JPH0415358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は水処理等に使用される嫌気性処理装
置、特にスラツジブランケツト型の嫌気性処理装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

スラツジブランケツト型の嫌気性処理装置は、
消化槽に嫌気性細菌を主体とする汚泥によりスラ
ツジブランケツトを形成し、廃液と接触させて嫌
気性消化を行うものである。このような従来のス
ラツジブランケツト型の嫌気性処理装置では、汚
泥自身が発する消化ガスにより完全混合されると
考えられており、消化槽下部から原液を導入して
スラツジブランケツト槽中を上昇させ、消化反応
を行つている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来の嫌気性処理装
置においては、消化反応の進行に伴つてブランケ
ツトを形成する汚泥が粒状化し、汚泥が重くなつ
て消化槽下部に堆積する。こうして堆積した汚泥
にはPHバツフア効果が及ばないため、酸発酵が進
行して消化反応部にPH障害が起こり、処理性能が
低下するとともに、堆積した汚泥の周りにガスが
沈滞して局部的な汚泥浮上現象が発生して処理水
にSSがリークするなどの問題点があつた。

この考案は、上記問題点を解決するためのもの
で、汚泥の堆積を防いで消化反応部の汚泥濃度を
均一にし、これにより酸生成によるPH障害を防止
して処理性能を安定させるとともに、汚泥浮上に
よる処理水へのSSリークを防止できる嫌気性処
理装置を提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、下部に消化反応部および上部に固
液分離部を有する消化槽と、前記消化反応部の底
部で回転する多孔管からなり、かつ消化反応部に
原液を供給する原液供給手段と、この原液供給手
段に原液を供給する中空パイプからなる回転軸
と、この回転軸に取付けられて、前記消化反応部
の下部で回転し、消化反応部に形成されたスラツ
ジブランケツトをほぼ均一な汚泥濃度とするよう
に撹伴する撹伴手段とを有することを特徴とする
嫌気性処理装置である。

〔作用〕

この考案の嫌気性処理装置においては、原液供
給手段により消化反応部に原液を供給し、スラツ
ジブランケツトと接触させて嫌気性処理を行う。
このとき攪拌手段を原液供給手段とともに回転さ
せると、原液は消化反応部に均一に供給され、消
化反応部の汚泥と均一に混合して消化反応部が促
進される。また撹伴手段および原液供給手段によ
り、スラツジブランケツトを形成する汚泥濃度を
均一に維持すると、消化反応部における汚泥の堆
積が防止されて、酸生成によるPH障害は発生せ
ず、処理性能が安定するとともに、局部的な汚泥
浮上現象も発生せず、処理水へのSSリークも防
止される。

〔実施例〕

以下、本考案を図面の実施例により説明する。
第１図はこの考案の一実施例による嫌気性処理装
置の垂直断面である。図面において、１は直方体
状の容器からなる深層式の消化槽で、下部に消化
反応部２および上部の周辺部に固液分離部３が形
成されている。消化反応部２にはスラツジブラン
ケツト４が形成されており、その底部の全域には
回転する多孔管からなる原液供給管５が設けられ
ている。

原液供給管５は約45°の下向に多数の開孔を有
し、消化槽１の中央部に垂直に設けられた中空の
回転軸６に取付けられて回転し、かつ回転軸６の
中空部を通して供給される原液を前記開孔から消
化槽底部に噴出するように接続している。回転軸
６は下端部を下部軸受７によつて支持され、上端
部は回転ジヨイント８を介して減速機付モータ９
に接続され、これにより回転するようになつてい
る。また回転軸６には、消化反応部２の下部であ
つて底部より若干上の汚泥の堆積の起こりやすい
部分に、平パドルからなる十字形の攪拌機１０が
取付けられ、回転軸６の回転に伴つて原液供給管
５とともに回転するようになつている。

消化反応部２および固液分離部３の中間部には
ガス捕集部１１が設けられている。ガス捕集部１
１は並べて配置された複数の傘形の捕集板１２お
よびこれに連絡するガス抜管１３からなり、捕集
板１２の傘形の一方の傾斜板は隣接する捕集板１
２の他方の傾斜板とラツプするようにその下側に
伸びている。１４は回転軸６の貫通孔からガスが
浮上するのを防止するバツフルである。

消化槽１の上部の固液分離部３の内側には、回
転軸６を囲むように、下が開放した集ガス室１５
が設けられて、ガス抜管１３ａに連絡している。
そして集ガス室１５の外側には集液溝１６が設け
られ、処理液管１７に連絡している。固液分離部
３には複数の傾斜板１８がほぼ45°の角度で平行
に配置されており、その上部には集ガストラフ１
９が設けられて集ガス室１５に連絡している。

２０は原液管であつて、回転ジヨイント８に連
絡している。２１は減速機付モータ９を取付ける
架台であつて、消化槽１の上部に設けられてい
る。２２は底部に設けられた排泥ピツトであつ
て、排泥管２３に連絡している。

以上の構成において、減速機付モータ９を駆動
して原液供給管５および攪拌機１０を回転させな
がら、原液管２０から原液を供給して原液供給管
５から消化槽１内に流入させ、消化反応部２にお
いて嫌気性消化を行うと、原液は消化反応部２に
均一に供給される。そして消化反応部２に存在す
るスラツジブランケツト４の汚泥と均一に混合さ
れ、先ず汚泥中に増殖する酸生成菌の作用で有機
物が分解して有機物を生成し、さらにメタン生成
菌の作用により有機酸が分解してメタンが生成す
る。

このとき原液供給管５および攪拌機１０が回転
しているので、スラツジブランケツト４が攪拌さ
れて、スラツジブランケツト４を形成する汚泥濃
度が均一に維持され、このため消化反応部２にお
ける汚泥の堆積が防止されて、酸生成によるPH障
害は発生せず、処理性能が安定するとともに、局
部的な汚泥浮上現象も発生せず、処理水へのSS
リークも防止される。

消化反応部２を通過する間に嫌気性消化を受け
た消化液はガス捕集部１１を通過する間に、生成
ガスが分離される。すなわち気泡状のガスはガス
捕集部１１の捕集板１２に捕集されてガス抜管１
３から取出される。このきと捕集板１２の一方の
傾斜板は他方の傾斜板とラツプするように下に伸
びているのでガスの固液分離部３への流出は防止
される。

ガス捕集部１１の隣接する捕集板１２間の流路
を通り抜けた消化液は固液分離部３に流入して固
液分離を受ける。ガス捕集部１１により生成ガス
の大部分は捕集されるが、微細な気泡は消化液に
混入する汚泥に付着したまま固液分離部３に流入
し、またガス捕集部１１を通過後に生成した気泡
も汚泥に付着した状態で固液分離部３において固
液分離を受ける。

固液分離部３では汚泥を含む消化液が隣接する
各傾斜板１８間に分散した状態で滞留するが、こ
のとき汚泥に付着する気泡は傾斜板１８の下側に
分離し、傾斜板１８の下側に沿つて浮上し、集ガ
ストラフ１９から集ガス室１５に集められ、ガス
抜管１３ａから取出される。また気泡を分離した
汚泥は傾斜板１８の上側に沈降し、傾斜板１８の
上側を滑つて沈降して消化反応部２に還流する。
このようにして固液分離部３では傾斜板１８によ
り、気−固−液の分離が促進される。

固液分離部３で汚泥と付着ガスを分離した消化
液は処理液として集液溝１６に集められ、処理液
管１７から槽外へ取出される。また排泥ピツト２
２に沈降した余剰汚泥は排泥管２３から排出され
る。

以上の説明において、原液供給管５を回転させ
ない場合よりも、回転させた方が攪拌効果が良く
なる。また攪拌手段の形式は、構造、数等は限定
されない。さらに消化槽１は直方体状のものでも
円筒状のものでもよい。

本考案は有機性廃液、下水汚泥、し尿その他の
嫌気性消化に適した原液の処理用の嫌気性処理装
置として利用可能である。

〔考案の効果〕

本考案によれば、消化反応部の下部に回転する
多孔管からなる原液供給手段を設け、その回転軸
に攪拌手段を取付けたので、消化反応部に原液を
均一に供給して汚泥と均一に混合して、消化反応
を促進させることができる。また汚泥の堆積を防
いで消化反応部の汚泥濃度を均一にし、これによ
り酸生成によるPH障害を防止して処理性能を安定
させるとともに、汚泥浮上による処理水へのSS
リークを防止できる。

【図面の簡単な説明】

図面は実施例の垂直断面図であり、１は消化
槽、２は消化反応部、３は固液分離部、４はスラ
ツジブランケツト、５は原液供給管、６は回転
軸、１０は攪拌機、１１はガス捕集部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下部に消化反応部および上部に固液分離部を有
   する消化槽と、前記消化反応部の底部で回転する
   多孔管からなり、かつ消化反応部に原液を供給す
   る原液供給手段と、この原液供給手段に原液を供
   給する中空パイプからなる回転軸と、この回転軸
   に取付けられて、前記消化反応部の下部で回転
   し、消化反応部に形成されたスラツジブランケツ
   トをほぼ均一な汚泥濃度とするように攪拌する攪
   拌手段とを有することを特徴とする嫌気性処理装
   置。