JPH0412711B2 - - Google Patents

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JPH0412711B2
JPH0412711B2 JP61205588A JP20558886A JPH0412711B2 JP H0412711 B2 JPH0412711 B2 JP H0412711B2 JP 61205588 A JP61205588 A JP 61205588A JP 20558886 A JP20558886 A JP 20558886A JP H0412711 B2 JPH0412711 B2 JP H0412711B2
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oily
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Yoshiji Kosugi
Noboru Tomizuka
Hideo Suzuki
Akira Nakabayashi
Toshio Hamaguchi
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Tsukishima Kikai Co Ltd
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Agency of Industrial Science and Technology
Tsukishima Kikai Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、固定化リパーゼを用いて油脂、リン
脂質、高級脂肪酸エステル等を加水分割し、脂肪
酸やモノグリセライド、ジグリセライド等の油状
分解産物と、グリセリン、グリセロリン酸、アル
コール等の水溶性分解産物を効率よく分別採取す
る方法に関するものであり、油脂工業、医薬品工
業、食品工業等広い応用が期待されるものであ
る。 〔従来の技術〕 固定化リパーゼの反応装置としては、光架橋性
ゲルに包括固定化したリパーゼをカラムに充填
し、予め水と油を撹拌しておき、エマルジヨン状
態になつた油水混合物を充填塔に還流させる方法
(Y.Kimura et al.Eur.J.Appl.Microl.
Biotechnol.、17、107(1983))、ポリプロピレン
で出来ている精密濾過膜のホローフアイバー表面
にリパーゼを吸着させ、ホローフアイバーの内側
に油を、ホローフアイバーの外側にグリセリン及
び水を向流的に流して油脂を連続分解する方法
(M.M.Hoq et al.Agric.Biol.chem.、49(11)、
3171〜3178(1985)、及び本発明者らは先に開発し
た塔型固定化リパーゼカラムを用いて、中上段よ
り水溶液、中下段より油状物質を連続的に供給
し、上端より油状分解産物、下端より水溶性分解
産物を連続的に採取する方法が知られている。
(小杉等 特開昭61−85195号)。 〔発明が解決しようとする問題点〕 既に報告されている固定化カラムに予め混合さ
せた油水エマルジヨンを通す方法は、エマルジヨ
ン粒子の固定化担体内に拡散する移動速度が著し
く遅いため、固定化カラムに何回も反応液を循環
させる必要があり連続化が困難である。また油状
生産物と、水溶性生産物を連続的に分別採取する
こともできない。 ホローフアイバーを用いる方法は、油が水とグ
リセリン層に混ざり合わないようにするには、水
とグリセリン層の圧力を油層の圧力より常に高く
するように制御し、しかも高分解率にまで分解す
るためには流速を遅くし広大な面積の精密濾過膜
を使わなければならない。この状態で長時間運転
すると精密濾過膜の目づまりが起り性能を著しく
低下させるため定期的に洗浄してやらねばならな
い。 塔型リパーゼカラムを用いて油状物質と水溶性
物質を向流的に供給する方法は、カラム内の油状
物質と水溶性物質の通路が完全に分かれてしまう
チヤネリング現象を防ぐため最初に油状物質と水
溶性物質の微細エマルジヨンをつくり固定化リパ
ーゼカラムに流し、油状物質と水溶性物質が混じ
り合いながら流れる通路を確保しなければなら
ず、またその処理速度は充填カラム内の油水分離
速度に依存しているため太くてかつ短いカラムを
使う等の工夫が必要で運転条件の制約も多く固定
化リパーゼの活性度を充分に発揮させることが困
難であつた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、従来法の諸欠点を改良すべく鋭
意研究を重ねた結果、多段反応槽により固定化リ
パーゼを用いて油状物質を加水分解するに際し、
50℃以上に保つて油状物質と水溶性物質及び固定
化リパーゼを混合及び分離すれば、温度が高いの
で混合及び分離が容易にでき、しかも混合及び分
離をくり返すことにより、固定化リパーゼの外部
拡散抵抗を下げて固定化リパーゼの活性度を充分
発揮できること、分離した油状物質と水溶性物質
をおのおの別の隣接する反応槽の固定化リパーゼ
と反応させることにより、油状物質と水溶性物質
を向流的に接触させ、反応生産物の阻害や反応平
衡による反応停止の影響が改善されること、及び
油状物質の平均供給速度を水溶性物質の平均供給
速度より速くすることにより、水溶性生産物中の
グリセリンとかアルコール等の可溶性成分の濃度
が高くなるため、後に蒸留してこれらの可溶性成
分を回収するエネルギーを節減できる等の利点を
見い出し、この知見に基づいて本発明をなすに至
つた。 すなわち、本発明は、多段反応槽において、固
定化リパーゼを用いて油状物質を加水分解するに
際し、50℃以上の条件下で混合し反応させ、固定
化リパーゼ、油状物質及び水溶性物質をそれぞれ
分離し、油状物質の平均供給速度を水溶性物質の
平均供給速度よりも速くなるように向流的に接触
させることを特徴とする油脂加水分解法である。 本発明に用いる多段反応槽とは、油状物質と水
溶性物質及び固定化リパーゼを保温しながら混合
できる互に連結しうる二個以上の反応容器をい
う。各反応槽が、混合反応部と分離部とに分割さ
れていてもよい。保温温度は固定化リパーゼの反
応至適温度にすれば良いが、混合及び分離の容易
さから50℃以上が選ばれる。混合方法は固定化リ
パーゼの機械的強度があまり高くないことが多い
ので、振とう法とかリボン撹拌翼等を用いて連続
もしくは間欠撹拌によつて、油状物質と水溶性物
質及び固定化リパーゼをほぼ均一に分散させるの
がよい。 本発明における油状物質とは、加水分解反応の
基質となる油脂、リン脂質、脂肪酸エステル等と
その反応生産物であるジグリセライド、モノグリ
セライド、脂肪酸等の水に不溶な物質で、通常そ
の比重は水の比重よりも軽く、イソオクタン、ヘ
キサン、ヘプタン等の非極性溶媒に可溶な物質で
油層を形成するものである。油水分離しやすくす
るために上記の非極性溶媒を添加した場合は、そ
れも油状物質として扱われる、さらに水溶性物質
とは、グリセリン、グリセロリン酸、アルコール
等の水溶性生産物の水溶液であり、必要に応じて
外部から添加した可溶性添加物も溶解した水層を
形成する水溶液である。 本発明に使用されるリパーゼは、油脂等を加水
分解する酵素で固定化リパーゼが50℃以上で安定
なものならばいづれのものを用いてもさしつかえ
ない。シユウドモナス・フルオレセンス・バイオ
タイプNo.1021(微工研菌寄5495号)やシユウド
モナス・セパシア(微工研菌寄5494号)によつて
生産されるリパーゼは脂肪酸及びグリセリン製造
に適したリパーゼとしてあげられる。リパーゼの
固定化法としては、担体結合法や架橋法など酵素
の固定化法として数多く報告されている方法のい
づれでも採用しうる。しかし混合及び分離操作を
するので、固定化リパーゼの物理的強度がある程
度高いものが望ましい。マクロポーラスな陰イオ
ン交換体に結合させ、グルタールアルデヒドで強
化するリパーゼ固定化法は、リパーゼ分子周辺の
微細環境が加水分解生産物である脂肪酸阻害を取
り除くようになるとともに、リパーゼが担体に多
点結合して安定化するため、高濃度反応や長時間
使用が可能となり望ましい固定化方法である。 本発明の運転方法の1例としては、50℃以上に
保つて油状物質と水溶性物質及び固定化リパーゼ
を一定時間混合させた後、50℃以上に保つて振と
うや撹拌を停止もしくは緩速にして、上層にくる
油状物質と、下層にくる水溶性物質を分離し、そ
の上層及び下層をおのおの別の隣接する反応槽の
固定化リパーゼと反応させることにより、油状物
質と水溶性物質を向流的に接触させる。その際油
状物質の平均供給速度が水溶性物質の平均供給速
度よりも速くすると、水溶性物質中の水溶性生産
物濃度が高くなる。油状物質の平均供給速度と
は、多段反応槽中で反応している油状物質の総量
を多段反応槽から採取される油状物質が固定化リ
パーゼと接触して反応した総反応時間で割つた値
である。なお定常状態においては、生産される油
状物質の総量は油状物質の総供給量とほぼ等しい
ものである。水溶性物質の平均供給速度とは、多
段反応槽中で反応している水溶性物質の総量を多
段反応槽から採取される水溶性物質が固定化リパ
ーゼと接触して反応している総反応時間で割つた
値である。なお定常状態においては、生産される
水溶性物質の総量も水溶性物質の総供給量とほぼ
等しいものである。 油状物質と水溶性物質及び固定化リパーゼの分
離方法は、反応液から濾過等により固定化リパー
ゼを分離した後、油状物質と水溶性物質を分離す
る方法、あるいは三者の分離を同時に行う方法が
とられる。この際温度を50℃以上に保つと分離が
容易になる。本発明は分離した後混合することを
特徴としているので分離槽と混合槽を併備した多
段反応槽を用いることにより連続処理も可能であ
る。 添付図面の第1図と第2図に工業化する際の装
置例を示す。両装置例とも固定化リパーゼの分離
はスクリーンを用いている。油状物質と水溶性物
質の分離は第1図では反応槽の他に分離槽を設け
て分離する。他方第2図では反応槽の一部をスク
リーンで仕切ることによつて、固定化リパーゼの
分離を行なうと同時に油状物質と水溶性物質の分
離を行なうものである。 これを詳述すると、まず第1図例においては、
3基の反応槽1A,1B,1Cと共に、それらに
付属する分離槽2A,2B,2Cが配設されてい
る。各反応槽1A,1B,1Cは、その下部にス
クリーン3を有し、また撹拌機4を有している。
油状物質5は、第1反応槽1Aに供給され、水溶
性物質6は第3反応槽1Cに供給される。また、
各反応槽1A,1B,1C内には固定化リパーゼ
7が予め収容される。 各反応槽1A,1B,1Cにおいては、撹拌下
で油状物質と水溶性物質と固定化リパーゼとが混
合され、固定化リパーゼはスクリーン3によつて
分離するとともに、油状物質および水溶性物質を
付属の分離槽2A,2B,2Cにおいて相互に分
離する。上層の油状物質は後段の反応槽に供給
し、最終分離槽2Cの上層分は油状生産物(脂肪
酸)8として取り出す。下層の水溶性物質は前段
の反応槽に導き、初段分離槽2Aの下層分は水溶
性生産物(グリセリン)9として取り出す。Pは
ポンプである。なお、ある段の水溶性物質の一部
は、当該段の反応槽に還流させてもよい。 他方、第2図例では、スクリーン3を反応槽1
A,1B,1Cの側壁と平行に設け、分離槽を設
けることなく、当該反応槽1A,1B,1C内に
おいて油状物質と水溶性物質と固定化リパーゼの
分離を行うものである。 〔作用〕 本発明は、油状物質と水溶性物質を分離して多
段反応槽に流すので両者の平均供給速度を別々に
設定できる。水溶性物質の平均供給速度は本発明
の反応槽の油脂分解性能にはあまり影響を及ぼさ
ない。水溶性物質は加水分解に必要な水を供給す
るとともに、水溶性生産物を溶解する溶媒とな
る。水溶性生産物のグリセリン濃度は30%程度ま
では加水分解作用に悪い影響を与えないので、そ
の程度になるまで水溶性物質の平均供給速度を落
とすことが可能である。一方油状物質の平均供給
速度は本発明の反応槽の油脂分解性能を決める主
要因となる。これが速いと加水分解率が低下する
が処理量は多くなる。これが遅いと加水分解率は
向上するが処理量は減少する。したがつて目的に
応じて油状物質の平均供給速度を定め、油状物質
の平均供給速度を水溶性物質の平均供給速度より
速くなるように水溶性物質の平均供給速度を設定
することにより、水溶性物質中の水溶性生産物濃
度が高くなる。 また本発明は、油状物質と水溶性物質を向流的
に接触しているので油状物質の取り出し口のグリ
セリン濃度が30%程度の時でも、水溶性物質の取
り出し口のグリセリン濃度は50〜60%にすること
が可能である。すなわち向流的に接触させ反応生
産物の阻害や反応平衡による反応停止の影響を改
善し、高濃度の水溶性生産物を分別採取すること
が可能となるのである。 本発明は、油状物質と水溶性物質を予め混合さ
せエマルジヨンにして供給する方法ではないの
で、エマルジヨン粒子が固定化担体内に拡散する
移動速度が遅いという固定化リパーゼの内部拡散
の影響を改善している。また従来の膜型リアクタ
ー(M.M.Hoq et al.Agr.Biol.chem.、49(11)、
3171〜3178(1985))やカラム型リアクター(小杉
等、特開昭61−85195号)では分解率を向上させ
るためには、固定化リパーゼの表面流速を著しく
遅くして反応させなければならず、そのため固定
化リパーゼ表面の外部拡散抵抗の影響を多く受け
るものであつた。しかし本発明は混合と分離をく
り返すことにより、固定化リパーゼの外部拡散抵
抗の影響も最小限にすることが可能となり、効率
的に加水分解出来るようになつたのである。 〔実施例〕 次に実施例を示す。 シユウドモナス・フルオレセンス・バイオタイ
プ(微工研菌寄5495号)のリパーゼ200000単位
を100mlの1/15Mマツクイルベイン緩衝液に溶か
し、Dowex MWA−1(ダウケミカル社製)100
gと混合し、室温で2時間振とうする。次に1/15
Mマツクイルベイン緩衝液100ml及び25%グルタ
ール・アルデヒド溶液8mlを添加して室温で2分
間振とうする。最後に20%の亜硫酸水素ナトリウ
ム溶液20mlを加え、室温で5分間振とう後、よく
水洗いして固定化リパーゼを得た。 リパーゼ活性の測定は、オリーブオイルエマル
ジヨンを用いるNordらの変法(日農化36巻860
(1962))で行ない、60℃で1分間に1マイクロモ
ルの酸を遊離する酸素量を1単位とした。 上述の如く調製した固定化リパーゼ25gを、第
3図に示すように、No.1、No.2、No.3と命名した
200mlの三角フラスコに取つた。No.1のフラスコ
に50mlの蒸留水及び50mlの本実施例では分解に供
するオリーブ油を加え、恒温槽付回転式振とう機
を用いて毎分185回の振とうをしながら60℃で20
時間反応させた。反応後ガーゼ状の繊維で油状物
質及び水溶性物質を吸引濾過して回収した。50℃
以上に加温すると、上層に油状物質、下層に水溶
性物質が明確に分離するので、上層をNo.2のフラ
スコに移した。No.2のフラスコには新しく50mlの
蒸留水を加え、60℃で同様に振とうしながら20時
間反応させた。下層はNo.1のフラスコにもどし、
新しく50mlの本実施例で分解に供するオリーブ油
を加え同様に20時間反応させた。 反応後、固定化リパーゼと反応液を分離しNo.1
のフラスコには、前に反応させたNo.1のフラスコ
の下層を入れ、本実施例で分解に供するオリーブ
油を新しく50ml加えた。No.2のフラスコには、前
に反応させたNo.2のフラスコの下層と、前に反応
させたNo.1のフラスコの上層を入れた。No.3のフ
ラスコには新しく水を50ml入れ、前に反応させた
No.2のフラスコの上層を入れた。それぞれのフラ
スコに入つている固定化リパーゼとともに20時間
反応後No.1のフラスコの下層から水溶性物質、No.
3のフラスコの上層から油状物質を採取した。こ
れを実施回数第1回の採取物とした。 実施回数第2回以降は次の如く行つた。No.1の
フラスコには、第1回で反応させたNo.2のフラス
コの下層を入れ、新しく50mlの本実施例で分解に
供するオリーブ油を入れた。No.2のフラスコに
は、第1回で反応させたNo.3のフラスコの下層を
入れ、第1回で反応させたNo.1のフラスコの上層
を入れた。No.3のフラスコには第1回で反応させ
たNo.2のフラスコの上層を入れ、新しく50mlの水
を入れた。それぞれのフラスコに入つている固定
化リパーゼとともに20時間反応後No.1のフラスコ
の下層から実施回数第2回の水溶性物質、No.3の
フラスコの上層から実施回数第2回の油状物質を
採取した。同様に反応させて実施回数第7回まで
の採取物を得た。油状物質の採取物の酸価とケン
化価の比より油状物質の加水分解率を測定した。
【表】
【表】 第1表から解るように、第7回まで実施をして
も固定化リパーゼの失活や損失による油状物質の
分解率低下も観察されず、油状物質が高分解率ま
で分解された。 次に新しく供給する量は50mlと変えないが、1
回の反応時間を20時間から8時間にして実施回数
第8回より第11回を行つた。更に新しく供給する
量を油状物質及び水溶性物質ともに25mlとし、各
フラスコの反応液も半分にして、1回の反応時間
は8時間で実施回数第12〜18回を行つた。
【表】 第2表を見ると、油状物質の平均供給速度が速
くなると、油状物質の加水分解率が若干減少する
ようであるが、6ml/時間程度までなら、90%程
度の分解率が達成できることが解る。 次に、1回の反応時間が8時間、供給量が25ml
で実施回数第12〜18回と同様に各フラスコの上層
の油状物質は交換するが、下層の水溶性物質は、
交換せずに、同じものをくり返して使用して実施
回数19〜23回を行つた。第3表にその結果を示
す。油状物質の加水分解率はNo.3のフラスコの上
層のものである。水溶性物質中のグリセリン含量
はNo.1のフラスコの下層の量を過ヨード酸酸化法
により比色定量して求めた。なお各フラスコ中の
水溶性物質は、くり返し使用中の損失により減少
するのを1〜2mlの水を適宜添加して調整した。
【表】
【表】 第3表に示す如く水溶性物質を交換せずにくり
返し使用すると、油状物質の平均供給速度は一定
であるが、水溶性物質の平均供給速度は減少す
る。油状物質の加水分解率はあまり変化なく、ほ
ぼ90%以上を達成できるが、水溶性物質中のグリ
セリン濃度が上昇する。特に油状物質の平均供給
速度が水溶性物質の平均供給速度の2倍以上の実
施回数第21〜23回の結果は、グリセリン濃度が著
しく上昇していることが観察された。 次に水溶性物質中のグリセリン濃度がどの程度
まで油脂分解が可能であるかを明らかにするた
め、水溶性物質中に1.6g〜8gづつグリセリン
を添加して第3表の反応と同じように上層の油状
物質を交換しながら実施回数第24〜28回の油脂分
解を行つた。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明では、エマルジヨン状態に
して基質を供給することがないので、エマルジヨ
ン粒子が固定化酵素の内部に拡散するのが遅いた
めに生じる油脂分解性能の低下を改善できる。そ
の上反応液を混合及び分離をくり返すことによ
り、固定化リパーゼの表面流速が遅い場合厚い境
膜ができたようになる外部拡散(山根恒夫、生物
反応工学、(産業図書)P46)の影響による油脂
分解性能の低下も改善でき、二層系反応に固定化
リパーゼ利用の道をひらいた画期的なものであ
る。 二層系反応に固定化酵素を使うことは難しく、
有機溶媒等を加えて両者をとかしてみたり(G.
Bell、J.Todd et al.Biotech.Bioeng.23、1703
(1981))あるいは高い生産能を持つ可溶性リパー
ゼを使う方法(町田、東、国生:日農化、58、
799(1984))が取られていた。本発明により、水
と油のような二層系反応に固定化リパーゼが効率
的に使われる可能性を見出すことができた。 酵素を固定化すれば、酵素の繰り返し使用が可
能となり、比較的高濃度のリパーゼを使う反応に
おいても酵素の経済的な使用ができる。また生産
物と酵素の分離が容易になるため、生産物中に酵
素蛋白が混入することもなくなり、さらに可溶性
酵素になかつた性質をもつた固定化リパーゼを使
うこともできる。たとえば酵素蛋白の安定化が図
れ、高濃度脂肪酸中でも反応可能なリパーゼの固
定化法(特開昭59−179091)を用いれば高濃度反
応を長時間行うことが可能となる。 その他、本発明は、多段反応槽に若干の設備を
付与するのみで容易に実施できる。しかも油状物
質と水溶性物質を分離した後、向流的に流すこと
により水溶性生産物を濃縮できる利点を備えてい
る。また50℃以上の高温で油脂分解を行うため、
グリセリン層によく起こる雑菌の汚染も少なく、
加水分解用油脂原料としてよく用いられる常温で
は固体状を示す牛脂等にも効果的に適用できるも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明法を工業的に実
施するための装置例の概要図、第3図は実施例の
実験手順説明図である。 1A,1B,1C……反応槽、2A,2B,2
C……分離槽、3……スクリーン、5……油状物
質、6……水溶性物質、8……油状生産物、9…
…水溶性生産物。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 多段反応槽において、固定化リパーゼを用い
    て油状物質を加水分解するに際して、50℃以上の
    条件下で混合反応させ、固定化リパーゼ、油状物
    質および水溶性物質をそれぞれ分離するととも
    に、分離した油状物質を後段側の反応槽の混合反
    応部分に供給し、分離した水溶性物質を前段側の
    反応槽の混合反応部分に供給して、油状物質と水
    溶性物質を向流的に接触させ、 多段反応槽中で反応している油状物質の総量を
    多段反応槽から採取される油状物質が固定化リパ
    ーゼと接触して反応した総反応時間で割つた油状
    物質の平均供給速度を、 多段反応槽中で反応している水溶性物質の総量
    を多段反応槽から採取される水溶性物質が固定化
    リパーゼと接触して反応した総反応時間で割つた
    水溶性物質の平均供給速度よりも速くなるよう
    に、油状物質および水溶性物質の多段反応槽への
    供給速度を定めることを特徴とする油脂加水分解
    法。
JP61205588A 1986-09-01 1986-09-01 固定化リパ−ゼによる油脂加水分解法 Granted JPS6359896A (ja)

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