JPH04101275U - 直流機の電機子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 直流機の出力特性を低下することなく、電機
子コイルの重量を軽減する。 【構成】 電機子コイルのコイル導体を、アルミ材を心
線とし、この心線を銅材からなる外周材でおおってなる
複合材により構成したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、始動電動機などに適用され、電機子コイルを軽量にした直流機の 電機子に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３は直流機の電機子を示す。１は電機子鉄心で、スロットに電機子コイル２ が挿入されて装着されている。５は電機子軸、６は整流子で、各整流子片に電機 子コイル２の接続端が接続されている。

【０００３】 図４は従来の電機子を示す断面図で、電機子コイル２のコイル導体３は銅丸線 からなり、１回巻きの場合を示す。スロット１ａに電機子コイル２の直線部が挿 入されている。コイル導体３には絶縁被膜３ａが施され、スロット絶縁４により 絶縁されている。

【０００４】 図５は従来の電機子の他の例を示し、電機子コイル２のコイル導体３が銅丸線 で、２回巻きの場合を示す。また、図６は従来の電機子の別の例を示し、電機子 コイル２のコイル導体７が平角導線で、１回巻きの場合を示す。いずれも、スロ ット１ａの深さが大きくされており、コイル導体３，７には絶縁被覆が施され、 スロット絶縁が設けられているが、図示は略す。

【０００５】 直流機の電機子コイルのコイル導体内の電流は、各界磁極を通るごとに方向を 転ずる交流である。したがって、鉄心スロット１ａに挿入されているコイル導体 ３，７には、スロット漏れ磁束の変化によって渦電流を生じ、導体断面における 電流分布は一様でなく、スロット１ａの上部に片寄る。この電流分布図を図７に 示す。このように、いわゆる表皮効果を生じるが、導体３，７の実効抵抗Ｒ_ｅ は、導体寸法から算出した直流抵抗Ｒ_ｄより増加してｋ倍となる（ｋ＞１）。

【０００６】 直流機の回転数Ｎ（ｒｐｍ），極対数をｐとすると、コイル導体３，７に流れ る交流周波数ｆは、次式のようになる。

【０００７】 ｆ＝（Ｎ／６０）×ｐ

【０００８】 上記倍数ｋと周波数ｆの関係は、図８のようになる。よって、直流機の特性を 確保するため、コイル導体３，７の断面積は大きくなり、電機子コイル２の重量 が大きくなっていた。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の直流機の電機子では、コイル導体３，７は断面積の大きい ものを使用する必要があり、電機子コイル２の重量が大きくなるという問題点が あった。特に、始動電動機の場合、低トルク高回転数であるので、ｋが大きくな り、電機子コイル２の重量がいっそう大きくなる。減速機構を内蔵する始動電動 機では、特に影響が大きく、電機子鉄心１のスロット１ａが、図５，６に示すよ うに深くなり、ｋが更に大きくなり、電機子コイル２の重量が一段と増大すると いう問題点があった。

【００１０】 この考案は、このような問題点を解決するためになされたもので、電機子コイ ルの重量が従来のものより軽減され、特に始動電動機の場合顕著となる直流電動 機の電機子を得ることを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る直流機の電機子は、電機子コイルのコイル導体を、アルミ材を 心線とし、銅材からなる外周材で覆った複合線としたものである。

【００１２】

【作用】

この考案においては、電機子コイルのコイル導体は、比較的電流密度が低い心 部がアルミ材であり、回転中の実質抵抗をほとんど増加することなく、軽量化さ れ、電流密度の高い外周部は銅材であり、抵抗を増すことなく対処される。

【００１３】

【実施例】

図１はこの考案による直流機の電機子の一実施例を示す電機子トルクの導体の 断面図である。電機子コイル２（図３参照）のコイル導体１１は、アルミ材から なる丸心線１１ａに、銅材からなる外周材１１ｂで覆った複合丸線にし、外周に 絶縁被覆１１ｃを施してある。このコイル導体１１を巻回し電機子コイル２を形 成し、図３のように、電機子鉄心１のスロット絶縁を介し挿入する。

【００１４】 電機子コイル２のコイル導体１１は、電流が集中する外周材１１ｂを銅材で構 成し、比較的電流密度が低い丸心線１１ａをアルミ材で構成しており、電機子が 回転中の丸心線１１ａの実質抵抗がほとんど増加せず（アルミの導電率は銅の60 ％位）、軽量化（アルミの比重は銅の30％位）される。

【００１５】 図２はこの考案の他の実施例を示し、電機子コイルのコイル導体が平角線の場 合の断面図である。電機子コイル２のコイル導体１２は、アルミ材からなる平角 心線１２ａに銅材からなる外周材１２ｂで覆った複合平角線にし、外周に絶縁被 覆１２ｃを施してある。このコイル導体１２を巻回し電機子コイル２（図３参 照）を形成し、電機子鉄心１のスロット１ａにスロット絶縁を介し挿入する。

【００１６】 なお、上記図２のコイル導体１２は、平角心線１２ａを用い複合平角線にした が、図１のように丸心線１１ａに外周材１１ｂで覆った複合丸線を用い、電機子 コイル形成時に、スロットに入る直線部のみを加圧成形し平角線上にしてもよ い。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、アルミ材を心線とし、電機子コイルを形成 し電機子鉄心に装着したので、電流密度の高いコイル導体の外周材は銅材で対処 され、電流密度の低い心線部はアルミ材で対処され、出力特性を低下させること なく軽量化される。特に、減速装置内蔵の始動電動機では、電機子鉄心のスロッ トが深く、高速回転であり、その効果が顕著となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による直流機の電機子の一実施例の電
機子コイルの導体断面図である。

【図２】この考案の他の実施例を示す電機子コイルの導
体断面図である。

【図３】直流機の電機子の側面図である。

【図４】従来の電機子を示す図３のＡ−Ａ線における断
面図である。

【図５】従来の電機子の電機子コイルの他の例を示す図
４に相当する断面図である。

【図６】従来の電機子の電機子コイルの別の例を示す図
４に相当する断面図である。

【図７】直流機の電機子鉄心のスロット内のコイル導体
の表皮効果を示す説明図である。

【図８】コイル導体の実効抵抗と導体寸法から算出した
直流抵抗の比と周波数との関係を示す曲線図である。

【符号の説明】

１ 電機子鉄心 １ａ スロット ２ 電機子コイル １１ コイル導体 １１ａ 丸心線 １１ｂ 外周材 １２ コイル導体 １２ａ 平角心線 １２ｂ 外周材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電機子コイルの導体を、アルミ材からな
   る心線と、この心線を覆う銅材からなる外周材とによる
   複合線により構成したことを特徴とする直流機の電機
   子。