JPH0410191Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、断熱材等に用いられる発泡体、特に
保温筒等に用いられる半円筒状発泡体を製造する
ための焼成型に関する。

（従来の技術） 断熱材、特に不燃性の保温筒としては、従来、
ガラスウール、ロツクウール等を材料として、こ
れを変形加工、あるいは切出し加工することによ
り製造されていた。しかし、このような材料から
製造される保温筒は多孔質であるため、例えば給
湯管の保温筒として用いる場合には、多雨高湿下
では、保温筒自体が吸水あるいは吸湿し、断熱性
能が著しく低下してしまう。

このため、近時、保温筒の製造には、ガラスウ
ール等の材料に替えて、ガラス質材料、例えば廃
ガラス、天然ガラス質鉱物（シラス，抗火石等）
が原料として用いられている。特に、半円筒状の
保温筒は、このような原料を焼成発泡させて独立
気泡型の発泡体ブロツクを製造し、該ブロツクを
切出し加工することによつて製造されている。

しかしながら、ブロツク状の発泡体を半円筒状
に切出し加工することは、発泡体自体が脆く衝撃
によつて破損しやすいために、容易ではなく、ま
た、切出し加工であるために、原料に対する製品
の歩留りが悪く、経済性を損なうという欠点があ
る。このため、切出し加工することなく、ガラス
質材料を、直接、半円筒状に発泡成形させること
が望ましい。

ガラス質材料を、直接、半円筒状に発泡成形さ
せるためには、1100℃以上の焼成発泡温度に耐え
る焼成型が必要になる。このような温度に耐え得
る材料としては、セラミツク、金属等が考えられ
る。しかし、セラミツクは線膨張係数がガラス質
材料の線膨張係数に近似しているために、該セラ
ミツクを用いた焼成型は、冷却時に発泡体ととも
に収縮し、離型が容易でないという欠点がある。
また、金属は、線膨張係数がガラス質材料よりも
大きいために、冷却時の収縮率が発泡体よりも大
きく、やはり離型が困難になるという欠点があ
る。従つて、このような材料を用いた焼成型は、
ガラス質材料が焼成発泡した後に、容易に発泡体
を離型させ得る構成としなければならない。

また、ガラス質原料は、焼成発泡時の粘度が大
きいために、膨張した発泡体にて焼成型が変形あ
るいは破壊されるおそれがある。このため、焼成
型には、膨張した発泡体が膨出し得る空間を形成
しなければならない。発泡体が膨出し得る空間を
形成すると、発泡体の一部は形成された空間より
膨出するが、焼成型全体に圧力が加わるため、焼
成型は、形成すべき発泡体の大きさよりも若干余
裕をもつた大きさとしなければならない。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、上記従来の問題を解決するものであ
り、その目的は、ガラス質材料の発泡時に変形や
破損のおそれがなく、しかも離型が容易な、半円
筒状発泡体製造用焼成型を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の半円筒状発泡体製造用焼成型は、底面
が孤状となるように、薄板材を断面Ｕ字状に湾曲
させてなる外枠体と、該外枠体に外嵌して、該外
枠体を略水平に支持する支持台と、該外枠体の各
端部内周面に外周面が密着するように、該外枠体
に内嵌される端部規制部材と、各端部規制部材に
各端部が係止されて、外枠体とは所定の間隔を有
するように架設された内周面規制管と、前記外枠
体、支持台、および端部規制部材を挿通して、こ
れらを一体的に固定する留具と、具備してなり、
そのことにより上記目的が達成される。

（実施例） 以下に本考案を、実施例について説明する。

本考案の焼成型は、第１図〜第３図に示すよう
に、底面が円弧状である断面Ｕ字状の樋状に薄板
材を湾曲してなる外枠体１０と該外枠体１０を略
水平に支持する３つの支持台２０，２０，２０
と、外枠体１０の各端部にそれぞれ嵌合される端
部規制部材３０および３０と、両端部規制部材３
０および３０間に架設される内周面規制管４０と
を有する。

外枠体１０は、鋼板等の耐熱性に優れた薄板材
が用いられる。該外枠体１０の開口部を形成する
各側端縁にはフランジ部１１および１１が形成さ
れている。該外枠体１０の各側面における上部の
相対向する位置には、一対の透孔１２および１２
が、各端部および中央部にそれぞれが形成されて
いる。

該外枠体１０は、各端部および中央部を支持台
２０，２０，２０にて支持されている。各支持台
２０は外枠体１０外周面に嵌合し得る断面Ｕ字状
の嵌合凹部２１が上部から中央部にかけて形成さ
れている。そして、該嵌合凹部２１に外枠体１０
の各端部または中央部が内嵌され、該外枠体１０
の各フランジ部１１は各支持台２０上面に載置さ
れる。

各支持台２０の上部には、各外側面から嵌合凹
部２１内周面まで略水平に貫通する一対の貫通孔
２２および２２が形成されている。該貫通孔２２
は、嵌合凹部２１に嵌合された外枠体１０の各端
部および中央部に設けられた各透孔１２にそれぞ
れ整合される。

各端部規制部材３０は、該外枠体１０端部の内
周面全域にわたつて密着し得る外周面を有する嵌
合突部３１と、該嵌合突部３１の上部にて、各側
方に略水平に延出した係止部３２および３２とを
有する。各係止部３２は、外枠体１０の各端部を
支持する支持台２０の上面に、外枠体１０のフラ
ンジ部１１を介して載置される。

端部規制部材３０における嵌合突部３１には、
上面から略鉛直に係合凹溝３３が形成されてい
る。該係合凹溝３３の底面は、端部規制部材３０
を内嵌した外枠体１０の底面とは同心状の半円弧
状になつている。

各端部規制部材３０における嵌合突部３１の上
部には、該嵌合突部３１の外側面および係合凹溝
３３の内側面との間を略水平に貫通する一対の貫
通孔３４および３４が形成されている。各貫通孔
３４は、嵌合突部３１が外枠体１０に嵌合された
場合に、該外枠体１０の各透孔１２に整合する。

各端部規制部材３０における嵌合突部３１の係
合凹溝３３には、内周面規制管４０の各端部が嵌
合される。該係合凹溝３３内に嵌合された内周面
規制管４０は、該係合凹溝３３内の底面に当接し
て、外枠体１０とは所定の間隙を有して略水平に
架設される。

内周面規制管４０が嵌合された各端部規制部材
３０の係合凹溝３３内には、内周面規制管４０を
固定するための固定部材５０が係合される。該固
定部材５０は、縦長の長方体状をしており、その
底面は、内周面規制管４０の上部に嵌合し得るよ
うに、円弧状に窪んでいる。また、その上面は、
底面が内周面規制管４０の上部に嵌合した状態で
端部規制部材３０の上面と略面一となる。

該固定部材５０の上部には、貫通孔５１が略水
平に配設されている。該貫通孔５１は、端部規制
部材３０の係合凹溝３３内に固定部材５０が嵌合
され、その底面が内周面規制管４０の上部に嵌合
した状態で、端部規制部材３０の各貫通孔３４と
整合される。

外枠体１０の各端部を支持する支持台２０、外
枠体１０の各端部に嵌合された端部規制部材３
０、該端部規制部材３０に各端部を支持された内
周面規制管４０、該内周面規制管４０を固定する
べく各端部規制部材３０に係合された各固定部材
５０は、留具６０にて一体的に固定される。該留
具６０は、支持台２０の各貫通孔２２、外枠体１
０の各小孔１２、端部規制部材３０の各貫通孔３
４および固定部材５０の貫通孔５１に挿通され、
その各端部が支持台２０の各側面より側方に延出
される１本の連結棒６１と、支持台２０の各側面
より側方に延出した連結棒６１の各端部に形成さ
れた係止孔６１ａおよび６１ａに係止される係止
ピン６２および６２を有する。

外枠体１０の中央部を支持する支持台２０に
は、第３図に示すように、内周面規制管４０の中
央部に当接する管押さえ７０が配設される。該管
押さえ７０は、外枠体１０の上部に嵌合する長方
体状の本体部７１と、内周面規制管４０の中央部
にその底面が嵌合し得るように、該本体部７１よ
り下方へ突設された当接部７２と、本体部７１の
上部から各側方に延出し、支持台２０の上面に外
枠体１０のフランジ部１１を介して載置される支
持部７３および７３とを有する。

該管押さえ７０の本体部７１における上部に
は、貫通孔７４が略水平に配設されている。該貫
通孔７４は、管押さえ７０が、外枠体１０を支持
した支持台２０に載置され、その本体部７１が外
枠体１０に嵌合された場合に、支持台２０の貫通
孔２２に整合した外枠体１０の透孔１２に整合さ
れる。

該管押さえ７０は、前記留具６０と同様の留具
６０にて支持台２０および外枠体１０に一体的に
固定される。すなわち、留具６０における連結棒
６１が支持台２０の貫通孔２２、外枠体１０の透
孔１２、および管押さえ７０の貫通孔７４に挿通
され、各端部の係止孔６１ａおよび６１ａに係止
ピン６２および６２が係止されて抜け止めされ
る。

このような構成の本考案の焼成型は、ガラス質
原材料を発泡させるに際し、その組立て前に、外
枠体１０の外周面、各端部規制部材３０における
内周面、内周面規制管４０の外周面に、それぞ
れ、アルミナペースト等の離型剤が塗布される。

次いで、外枠体１０の各側部および中央部を支
持台２０における嵌合凹部２１内に嵌合し、外枠
体１０の各端部に、各端部規制部材３０をそれぞ
れ嵌合させる。そして、各端部規制部材３０の係
合凹溝３３内に、内周面規制管４０の各端部およ
び固定部材５０を、順次、嵌合させる。このよう
な状態で、支持台２０の貫通孔２２、外枠体１０
の透孔１２、端部規制部材３０の貫通孔３４、お
よび固定部材５０の貫通孔５１に、留具６０にお
ける連結棒６１を挿通し、該連結棒６１の端部に
係止ピン６２を係止する。

他方、外枠体１０の中央部を支持する支持台２
０に管押さえ７０を、外枠体１０の中央部に本体
部７１が嵌合するように載置し、留具６０の連結
棒６１を支持台２０、外枠体１０、および管押さ
え７０に挿通して、該連結棒６１の端部に係止ピ
ン６２を係止する。

このような状態で、発泡性配合物の乾粉が外枠
体１０内に充填されて焼成炉内へ装入される。そ
して、発泡性配合物の乾粉は、該焼成炉内で、所
定温度にて所定時間にわたつて加熱される。これ
により、ガラス質原材料を主成分とするこの発泡
性配合物が外枠体１０にて発泡される。

焼成炉内にて発泡性配合物が発泡されると、発
泡体を所定温度にまで降温させた後に、焼成型を
焼成炉から取り出し、該焼成型を分解して、半円
筒状に発泡された発泡体を取り出す。焼成型は、
まず留具６０における連結棒６１を抜き取り、固
定部材５０を端部規制部材３０から取り外した後
に、外枠体１０の中央部に嵌合した管押さえ７０
を取り外し、次いで、内周面規制管４０を各端部
規制部材３０から取り外した後に、外枠体１０を
各支持台２０より取り外すことにより分解され
る。そして、外枠体１０と内部の発泡体とは一体
となつているため、発泡体を破損しないおうに、
一方の端部から発泡体を分離させて、半円筒状の
発泡体を取り外す。得られた発泡体は、不要部分
をトリミングして所定の形状とされる。

実験例 厚さ１mmのSUS310S鋼板を用いて、底面の半
径が45mm、長さが800mmの外枠体１０を製造し、
厚さ３mmのSUS310S鋼板を用いて、支持台２０、
各端部規制部材３０、固定部材５０、管押さえ７
０を、それぞれ軸方向長さが50mmとなるように製
造した。内周面規制管４０として、直径が34mmの
25ASUS310Sパイプを用い、さらに留具６０の連
結棒として、SUS310棒を用いて、第１図に示す
ように焼成型を組立てた。

組立てられた外枠体１０内に、ガラス質原料を
主体とする発泡性配合物600ｇを平らに充填し、
焼成炉内で、1140℃の温度にて30分間加熱し、発
泡性配合物を発泡させた。次いで、発泡体を２時
間30分かけて300℃にまで冷却し、焼成炉内から
焼成型を取り出した。発泡体は、焼成型の内周面
規制管４０における中央の高さ位置まで盛り上が
つていた。

このような状態で、焼成型を分解し、半円筒状
の発泡体を取り出し、不要部分を切り取つて所定
形状とした。

得られた発泡体は寸法精度がよく、また焼成型
の組立ておよび分解が容易であるため、作業効率
が著しく向上した。

（考案の効果） 本考案の焼成型は、このように、組み立てが容
易であり、また分解も容易であるため、半円筒状
の発泡体の製造作業効率が著しく向上する。焼成
型は強固に組み立てられるため、焼成型の変形、
破損等のおそれがなく、寸法精度に優れた半円筒
状の発泡体が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の焼成型の斜視図、第２図はそ
の側面図、第３図は第１図の−線における断
面図である。 １０……外枠体、２０……支持台、３０……端
部規制部材、３３……係合凹溝、４０……内周面
規制管、５０……固定部材、６０……留具、７０
……管押さえ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 底面が孤状となるように、薄板材を断面Ｕ字
   状に湾曲させてなる外枠体と、 該外枠体に外嵌して、該外枠体を略水平に支
   持する支持台と、 該外枠体の各端部内周面に外周面が密着する
   ように、該外枠体に内嵌される端部規制部材
   と、 各端部規制部材に各端部が係止されて、外枠
   体とは所定の間隔を有するように架設された内
   周面規制管と、 前記外枠体、支持台、および端部規制部材を
   挿通して、これらを一体的に固定する留具と、 を具備する、半円筒状発泡体製造用焼成型。 ２ 前記端部規制部材は、前記内周面規制管が係
   合し得る係合凹溝を有する実用新案登録請求の
   範囲第１項に記載の半円筒状発泡体製造用焼成
   型。 ３ 前記係合凹溝内には、該係合凹溝の底部に係
   止された内周面規制管の端部を押圧する固定部
   材が嵌合されている実用新案登録請求の範囲第
   ２項に記載の半円筒状発泡体製造用焼成型。 ４ 前記支持台は、外枠体の両端部および中央部
   を支持するべく配設されている実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載の半円筒状発泡体製造用
   焼成型。 ５ 前記外枠体の中央部を支持する支持台には、
   内周面規制管の中央部を上方から押さえる管押
   さえが載置されている実用新案登録請求の範囲
   第４項に記載の半円筒状発泡体製造用焼成型。