JPH0413045B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、軸とスリーブを有し、軸の外周面に
動圧発生溝を有する溝付き流体軸受の製造装置に
関するものである。

従来例の構成とその問題点 溝付き流体軸受とは、第１図に示すように、軸
１の外周にスリーブ２が回転自在に挿入され、軸
１の外周面には動圧発生溝１Ａが設けられ、また
軸とスリーブの協働面には、潤滑剤３が注油され
ており、軸１またはスリーブ２のいずれか一方が
回転することにより動圧発生溝１Ａのポンピング
作用により圧力を発生するものである。軸１に、
この種の動圧発生溝１Ａを加工する方法として
は、軸１より硬質なボールを用いて塑性加工する
方法があるが、従来この具体的製造方法として第
２図に示す方法がある。図のように硬質な回転カ
ラー５を被加工物となる軸１と同軸上に設け、こ
の回転カラー５と軸１の間にはガイドパイプ４を
同軸かつ回転自在に設け、このガイドパイプ４に
は軸１の回りに対称的に配置された複数庫のガイ
ド穴４Ａ，４Ｂを有し、そこには複数庫の硬質な
ボール６Ａ，６Ｂが転動自在にはめ込まれてい
る。

このとき軸１の外周位置で回転カラー５にWo
の回転速度とVoの送り速度を与えると共にこの
回転により回転カラー５と軸１の間で公転するボ
ール６Ａ，６Ｂにガイドパイプ４が追従するかの
ようにガイドパイプ４にWiの回転速度とViの送
り速度を与えてボール６Ａ，６Ｂにより軸１に動
圧発生溝１Ａを塑性加工を施すものであつた。

ところが従来のこの製造方法においては回転カ
ラー５とガイドパイプ４にそれぞれ別の回転速度
Wo、Wiを与えねばならないので製造設備が複雑
になること、また回転カラー５の内径はテーパが
なくストレートであることが望ましいが、どうし
ても部分的に２〜３ミクロンメータの直径のバラ
ツキがでるものであり、このとき回転カラー５と
ガイドパイプ４の送り速度VoとViに少しのズレ
が生じたときにボール６Ａ，６Ｂが接する部分で
の回転カラー５の直径が変化し、わずかにボール
６Ａ，６Ｂがガイド４Ａ，４Ｂの中で出入りし、
加工する動圧発生溝１Ａの深さに数ミクロンメー
タのバラツキが生じることがあつた。このバラツ
キは軸受の回転性能を損うのでとくに大きな欠点
になるものであつた。

発明の目的 本発明は上記従来の欠点を解消するものであり
動圧発生溝の製造装置に係わり、その深さのバラ
ツキを少なく、高精度に加工でき、かつ製造設備
を簡単にするものである。

発明の構成 本発明は中心に対して直角かつ同軸な円周上に
配置された複数個のガイド穴を有するガイドパイ
プと、前記ガイド穴に回転自在に挿入された硬質
な複数個のボールとこのボールの外側で接し、回
転自在なカラーと、このカラーの軸方向の動きを
規制するストツパーを有し、前記軸外径と前記ボ
ール２個分の直径の総合計より前記カラーの内径
をわずかに小さくなるよう組合せたもので、設備
を簡単にして被加工物の溝深さのバラツキの少な
い装置を提供できる。

実施例の説明 以下に本発明の一実施例を第３図にもとづいて
説明する。ガイドパイプ７にはガイドパイプ７の
中心にして直角かつ同軸な円周上に配置された複
数個のガイド穴７Ａ，７Ｂを有しており、このガ
イド穴７Ａ，７Ｂには硬質なボール９ａ，９Ｂが
回転自在に挿入され、またガイドパイプ７の外周
にはボール９Ａ，９Ｂに接して円径の真円度が
0.5ミクロンメータ以下程度に加工されたカラー
８が回転自在に設けられている。またガイドパイ
プにはストツパー１０が固定され、カラー８の軸
方向の動きを規制している。また、軸１の外径よ
りもカラー８の内径とボール９Ａ，９Ｂの２個分
の直径の合計はわずかに小さくなるようカラーの
内径は選定されている。この状態で軸１と同軸で
かつ軸の外周付近でガイドパイプ７に回転速度Ｗ
と共に送り速度Ｖを与えると動圧発生溝１Ａはボ
ール９Ａ，９Ｂにより塑性加工される。またこの
ときカラー８は、ボール９Ａ，９Ｂに接して自在
に回転しつつボール９Ａ，９Ｂを被加工物である
軸１に強く押しつけると共にボールを自在に転動
させる役目をはたす。図１に示すようなヘリング
ボーン型の動圧発生溝１Ａを加工するにわたつて
は、第３図においてボール９Ａ，９Ｂが必要な距
離だけ進んだときに、ガイドパイプ７の送り速度
Ｖは変えずに回転速度Ｗを逆方向に切替えること
により形成することができる。

第４図に本発明の第２の実施例を示す。１は被
加工物となるシヤフト、７はガイドパイプ、８は
カラー、９Ａ，９Ｂはボール、１０はストツパー
であり、第１の実施例と同じである。本実施例に
おいては、カラー８の両端面にガイド溝８Ａ，８
Ｂがあり、ここにガイドボールまたはローラー１
１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄが組込まれてお
り、ローラー８の回転をスムーズにすると共に軸
方向のガタを規制している。本実施例の動作につ
いては第１の実施例と同じである。

このような本発明においては動圧発生溝１Ａを
形成するにあたりガイドパイプ７だけに送りおよ
び回転速度を与えればよいので製造設備が簡単に
なる。またカラー８は軸方向の動きを規制されて
いるため、従来のように回転カラー５とガイトパ
イプ４の位置にズレが生じることがない。第３図
においてカラー８の円筒度は３〜４ミクロンメー
タ許容されているが、もしカラー８に従来のよう
な位置ズレが生じるとボール９Ａ，９Ｂは数ミク
ロンメータガイド穴７Ａ，７Ｂの中で出入りし、
これにより加工される動圧発生溝１Ａの深さが数
ミクロンメータの変化を生じることになるが、第
３図においてはボール９Ａ，９Ｂの出入りはほと
んどなく、動圧発生溝の深さにバラツキが生じな
い。とくにこの溝の深さは10ミクロンメータ程度
と浅いため、２ミクロンメータ程度の深さのバラ
ツキが流体軸受の性能、信頼性に大きな影響を与
えるのでとくにこれは重要な課題であつた。

発明の効果 このように本発明はガイドパイプにカラーと硬
質なボールを取付け、軸の外周で回転および送り
速度を与えることにより溝深さのバラツキがなく
高精度かつ簡単に動圧発生溝を加工するという特
徴を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係わる溝付き流体軸受の断面
図、第２図は従来の軸外周に溝を形成する製造装
置の断面図、第３図は本発明の一実施例における
軸外周に溝を形成する製造装置の断面図、第４図
は本発明の第２の実施例における同断面図であ
る。 １……軸、１Ａ……動圧発生溝、２……スリー
ブ、７……ガイドパイプ、７Ａ，７Ｂ……ガイド
穴、８……カラー、９Ａ，９Ｂ……ボール、１０
……規制手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数個のガイド穴７Ａ，７Ｂを有するガイド
   パイプ７と、前記ガイド穴７Ａ，７Ｂに回転自在
   に挿入された複数個のボール９Ａ，９Ｂと前記ボ
   ール９Ａ，９Ｂに外接し、ガイドパイプ７の外周
   で回転自在なカラー８と前記カラー８の軸方向の
   動きを規制するストツパー１０を有し、前記ガイ
   ド穴７Ａ，７Ｂおよびボール９Ａ，９Ｂはガイド
   パイプ７の中心軸に対して直角かつ同軸な円周上
   に位置し、ボール９Ａ，９Ｂおよびカラー８は軸
   １より硬質な材料からなり、ボール９Ａ，９Ｂの
   円接径は軸１の外径より小さく設定され、流体軸
   受用軸１の外周においてガイドパイプ７に回転運
   動および軸方向に送りを与えることにより前記軸
   １の外周に動圧溝１Ａを加工施す溝付き流体軸受
   の製造装置。