JPH04105262U - ピストンリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リング本体の外周摺動面を改善して馴染性及
び保油性を好適に維持すると共に、欠落物の発生を抑え
て運転初期段階や運転中のトラブル防止を図ったピスト
ンリングを提供する。 【構成】 シリンダ壁面に摺接するリング本体１１の外
周面に、山部１２ａと谷部１２ｂが交互に連なって周方
向へ延びる波形部１２を設け、波形部１２の山部１２ａ
及び谷部１２ｂが共に緩曲線で形成されている。従っ
て、シリンダ壁面との摺接による摩擦抵抗が軽減され
る。特に、山部１２ａの形状を緩曲線としているから、
従来のように鋭角形成した山部が応力集中で欠落するの
に対して、緩曲線で応力集中の分散により欠落しない。
従って、欠落片が摺動面間に介在して傷痕跡を着けた
り、潤滑油の油膜破断で誘発される焼付けなどを回避す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、レシプロエンジン用のピストンリングに係り、特に比較的大口径の 内燃機関用でコンプレッション機能を有するピストンリングに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図４及び図５は、運転初期の段階で、シリンダ壁面に対してピストンリングの 外周摺動面の馴染性及び保油性を良好に維持する目的で、リング外周面を加工し た形態の従来例を示す。即ち、シリンダ壁面との摺動面であるリング本体１の外 周面に、切削バイトによる機械加工で周方向へ幾筋もの凹条２が形成してある。 表面処理にはパーカライジング処理が施されている。凹条２を設けることにより 、シリンダ壁面との接触面積を最小限に抑えて馴染性を好適にし、凹条２に潤滑 油を保持させて保油性の維持を図っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この図４及び図５に示される従来例のピストンリングの場合、 凹条２により波形状に形成した表面は、リング本体１の材質が多くは比較的脆弱 な鋳鉄であることも影響して、特に凹条２の先端部３に加工バリやむしれが発生 し易い。その結果、運転初期の段階で、鋭角のバリやむしれがシリンダ壁面に摺 接した際の摺動抵抗などで表面から欠落し、摺動表面間に介在することでシリン ダ壁面及びピストンリングの外周面の双方に過大な傷痕跡を残し、かつ焼付けな どの不具合を発生する要因ともなっている。 従って、本考案の目的は、リング本体の外周摺動面を改善して馴染性及び保油 性を好適に維持すると共に、欠落物の発生を抑えて運転初期段階や運転中のトラ ブル防止を図ったピストンリングを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案のピストンリングは、シリンダ壁面に摺接するリング本体の外周面に、 山部と谷部が交互に連なって周方向へ延びる波形部を設け、波形部の山部及び谷 部が共に緩曲線で形成された構成である。

【０００５】

【作用】

リング本体の外周面が総形バイト加工によって連続した波状曲線で形成される 。即ち、波形部の山部及び谷部が緩曲線で形成されているため、シリンダ壁面と の摺接による摩擦抵抗が軽減される。特に、山部の形状を緩曲線としているから 、従来のように鋭角形成された先端部のバリやむしれ部が運転初期の段階で欠落 するのに対して、緩曲線で応力集中の分散により欠落しない。従って、欠落片が 摺動面間に介在して傷痕跡を着けたり、潤滑油の油膜破断で誘発される焼付けな どを回避する。

【０００６】

【実施例】

以下、コンプレッションリングに用いられて好適な本考案によるピストンリン グの実施例を図面に基づいて説明する。 図１及び図２に示すように、実施例のピストンリング１０は、シリンダの呼び 径：５２０ｍｍの大型低速エンジンに適用されるものを対象にしている。リング 仕様は、外径Ｄ：５２０ｍｍ 幅Ｂ：１２ｍｍ 厚さＴ：１７ｍｍであり、材質 としてＦＣ２５相当材が用いられている。

【０００７】 シリンダ壁面との摺接面であるリング本体１１の外周面には波形部１２が機械 加工を行って形成されている。波形部１２はリング本体１１の幅Ｂ方向に山部１ ２ａと谷部１２ｂ（深さｔ０．０５mm）をピッチＰ（０．８mm）で交互に連ね、 両部による波状曲線がリング周方向へ延びている。山部１２ａ及び谷部１２ｂは 、共に曲率ｒ（０．５mm）による緩やかな円弧曲線で形成されている。

【０００８】 前述の図４及び図５で示された従来例の波形部のように、ピッチ送り切削バイ トによる加工に対して、実施例の波形部１２は前述のように周方向に平行に山部 １２ａ及び谷部１２ｂが総形バイトで加工されて波状曲線となっている。

【０００９】 以上のような波形部１２が形成された実施例のピストンリング１０を、約８時 間試運転した後、リング外周面の波形部１２を観察した結果、図４及び図５の従 来例に比べて摺動による傷痕跡の発生が殆ど認められず、シリンダ壁面に早期に 馴染んでいる状態が確認された。

【００１０】 なお、図３は本考案の他の実施例であり、前述の第１の実施例における波形部 １２がピッチ送りによる総形バイト加工で形成されたのに対して、リング本体１ １の幅Ｂが曲率Ｒの円弧の一部である円周でバイト送りが行われる。従って、得 られた波形部１３は、幅Ｂの中央部が膨出したバレルフェイス形ともいうべき形 状である。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によるピストンリングは、波形部の山部及び谷部 が緩曲線で形成されているため、シリンダ壁面との摺接による摩擦抵抗が軽減さ れる。特に、山部が緩曲線であるから応力の集中が少なく、従って山部が欠落し 難いために、従来のこの種の構造のように欠落片が摺動面間に介在して傷痕跡を 着けたり、潤滑油の油膜破断で誘発されて焼付けなどが発生するといった不具合 が解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案によるピストンリングの実施例の部分
斜視図

【図２】 実施例の波形部の拡大断面図

【図３】 本考案の他の実施例の側面断面図

【図４】 従来例のピストンリングの部分斜視図

【図５】 従来例の波形部の拡大断面図

【符号の説明】

１０・・ピストンリング、１１・・リング本体、１２、
１３・・波形部、１２ａ・・山部、１２ｂ・・谷部

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【手続補正書】

【提出日】平成４年１月２４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図２

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダ壁面に摺接するリング本体の外
   周面に、山部と谷部が交互に連なって周方向へ延びる波
   形部を設け、波形部の山部及び谷部が共に緩曲線で形成
   されたことを特徴とするピストンリング。