JPH04133579U - ホツチキスにおける可動クリンチヤ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は、可動クリンチャ生産において特に時
間を要する溝の切削工程を無くすとともに従来の精度を
維持したクリンチャ装置を提供する。 【構成】一対の可動クリンチャ２，２をセラミックスに
て形成し、両可動クリンチャ２，２を昇降可能なクリン
チャホルダ３に回動可能に軸着するとともに該可動クリ
ンチャ２のドライバ対向面の長手方向に且つ可動クリン
チャ２の回動軸線と非直交方向にクリンチャ溝８を配設
し、ステープル脚折り曲げ時における該両可動クリンチ
ャ２，２の最上昇位置において両ステープル脚を平行に
用紙裏面に折り曲げ形成してなることを特徴とするホッ
チキスにおける可動クリンチャ装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はホッチキスにおけるクリンチャ装置に関し、特にステープル打ち込み 後の綴り用紙の裏面から突出したステープル脚を用紙裏面に沿って折り曲げ形成 する可動クリンチャ装置に関する。

【０００２】

【従来技術】

ホッチキスのドライバにより打ち出されたステープル脚をクリンチャ溝で受け てこのクリンチャ溝に沿ってステープル脚の先端を移動させて用紙等の綴りを行 なうタイプの固定式クリンチャにあっては、綴られたステープル脚は用紙裏面で 所謂めがね形状となるためステープル止めされた部分が嵩高となり、この方式で 綴られた書類は積み重ねられると崩れ易く、またファイルされた場合においては １ファイルに収容される書類が少なくなりファイル数が増加して書類管理上も望 ましいものではなかった。

【０００３】 このため、書類裏面に沿ってステープル脚を折り曲げる所謂フラットクリンチ 方式のステープル止めがある。このフラットクリンチは書類裏面から突出したス テープル脚を受け入れるための凹部と、この凹部に幅狭の上面部に溝を形成され た一対の可動クリンチャを回動自在に軸着した構成を有し、この可動クリンチャ のクリンチャ溝に受け入れたステープル脚を回動時に書類裏面に沿って折り曲げ ることによりステープル脚を書類裏面に密着させている。

【０００４】 しかしながら、この可動クリンチャにはプレス等により打ち抜かれた金属ブロ ック片の側面に切削により溝が形成される。このため量産時においては切削条件 により加工された面にステープル脚の滑りに影響を与えるツールマークが付くこ とがあり、このような仕上げを無くしステープル脚先端を円滑にガイドさせるた め研磨仕上げが行なわれている。特に、書類裏面を貫通したステープル脚の幅が 広がった状態であっても正確にクリンチャ溝に案内すべく更に、所定の硬度を得 るための熱処理が行なわれ最後にメッキを施されて完成品となる。このように可 動クリンチャは加工工程が多く、特に切削加工は可動クリンチャとなるブロック 片が小さく又溝形状も複雑であるため時間を要する工程であった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上述のとおり、可動クリンチャを金属片より製造する場合は時間を要する加工 工程があり量産を阻害する原因となっていた。このため可動クリンチャ生産にお いて特に時間を要する溝の切削工程を無くすとともに従来の精度を維持したクリ ンチャ装置を提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案のホッチキスにおける可動クリンチャ装置は 、ドライバ作動により綴り用紙裏面から突き出たステープル脚を用紙裏面に沿っ て折り曲げ形成する可動クリンチャ装置であって、一対の可動クリンチャをセラ ミックスにて形成し、両可動クリンチャを昇降可能なクリンチャホルダに回動可 能に軸着するとともに該可動クリンチャのドライバ対向面の長手方向に且つ可動 クリンチャの回動軸線と非直交方向にクリンチャ溝を配設し、ステープル脚折り 曲げ時における該両可動クリンチャの最上昇位置において両ステープル脚を平行 に用紙裏面に折り曲げ形成してなることを特徴とする。

【０００７】

【実施例】

以下、図１乃至図４により本考案の実施例について説明する。図１は本考案の 可動クリンチャ装置、図２は可動クリンチャ装置を構成する可動クリンチャの拡 大図、図３は可動クリンチャ装置を備えたホッチキスであり、図４(ａ)，(ｂ)は 本考案の可動クリンチャの作動説明図である。

【０００８】 図１において１は本考案に係る可動クリンチャ装置であり、一対の可動クリン チャ２，２を軸着したクリンチャホルダ３と該クリンチャホルダ３を上下動可能 に案内するガイド部材４を備えている。可動クリンチャ２は図２に示すように、 一端にクリンチャホルダ３に軸着される孔５を備えている。上面６には前記孔５ の近傍側に突出部７を膨出し、他端に向いクリンチャ溝８が形成されている。ク リンチャ溝８は一端から他端に向い略一定の幅に形成されるとともにその進行方 向は可動クリンチャ２の回動軸線と非直交状態で延びている。可動クリンチャ２ はクリンチャ溝８の端部に突出部７を設けた構造となっているため溝の切削加工 を不要としたセラミックスにより構成されている。本実施例では強度と耐摩耗性 に優れ且つ表面の平滑性に富んだジルコニアセラミックスを採用しているが、ア ルミナセラミックス等のセラミックスにより成形してもよい。

【０００９】

【作用】

図３は可動クリンチャ装置１を備えたホッチキス９である。１０はステープル １１を打ち込むドライバであり、ドライバ１０を保持したドライバホルダ１２に 引張バネ１３を介して連結された駆動リンク１４により駆動操作される。可動ク リンチャ２を軸着したクリンチャホルダ３は常時板バネ１５により上昇位置に付 勢されるとともに移動部材１６の一端にその底部を当接させて下降が阻止されて いる。移動部材１６の他端はカム部材１７側に起立されており、圧縮バネ１８に より可動クリンチャ装置１側に押圧付勢されている。カム部材１７は１綴りサイ クルで１回転するよう制御されており、駆動リンク１４を制御するカム部１９と 移動部材１６を制御する突片２０とにより綴り用紙貫通後のステープル脚の折り 曲げを可能にしている。

【００１０】 図４(ａ)は、ステープル１１の脚２１が用紙２２裏面からが突出したときの図 であり、クリンチャホルダ３の軸２３，２３に軸着された可動クリンチャ２，２ はクリンチャホルダ３が上昇位置にあるため互いのクリンチャ溝８，８が対向位 置にあり、用紙２２裏面を貫通して延びたステープル脚２１が脚間隔を広げた状 態で打ち込まれた場合であっても突出部７，７によりステープル脚２１はクリン チャ溝８に案内されることになる。ステープル１１の貫通が終了するとカム部材 １７の回転により移動部材１６の他端が突片２０により図３中右方向に移動し、 クリンチャホルダ３との係合を解除し、板バネ１５のバネ力に抗して下方に移動 する。クリンチャホルダ３の下方には固定片２４がホッチキス９に固定されてお り、この固定片２４との当接により可動クリンチャ２は軸２３を中心に回動し、 図４(ｂ)に示すようにステープル脚２１を用紙２２裏面に沿って折り曲げステー プル綴りを完了させる。

【００１１】 また、両可動クリンチャ２，２はその回動によりステープル脚２１，２１を平 行に用紙２２裏面に沿って密着させるため、その上面６のクリンチャ溝８を回動 軸２３の軸線に対して非直交状態となるように所定の角度を維持して形成してい る。これによりステープル脚２１，２１は重なり合うこと無く折り曲げられる。

【００１２】

【考案の効果】

セラミックス製クリンチャは金属のクリンチャと異なり粉末のアルミナを焼結 して得られるものであり、予め所望のクリンチャ溝を備えた形状にて焼結するこ とができるため、焼結後にクリンチャに溝を付けるための切削工程等を付加する 必要がないものである。特に、クリンチャ溝の延長上にステープル脚をクリンチ ャ溝に案内する突出部を設けた可動クリンチャにあっては、突出部近傍の溝が１ 回の切削では浅いものとなるため更に第２の切削工具により突出部近傍の溝を所 定の深さに切削することとなるが、この工程をセラミックス製とすることで無く すことができ、生産性を著しく向上させることができる。

【００１３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る可動クリンチャ装置の図。

【図２】本考案に係る可動クリンチャの拡大図。

【図３】可動クリンチャ装置を装着したホッチキスの概
略説明図。

【図４】可動クリンチャの作動説明図。

【符号の説明】

１ 可動クリンチャ装置 ２ 可動クリンチャ ３ クリンチャホルダ ４ ガイド部材 ７ 突出部 ８ クリンチャ溝 ２４ 固定片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドライバ作動により綴り用紙裏面から突き
   出たステープル脚を用紙裏面に沿って折り曲げ形成する
   可動クリンチャ装置１であって、一対の可動クリンチャ
   ２，２をセラミックスにて形成し、両可動クリンチャ
   ２，２を昇降可能なクリンチャホルダ３に回動可能に軸
   着するとともに該可動クリンチャ２，２のドライバ対向
   面の長手方向に且つ可動クリンチャ２の回動軸線と非直
   交方向にクリンチャ溝８を配設し、ステープル脚折り曲
   げ時における該両可動クリンチャ２，２の最上昇位置に
   おいて両ステープル脚を平行に用紙裏面に折り曲げ形成
   してなることを特徴とするホッチキスにおける可動クリ
   ンチャ装置。