JPH0413480B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、作動するロール周面を形成する回
転可能なロールと、この中空ロールを長手方向に
貫通し、中空ロールの内周面から間隔を保つて配
置された回転しないクロスヘツドと、中空ロール
とクロスヘツドの間の空間内に入れられ、中空ロ
ールの内周面に接触する液状の熱媒体とを有す
る、ウエブ状材料の圧力・温度処理用ロールに関
する。

［従来の技術］ 上記のロールは例えば西独公開公報第3608374
号により公知である。この公知例では、クロスヘ
ツドと中空ロールの間の空間内の半円筒状の長手
方向チヤンバは、クロスヘツドの両側で延びる長
手方向パツキング及びエンドクロスパツキングに
よつて区切られており、長手方向チヤンバには、
ロール隙で圧延荷重を発生する圧液が充填され
る。作動するロール周面の温度を上げるため、圧
液を加熱することもできる。この場合、圧液は液
状の圧力及び熱媒体として用いられる。空間の残
部はいわゆる漏れチヤンバを形成し、圧液が長手
方向のパツキングの表面に漏れると、一定圧力の
圧液が漏れチヤンバに充填される。ロール隙内の
圧延荷重は、ロール隙側の長手方向チヤンバと漏
れチヤンバとの圧力の相違に従つて決められる。

上記発明は、長手方向チヤンバ内で長手方向に
亘つて延びる液圧式クツシヨンを介して、中空ロ
ールがクロスヘツドの表面に液圧式に支持される
ように形成された前提部分に記載のロールを制作
するのに用いられるだけでなく、単独の圧力ピス
トン（西独公開公報第2230139号）又は圧力受
（西独特許公報第1461066号）によつて中空ロール
の内周面に加圧するロール用にも用いられる。こ
の場合にも、圧力要素に作用する圧液を加熱する
ことができる。種々の機能を組み合わせた構造
も、例えば西独特許公報第2332861号、又は西独
特許公報第3003395号、又は西独公開公報第
3640902号により公知である。西独特許公報第
2332861号では、付加圧力を加える単独の支持要
素が、圧液が充填された長手方向チヤンバに取着
されており、西独特許公報第3003395号では、圧
力が適当な区画要素によつて所々で長手方向チヤ
ンバから抜かれ、西独公開公報第3640902号では、
長手方向パツキングのない空間全体に圧液が充填
され、付加圧力を加えるか又は所々で圧力を抜く
密封要素が設置されている。前述の及びその他の
構造は、中空ロールとクロスヘツドの間の空間に
圧液が流れ、該圧液が中空ロールの内周面に熱を
伝達するので、中空ロールの外周面の温度が上が
るという点で共通している。

前述のロールは主として昇温に係わつている
が、それだけでなく、必要な場合には、例えば西
独特許公報第2844051号のように温度が低下する
ロールもある。従つて、液状の熱媒体（以下、単
に熱媒体という）は中空ロールの内周面に熱を放
出する必要のある場合も、該内周面から熱を吸収
する必要のある場合もある。

この発明の出発点は、製紙分野に於て行なわれ
る熱光沢付けを極めてすぐれたものにするという
課題である。巻取り紙は加熱されたロール隙の間
に送られる。これにより、巻取り紙の表面の可塑
化及び光沢付けが促進される。

現代の抄紙機の作動幅に例えば、光沢付けに用
いられるロールは10mほどの長さが必要であり、
直径は約1.5mである。

巻き取り紙の研磨に対する抵抗力を付与するた
めに、上記のロールはチル鋳物で製造されてい
る。重量が大きくなつて、加速及び減速の際に駆
動力を追加したり吸収したりするのを回避し、か
つロールに生ずる撓みを容易に制御できるよう
に、該ロールは、鋳造技術的に問題がある中実ロ
ールとしてでなく、固定のクロスヘツドの周囲を
回転する中空ロールとして形成されている。

チル鋳物で製造された大型の中空ロールは、温
度応力に対しかなり感度が高い。このため、どの
厚さにでも任意に製造できる訳でなく、前述の直
径1.5mのロールの場合には、上記最小限度は約
140mmである。

この厚さを有する鋳造壁は、当然、熱の伝達に
はかなりの障害となり、熱光沢付けの際、ロール
の外周面にはかなりの熱を供給することが必要で
ある。作動速度が速いと、巻取り紙は非常に多く
の熱を奪う。何故ならば、特に熱光沢付けの際に
は、ロール周面の温度をほぼ150℃に保つ必要が
あるからである。

中空ロールの内周面と外周面の間の温度差を非
常に大きくすれば、熱媒体によて中空ロールの内
周面に沿つてかなり多くの熱を伝達することがで
きる。しかし、これ技術的には不可能である。何
故らば、熱媒体は実際に潤滑剤の働きをしなけれ
ばならず、該熱媒体は高温に耐えるとともに、非
常に薄い膜状に形成されねばならぬからである。
そのために実際には最大限200℃まで加熱するこ
とができるポリグリコールのみが用いられるが、
中空ロールの内周面をこのような温度にしても、
高速で走行する巻取り紙に熱光沢付けを施すため
の十分な熱の伝達は、通常困難なのである。

［発明が解決しようとする課題］ この発明の重要な課題は、上記の種類のロール
の熱伝達能力を高めることである。

［課題を解決するための手段、作用及び発明の効
果］ 上記の課題は、中空ロールがその周囲に亘つて
配設され、内部に上記液状の熱媒体を流す流路を
有すること、クロスヘツドに設けられ、該クロス
ヘツドの内周に封止的に圧接されるパツキング装
置によつて案内チヤンバが形成され、該案内チヤ
ンバには回転しないクロスヘツドに設けられた供
給流路が開口し、又中空ロールに設けられた流路
の入口が開口していること、及び中空ロールとク
ロスヘツドとの間の空間には、中空ロールの流路
の出口が開口していること、によつて解決され
る。

ロール周面に亘つて配設された熱媒体用流路を
ロール内に設けることは、以前から知られてい
る。この流路は例えば軸に平行な長穴の形状をし
ており、該長穴はロールの長手方向に亘つて延
び、温度の均等化を得るため、両端は一定の方法
で雷文状に接続されている。エス・ハー・ウエー
＝ゲー・エム・ベー・ハー（所在地7923ケーニヒ
スブロン）社の雑誌〓エス・ハー・ウエー・エク
ウイテルム〓を参照せよ。公知のロールでは、例
えば西独公開公報第3417093号に示すように、熱
媒体の供給及び非出用に用いられる高価なスウイ
ングジヨイントが必要である。

公知のロールでは、上記のスウイングジヨイン
トは比較的容易に実現された。何故ならば、直径
の比較的小さなロールネツクが設置されていたか
らである。

しかし、この発明の前提部分に示された構造で
は、小さなロールネツクを有する大径の中空ロー
ルが設置されている。該中空ロールでは、公知の
方法で大きな半径の弧を描いて熱媒体が供給され
ることは、かなり問題があつた。この発明では、
外側にスウイングジヨイントを設ける必要なし
に、回転しないクロスヘツドを通して内側から熱
媒体を供給する。熱媒体を中空ロールの流路を通
し、回転しないクロスヘツドに沿つて、ポンプで
供給し排出できることは、重要な利点である。

この発明のロールの全ての熱伝達は、中空ロー
ルとクロスヘツドの間の空間に流れ込む熱媒体に
よつて中空ロールの内周面に生じた熱伝達と、中
空ロールの流路を流れる熱媒体によつて生じた熱
伝達から構成される。

ロール周面に必要な熱伝達を２つの協働する手
段によつて行なうという技術は、西独特許公報第
3429695号により公知である。この場合、追加の
熱は外側から誘導的に加えられる。誘導的な方法
で非常に大きな熱を発生するためには、かなりの
コストが必要とするが、中空ロールに形成された
流路に熱媒体を通すことにより、大きな熱がより
経済的に供給される。

圧延荷重の分布を制御するためには、個々の支
持要素が異なつた圧力を発生するように、各支持
要素に異なつた量の熱媒体を流すことが必要であ
り、その結果各支持要素が動作する領域に於て
は、異なる量の熱が中空ロールに供給されること
となる。この場合、中空ロールに供給される熱媒
体の温度が中空ロールの温度と異なる場合にのみ
中空ロールの温度が変化する。しかし、このよう
な温度変化は請求項７に基づく処理法によつて防
止される。すなわちこの場合には中空ロールと供
給される熱媒体との温度はほぼ同じあるので、中
空ロールに半径方向の温度差が生ずることは無
く、圧延荷重は、ロールニツプに沿う温度の均等
性を低下させることなしに調整される。

［実施例］ 以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明
する。

第１図に全体として符号１００で示されたロー
ルは、回転しいクロスヘツドと、該クロスヘツド
１の周囲を回転する中空ロール２とを有し、該中
空ロール２の内周面３はクロスヘツド１の外周面
４から間隔を保つて組立てられている。中空ロー
ル２の両端はクロスヘツド１に取付けられた軸受
５に支持されている。この軸受５は省略すること
ができ、そのときは中空ロール２は、全体とし
て、適切な案内部材に沿つて半径方向にクロスヘ
ツド１に向かつて移動できるようになつている。

中空ロール２の内周面３とクロスヘツド１の外
周面４との間には断面が環状の空間６が形成され
る。クロスヘツド１の両側の最も幅の広い箇所す
なわち180゜離れた所に取着された長手方向パツキ
ング７と、エンドクロスパツキング８，９とによ
つて、半環状の断面を有し長手方向に延びるチヤ
ンバすなわち、半円筒形の長手方向チヤンバ１１
が空間６内に形成されている。加熱された熱媒体
（破線で図示）は、ポンプ１２によつて、リザー
バ１３から、ポンプ１２に後置された熱交換器１
４と、第１図の右端で長手方向チヤンバ１１に連
通する供給導管１５とを通つて長手チヤンバ１１
に充填される。第１図の左端では、中空ロール２
の内周面３に沿つてロール隙１０の方向で左側に
圧力を印加された熱媒体が、排出導管１６を通つ
て排出される。

長手方向パツキング７は長手方向チヤンバ１１
によつて完全には密閉されず、熱媒体のほぼ一定
量は長手方向チヤンバ１１内の圧力を受けて長手
方向パツキング７の表面に沿つて漏れ、空間６の
長手方向チヤンバ１１以外の空間、すなわち漏れ
チヤンバ１７に送出され、該漏れチヤンバ１７か
ら戻り管１８を通つて図の左方に排出される。差
圧弁１９は長手方向チヤンバ１１と漏れチヤンバ
１７との間の圧力差を所定の値に維持し、これに
よつて、圧延荷重が所定の値に維持される。

軸受５の摺動面には熱媒体の膜が形成され、中
空ロール２に取付けられたキヤツプ２０と、クロ
スヘツド１の間にはパツキング２１が取付けられ
ている。パツキング２１は空間６の軸方向両端を
密閉する作用をなす。

中空ロール２の作動周面２２の温度を決定し、
かつ長手方向チヤンバ１１内で中空ロール２の内
周面３に伝達される熱量を多くするために、軸に
平行な流路３０が中空ロール２内に形成され、該
流路３０には中空ロール２の内周面３に入口３１
と出口３２が設けられている。第１図では流路３
０は２本だけ示されているが、例えば雷文状に接
続された複数個の流路で構成されていてもよい
し、また他の形に形成されていてもよい。いずれ
にしても、ロール１００の作動幅に亘つて周面２
２に於ての熱交換が均等に行なわれればよい。

流路３０には、リザーバ１３からポンプ２３及
び熱交換器２４を介して熱媒体が供給される。こ
のとき該熱媒体はポンプ２３から固定のクロスヘ
ツド１内に形成された供給流路２５に導かれ、該
供給流路２５の出口２６を介して案内チヤンバ２
７に流入する。該案内チヤンバ２７は、長手方向
チヤンバ１１の熱交換器２４側すなわち左側の端
部を密閉するため長手方向チヤンバ１１の半環状
端面に当接するエンドクロスパツキング９と、該
エンドクロスパツキング９と協働して環状の空間
６の全部を密閉する半環状のエンドクロスパツキ
ング２９と、両エンドクロスパツキング９，２９
に対して図の左側に間隔をおいてほぼ平行に、中
空ロール２の内周面に嵌込まれた円板状のエンド
クロスパツキング２８の間に形成されている。

供給流路２５の出口２６及び流路３０の入口３
１は、エンドクロスパツキング９，２９及び２８
の間に形成された案内チヤンバ２７用の出口及び
入口をなすように設けられている。供給流路２５
内を案内される熱媒体の圧力によつて、案内チヤ
ンバ２７は熱媒体で充たされ、該熱媒体は更に流
路３０に入り、空間６内の圧力より高い圧力を受
けて矢印の方向に流れ、出口３２から空間６に流
出する。熱媒体は空間６の中で長手方向チヤンバ
１１から流れ出た漏れ液と混ざり、該漏れ液とと
も戻り管１８を通つて排出される。ともに協働し
てパツキング装置２８，２９を形成するエンドク
ロスパツキング２８，２９は、中空ロール２の内
周面３の所で入口３１に密接して設けられていい
るので、エンドクロスパツキング２８，２９に対
して直角方向に延び、出口２６を通る熱媒体の流
れを阻害する角部は形成されない。

流路３０は、中空ロール２を長手方向に貫通し
直径が例えば30mmの長穴により形成されている。
しかし、流路の他の構造及び配置も可能である。
例えば、中空ロール２を二層構造に形成し、該二
重機構造内部の空間を分離層及び接続壁を用いて
多くの流路に分かち、このようにして形成された
流路すなわち、表面流路を上記流路３０として用
いてもよい。

以下に説明する図面では、部材が機能が同一で
ある限り、符号も同一に付される。

第２図に於てロール２００は、熱媒体が熱交換
器１４を通過後、調圧機３３及び導管１５を介し
て長手方向チヤンバ１１に送られるのでなく、ク
ロスヘツド１の半径方向円筒孔内を案内されるピ
ストン状の液圧式支持要素３４に送られ、該支持
要素３４はロール隙１０の側で内側から中空ロー
ル２の内周面３に接触している点で、ロール１０
０と異なつている。支持要素３４は内部の流路を
有し、熱媒体は該流路を通つて支持要素３４の接
触面に形成された静液圧式の凹所に送られる。熱
媒体は凹所の縁部を越えて流れ、そこで液膜を形
成し、該液膜は支持要素３４と中空ロール２の内
周面３との金属が接触することを防止する。

実際は、一般的にただ１個のみの調圧機３３が
設置されているのでなく、単独の支持要素３４毎
に又は一定のグループの支持要素３４毎に調圧機
３３が設置され、導管１５は、通常、単独の支持
要素３４毎に別個に配管されている。

支持要素３４の縁部を越えて流れた熱媒体は空
間６に流入し、そこで、流路３０を通過する熱媒
体（点線で図示）と混合する。双方の熱媒体は、
ロール１００の場合と同様に、ともに戻り管１８
を通つて排出される。流路３０を流れかつ支持要
素３４に送られる熱媒体の温度は、熱交換器２
４，１４の作用により、ほぼ同一に調節される。
この調節により、支持要素３４と中空ロール２の
内部との温度差は僅少となり、熱は半径方向にほ
とんど伝達されないと考えてよい。従つて支持要
素３４に於て種々異なる量の熱媒体が外側の空間
６に流れ出ることがあるが、該流出によつて、ロ
ール２００の表面に沿つた温度の均等化が妨げら
れることはない。

第３図のロール３００には、長手方向パツキン
グ７によつて区切られた長手方向チヤンバ１１が
設置されており、該長手方向チヤンバ１１には、
圧延荷重を発生する熱媒体が加圧されて充填され
ている。

ロール３００がロール１００及びロール２００
と相違する点は、エンドクロスパツキング２８，
２９によつて形成された案内チヤンバ２７が、熱
媒体を中空ロール２に形成された流路に供給する
ためだけでなく、導出のためにも用いられること
である。流路３０の出口３２は空間６に連通せ
ず、第３図で空間６の右端にも設置されたエンド
クロスパツキング２８，２９の間の案内チヤンバ
２７に連通している。熱媒体は該案内チヤンバ２
７からクロスヘツド１に形成された導管３５を通
つて排出される。こような方法で、流路３０によ
つて送られた熱媒体は、長手方向チヤンバ１１内
の熱媒体から分けられており、特により高い吐出
圧力を有している。それは、高い熱伝達能力が重
要である場合には、特に多量の熱媒体を流路３０
内に通すためである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は圧液が案内される本発明の
ロールの異なる実施例の断面図である。 １……クロスヘツド、２……中空ロール、３…
…内周面、６……空間、７……長手方向パツキン
グ、１１……長手方向チヤンバ、１８……戻り
管、２５……供給流路、２７……案内チヤンバ、
２８，２９……パツキング、３０……流路、３１
……入口、３２……出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 作動するロール周面を形成する回転可能な中
   空ロール２と、上記中空ロール２を長手方向に貫
   通し、該中空ロール２の内周面から間隔を保つて
   配置された回転しないクロスヘツド１と、前記中
   空ロール２とクロスヘツド１との間の空間６内に
   収容され、中空ロール２の内周面３に接触する液
   状の熱媒体を有する、ウエブ状材料の圧力・温度
   処理用ロールに於て、 中空ロール２はその周囲に亘つて配設され、内
   部に上記液状の熱媒体を流す流路３０を有するこ
   と、クロスヘツド１に設けられ、該クロスヘツド
   の内周に封止的に圧接されるパツキング装置２
   ８，２９によつて案内チヤンバ２７が形成され、
   該案内チヤンバ２７には回転しないクロスヘツド
   １に設けられた供給流路２５が開口し、又中空ロ
   ール２に設けられた流路３０の入口３１が開口し
   ていること、及び中空ロール２とクロスヘツド１
   との間の空間６には、中空ロール２の流路３０の
   出口３２が開口していること、 を特徴とする、ウエブ状材料の圧力・温度処理用
   ロール。 ２ 前記パツキング装置は、長手方向パツキング
   ７によつて長手方向を密封された長手チヤンバ１
   １を、軸方向外方に対して密封するエンドクロス
   パツキング２９と、該エンドクロスパツキング２
   ９と近接して配置されたエンドクロスパツキング
   ２８から形成されること、 を特徴とする請求項１に記載のロール。 ３ 中空ロール２とクロスヘツド１との間に形成
   された空間６の一端部の近くに、前記流路３０の
   入口３１が設けられ、上記空間６からの戻り管１
   ８が、上記空間６の他端部の近くに開口している
   こと、 を特徴とする請求項１及び２のいずれか１に記載
   のロール。