JPH04110347U - 積層型熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 最終領域におけるタンクからの冷媒の流出を
複数の冷媒出口管に分担させ、冷媒の円滑な流れと流量
増加を可能にする。 ［構成］ 管要素３は左右１対の皿形の管板１３を接合
して下端部に前後１対のタンク６を、上方部に前後のタ
ンク６を連通する逆Ｕ字形の偏平な冷媒通路を形成す
る。多数の管要素３とフイン５を交互に並べて接合し、
互いに接する管板１３のくぼみ１７の孔１７ａによりタ
ンク６を連通する。タンク列の一端側に冷媒入口管７を
接続する。タンク列の他端側の複数対の管要素３につい
て、対向する管板１３のタンク部をくぼみ１７のない偏
平にする。くぼみ１７のない複数対の管板１３の間に、
内端が閉じたやや偏平な冷媒出口管８を挟み、冷媒出口
管８の両側壁にタンク６に連通する孔１９ａを設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えば冷凍サイクルにおける冷媒蒸発器などの熱交換器、特に熱交換 器からの冷媒の流出を改善した積層型熱交換器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

特開平1-30527 号公報に開示されるように、左右１対の皿形の管板を接合して 前後１対のタンクと前後のタンクを連通するＵ字形の偏平な冷媒通路を備えた管 要素（チユーブエレメント）を形成し、多数の管要素とフインを交互に並べて接 合し、互いに接する管板の孔によりタンクを連通した４パス型熱交換器では、左 側入口から冷媒を、複数の管要素からなる領域の前タンクへ導き、管要素のＵ字 形の偏平な冷媒通路を経て後タンクへ導き、隣の複数の管要素からなる領域の後 タンクへ導き、管要素のＵ字形の偏平な冷媒通路を経て前タンクへ導き、右側出 口へ流出させている。

【０００３】 上述の積層型熱交換器には管要素の積層数を増した６パス型のものもあり、大 容量・大流量化すると冷媒通路が非常に長くなり、出口へ近づくにつれて冷媒の 比容積が増加するので、出口の通路面積を拡大する必要が生じる。しかし、単に 冷媒出口管を大径にするだけでは、流量が側端のタンク容量で制限され、冷媒を 円滑に熱交換器から流出させることは難しく、熱交換器の出口側における圧力損 失が大きくなり、冷媒流量が制限されるので、最大流量時の熱交換容量はあまり 大きくならない。

【０００４】 また、冷媒出口管を大径にすると、積層型熱交換器では構造上、冷媒出口管を 接続するタンク部分の形状や積層ピツチを変更する必要が生じ、従来の管要素の 積層数を多くするだけで熱交換容量の増大するわけにはいかなくなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする問題点】 本考案の目的は上述の問題に鑑み、最終領域におけるタンクからの冷媒の流出 を複数の冷媒出口管に分担させて、冷媒の円滑な流れと流量増加を可能にする、 積層型熱交換器を提供することにある。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の構成は左右１対の皿形の管板を接合して 前後１対のタンクと前後のタンクを連通するＵ字形の偏平な冷媒通路とを有する 管要素を形成し、多数の管要素とフインを交互に並べて接合し、互いに接する管 板の孔によりタンクを連通し、タンク列の一端側に冷媒入口管を接続し、他端側 の複数対の管要素の対向する管板のタンク部をくぼみのない偏平にし、かつ各対 の管板の間に内端が閉じた偏平な冷媒出口管を挟み、冷媒出口管の両側壁にタン クに連通する孔を設けたものである。

【０００７】

【作用】

最終領域において管板のタンクのくぼみをなくして偏平にし、これにより生じ た隙間へやや偏平な冷媒出口管を挟むことにより、複数の冷媒出口管を接続でき る。したがつて、最終領域のタンクの冷媒を複数の冷媒出口管が分担し、冷媒を 円滑に流出させる。

【０００８】

【考案の実施例】

図１は本考案に係る積層型熱交換器の正面図、図２は図１の線２Ａ−２Ａによ る平面断面図である。熱交換器２は多数の偏平な管要素３と波形に湾曲した板か らなるフイン５とを左右交互に並べ、さらに両側端に平坦な側板４を並べたうえ 接合してなり、管要素３を貫流する冷媒が外部から熱を奪う時、フイン５の間を 紙面と直角方向に流れる空気を冷却するものである。各管要素３の下端部に前後 １対のタンク６が形成され、左右に並ぶ管要素３のタンク６は側壁を直接接合さ れ、かつ側壁に設けた孔１７ａ（図２）により連通される。左端の後タンク６に 冷媒入口管７が、右端側のタンク６に複数の冷媒出口管８が接続される。

【０００９】 ６領域型積層型熱交換器の場合は、複数の管要素３からなる領域Ａ，Ｂ，Ｃが 区画される。すなわち、図示の実施例では、左７個の管要素３がＡ領域を、中７ 個の管要素３がＢ領域を、右７個の管要素３がＣ領域をそれぞれ区画する。図４ に示すように、各領域Ａ，Ｂ，Ｃの境界で前後いずれか一方のタンク同志は連通 されない。

【００１０】 図２の右半部に示すように、管要素３は左右１対の皿型の管板１３の周縁１４ を接合して下端部に前後１対のタンク６を、上方部に偏平な冷媒通路をそれぞれ 形成する。このため、外形が長方形の管板１３の下端部に深い前後１対のくぼみ １７が設けられ、各くぼみ１７に２つの孔１７ａが設けられる。孔１７ａは相隣 接するタンク６を互いに連通するが、前述のように各領域Ｂ，Ｃの境界では、管 板１３の前タンク（図２において下側のタンク）６のくぼみ１７に孔がない。

【００１１】 図２の左半部に示すように、管板１３のくぼみ１７よりも上側の部分にごく浅 いくぼみ１５を設けて、偏平な冷媒通路１０が構成される。管板１３の前後中間 部分に下端から上方へ延びる仕切壁１６が設けられる。仕切壁１６の下端部は前 後のタンク６の間を区画する。仕切壁１６の上端は管板１３の上端縁よりも低い 部分で終り、したがつて、仕切壁１６は管要素３の内部に前後のタンク６に連通 する逆Ｕ字形の偏平な冷媒通路１０を区画する。フイン５は相隣接する管要素３ の間に、つまりくぼみ１５の外壁面に接合される。フイン５の板面に矢印で示す 空気の流れ方向と直交するルーバが多数切り起される。

【００１２】 本考案によれば、最終領域Ｃにおいて、左右のタンク６の間に複数のやや偏平 な冷媒出口管８が挟まれる。冷媒出口管８の外端部は冷媒管を接続できるように 円筒部８ａとされる。相隣接する１対の管要素３の片側の管板１３ａのタンク部 は、くぼみ１７を設けないでほぼ偏平とされる。管要素３の上方部は図２の左上 部分に示すように、仕切壁１６により仕切られたくぼみ１５を設けて、他の管要 素３と同様に構成される。下端部を偏平にされた１対の管板１３ａの間に、図３ に示す左右１対の板１８の周縁２１を接合してなる冷媒出口管８が挟まれる。１ 対の管板１８は中間の仕切壁２２により仕切られた前後１対のタンク２０を形成 され、各タンク２０は孔１９ａにより両隣りのタンク６と連通され、さらに前タ ンク２０は円筒部８ａに連通される。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は上述のように、左右１対の皿形の管板を接合して前後１対のタンクと 前後のタンクを連通するＵ字形の偏平な冷媒通路とを有する管要素を形成し、多 数の管要素とフインを交互に並べて接合し、互いに接する管板の孔によりタンク を連通し、タンク列の一端側に冷媒入口管を接続し、他端側の複数対の管要素の 対向する管板のタンク部をくぼみのない偏平にし、かつ各対の管板の間に内端が 閉じた偏平な冷媒出口管を挟み、冷媒出口管の両側壁にタンクに連通する孔を設 けたものであり、一部の管要素の管板の形状を変更するだけで、複数の冷媒出口 管をタンクヘ簡単に接続できるので、コスト負担が少い。

【００１４】 タンクの間へ複数の冷媒出口管を配設することにより、１本の冷媒出口管が分 担するタンクの数が少くなり、冷媒の流れの圧力損失が低減され、タンクからの 冷媒の流れが円滑になるので、冷媒の流量が増加し、管要素の積層数に応じて熱 交換容量を増大できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る積層型熱交換器の正面図である。

【図２】図１の線２Ａ−２Ａによる平面断面図である。

【図３】図１の線３Ａ−３Ａによる冷媒出口管の側面図
である。

【図４】積層型熱交換器の冷媒の流れを説明する平面図
である。

【符号の説明】

３：管要素 ５：フイン ６：タンク ７：冷媒入口管
８：冷媒出口管 １３，１３ａ：管板 １７ａ，１９
ａ：孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右１対の皿形の管板を接合して前後１対
   のタンクと前後のタンクを連通するＵ字形の偏平な冷媒
   通路とを有する管要素を形成し、多数の管要素とフイン
   を交互に並べて接合し、互いに接する管板の孔によりタ
   ンクを連通し、タンク列の一端側に冷媒入口管を接続
   し、他端側の複数対の管要素の対向する管板のタンク部
   をくぼみのない偏平にし、かつ各対の管板の間に内端が
   閉じた偏平な冷媒出口管を挟み、冷媒出口管の両側壁に
   タンクに連通する孔を設けたことを特徴とする積層型熱
   交換器。