JPH04129930U - クラツチ組立体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一定の押圧力でプレッシャープレートを挟持
できるクラッチ組立体を提供する。 【構成】 本考案に係るクラッチディスク用フライホイ
ール１は、エンジン側の動力を伝達するとともに、クラ
ッチディスク６をプレッシャープレート４との間で挟持
するためのものである。このフライホイール１は、固定
フライホイール１０と、可動フライホイール１１と、移
動部と、駆動手段とを備えている。前記固定フライホイ
ール１０は、エンジン側に固定されるものである。前記
可動フライホイール１１は、固定フライホイール１０の
クラッチディスク６側に設けられ、クラッチディスク６
と当接し得る軸方向移動可能なものである。前記移動部
は、固定フライホイール１０のクラッチディスク６側に
設けられ、クラッチディスク６の摩耗量に応じて移動す
るものである。前記駆動手段は、固定フライホイール１
０に設けられ移動部の移動量に応じて可動フライホイー
ル１１をクラッチディスク６側に移動させるための手段
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジン側の動力を断接するためのクラッチ組立体に関する。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

自動車の駆動系に用いられるクラッチ組立体は、一般に、エンジン側の動力を 変速機側に伝達するためのフライホイール，クラッチカバー組立体，クラッチデ ィスククラッチカバー組立体が装着される。

【０００３】 このクラッチカバー組立体は、主に、フライホイールに接続されるクラッチカ バーと、フライホイールとの間でフェーシング（クラッチディスク）を挟持する ためのプレッシャープレートと、プレッシャープレートをフライホイール側に押 圧するためのダイヤフラムスプリングとを有している。

【０００４】 このようなクラッチカバー組立体において、前記ダイヤフラムスプリングの荷 重特性は撓みとともに変化する。このため、フェーシングが摩耗すると、ダイヤ フラムスプリングの支持高さが変化してフェーシングに対する押圧力が変化する 。この結果、クラッチペダル踏力が増大したり、クラッチが滑ったり等の不具合 が発生するおそれがある。

【０００５】 本考案の目的は、フェーシングの摩耗の有無にかかわらず常に一定の押圧力で プレッシャープレートを挟持できるクラッチ組立体を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るクラッチ組立体は、エンジン側の動力を伝達するとともに、クラ ッチディスクをプレッシャープレートとの間で挟持するためのものである。この うち、フライホイール部は、固定部と、可動部と、移動部と、駆動手段とを備え ている。

【０００７】 前記固定部は、エンジン側に固定されるものである。前記可動部は、固定部の クラッチディスク側に設けられ、クラッチディスクと当接し得る軸方向移動可能 なものである。前記移動部は、固定部のクラッチディスク側に設けられ、クラッ チディスクの摩耗量に応じて移動するものである。前記駆動手段は、固定部に設 けられ、移動部の移動量に応じて可動部をクラッチディスク側に移動させるため の手段である。

【０００８】

【作用】

本考案では、可動部と、プレッシャープレートとの間でクラッチディスクが挟 持される。そして、エンジン側の動力は、固定部から可動部及びクラッチディス クを介してプレッシャープレートに伝達される。

【０００９】 クラッチディスクが摩耗すると、固定部に設けられた移動部が、クラッチディ スクの摩耗量に応じて移動する。そして、駆動手段により、移動部の移動量に応 じて可動部がクラッチディスク側に移動する。この結果、クラッチディスクの摩 耗量に応じて可動部がクラッチディスク側に移動することになる。

【００１０】 これにより、一定の押圧力でクラッチディスクを挟持できる。

【００１１】

【実施例】

本考案の一実施例を図１に示す。 図１において、フライホイール１上には、クラッチカバー組立体２が設けられ ている。このクラッチカバー組立体２は、フライホイール１上に固定されるクラ ッチカバー３と、クラッチカバー３内に配置されたプレッシャープレート４と、 プレッシャープレート４をフライホイール１側に押圧するためのダイヤフラムス プリング５とを有している。

【００１２】 プレッシャープレート４は、概ね円環状の部材であり、ストラッププレート（ 図示せず）を介してクラッチカバー２０に軸方向（図１上下方向）移動可能に取 り付けられている。プレッシャープレート４には、フライホイール１との間でク ラッチディスクのフェーシング６を挟持するための押圧面４ａがフライホイール １側に形成されている。ダイヤフラムスプリング５側のプレッシャープレート４ 側の面には、円周上に複数の突起部４ｂが形成されている。また、プレッシャー プレート４の外周部には、円周上の複数箇所に軸方向の貫通孔４ｃが形成されて いる。

【００１３】 ダイヤフラムスプリング５は、クラッチカバー３と同心に配置されている。ま た、ダイヤフラムスプリング５は、その半径方向中間部が、クラッチカバー組立 体２に取り付けられたスタッドピン７及びワイヤリング８によって支持されてい る。ワイヤリング８は、ダイヤフラムスプリング５の両側方に配置されており、 ダイヤフラムスプリング５の作動支点となっている。

【００１４】 フライホイール１は、エンジン側に固定される固定フライホイール１０と、円 環状の可動フライホイール１１とを有している。フェーシング６側の固定フライ ホイール側面１０ａには、円周状に第１凹部１２ａ及びこれと連通する第２凹部 １２ｂが形成されている。各凹部１２ａ，１２ｂ内には、それぞれ可動フライホ イール１１が軸方向移動可能に挿入されている。クラッチディスク６側の各可動 フライホイール側面１１ａは、それぞれフェーシング６と当接し得るようになっ ている。

【００１５】 また、固定フライホイール１０内において、第１凹部１２ａの外周側には、複 数の穴１３が形成されている。各穴１３内には、ピストン１４が軸方向移動可能 に挿入されている。ピストン１４のピストンロッド１４ａは、固定フライホイー ル１０を貫通してプレッシャープレート４側に延びており、プレッシャープレー ト４外周部の孔４ｃ内を挿通している。ピストン１４とプレッシャープレート４ との間においてピストンロッド１４ａの周囲には、コイルばね１５が縮設されて いる。コイルばね１５の一端はピストン１４端面に、また他端はプレッシャープ レート４の押圧面４ａに圧接している。

【００１６】 固定フライホイール１０内において、第２凹部１２ｂと穴１３とを連通する複 数の管路２０が形成されている。管路２０及び凹部１２ｂ，穴１３内には、圧油 が導入されている。管路２０と、第２凹部１２ｂ及び穴１３との間には、それぞ れチェック弁２１，２２が設けられている。チェック弁２１は管路２０から第２ 凹部１２ｂ側へ、またチェック弁２２は穴１３から管路２０側へのみ圧油を流す ためのものである。管路２０の他端には、管路２０と連通する隔室２８が形成さ れている。隔室２８内には、管路２０内の圧油に作用した圧力を蓄えるための蓄 圧手段３０が設けられている。この蓄圧手段３０は、隔室２８内を摺動可能なピ ストン３１と、ピストン３１の背面側に装着されたコイルばね３２とから構成さ れている。

【００１７】 次に、上述の実施例の動作について説明する。 初期のセット状態においては、図１に示すように、ダイヤフラムスプリング５ の外周部５ａがプレッシャープレート４の支持部４ｂに圧接している。これによ り、プレッシャープレート４及び可動フライホイール１１の各押圧面４ａ，１１ ａとの間にフェーシング６が挟持される。

【００１８】 クラッチの使用により、図２に示すように、フェーシング６に摩耗ｗが生じる と、ダイヤフラムスプリング５の押圧力によって、プレッシャープレート４がフ ライホイール１側に移動する。このプレッシャープレート４の移動により、コイ ルばね１５が縮み、この縮み量に応じた圧力がピストン１４を介して室１３内の 圧油に作用する。この圧油に作用した圧力は、チェック弁２２を介して隔室２８ 内に作用し、蓄圧手段３０に伝えられる。また、このとき、可動フライホイール １１上にはフェーシング６を介してプレッシャープレート４が圧接しているため 、管路２０内の圧力は、チェック弁２１を介して可動フライホイール１１側には 伝えられない。この結果、コイルばね１５の縮み量に対応する作動油の圧力が蓄 圧手段３０のピストン３１に伝えられる。これにより、コイルばね１５の縮み量 に対応してコイルばね３２が縮み、ピストン３１が後退する。

【００１９】 次に、レリーズ操作が行われると、ダイヤフラムスプリング５が図３に示すよ うな姿勢となり、プレッシャープレート４及びフェーシング６がダイヤフラムス プリング５側に移動する。一方、このプレッシャープレート４及びフェーシング ６の移動により、可動フライホイール１１上への押圧力が解除されるため、蓄圧 手段３０に蓄えられていたばね圧がチェック弁２１を介して可動フライホイール １１の支持部１１ｂに作用する。また、このとき、チェック弁２２の作用により 、蓄圧手段３０からの圧力はピストン１４側には作用しない。しかも、ピストン １４はコイルばね１５により固定フライホイール１０内に付勢されているので、 その位置は維持されている。この結果、蓄圧手段３０のばね圧に応じて可動フラ イホイール１１がフェーシング６側に移動し、その押圧面１１ａが、固定フライ ホイール１０の側面１０ａよりもｗだけ突出することになる。

【００２０】 次に、レリーズ操作を解除すると、ダイヤフラムスプリング５の押圧力により 、プレッシャープレート４及びフェーシング６が可動フライホイール１１側に移 動する。このとき、上述のように、可動フライホイール１１が、フェーシング６ の磨耗ｗだけフェーシング６側に移動しているため、プレッシャープレート４の 支持部４ｂが初期セット状態と同じ高さ状態に置かれる。これにより、支持部４ ｂに圧接するダイヤフラムスプリング５のセット荷重が初期の荷重に維持される 。このようにして、フェーシング６が、可動フライホイール１１とプレッシャー プレート４との間で一定の押圧力により挟持されることになる。

【００２１】 〔他の実施例〕 （ａ） 前記実施例では、可動フライホイール１１をフェーシング６の摩耗量に 応じてフェーシング６側に移動させる機構として、チェック弁２１，２２、管路 ２０及び、蓄圧手段３０等から構成される構成を用いたが、本考案の適用はこれ に限定されない。

【００２２】 例えば、ピストン１４と可動フライホイール１１との間に、ピストン１４の移 動量に応じて弾性変形し、この変形量に応じた反発力を可動フライホイール１１ に作用し得る弾性部材、例えばばねが配置される構成としても良い。

【００２３】 （ｂ） 前記実施例では、プレッシャープレート４の移動量に応じてピストン１ ４も移動させるためにコイルばね１５を用いたが、例えばピストンロッド１４ａ とプレッシャープレート４との間にラチェット機構を設け、プレッシャープレー ト４のフライホイール１側への移動の際にのみピストンロッド１４ａがプレッシ ャープレート４と一体的に移動し得る構成としても良い。

【００２４】

【考案の効果】

本考案に係るクラッチディスク用フライホイールでは、クラッチディスクの摩 耗量に応じて移動する移動部と、移動部の移動量に応じて可動部をクラッチディ スク側に移動させる駆動手段とが設けられるので、可動部とプレッシャープレー トとの間でクラッチディスクを一定の押圧力により挟持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の縦断側面部分図。

【図２】前記実施例の動作を説明するための図。

【図３】前記実施例の動作を説明するための図。

【符号の説明】

１ フライホイール ４ プレッシャープレート ６ フェーシング １０ 固定フライホイール １１ 可動フライホイール １４ ピストン ３０ 蓄圧手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン側の動力を断接するためのクラッ
   チ組立体であって、エンジン側に固定される固定部と、
   前記固定部の前記クラッチディスク側に設けられ、前記
   クラッチディスクと当接し得る軸方向移動可能な可動部
   と、前記固定部の前記クラッチディスク側に設けられ、
   前記クラッチディスクの磨耗量に応じて移動する移動部
   と、前記固定部に設けられ、前記移動部の移動量に応じ
   て前記可動部を前記クラッチディスク側に移動させるた
   めの駆動手段と、を備えたクラッチ組立体。