JPH0411370B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜技術分類・分野＞ 開示技術は自動車の樹脂製バンパー等の長尺物
成形に使用する金型技術分野に属する。

＜要旨の解説＞ 而して、この出願の発明は下型上端部に型内の
ガスを排気させる溝と余剰成形原料の流出部とし
てのバリ溜り部が所定形状に形成され、上型が該
下型に載置された長尺物成形用金型と、その製造
方法に関する発明であり、特に、該バリ溜り部と
ガス逃し溝が形成された下型上端部が下型本体に
着脱自在に付設された長尺物成形用金型とその製
造方法に係る発明である。

＜従来技術＞ 周知の如く、近時の自動車の金物バンパーに代
替される樹脂製バンパー等の長尺物成形用金型１
には、例えば、第１，２図に示す様に上型２が載
置される下型３の原料流れ方向の末端上部４に、
型内のガス滞留による成形不良を防止するための
ガス逃し溝５と、型内全域に充分に原料が充填さ
れるようにバリ出しをするためのバリ溜り部６が
上記下型３に一体的に形成されている。

而して、上記ガス逃し溝５の位置、及び、バリ
溜り部６の容積は被成形品形状や肉厚に対して微
妙な調整が必要であり、一般に、下型３の上端４
の所定部位に該ガス逃し溝５とバリ溜り部６を加
工しては被成形品７が試作成形され、該試作成形
品７の出来具合により再びガス逃し溝５とバリ溜
り部６の切削、又は、溶接による肉盛り等の修正
が施され、この試作、修正の反復繰返しにより最
終的な金型１が完成されている。

＜従来技術の問題点＞ 而しながら、上述従来の長尺物成形用金型１と
その製造方法においては、上記ガス逃し溝５とバ
リ溜り部６を下型３に一体形成させており、該金
型に直接的に修正加工をしていたため、修正作業
が煩瑣であり、長時間を要するという難点があつ
た。

又、上記ガス逃し溝５やバリ溜り部６の修正加
工の手段として切削、又は、溶接が採用されるた
め、型歪や型割れの生ずる虞れがあるという欠点
もあつた。

＜発明の目的＞ この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく
長尺物成形用金型とその製造方法の問題点を解決
すべき技術的課題とし、上型に対する下型の上部
に着脱自在な中間型が上記ガス逃し溝とバリ溜り
部を予め所定形状に加工成形した原型を基に製作
されるようにして、金型の製作をより能率的なも
のとし、被成形品の仕上げ精度を向上させるよう
にして、各種製造産業における成形加工分野に益
する優れた長尺物成形用金型とその製造方法を提
供せんとするものである。

＜発明の構成＞ 上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とす
るこの出願の発明の構成は、前述問題点を解決す
るために長尺物成形用金型の上型に対する下型の
上面を被成形品上面と同一高さに形成し、該下型
上端部に形成させる中間型の原型体を該下型に接
着剤等により着脱自在に載置させた後、該原型体
に上記ガス逃し溝とバリ溜り部を所定位置に配設
すると共に所定形状に成形し、更に、該原型に基
づいて中間型を倣い加工等で転写製作して、上記
下型にボルト等で離脱自在に一体組付けし、上記
ガス逃し溝とバリ溜り部の位置や形状の修正が容
易に行なわれるようにし、金型を損傷から回避さ
せるようにした技術的手段を講じたものである。

＜実施例＞ 次に、この出願の発明の１実施例を第３図以下
の図面に従つて説明すれば以下の通りである。
尚、第１，２図と同一態様については同一符号を
付して説明するものとする。

１′は長尺物成形用金型であり、この出願の発
明の要旨を成し、当該実施例においては自動車の
ウレタンフオーム製バンパーを成形する反応射出
成形用金型として使用される態様であり、中間型
８は所定部位に所定形状のガス逃し溝５とバリ溜
り部６が形成され、被成形品７の形状に対応した
内部形状を有する下型３′にボルト９で離脱自在
に螺着されており、上型２が該被成形品７の形
状、肉厚に対応した形状に成形され、上記中間型
８に載置されている。

上記長尺物成形用金型１′の製造工程を順次説
明すると、第３図に示す様に下型３′は被成形品
７の形状に対応した内部形状を有し、その高さは
該被成形品７と同一高さの平面を有して形成さ
れ、該下型３′の上面の所定位置に設定寸法、深
さのねじ穴１０，１０′……が螺装されており、
該下型３′の上面に加工容易な所定の剛性を有す
る材質、例えば、ゴム硬度Hs＝70のシリコンゴ
ムで形成され、該下型３′の上面形状と同一底面
形状を有すると共に、所定高さを有する上記中間
型８の原型体１１を接着剤等で脱着自在に密着載
置する。

そして、該原型体１１の所定部位に被成形品７
の形状、肉厚に適合する所定形状、寸法のガス逃
し溝５とバリ溜り部６，６……をカツター等を使
用して切削し原型１１′を加工する。

而して、該ガス逃し溝５は原型体１１の内側全
周に亘つて成形され、各バリ溜り部６については
上記下型３′の各ねじ穴１０に対向する部位を除
いて凹設されると共に、該ガス逃し溝５とダム１
２の上部隙間を介して連通されている。

次に、第４図に示す様に、上記原型１１′の上
に所定形状の上型２を載置させ、被成形品７の形
状、肉厚を有する原料流入部１３を形成させて、
図示しないゲートから周知の反応射出機により反
応射出成形原料を流入させ、該被成形品７を試作
し、その仕上り具合により原型１１′に修正を加
えて完成させる。

而して、原型１１′はシリコンゴムで形成され
ているので、切削過度に対しては同材質の補修材
を接着剤で貼着自在に修正され、切削過少に対し
ては更にカツター等で切削自在に修正される。

更に、上記原型１１′の完成品を下型３′から取
り外し、該原型１１′を基に倣い加工等で中間型
８を転写製作した後、該中間型８の前記下記３′
の各ねじ穴１０に対応する部位に所定径、深さの
座ぐり穴１４を穿設し、その後、所定径のボルト
９用の通し孔１５を穿設する。

そして、第５図に示す様に、該中間型８を下型
３′に各ボルト９で螺着し一体とし、更に、上型
２を載置して長尺物成形用金型１′を組み立てる。

尚、この出願の発明の実施態様は上述実施例に
限るものでないことは勿論であり、例えば、バリ
溜り部は中間型の底面に貫通させてもよく、中間
型はシリコンゴム以外の材質で形成されてもよい
等種々の態様が採用可能である。

又、適用対象も反応射出成形用金型以外の金型
でも採用可能である。

そして、被成形品は自動車のバンパー以外にも
適用可能であることも勿論である。

＜発明の効果＞ 以上この出願の発明によれば、ガス逃し溝とバ
リ溜り部の修正加工が容易になり、修正作業の時
間が短縮され、耐久性も向上され、極めて経済的
な優れた効果が奏される。

而して、ガス逃し溝とバリ溜り部の修正が下型
に着脱自在に載置された原型に加えられることに
より、修正加工は原型を取り外して極めて容易に
行うことができ、更に、修正作業の時間が著しく
短縮出来るという優れた効果が奏される。

又、中間型は原型を基に倣い加工等により転写
製作され、修正する場合に溶接等が無く、残留熱
応力等が生じないことにより、型割れ、型歪の発
生は防止され、金型の耐久性が向上されるという
優れた効果が奏される。

更に、ガス逃し溝とバリ溜り部を有する中間型
が下型と脱着自在になつていることにより、中間
型に万一損傷を生じた場合にも、該中間型だけを
再製作すればよく、下型を生かすことができ、経
済性が向上するという優れた効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術に基づく長尺物成形用金型の
ガス逃し溝とバリ溜り部加工前の組立断面図、第
２図は同加工後の同断面図、第３図以下はこの出
願の発明の１実施例の説明図であり、第３図は中
間型の原型にガス逃し溝とバリリ溜り部加工前の
組立断面図、第４図は同加工後の同断面図、第５
図は中間型完成後の同断面図である。 ４……上端部、５……ガス逃し溝、６……バリ
溜り溝、３……下型、２……上型、１，１′……
長尺物成形用金型、３′……下型本体（下型）、７
……被成形品、８……中間型、１１……原型体、
１１′……原型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上端部にガス逃し溝とバリ溜り部が形成され
   た下型に上型が載置された長尺物成形用金型にお
   いて、該下型の上端部が下型本体に着脱自在に付
   設されていることを特徴とする長尺物成形用金
   型。 ２ 上型に対する下型の上端部にガス逃し溝とバ
   リ溜り部を加工成形するようにした長尺物成形用
   金型の製造方法において、下型上面を被成形品上
   面と同一高さに成形し、下型上端部に形成させる
   中間型の原型体を該下型に直脱自在に載置させて
   上記ガス逃し溝とバリ溜り部を成形し、次に該原
   型に基づいて中間型を転写製作し、下型に離脱可
   能に一体組付形成することを特徴とする長尺物成
   形用金型の製造方法。