JPH0413619A - 熱傷治療用局所冷却剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、熱傷、特にその初期の段階における治療に有
効な治療用局所冷却剤に関する。

［従来技術］ 熱傷の治療、特にその初期の治療には水道水などによる
冷却が効果的とされている。しかし水道水は簡便な方法
ではあるが、雑菌などによる感染の恐れがあるために滅
菌する必要がある。また、水道水それ自体には熱傷に対
する本来の治療効果はなんら有しないものである。従っ
て、水道水による冷却後さらに熱傷治療薬を別途熱傷に
対し塗布せざるを得ない。

また水道水などは、それを冷却剤として用いる際には水
の蒸発による潜熱を利用できる。しかしながらこのよう
な潜熱を利用できないものは、低温に冷却する必要があ
り、しかも充分な冷却効果を得るためには極低温に冷却
せざるを得ないが、極端な極低温では、その温度の発現
も困難であり凍傷の危険もある。しかるに、例えば通常
の皮膚対象の治療に用いられる油剤などは、このような
極低温では固体となり有効な冷却効果を有しないことと
なる。また、皮膚の局所保護薬などとして用いられるグ
リセリン、蜂蜜、ワセリンなどは極低温においては例え
凝固することが無くともその粘度が高くなり過ぎるため
に皮膚に対する慣れが悪くなり、充分な冷却効果が得ら
れない。

それ故、簡便な冷却剤が望まれている。

［本発明が解決しようとする課題］ 本発明は、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果なされた
ものであって、その目的は、熱傷、特にその初期の段階
における局所治療に用いる簡便な冷却剤を提供するもの
である。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、スクワレン、スクワランまたはその混合物か
らなる熱傷治療用局所冷却剤に関する。

本発明においては、スクワレンなどを−１０〜−６０℃
、好ましくは−２０〜−５０℃、例えば−４０℃のよう
な極低温に冷却し、これを熱傷、特にその初期の段階に
おける熱傷のための局所冷却剤に用いる。−１０℃より
高温の温度では冷却効果が不充分である。また、−ｅｏ
℃よりも低温でもスクワランなどは液体状態であるが、
このような低温は発現することが困難であり、また余り
に冷却し過ぎるとかえって凍傷を生じる恐れもあるので
好ましくない。

スクワレン、スクワランまたはその混合物などは、通常
その凝固点が充分低く、上記温度範囲においても凝固す
ることなく充分に低粘度の液体状態を維持することがで
きる。

さらに上記温度範囲に充分冷却されたスクワレン、スク
ワランまたはその混合物からなる冷却剤は、冷却される
ことにより殺菌あるいは滅菌されることになり、熱傷部
位に直接塗布しても雑菌に対する感染の恐れが少ない。

スクワレンおよびスクワランは、鮫、オリーブなどの動
植物から採取された天然品あるいは化学合成品を用いる
ことができる。また、スクワレンの有する炭素−炭素不
飽和二重結合を水素添加処理により水素添加してなるス
クワランも用いることができる。さらにスクワレンおよ
びスクワランが任意の割合で混合されてなる混合物であ
ってもよい。好ましくは、酸化安定性が良いところから
スクワランである。

本発明のスクワレン、スクワランまたはその混合物は、
極低温においても皮膚に対して感作性を有しないために
、熱傷直後の熱傷部位の局所に直接塗布し、その目的を
達成することができる。

スクワレン、スクワランまたはその混合物の熱傷に対す
る塗布量は、その有効量を塗布すれば良（特に限定され
ないが、通常は、熱傷に対して０．００１〜１ｇ／ｃ１
１２の割合で塗布することができる。

本発明のスクワレン、スクヮランまたはその混合物には
、本発明の目的に合致する範囲内で他の公知の治療用薬
剤、例えば皮膚・粘膜局所用薬などを配合して用いるこ
とができる。これらには、例えば、従来公知の局所収斂
剤；局所保護薬（白色ワセリン）；消炎鎮痛薬：消毒薬
（ポビドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジン）；抗
菌剤（スルファジアジン銀、硫酸ゲンタマイシン）；抗
ヒスタミン薬；ステロイド性および非ステロイド性抗炎
症薬（ドリアムシノロンアセトニド、吉草酸ベタメタシ
ン）；消炎酵素剤；免疫抑制剤など及びグアイアズレン
などの抗炎症薬などがある。そのほかスクワレンなどの
酸化安定性を向上させるためにビタミンＥなどの酸化防
止剤を配合することができる。

［実施例コ 次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発
明はこれらによって限定されるものではない。

（実験方法） ウィスター系雄ラット（体重３５０〜４００ｇ／匹）の
背部を市販の脱毛クリームにて脱毛後、背部両側に各直
径２８ｍｍの２度深達性熱傷を熱水により作成する。こ
こで、背部の右側を治療側、左側を対照側とする。

ラットを３群（各群２０匹の計６０匹）に分けて、各群
に対して上記熱傷を作成し、以下の治療を行った後、熱
傷部位から２４時間後と１週間後に標本を採取し、それ
らをヘマトキシリン会エオシン染色による病理標本とし
、光学顕微鏡下にその違いを観察した。

第１群： 右：予め一４０℃に充分冷却したスクヮレンを熱傷受傷
直後より、熱傷部位に対して１０秒間隔で０．１ｇ／１
回の割合テもって５回、計０．５ｇの量を塗布した。

左：対照（未治療） 第２群： 右：第１群と同様の操作をスクヮラン（−４０℃）を用
いて行った。

左：対照（未治療） 第３群： 右：第１群と同様の操作を室温蒸留水（２０’Ｃ）を用
いて行った。

左：対照（未治療） （実験結果） ２４時間後および１週間後の病理Ｍ織所見としては、非
治療群では真皮上層に好塩基性（エオシン）に染まる熱
変性と思われる層がやや広範囲に見られたが、スクヮラ
ンおよびスクヮレンの治療群ではその程度は軽微であっ
た。

膠原線維の膨化や皮膚付属器の破壊の程度は、非治療群
では強く見られた。

真皮深層には、治療群においても浮［！杖に明るく見え
る層が出現するが、非治療群では顕著に認められた。

結果を表１にまとめたが、治療群では皮膚損傷が非治療
群に比較し軽微となっていた。

［発明の効果］ 本発明のスクワレン、スクワランまたはその混合物は、
極低温においても皮膚に対して感作性を有しないために
、熱傷直後の熱傷部位の局所に直接塗布し、その目的を
達成することができる。

また、極低温においても固化することなく低粘度の液体
であるために皮膚に対する濡れが良く、冷却効果が充分
に得られる。

さらにスクワレン、スクワランまたはその混合物は、熱
傷、特にその初期段階の治療に充分なる効果を発揮する
。さらにスクワレンなどのそれ自体の有する治療効果も
相乗作用として期待できる。

特許出願人　　　日本石油化学株式会社代 理 人 秋 輝 雄

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）スクワレン、スクワランまたはその混合物からな
   る熱傷治療用局所冷却剤。