JPH04137563U - 光デイスク用ケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マグネットクランプ方式の光ディスクカート
リッジにおいて、粉の発生による情報の書込、読取のエ
ラーの発生を防止できる光ディスク用ケースを得る。 【構成】 光ディスク３を収容するケース２の中央部に
形成された円形の窓４ａの周囲に、ケース内側に向けて
突出する幅３〜８ｍｍのリブ５を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は光ディスクを収容してカートリッジを構成するための光ディスク用ケ ースに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

光ディスクカートリッジは、正方形に近い長方形の面を有するケースと、この ケースの内部に収容された光ディスクとからなり、これらの各部の寸法はＩＳＯ 規格により細部まで決められている。ＩＳＯ規格では、光ディスクドライブのス ピンドルに対する光ディスクのクランプ方式として、マグネットクランプ方式が 採用されている。

【０００３】 図１はマグネットクランプ方式の光ディスクカートリッジのクランプ前の状態 を示す断面図、図２はクランプ状態を示す図３のＡ−Ａ断面図、図３はクランプ 状態を示す平面図である。各図は構造が理解しやすいように、各部の寸法比率を 変えて図示されている。

【０００４】 図において、１は光ディスクカートリッジで、ケース２内に光ディスク３が収 容されている。ケース２は正方形に近い長方形の面を有する薄い箱形に形成され ている。ケース２の両面には、中心部に円形の窓４ａが形成され、この円形の窓 ４ａと連通するように、その周辺部から１つの辺に向って半径方向に伸びる長方 形の窓４ｂが形成されている。円形の窓４ａの周囲にはケース本体２ａから内側 すなわち光ディスク３側に向けて突出するリブ５が形成されている。円形の窓４ ａおよび長方形の窓４ｂは、全体が開閉可能のシャッタ６で覆われている。

【０００５】 光ディスク３は、片面に記録層７が形成された円形透明プラスチック製の２枚 のディスク基板８を、記録層７が内側になるように貼合せ、内周部に磁気吸引性 を有するマグネットハブ９を取付けて固定した構造となっている。マグネットハ ブ９は磁性材料で形成したり、あるいは磁性金属板等を取付けて、磁気吸引性を 持たせている。光ディスク３のセンター穴１０には、光ディスクドライブ（図示 省略）のスピンドル１１が挿入され、位置決めされるようになっている。スピン ドル１１を囲むようにターンテーブル１２が形成され、内部にマグネット１３が 設けられている。

【０００６】 上記のカートリッジ１は、光ディスクドライブの装着口に、例えば図１の画面 に向って奥の方向に挿入すると、ドライブはカートリッジ１を引込みながら、図 ２および３に示すようにシャッタ６を横方向に開き、この状態でカートリッジ１ をターンテーブル１２の方向に移動させ、スピンドル１１をセンター穴１０に挿 入して位置決めし、マグネット１３によりマグネットハブ９を磁気的に吸引して 固定し、ドライブに装着する。

【０００７】 この状態でターンテーブル１２が回転し、窓４を通してレーザ光等を記録層７ に照射し、情報の書込、読取を行う。カートリッジ１の取出は上記と逆の操作で 行われる。

【０００８】 上記のマグネットクランプ方式は、マグネット１３とマグネットハブ９の磁気 的吸引力により、光ディスク３の片側のみから固定できるため、光ディスク３の 両側から機械的にクランプして固定する方式に比べて、光ディスク３の着脱が容 易である。

【０００９】 光ディスク３は光ディスクドライブに装着中はリブ５から離れてターンテーブ ル１２により支持されるが、装着しない状態では、図１に示すように、リブ５で 支持され、記録層７が形成された部分のディスク基板８とケース２の内面が接触 しないようになっている。このためケース２内で光ディスク３が移動しても、記 録層７を形成した部分のディスク基板８の表面には傷がつかないようになってい る。

【００１０】 しかしながらマグネットクランプ方式における光ディスクカートリッジ１の取 出に際しては、ケース２を引上げることにより、マグネット１３とマグネットハ ブ９の磁気的吸引力に抗して光ディスク３をターンテーブル１２から引離すため 、この瞬間に光ディスク３は、マグネットクランプの磁気的吸引力に見合う力で リブ５に押付けられることになる。

【００１１】 従来のカートリッジにおけるリブ５は、高さ０．５〜１ｍｍ、幅２ｍｍ以下と されているが、例えばＩＳＯ規格に定められた形状のカートリッジにおいて、Ｉ ＳＯ規格に定められたクランプ力（１４Ｎ以上）がかかった時には、リブ幅が１ ｍｍの場合、少なくとも１６００ｇｆ／ｃｍ²の力がかかることになる。

【００１２】 カートリッジ１をドライブから取出す時、光ディスク３が静止している場合は 、リブ５とディスク基板８の表面との間にかかる力による問題はほとんど発生し ない。しかしながら、取出時に光ディスク３がまだ回転している場合は、光ディ スク３がターンテーブル１２から外される時に回転するため、磁気的吸引力でリ ブ５と光ディスク３の表面がこすれることになる。このため、多数回脱着を繰返 した場合、光ディスク３の表面またはリブ５の表面がこすれて削れ、粉が発生す る。こうして発生した粉は、ディスク基板８の表面に付着して、書込や読取のエ ラーの原因になることがある。特に、複数のカートリッジを自動的に交換して、 使用するオートチェンジャーの場合は、脱着回数も多くなるため、この問題は深 刻になる。

【００１３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、上記のような問題点を解決するため、光ディスクカートリッ ジを光ディスクドライブから取出す際、光ディスクが回転している場合でも、光 ディスクとリブの接触面が削れて粉が発生するのを防止し、これにより情報の書 込や読取のエラーの発生を防止することが可能な光ディスク用ケースを提供する ことである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、記録層を有するディスク基板の内周部にマグネットハブを取付けた 光ディスクを収容し、マグネットクランプ方式の光ディスクカートリッジを形成 するための光ディスク用ケースにおいて、ケース中央部に形成された円形の窓の 周囲に、ケース内側に向けて突出するように形成された幅３〜８ｍｍのリブを有 することを特徴とする光ディスク用ケースである。

【００１５】 本考案のケースおよび内部に収容する光ディスクの基本的な形状、構造、材質 等は従来のものとほぼ同様でよい。ケースは光ディスクを収容できる構造であれ ば、その形状、構造等に制限はない。ケースの材質としては、ポリカーボネート が一般的であるが、他の樹脂でもよい。

【００１６】 ケースに収容する光ディスクは、片面に記録層を形成したディスク基板を、記 録層を内側にして２枚貼合せたもの、あるいはディスク基板１枚からなるものな ど、いずれでもよい。ディスク基板の材質としては、ポリカーボネート、ポリメ チルメタクリレート、ポリオレフィン、あるいは環状オレフィン系の重合体また は共重合体（例えばエチレン・テトラシクロデセン共重合体）など、従来から用 いられているものがそのまま採用可能である。

【００１７】 ケースおよび光ディスクの寸法はＩＳＯ規格によって定められており、光ディ スクには直径８６ｍｍ、１３０ｍｍのものなどがあるが、本考案はいずれのもの に対しても適用可能である。リブは、ケースの中央部に形成された円形の窓の周 囲で、具体的にはリブの外周縁が光ディスクの反射領域として規定された領域に かからなければどの位置にでも形成することができる。例えば直径８６ｍｍ、１ ３０ｍｍいずれの場合も、ケースの内周縁からリブの内周縁までの距離が５ｍｍ 以内、好ましくは３ｍｍ以内、さらに好ましくは１ｍｍ以内になるような位置に リブを形成するのが好ましい。また直径８６ｍｍ、１３０ｍｍいずれの場合も、 リブの高さは０．３〜１．６ｍｍとするのが好ましい。

【００１８】

【作用】

本考案の光ディスク用ケースは、内部に光ディスクを収容して光ディスクカー トリッジが形成される。こうして形成される光ディスクカートリッジは、光ディ スクドライブに挿入することにより、光ディスクの内周部に取付けられたマグネ ットハブの磁気的吸引力を利用して、マグネットクランプ方式によって光ディス クドライブのターンテーブルに装着される。このときカートリッジは、光ディス クドライブの構造に応じて、水平、垂直その他任意の状態でドライブに装着され る。

【００１９】 装着されたカートリッジは、ドライブの取出機構によりケースをターンテーブ ルから引離してドライブから取出される。カートリッジの取出に際して、光ディ スクが回転している場合でも、リブが従来のものより広い幅となっているため、 リブと光ディスクとの接触面積が大きく、このためマグネットによる吸引力は分 散され、接触面の削れによる粉の発生は防止される。

【００２０】

【実施例】

以下、本考案の実施例について説明する。本考案の実施例のケースを採用する 光ディスクカートリッジ１は、図１ないし図３で表わされ、ケース２の中心部に 形成された円形の窓４ａの周囲から、ケース内側に向けて突出するリブ５の光デ ィスク３と接触する表面の幅が３〜８ｍｍとなっている他は、従来のものと同様 に構成されており、従来のものと同様にして光ディスクドライブに装着される。

【００２１】 カートリッジ１をドライブから取出す際は、光ディスク３が回転している場合 でも、リブ５の光ディスク３との接触面積が従来のものより大きくなっているた め、マグネットハブ９とマグネット１３による磁気的吸引力は分散されて接触面 の各部にかかり、接触面の削れによる粉の発生は防止される。

【００２２】 実施例１〜４ 直径１３０ｍｍの光ディスク用のＩＳＯ規格に準じた形状で、ポリカーボネー トにより、図１ないし図３に示すリブ５として、高さ０．８ｍｍ、幅３ｍｍ（実 施例１）のケース２を作成し、ポリカーボネート製の光ディスク３をこのケース ２内に入れ、光ディスクカートリッジ１を作成した。オートチェンジャーを使用 して、この光ディスクカートリッジ１の繰返し脱着テストを行った。１００００ 回脱着を行った後、粉の発生状況、リブ５の表面の状態の評価を行った。その結 果、粉はほとんど発生しておらず、リブ表面にもほとんど傷は発生していなかっ た。リブ５の幅を変えて同様の試験を行い（実施例２〜４）、表１の結果を得た 。

【００２３】 比較例１ 実施例１において、リブ５の幅を２ｍｍとして同様の試験を行った。その結果 、光ディスク内周部のリブに当たる位置の周辺およびケースのリブ周辺にはかな りの量の粉が発生していた。またリブ表面にはかなりの円周状（ディスク回転方 向）の削れ跡が付いていた。

【００２４】 以上の結果をまとめて表１に示す。表１における評価基準は次の通りである。 粉の発生状態 ◎ 粉は発生していない。 ○ 粉はほとんど発生していない。 × かなりの粉が発生している。 リブ表面の削れ跡の状況 ◎ リブ表面に傷は発生していない。 ○ リブ表面にほとんど傷が発生していない。 × リブ表面にかなりの削れ跡が発生している。

【００２５】

【表１】

【００２６】 以上の結果より、リブ幅を３〜８ｍｍにすることにより、リブまたは光ディス クの削れによる粉の発生が防止されることがわかる。

【００２７】

【考案の効果】

本考案の光ディスク用ケースは、リブの幅を３〜８ｍｍとしたので、光ディス クカートリッジをドライブから取出す際、光ディスクが回転している場合でも、 光ディスクとリブの接触面が削れて粉が発生するのを防止し、これにより情報の 書込や読取のエラーの発生を防止することができる。

【提出日】平成３年８月２７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２５

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２５】

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例および従来例の光ディスクカートリッジ
のクランプ前の状態を示す断面図。

【図２】実施例および従来例の光ディスクカートリッジ
のクランプ状態を示す図３のＡ−Ａ断面図。

【図３】実施例および従来例の光ディスクカートリッジ
のクランプ状態を示す平面図。

【符号の説明】

１ 光ディスクカートリッジ ２ ケース ２ａ ケース本体 ３ 光ディスク ４ａ 円形の窓 ４ｂ 長方形の窓 ５ リブ ６ シャッタ ７ 記録層 ８ ディスク基板 ９ マグネットハブ １１ スピンドル １２ ターンテーブル １３ マグネット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録層を有するディスク基板の内周部に
   マグネットハブを取付けた光ディスクを収容し、マグネ
   ットクランプ方式の光ディスクカートリッジを形成する
   ための光ディスク用ケースにおいて、ケース中央部に形
   成された円形の窓の周囲に、ケース内側に向けて突出す
   るように形成された幅３〜８ｍｍのリブを有することを
   特徴とする光ディスク用ケース。