と
は、上記と同様な相対移動関係のままで移動を開
始する。そして、給油脂ノズル１９の先端がニツ
プル等の被給油脂部に当接し、ノズル部材６のそ
れ以上の移動が阻止される状態になるが、これ以
後は、ポンプ本体４だけが前進する状態となる。
すなわち、ポンプ本体４のみがノズル部材６に対
して相対的に前進し、ポンプ本体４とノズル部材
６との間に介設したスプリング２５が圧縮される
と共に、筒状体１７の後部に設けたスプール２４
がスプール摺動室７の後方へと移動する。この結
果、まず第２図に示すように、注油脂孔８が、ス
プール２４の前部に位置するランド２３によつて
閉じられ、注油脂孔８、連結孔９及び油脂通路２
０の全てが遮断された状態となる。

次いで、ポンプ本体４がさらに前進すると、第
３図に示すように、スプール２４の後部に設けた
ランド２２の前端部が、スプール摺動室７を超え
て油脂溜部７ａに進入し、この油脂溜部７ａの内
径がスプール摺動室７の内径よりも大きく形成さ
れている関係上、連結孔９がスプール２４の輪溝
２１を介して油脂溜部７ａに連通する。したがつ
てこの状態では、計量室１２は、通路１３、連結
孔９、輪溝２１、油脂溜部７ａ及び油脂通路２０
をそれぞれ介して、給油脂ノズル１９へと連通す
る。この際、上記各通路における流体抵抗が著し
く低下するので、ピストン部材１４が、ピストン
３によつて前方へと押動され、計量室１２内の油
脂を、給油脂ノズル１９側へと送り出し、被給油
脂部に対する給油脂を完了する。

上記の後は、シリンダ２内への流体の供給を停
止すると共に、シリンダ２内の流体を外部へと排
出し、スプリング５の力によつてポンプ本体４を
後退させる。この際、まず最初はポンプ本体４の
みが後退し、スプール２４は上記と逆の動きをす
る。すなわち、はじめにその後部に設けたランド
２２によつて、連結孔９と油脂通路２０との間が
遮断され、次いで注油脂孔８と連結孔９とが連通
すると共に、注油脂孔８から計量室１２内へと油
脂が供給され、この内圧でもつてピストン部材１
４がその後端まで後退し、最後にポンプ本体４と
ノズル部材６とが元位置にまで復帰する。以後は
上記と同様な作動を繰り返して、順次給油脂作業
を行う。

上記の給油脂ポンプにおいては、従来のように
逆止弁を用いずに、ノズル部材６と連動するスプ
ール２４の動きによつて、注油脂孔８から計量室
１２への油脂の供給状態と、計量室１２から給油
脂ノズル１９への油脂の圧出状態とを切換えるよ
うにしてあり、このスプール２４を移動させるの
に必要な力がスプリング２５に抗する力のみの小
さい押圧力でよいため、給油脂圧力を高くした場
合にでも、給油脂ポンプ各部に過大な力が作用す
ることはない。したがつて、従来の給油脂ポンプ
のように、ノズル部材６に作用する押圧力を配慮
して、給油脂圧力が制限されることもなく、給油
脂圧力の高圧化を図ることが可能となる。

また、上記の結果、ノズル部材６に大きな押圧
力が作用することがなくなるので、ノズル部材６
に可撓性チユーブ１８とコイルバネ１８ａとを介
設し、ノズル部材６全体に可撓性を持たせること
が可能になり、このため給油脂ポンプの作動中
に、ノズル部材６が外部の他の部材等に当接する
ような事態が生じても、ノズル部材６が自由にた
わみ得るので、その損傷を防止することが可能と
なる。

以上この発明の給油脂ポンプの一実施例の説明
をしたが、この発明の給油脂ポンプは上記実施例
に限定されるものではなく、種々変更して実施す
ることが可能である。例えば上記においては、ノ
ズル部材と連動するスプールを、筒状体の後端部
に一体的に形成した例を示しているが、要はノズ
ル部材とスプールとが連動すればよい訳であり、
両者を別体に形成して他の部材を介して連動させ
るようにすることも可能である。この場合、スプ
ール摺動室の周面には、注油脂孔や連結孔とはさ
らに別の孔を開設し、この孔と油脂通路とを可撓
性チユーブ等によつて接続すると共に、スプール
の移動によつてこの孔と連結孔や注油脂孔との連
通、遮断を行うようにすればよい。また、上記の
ような構造を採用する場合には、ポンプ本体とノ
ズル部材とを同一軸心上に配置する必要もない。
さらに上記においては、ポンプ本体を元位置に復
帰させるために、スプリングを使用しているが、
他の流体手段等によつて復帰させるようにするこ
とも可能である。

（発明の効果） この発明の給油脂ポンプは上記のように構成さ
れたものであり、したがつてこの発明の給油脂ポ
ンプによれば、従来の給油脂ポンプのように、ノ
ズル部材に作用する押圧力を配慮して、給油脂圧
力が制限されることもなく、補給ラインを高圧に
することが可能となり、そのため広範囲にわたる
一括給油脂システムの実現や、計量のための補給
時間の短縮が図ることが可能となる。しかも、補
給ラインを高圧にすることによつて、補給ライン
の管径を小さくできると共に、この補給ライン内
に滞留するグリス等の油脂量を少なくすることが
できるので、一括給油システムのコストやランニ
ングコストが低減する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の給油脂ポンプの一実施例の
中央縦断面図、第２図及び第３図は上記給油脂ポ
ンプの作動状態を説明するための要部の縦断面図
である。 １…本体ケーシング、２…シリンダ、３…ピス
トン、４…ポンプ本体、６…ノズル部材、７…ス
プール摺動室、８…注油脂孔、９…連結孔、１２
…計量室、１４…ピストン部材、１９…給油脂ノ
ズル、２０…油脂通路、２４…スプール、２５…
スプリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 本体ケーシング１内に形成されたシリンダ２
   と、 このシリンダ内２に配置され、流体によつて押
   動されるピストン３と、 上記ピストン３によつてさらに押動されるポン
   プ本体４と、 上記押動されるポンプ本体４と共に移動し、か
   つ上記押動されるポンプ本体４とは逆方向にも相
   対移動可能に配設され、上記押動方向にスプリン
   グ２５等によつて付勢されたノズル部材６とを有
   し、 上記ポンプ本体４にはスプール摺動室７を開設
   し、上記スプール摺動室７内には上記ノズル部材
   ６の相対移動と連動するスプール２４を配置し、
   上記スプール摺動室７の周面には注油脂孔８と連
   結孔９とを開設し、上記注油脂孔８は外部の給油
   脂手段に、上記連結孔９はポンプ本体４に内設さ
   れた計量室１２にそれぞれ接続し、また上記計量
   室１２には上記ピストン３によつて押動されるピ
   ストン部材１４を挿入し、 一方上記ノズル部材６には、その先端部に給油
   脂ノズル１９を装着すると共に、このノズル１９
   と上記連結孔とを結ぶ油脂通路２０を設け、 上記ノズル部材６のポンプ本体４に対する相対
   移動に連動するスプール２４の移動によつて、上
   記連結孔９を注油脂孔８から油脂通路２０に切換
   連通させることを特徴とする給油脂ポンプ。