JPH04106580U - 衝撃波吸収装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 両端に水道管の途中への接続口４を有する筒
状本体と、筒状本体内の一端側と他端側に対向してそれ
ぞれ固定した第１支持体９及び第２支持体１２と、筒状
本体の内面との間に間隔を隔て両端を第１支持体９と第
２支持体１２とにそれぞれ固定した弾性ゴム筒体１４と
を備え、第１支持体９は弾性ゴム筒体１４の外周側又は
内周側のいずれか一方と一端側の接続口４を連通せしめ
る通孔を有し、第２支持体１２は弾性ゴム筒体１４の外
周側及び内周側の両方と他端側の接続口４を連通せしめ
る通孔を有する衝撃波吸収装置。 【効果】 家庭等の一般の水道配管に設置しやすいよう
に小型で、保守点検の必要が殆ど無く、水道の本来の流
出量を保持したうえで、水栓やバルブ又は電磁弁等を急
激に閉鎖した時に発生する衝撃波を吸収することが出来
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、一般家庭やホテル、病院、オフィス等で使われる水道の水栓や、電 磁バルブ付き自動洗濯機や自動食器洗い機等の電磁弁を急激に閉鎖した時に発生 する衝撃波により引き起こされる、異常な音及び振動（以下ウオーターハンマー と称する）を無くし又は低減する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

液体配管の栓又はバルブや電磁弁を急激に閉鎖すると管内の液体の流速が急減 し、圧力が急上昇して衝撃波が配管内をさかのぼり、配管を振動させると共に異 音を発生させる。この現象は一般にウオーターハンマーと言われ、音が耳障りな だけでなく、瞬間的な高い圧力上昇により栓や電磁弁、配管の継目シール等を痛 め、漏水等の原因となる。

【０００３】 衝撃波を吸収してウオーターハンマーを防止する装置として、工業的な油圧配 管等のように管内圧力を流れる液体の圧力が高い場合には、アキュムレータが一 般に使用されている。アキュムレータは管内液体と圧縮空気室とをダイヤフラム で分離した構造であるが、内部に圧縮空気を封入するため大型で頑丈な鋼製容器 を必要とし、又薄いダイヤフラムを通して空気が僅かづつ透過するので封入した 圧縮空気の空気圧を定期的に点検補充する必要がある等、一般家庭やホテル、病 院、オフィス等の水道配管に設置して使用するには不都合であった。

【０００４】 そこで、空気圧の点検補充の必要がない水道用の衝撃波吸収装置として、図３ に示す装置が提案されている。この装置は、小径部に細孔１７を穿設したベンチ ュリー管１６と、ベンチュリー管１６の周囲に吸気弁１８を設けた空気室１９を 設置した構造を有しており、ベンチュリー管１６の小径部を下側に大径部を上側 にして水道管の途中に接続され、空気室１９は通常水と空気で満たされている。 水栓を開いて図３の矢印方向に通水すると、吸気弁１８が下降して空気が空気室 １９に吸い込まれる。水栓を急に止めると逆流した衝撃波がベンチュリー管１６ の細孔１７から空気室１９内の水に伝わり、吸気弁１８が上昇すると同時に閉じ られた空気室１９内の空気を圧縮することにより衝撃波が吸収緩和され、ウオー ターハンマーが防止される。

【０００５】 しかし、上記ベンチュリー管を用いた衝撃波吸収装置では、ベンチュリー管に よって流れる水量が絞られるので、蛇口等から流れ出る流出量が少なくなる欠点 があった。又、ベンチュリー管で水量が絞られるときのキャビテーション発生に より、やはり耳障りな音が発生しやすい欠点があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案はかかる従来の事情に鑑み、通常の水道配管において水栓又はバルブ若 しくは電磁弁の近くの配管途中に設置され、保守点検の必要が殆どなく、水栓等 を急激に閉鎖した時に発生する衝撃波を吸収してウオーターハンマーを無くし又 は低減させることができ、しかも小型であって本来の流出量を保持出来る衝撃波 吸収装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案の衝撃波吸収装置では、両端に接続口を有す る筒状本体と、筒状本体内の一端側と他端側に対向してそれぞれ固定した第１支 持体及び第２支持体と、筒状本体の内面との間に間隔を隔て両端を第１支持体と 第２支持体とにそれぞれ固定した弾性ゴム筒体とを備え、前記第１支持体は弾性 ゴム筒体の外周側又は内周側のいずれか一方と筒状本体の一端側の接続口を連通 せしめる通孔を有し、前記第２支持体は弾性ゴム筒体の外周側及び内周側の両方 と筒状本体の他端側の接続口を連通せしめる通孔を有することを特徴とする。

【０００８】

【実施例】

図１により本考案の衝撃波吸収装置の一具体例を説明する。この装置は筒状本 体として、両端が開口した筒状の２つの金属製のコネクター、即ち一端に接続口 ４を有する第１コネクター２及び他端に接続口４を有する第２コネクター３と、 第１及び第２コネクター２、３をそれぞれ一端と他端に螺合して固定せしめたア クリル樹脂製の筒状の外筒５を備えている。外筒５は内径26mm及び外径30mm、長 さ90mmであり、外筒５と第１及び第２コネクター２、３との間には、水漏れを防 止するためにＯリング６がそれぞれ嵌挿してある。尚、第１コネクター２又は第 ２コネクター３のいずれか片方と外筒５とは一体的に形成することも可能である し、全体を組み立てた後に第１コネクター２及び第２コネクター３と外筒５との 間を水漏れのないよう封止することも出来る。

【０００９】 筒状の外筒５内で第１コネクター２の他端側には、図２のごとく直径12mmで長 さ10mmの円柱体７の外周に長さ7mm及び幅2mmの４つの突出片８を設けた第１支持 体９が、各突出片８を第１コネクター２の他端と外筒５の内周面とに当接させる ことにより係止されている。又、外筒５内で第２コネクター３の一端側には、図 ２のごとく内径8mmの貫通孔１１を有する外径12mmで長さ10mmの円筒体１０の外 周に上記と同じ４つの突出片８を設けた第２支持体１２が、各突出片８を第２コ ネクター３の他端と外筒５の内周面とに当接させることにより、第１支持体９と 60mmの間隔を隔てて係止されている。尚、第１支持体９と第２支持体１２を係止 するには、第１コネクター２の他端及び第２コネクター３の一端若しくは外筒５ の内周面に設けた溝内に各突出片８を嵌め込む等の別の手段をとることも可能で ある。又、第１支持体９の円柱体７の一端は平面でも良いが、一端側に突き出た 円錐状に形成すれば水流に対する抵抗を小さくでき、又円柱体７の他端は平面で も或は貫通しない穴を穿設しても良い。

【００１０】 第１支持体９の他端外周上と第２支持体１２の一端外周上には、内径12mm及び 厚さ1.0mmで長さ55mmの弾性ゴム筒体１４がその両端を締結バンド１５でそれぞ れ固定してある。弾性ゴム筒体１４はクロロプレンゴム（ＣＲ）製であり、その 弾性率は17Kgf／mm²で、硬度はJIS A 硬さで70以上、好ましくは75±5である。 従って、弾性ゴム筒体１４の外周側は第１支持体９及び第２支持体１２のいずれ の側でも突出片８の間の隙間１３により各接続口４に連通しているが、弾性ゴム 筒体１４の内周側は第１支持体９の側では閉鎖され、第２支持体１２の側では貫 通孔１１により第２コネクター３の接続口４に連通した状態になつている。

【００１１】

【作用】

上記衝撃波吸収装置は、図１のごとく両方の接続口４で水道管１の途中に接続 して使用するが、実線の矢印方向に水が流れるように第１支持体９側を上流にし て接続する。第２コネクター３の下流にある水栓（図示せず）を開くと、水は第 １コネクター２から第１支持体９の各突出片８の間の隙間１３を通って外筒５と 弾性ゴム筒体１４の外周との間を流れ、第２支持体１２の各突出片８の間の隙間 １３から第２コネクター３に流れ出す。その際、弾性ゴム筒体１４の内側も第２ 支持体１２の貫通孔１１を通った水によつて当然満たされる。通常の水道では、 通水時及び静止時には水圧が約1.5〜2.0Kg／cm²であり、弾性ゴム筒体１４は若 干内周側にへこんだ状態になっている。

【００１２】 水栓を急激に閉止すると水に約12〜15Kg／cm²の衝撃的な水圧がかかり、この 衝撃波が水栓から逆流し、図１の点線の矢印方向のごとく第２支持体１２の貫通 孔１１を通って弾性ゴム筒体１４の内周側に伝播し、第１支持体９で進行を妨げ られることにより弾性ゴム筒体１４を外周側に急激に押し出そうとする。その結 果、弾性ゴム筒体１４が外筒５側に膨出することによって、約12〜15Kg／cm²に 上昇した水圧を約4〜5Kgcm²に低減することが出来るので、配管の振動や異常音 の発生が防止される。尚、第１支持体９側において、弾性ゴム筒体１４の内周側 を逆に第１コネクター２の接続口４に連通させ、且つ外周側を外筒５との間で閉 鎖しても、上記と同様に衝撃波を低減させる作用が得られる。

【００１３】 前記のごとく弾性ゴム筒体１４は水栓閉止時に外側に急激に膨出変形するが、 弾性ゴム筒体１４と外筒５の間も水で満たされているので、膨出速度が緩和され 且つ衝撃波が吸収緩和された後に弾性ゴム筒体１４の弾力性により徐々に元の状 態に圧し戻される。尚、一般の水道の場合には発生する衝撃波が比較的小さく、 弾性ゴム筒体１４の膨出容積も約10〜20ccと小さくて済むので、従来のダイヤフ ラムに比べて厚くしかも硬いゴムからなる弾性ゴム筒体１４でも変形及び復元が 可能であり、且つ疲労も少ない。従って、弾性ゴム筒体１４の寿命は従来のダイ ヤフラムよりも遥かに長くなるが、外筒５を外して交換することも勿論可能であ る。又、外筒５と弾性ゴム筒体１４の間の断面積を第１及び第２コネクター２、 ３の内側断面積及び水道管１の断面積とほぼ同じくすることは容易であり、これ により水の流量が変わらず、蛇口等から本来の流出量を得ることが出来る。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、家庭等の一般の水道配管に設置しやすいように小型で、保守 点検の必要が殆ど無く、水道の本来の流出量を保持したうえで、水栓やバルブ又 は電磁弁等を急激に閉鎖した時に発生する衝撃波を吸収する衝撃波吸収装置を提 供でき、これにより耳障りな音や配管の振動を伴うウオーターハンマーを無くし 又は低減させることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の衝撃波吸収装置の一具体例を示す一部
切り欠き側面図である。

【図２】上記衝撃波吸収装置の第１支持体と第２支持体
を示す斜視図である。

【図３】従来のベンチュリー管を用いた衝撃波吸収装置
の断面図である。

【符号の説明】 １ 水道管 ２ 第１コネクター ３ 第２コネクター ４ 接続口 ５ 外筒 ６ Ｏリング ７ 円柱体 ８ 突出片 ９ 第１支持体 １０ 円筒体 １１ 貫通孔 １２ 第２支持体 １３ 隙間 １４ 弾性ゴム筒体 １５ 締結バンド １６ ベンチュリー管 １７ 細孔 １８ 吸気弁 １９ 空気室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端に接続口を有する筒状本体と、筒状
   本体内の一端側と他端側に対向してそれぞれ固定した第
   １支持体及び第２支持体と、筒状本体の内面との間に間
   隔を隔て両端を第１支持体と第２支持体とにそれぞれ固
   定した弾性ゴム筒体とを備え、前記第１支持体は弾性ゴ
   ム筒体の外周側又は内周側のいずれか一方と筒状本体の
   一端側の接続口を連通せしめる通孔を有し、前記第２支
   持体は弾性ゴム筒体の外周側及び内周側の両方と筒状本
   体の他端側の接続口を連通せしめる通孔を有することを
   特徴とする衝撃波吸収装置。