JPH0411933B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は磁気記録再生装置における回転シリン
ダ装置に係り、特に磁気テープを安定に走行させ
るに好適な回転シリンダ装置に関する。

〔発明の背景〕

従来より磁気記録再生装置における磁気ヘツド
の走査部のシリンダ構造は、回転シリンダ方式が
主流である。この回転シリンダ方式は例えば特公
昭42−8665号公報に記載のように、テープを案内
するドラムが高速で回転することにより、テープ
とドラムとの間に空気による潤滑層を形成し、テ
ープの安定走行を図るものである。

しかし、この回転シリンダ方式の改善において
も磁気ヘツドの回転軌跡近傍となる上下シリンダ
の〓間部においては潤滑空気層は減少し、テープ
と回転シリンダが接触するという現象が起こり、
テープの振動及び損傷を増加させ再生画質の劣化
をもたらす。これは特に近年採用されつつある薄
手低剛性テープにおいて顕著に現れる。

このような現象に対しては、下シリンダ側も回
転させることにより空気の潤滑層をより一層安定
なものとする方策もあるが、製造コスト及びテー
プ走行の安定性等の点から問題が多い。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上記した従来例における不都
合を解消し、テープは、走行により損傷すること
がなく、また安定な走行状態にでき、良好な再生
画質を確保し得る回転シリンダ装置を提供するこ
とにある。

〔発明の概要〕

本発明は、回転シリンダ装置において、基本的
には、回転シリンダ等の回転体と固定シリンダと
の間にあつて上記回転体上に、該固定シリンダの
円筒部の内周に対し回転軸に平行な方向にオーバ
ーラツプするように該固定シリンダ側に突出した
壁を設けた構成であつて、これにより、該回転体
と該固定シリンダ等との間の〓間での空気圧を増
大させ空気がシリンダ内部に流入するのを抑制
し、テープと該回転体及び該固定シリンダ間に、
テープ浮上のために必要かつ十分な空気膜を形成
できるようにしたものであり、第１の発明（特許
請求の範囲第１項記載）、第２の発明（同第２項
記載）及び第３の発明（同第３項記載）のそれぞ
れは、この基本的構成を発明の構成要件の共通的
な主要部としている。

第１の発明では、上記回転体の上記壁（該当一
実施例符号１９）を、磁気ヘツド（該当−実施例
符号６ａ，６ｂ）の取付基板（該当一実施例符号
２１ａ，２１ｂ）の取付け部（該当一実施例符号
２２ａ，２２ｂの対応部）よりも半径方向の外側
に配しかつ該磁気ヘツドまたは該取付基板が通る
部分を欠いた構成を有したものとする。

第２の発明では、上記固定シリンダ（該当一実
施例符号３）を、テープを案内する円筒部が、該
円筒部の上方端部にあつて上記回転体の回転軸に
対し平行な内周縁を有する第１の円筒部（該当一
実施例符号３１）とその下方に同軸状に連なつて
配され上記回転体の回転軸に平行な方向に上記第
１の円筒部から遠ざかるに従つて内径が減少する
内周縁を有する第２の円筒部（該当一実施例符号
３２）とを備えた構成とし、かつ、上記回転体
は、上記壁（該当一実施例符号１９）を、固定シ
リンダの少なくとも上記第１の円筒部よりも所定
距離を隔てた内側において上記第１及び第２の円
筒部にオーバーラツプするように該固定シリンダ
側に突出させ上記第１及び第２の円筒部との間に
円環状の緩衝空間（該当一実施例符号４０）を形
成した構成にする。

第３の発明では、固定シリンダ（該当一実施例
符号３）を、テープを案内する円筒部が、該円筒
部の上方端部にあつて上記回転体の回転軸に対し
平行な内周縁を有する第１の円筒部（該当一実施
例符号３１）とその下方に同軸状に連なつて配さ
れ上記回転体の回転軸に平行な方向に上記第１の
円筒部から遠ざかるに従つて内径が減少する内周
縁を有する第２の円筒部（該当一実施例符号３
２）とを備えた構成とし、かつ上記回転体は、上
記壁を、上記固定シリンダの上記第１の円筒部よ
りも小〓間を隔てた内側で上記第１及び第２の円
筒部にオーバーラツプするように該固定シリンダ
側に突出させ上記第１及び第２の円筒部と互いに
僅かの〓間（該当一実施例符号５０）を介して対
向させた構成とする。

上記第２の発明において、上記緩衝空間は、シ
リンダ内部の空気の乱れを外部に伝えないように
して、テープと該回転体及び該固定シリンダ間に
安定な空気膜を形成できる。さらに、第３の発明
における上記僅かの〓間は、上記壁と固定シリン
ダの間に抵抗の大きい空気流路を形成し、シリン
ダの内部と外部の空気の伝達を低減し、テープと
該回転体及び該固定シリンダ間に安定な空気膜を
形成できる。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の実施例を第１図〜第６図に基づ
き説明する。第２図は回転シリンダ装置における
テープ走行系の一部を示す斜視図である。同図に
おいて、１は回転シリンダ装置を示し、該装置は
回転シリンダ（上シリンダ）２及び固定シリンダ
（下シリンダ）３より構成されている。回転シリ
ンダ２の下端部には、第３図に示すように、磁気
ヘツド６の先端部を回転シリンダ２の外周面に露
出するためのヘツド窓５ａ，５ｂが設けられてい
る。また固定シリンダ３には螺旋状にリード４が
設けられている。リード４は回転シリンダ装置１
に斜めに巻装されるテープ２５の走行を案内する
ためのものである。７１及び８１はテープ２５を
回転シリンダ装置１に螺旋状に巻装するための傾
斜ガイド、６１及び９１はテープ２５の走行方向
を変換するガイドローラである。回転シリンダ２
を矢印Ａ方向に回転し、テープ２５をテープ走行
機構（図示せず）により矢印Ｂ方向に駆動するこ
とにより、磁気ヘツド６はテープ２５上を順次斜
めに走査する。

第１図は本発明の回転シリンダ装置１の第１実
施例の要部断面図、第４図は第１図の構成のうち
回転シリンダの構造を示す図であつて、特に固定
シリンダ対向側の面構造を示した斜視図である。
第１図において固定シリンダ３の内側中央部には
円筒状の軸受支持部１０が一体的に形成されてい
る。軸受支持部１０はその上下端に各々軸受８及
び９が挿入されており、シヤフト７を回転自在に
支持している。シヤフト７の上端にはデイスク１
１が圧入され、一方の下端側にはホルダ１４がね
じ止めされ、デイスク１１とホルダ１４とにより
軸受８及び９に適正な予圧が付加される構造とな
つている。シヤフト７の下端には支持部材１５が
固定され、該支持部材１５にはモータのロータ１
７が一体的に固定されている。一方固定シリンダ
３の下端にはモータのステータ１８を支持する支
持部材１６が固定されており、該ステータ１８は
上記ロータ１７と対向して配置され、電磁気的作
用によりシヤフト７、デイスク１１、及びデイス
ク１１にねじ止めされた回転シリンダ２を所定の
角速度で回転させる。

回転シリンダ２の下端面には、前記したよう
に、複数個のヘツド窓５が設けられている。先端
に磁気ヘツド６が固着されたヘツドベース２１
は、該磁気ヘツド６の先端がヘツド窓５から突出
するようにねじ２２により回転シリンダ２に固定
されている。磁気ヘツド６に対する映像信号の授
受は、固定シリンダ３に固定されるロータリート
ランス１３と、デイスク１１の下端部に固定され
該ロータリートランス１３と対向するロータリー
トランス１２とによりなされる。また回転シリン
ダ２の下面の外周面より若干内側には、ほぼ円筒
状でかつ磁気ヘツド６（６ａ，６ｂ）が設置され
る部分だけが削除された構成の壁１９（１９ａ，
１９ｂ）が設けられている。２３（２３ａ，２３
ｂ）は溝であつて、ヘツドベース２１（２１ａ，
２１ｂ）を精度良く回転シリンダ２に取付けるべ
く壁１９を削除した平面部を確保するための逃げ
部を成す溝である。ヘツドベース２１の取付け部
は壁１９より半径方向内側に有り、回転シリンダ
２の加工時にこの取付け部を一平面として同時加
工できるので、容易に高精度化を図ることができ
る。また、壁１９は、回転シリンダ２の外周に近
い部分に有るので、シリンダ装置の内部構造に及
ぼす影響が少ない。２４はデイスク１１に設けら
れるねじ穴に回転シリンダ２をねじ２０により固
定するための穴である。

第５図は回転シリンダ装置１に巻装されるテー
プ２５の状態を示す断面図である。固定シリンダ
３は、その外周の上端が回転シリンダ２の近傍ま
で伸びているとともに、内周面が回転軸に平行な
円筒部分３１（第１の円筒部）と内周面が回転軸
に斜めな円筒部３２（第２の円筒部）とを有する
形状となつている。一方、回転シリンダ２は、本
構造例では、上記固定シリンダの上記第１及び第
２の円筒部３１，３２よりも所定の距離を隔てた
内側において回転軸方向に突出した壁１９を有
し、該壁１９と上記第１及び第２の円筒部との間
には緩衝空間４０を形成している。該緩衝空間４
０は、シリンダ内部の空気の乱れを外部に伝えな
いように作用し、テープ２５と回転シリンダ２及
び固定シリンダ３間に安定な空気膜を形成できる
ようにする。回転シリンダ２とテープ２５は相対
的に高速運動をしているために相互間に適正な圧
力の空気潤滑層が形成される。一方、固定シリン
ダ３とテープ２５の間には空気潤滑層は形成され
ず、テープ２５は固定シリンダ３の周面を摺動移
動する。従つて回転シリンダ２とテープ２５間に
形成される空気潤滑層の空気は、両シリンダの〓
間及び固定シリンダ３側に流入しようとするが、
本構成の壁１９で阻止される。すなわち、壁１９
はその下端部で固定シリンダ３に近接して配置さ
れているので、回転シリンダ２とテープ２５との
間に生成された高い圧力の空気流は、壁１９と固
定シリンダ３とで形成される空気溜めの役割をな
す所定の大きさの緩衝空間４０に流入し両シリン
ダの空間の空気圧を上昇させる。これによつて所
定量以上の空気は流入しないようにする。従つ
て、回転シリンダ２とテープ２５との間の空気潤
滑層の減少を防止しテープ２５を回転シリンダ装
置１から安定に浮上させる。また、前記した回転
シリンダ２と固定シリンダ３との間に形成される
緩衝空間４０は空気溜め部の役目をなすので、回
転シリンダ装置１の内部の空気の乱れが外側に伝
わることを防止しテープ２５を安定に浮上させる
ことができる。さらには、回転シリンダと固定シ
リンダとが僅かの〓間を介して対面する領域は短
いので、各部品及び組立の精度は厳しく要求され
ない。

第６図は本発明の他の実施例を示す図で、テー
プ２５の浮上状態を示す要部断面図（ａ）と磁気
ヘツド６ａ，６ｂの取り付け部の側断面図（ｂ）
である。本実施例は、壁２６が固定シリンダ３の
円筒部３１，３２の内周面との間に小さな〓間５
０を形成した構成であつて、該壁２６は、その外
周面が、回転軸に平行な方向に伸びて固定シリン
ダ３の上端部の第１の円筒部３１の内周面との間
に半径方向に小さな〓間５０を形成する部分と、
内径方向側に向かつて斜めに形成され固定シリン
ダ３の第２の円筒部３２の内周面との間に小さな
〓間５０を形成する部分とから成る。これによ
り、回転シリンダ２と固定シリンダ３と壁２６に
より形成される空間が小さくなるとともに、壁２
６の外周面の回転軸に平行な方向に伸びる部分を
回転シリンダ装置１の外周面に近づけられるの
で、回転シリンダ２とテープ２５との間に形成さ
れる空気層からこの〓間５０内に流入する空気の
量を低減できるとともに、この部分の空気圧を高
めることができるので、さらに安定にテープ２５
を浮上させることができる。また、該〓間５０に
おける空気流動抵抗を大きくできるので、回転シ
リンダ装置内部に空気の乱れが生じた場合でも、
この乱れの影響は回転シリンダ装置外部に伝達さ
れにくくなり、テープ浮上の一層の安定化を図る
ことができる。但し、壁２６を外周に設けた分だ
け溝２３ａ，２３ｂも外周に近づくこととなり、
この部分の回転シリンダ２の外周面に対する肉厚
が薄くなる。従つて回転シリンダ２の外周面の必
要加工精度を維持できるだけの肉厚は確保する必
要はある。回転シリンダ２と回転シリンダ３の外
径縁部の対向面間の〓間５０に発生する空気圧
は、回転シリンダ２の回転数が所定の一定値であ
るから、その〓間５０が小さい程そこに高い空気
圧を発生することができる。一方で、この〓間５
０は、シリンダの加工精度及び組立精度よりその
下限が定められてしまう。第６図に示すように、
固定シリンダ３の内周縁と回転シリンダ２の壁２
６の外周縁とをテーパ形状とする等によりこの〓
間５０が、回転シリンダ２の回転軸に対して傾斜
した面を持つ場合には、半径方向の寸法のずれ及
び回転軸方向の部品寸法及び組立精度のずれはそ
のまま直接的には〓間５０の値の変動にはならな
い。このため本構成では空気圧の安定領域を広く
とれる利点がある。例えば傾斜が45゜である場合
は、各精度ずれは、〓間５０の値に対しては１／
√２の影響を及ぼすことになる。従つて、このよ
うに壁２６の断面形状をテーパ形状として固定シ
リンダ３と回転シリンダ２の対向〓間面を傾斜さ
せることは、〓間の長さを長くできるのと併せ、
部品精度及び組立精度を緩くすることができこれ
により大幅な低コスト化を図ることができ実用上
極めて有利である。

〔発明の効果〕

上記したように本発明によれば、回転シリンダ
周りのテープを安定に円滑保持できるので、テー
プの回転シリンダとの接触による損傷及び回転シ
リンダの回転によるテープの振動を抑えることが
でき、安定な再生画像を確保することができる。
また構造が簡潔なため経済性を犠牲にすることが
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す回転シリンダ
装置の断面図、第２図は回転シリンダ装置周りの
走査系を示す斜視図、第３図は回転シリンダ装置
の斜視図、第４図は回転シリンダの面構成の斜視
図、第５図は回転シリンダ装置に巻装されるテー
プの状態を示す部分断面図、第６図は本発明の他
の実施例を示すシリンダの要部断面図である。 １……回転シリンダ装置、２……回転シリン
ダ、３……固定シリンダ、５，５ａ，５ｂ……ヘ
ツド窓、６，６ａ，６ｂ……磁気ヘツド、７……
シヤフト、１１……デイスク、１９，１９ａ，１
９ｂ，２６……壁、２１，２１ａ，２１ｂ……ヘ
ツドベース、２３，２３ａ，２３ｂ……溝、２５
……テープ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外周縁部に磁気ヘツドが搭載された回転体
   と、該回転体に同軸状に近接して設けられテープ
   を案内する円筒部を有する固定シリンダとを備
   え、該回転体と該固定シリンダとの〓間より空気
   が内部に流入することにより該〓間での空気圧を
   増大させテープを浮上させる構成の回転シリンダ
   装置において、 上記回転体は、 上記固定シリンダの上記円筒部の内周に対し回
   転軸に平行な方向にオーバーラツプするように該
   固定シリンダ側に突出された壁であつて上記磁気
   ヘツドの取付基板の取付け部よりも半径方向の外
   側に配されかつ該磁気ヘツドまたは該取付基板が
   通る部分が欠かれた構成を有する壁を備えたこと
   を特徴とする回転シリンダ装置。 ２ 外周縁部に磁気ヘツドが搭載された回転体
   と、該回転体に同軸状に近接して設けられテープ
   を案内する円筒部を有する固定シリンダとを備
   え、該回転体と該固定シリンダとの〓間より空気
   が内部に流入することにより該〓間での空気圧を
   増大させテープを浮上させる構成の回転シリンダ
   装置において、 上記固定シリンダは、 上記円筒部が、上記回転体側の上方端部にあつ
   て該回転体の回転軸に対し平行な内周縁を有する
   第１の円筒部と、該第１の円筒部の下方に同軸状
   に連なつて配され上記回転体の回転軸に平行な方
   向に該第１の円筒部から遠ざかるに従つて内径が
   減少する内周縁を有する第２の円筒部とを備えて
   成り、 上記回転体は、 上記固定シリンダの上記円筒部の内周に対し回
   転軸に平行な方向にオーバーラツプするように該
   固定シリンダ側に突出された壁であつて該固定シ
   リンダの少なくとも上記第１の円筒部よりも所定
   距離を隔てた内側において上記第１及び第２の円
   筒部にオーバーラツプし該第１及び第２の円筒部
   との間に円環状の緩衝空間を形成する壁を備えた
   構造であることを特徴とする回転シリンダ装置。 ３ 外周縁部に磁気ヘツドが搭載された回転体
   と、該回転体に同軸状に近接して設けられテープ
   を案内する円筒部を有する固定シリンダとを備
   え、該回転体と該固定シリンダとの〓間より空気
   が内部に流入することにより該〓間での空気圧を
   増大させテープを浮上させる構成の回転シリンダ
   装置において、 上記固定シリンダは、 上記円筒部が、上記回転体側の上方端部にあつ
   て該回転体の回転軸に対し平行な内周縁を有する
   第１の円筒部と、該第１の円筒部の下方に同軸状
   に連なつて配され上記回転体の回転軸に平行な方
   向に該第１の円筒部から遠ざかるに従つて内径が
   減少する内周縁を有する第２の円筒部とを備えて
   成り、 上記回転体は、 上記固定シリンダの上記円筒部の内周に対し回
   転軸に平行な方向にオーバーラツプするように該
   固定シリンダ側に突出された壁であつて該固定シ
   リンダの上記第１の円筒部よりも内側で上記第１
   及び第２の円筒部にオーバーラツプし該第１及び
   第２の円筒部と互いに僅かの〓間を介して対向し
   合う壁を備えた構造であることを特徴とする回転
   シリンダ装置。