JPH04107336U - 防音床材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、特に緩衝材の耐圧縮疲労性を良好
にし、床材の厚み変化を軽減して施工後の防音性能を維
持してなる防音床材を提供することを目的とする。 【構成】 化粧合板３、制振シート６、スリット付き基
材合板４、そしてスリット５を有する面に緩衝材７を順
次積層し、前記緩衝材７として繊維部材の中に発泡可能
な合成樹脂を含浸させ発泡させたものを用いたもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は集合住宅、ホテル等の床材として使用する防音床材に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

今日、集合住宅等における階上からの衝撃振動音、具体的には直接床面を刺激 する人の足音は、床材に振動や衝撃を与え、それによる曲げ波が固体中を伝播し て、階下の部屋で放出すると言われている。

【０００３】 このような衝撃振動音を改良するために、柔らかな仕上げ材で床に加わる衝撃 力を緩和する方法、あるいは床の曲げ剛性と質量を大きくして床構造を振動しに くくする方法がある。

【０００４】 前記の方法は軽量衝撃音に対して有効であり、例えばコンクリート基材の上に カーペットあるいはクッシヨンシートなどを敷設する方法で、また後者の方法は は重量衝撃音に対して有効で、コンクリートスラブの厚み等が検討されている。

【０００５】 しかしながら、今日、重量衝撃音は床材の種類に関係なく、コンクリートスラ ブの厚みなどの建築構造に影響されるので、むしろ軽量衝撃音を改善した床材が 数多く開発されている。例えば、特公昭５６−２３５０９号公報に開示されてい るように弾性成形板、床下地材そして床仕上げ材の３層構造とし、床下地材とし て分割した単体を相互に接触させずに敷設して各単片を音響的に独立させている 。

【０００６】 また、４層構造の床材としては、例えば緩衝材の上に貫通あるいは半貫通のス リットを設けた仕上げ材、可とう性薄板そして木質床化粧板を順次積層した構成 のものが特開昭６２−１５６４７１公報に開示されている。

【０００７】 一方、今日では床材の層構造とともにこれを構成する材料を改良することも試 みられている。そのうち、緩衝材としてはガラスウール、ロックウール等の無機 質繊維板、不織布、またポリエチレン、エチレン−ビニルアセテ−ト共重合体、 ポリウレタン、ポリスチレン等の有機質発泡体が使用されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記緩衝材はその硬度が小さくなる程、床衝撃音を防止する効果があ るが、床上から荷重が加わった場合には圧縮変形が大きくなり、実使用できない 場合もあって、耐圧縮性と衝撃吸収性を保持するためには少なくとも１０ｍｍ以 上の厚さを必要とした。また、緩衝材として繊維部材（不織布等）を使用した場 合、接着剤によりコンクリート上に固定した時に、緩衝材に接着剤が浸透し硬化 することにより、その硬度が大きくなり防音性能が悪くなったり、又不織布がカ ットしずらい等、防音性及び施工性の面で問題が多かった。

【０００９】 本考案はこのような問題点を改善するものであり、特に緩衝材の耐圧縮疲労性 を良好にし、荷重時の床材の厚み変化を軽減して施工後の防音性能を維持してな る防音床材を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案においては、化粧合板、制振シート、スリット 付き基材合板、そしてスリットを有する面に緩衝材を順次積層し、前記緩衝材と して繊維部材の中に発泡可能な合成樹脂を含浸させ発泡させたものを用いた防音 床材にある。

【００１１】 以下、更に本考案の実施例を添付図面に従って説明する。図１は本考案の防音 床材の要部縦断面図であり、防音床材１は化粧合板３とスリット５を有する基材 合板４との間に制振シート６を介在させた合板層２と、基材合板４のスリット５ を設けた面に繊維部材の中に発泡可能な合成樹脂を一部含浸させ発泡させた緩衝 材７を順次積層した構成よりなっている。また、図２に示す防音床材１では、繊 維部材の中に発泡可能な合成樹脂を全部含浸させ発泡させた緩衝材７を使用して いる。

【００１２】 化粧合板３、制振シート６そしてスリット５を有する基材合板４からなる合板 層２は、化粧合板３から伝播した５００Ｈｚ以上の衝撃音を基材合板４のスリッ ト５から放出、拡散させて床面へ直接伝播しにくくしている。また、緩衝材７は この衝撃音を一部吸収して減衰させる効果がある。

【００１３】 ここで使用する化粧合板３および基材合板４は、ブナ、シラ、ラワンなどを素 材とするものであり、基材合板４に設けたスリット５は衝撃音を放出、拡散させ る上で連通しているのが好ましい。また、合板層２を形成している制振シート６ は塩化ビニル、加硫ゴム、発泡体、非加硫ゴムから選ばれる。

【００１４】 前記緩衝材７はガラス、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、アクリル、 ビニロン、レーヨン、綿、羊毛などの繊維を素材とする不織布、起毛布あるいは フェルトなどの繊維部材で、その厚さは２〜１０ｍｍである。そして、この繊維 部材中にエチレンービニルアセテート共重合体、エチレンーエチルアクリレ−ト 共重合体、エチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体などのポリオレフィン系重 合体、塩化ビニルなどのエマルジョンに発泡剤を含有させた発泡可能な合成樹脂 を含浸、被覆させ、これを発泡させたもので、これによって緩衝材７はその保形 性および耐圧縮性が向上し、また耐水性も高まる。

【００１５】

【作用】

本考案の防音床材１においては、合板層２から伝播した５００Ｈｚ以上の衝撃 音は、合板層２のスリット５から放出、拡散して直下の床面へ直接伝播されにく く、また同時に合板層２に積層された緩衝材７でも一部吸収されて減衰されると 共に、５００Ｈｚ未満の緩衝材７は低周波数領域の衝撃音も吸収される。

【００１６】 しかも、前記緩衝材７は繊維部材に発泡可能な合成樹脂を含浸、被覆させ、こ れを発泡させたもので、耐圧縮性の向上によるへたりも小さく、また施工後の遮 音性能も低下しない。

【００１７】 以下に本考案を具体的な実施例により更に詳細に説明する。

【００１８】 実施例１ 厚さ２．５ｍｍの化粧合板、厚さ１．０ｍｍの制振シート（ゴム発泡体）、厚 さ５．５ｍｍの基材合板（占有率２８％のスリットを有する３プライのブナ単体 ）、そして下記に示す緩衝材を順次積層して防音床材を得た。

【００１９】 前記緩衝材は実施例１−１においては、厚さ２ｍｍのガラス繊維からなる不織 布と、厚さ４ｍｍのガラス繊維からなる不織布にエチレンービニルアセテート共 重合体（ＥＶＡ）エマルジョンに発泡剤としてマイクロフェアＦ−３０（松本油 脂製薬社製）を含有させたものを一部含浸し、１３０℃で発泡させたものとを積 層したものである。

【００２０】 また、実施例１−２の緩衝材は、厚さ４ｍｍのガラス繊維からなる不織布にＥ ＶＡエマルジョンに発泡剤としてマイクロフェアＦ−３０（松本油脂製薬社製） を含有させたものを完全に含浸し、１３０℃で発泡させたものである。

【００２１】 そして前記床材を緩衝材がコンクリートスラブの床面に接するように両面テー プで固定した場合（１）と、コンクリートスラブに両面テープを貼り、この上に 床用接着剤（Ｅ−３５０：コニシボンド社製）を塗布して敷設固定した場合（２ ）に分け、ＪＩＳＡ−１４１８に準じて軽量床衝撃音レベルを測定した。また、 該防音床材に４ｋｇ／ｃｍ² の圧力を２４時間与えた後の厚さのへたり量（沈み 込み量）とその時の遮音性を同時に評価した。これらの結果を表１に示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】 比較例１ 実施例１と同様の化粧合板、制振シート（ゴム発泡体）、基材合板（占有率２ ８％のスリットを有する３プライのブナ単体）を積層した合板層に、厚さ４ｍｍ のガラス繊維からなる不織布にＥＶＡエマルジョンを含有させたものを完全に含 浸させた不発泡の緩衝材を順次積層して防音床材を得た。 この床材の床衝撃音レベル、遮音性能の低下そして沈み込み量を測定した結果 を表１に併記する。

【００２４】 比較例２ 実施例１と同様の化粧合板、制振シート、基材合板を積層した合板層に、厚さ ４ｍｍのガラス繊維不織布の緩衝材を順次積層して防音床材を得、実施例１と同 様に防音床材の評価を行なった。その結果を表１に併記する。 この結果によると、本実施例のような緩衝材として不織布中に発泡体を含有さ せた防音床材は、Ｌ価が小さく、また耐荷重性に優れ、遮音性能も低下していな いことが判る。

【００２５】

【考案の効果】

以上のように、少なくとも化粧合板、緩衝シートそしてスリット付き基材合板 からなる合板層に繊維部材中に発泡可能な合成樹脂を含浸させ発泡させた緩衝材 とを積層した防音床材においては、合板層から伝播した衝撃音が合板層のスリッ トから拡散、放出して床面へ伝播しにくくなり、また、緩衝材においても吸収さ れて、床衝撃音レベルが低くなり、遮音性が大きく改善される。しかも、耐荷重 性に優れてへたり量も小さく、また施工後の遮音性能も低下しない効果を有して いる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る防音床材の要部縦断面図。

【図２】本考案に係る他の防音床材の要部縦断面図。

【符号の説明】

１ 防音床材 ２ 合板層 ３ 化粧合板 ４ 基材合板 ５ スリット ６ 制振シート ７ 緩衝材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 化粧合板、制振シート、スリット付き基
   材合板、そしてスリットを有する面に緩衝材を順次積層
   した防音床材であり、前記緩衝材として繊維部材の中に
   発泡可能な合成樹脂を含浸させ発泡させたものを用いる
   ことを特徴とする防音床材。