JPH039720Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は、気泡浴槽における気泡流噴出装置の
改良に関する。 （従来の技術） 従来から気泡浴槽が知られている。 気泡浴槽は、実公昭62−14864号に開示される
如く、浴槽の槽壁に設けた吸水口と気泡流噴出装
置とを循環ポンプを備えた循環路で連絡して構成
され、循環ポンプの作動によつて浴槽内の浴槽水
を気泡流噴出装置に送り、同装置から空気を混入
した循環水、即ち気泡流を噴出して入浴者にマツ
サージ効果を与えるようになつている。 気泡流噴出装置A′は、第１６図に示す如く、
上記循環路２９を介して不図示の吸水口に連通す
る噴射ノズル３の前方に混合ノズル１′を配置し
て構成されている。 混合ノズル１′は、筒状に形成したスロート部
１２の基端に、給気口２６に連通する混合室１１
ａを一体に設けてなり、混合室１１ａ内には噴射
ノズル３の先端が挿入されている。そして、この
混合室１１ａ内にて噴射ノズル３から噴出された
循環水（墳出流）にその噴出圧による吸引作用で
もつて空気を混入して、スロート部１２から浴槽
内に向けて気泡流を噴出するようになつている。 （考案が解決しようとする課題） 上述した従来の気泡流噴出装置A′によれば、
噴射ノズル３によつて循環水の流速を急激に速め
且つこの循環水（噴出流）に強制的に空気を混入
することで気泡流を得るようになつているので、
スロート部１２内を流れる循環水（噴出流）の表
面に乱れが生じ易く、この乱れが浴槽内の浴槽水
Ｂと衝突した時に衝撃音が発生し、この衝撃音に
より槽壁Ｂが共嗚して騒音を誘発する虞れがあつ
た。 この騒音は、浴槽をFRPで成形した場合や、
更に浴室を塩ビ鋼板製のパネル体からなるユニツ
トバスルームで構成した場合に著しく発生し、入
浴者に不快感を与えるばかりか、隣室、階上、階
下にまで伝わる虞れがあり、気泡浴槽を集合住宅
へ設置する際の障害にもなつていた。 本考案は上述した様な従来事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とする処は、噴射ノズル
から噴出された循環水が浴槽水と衝突した時に発
生する衝撃音をきわめて簡単な構造により抑制し
て、騒音が生じる虞れのない気泡流噴出装置を提
供することにある。 （課題を解決する為の手段） 以上の目的を達成するために、本考案の第１の
手段は、上記スロート部内に、循環水の噴出方向
に沿う所望長さを備え、且つスロート部中心から
内周面に向けて略放射状に延びる複数枚の整流板
からなる整流体を形成し、且つ各整流板の混合室
側の端部を、スロート部中心から内周面に向けて
傾斜する傾斜面としたことも特徴とする。 また、本考案第２の手段は、上記第１の手段の
傾斜面に代えて、各整流板の混合室側の端部を断
面鋭角なエツジ状に形成したことを特徴とする。 さらに、本考案第３の手段は、上記第１の手段
の傾斜面を、断面鋭角なエツジ状に形成したこと
を特徴とする。 （作用） 上記第１の手段によれば、噴射ノズルから噴出
され混合室内にて空気を混入した循環水を、スロ
ート部中心から内周面に向けて略放射状に延びる
複数の整流板によつていくつかの分流に分割し、
かつ循環水の墳出方向に沿つて所望長さに設けら
れた前記夫々の整流板によつて各分流の噴出方向
を整え出来るだけ層流に近い状態に整流しながら
スロート部内を通過させるをもつて、上記循環水
（噴出流）表面における乱れの発生を可能な限り
少なくする。同時に、傾斜面によつて、循環水
（噴出流）が整流体の混合室側の端部に衝突する
際の圧力抵抗を低減させる。 また、上記第２の手段によれば、エツジ状に形
成した各整流板の混合室側の端部が、上述した傾
斜面と同様に機能するをもつて、上記第１の手段
と同様の作用を得る。 さらに、上記第３の手段によれば、上述した第
１の手段の作用に加えて、傾斜面をエツジ状とし
たことにより、循環水（噴出流）が整流体の混合
室側の端部に衝突する際の圧力抵抗をさらに低減
させる。 （実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。 まず第１図〜第１２図に示す実施例について説
明する。 気泡流噴出装置Ａは、その前面開口２１から底
壁２２にわたつて凹部２３、前室２４、後室２５
を連設状に形成した有底筒状の本体部２、前記後
室２５から凹部２３に向けて突設した噴射ノズル
３、前記凹部２３内に配置した混合ノズル１から
構成され槽壁Ｂに取付けてある。 混合ノズル１は、その内部に噴射ノズル３へ向
けて拡開し噴射ノズル３先端が挿入さる混合室１
１ａを設けた球体部１１と、この球体部１１から
本体部２の前面開口２１に向けて突出する筒状の
スロート部１２とを一体に成形してある。そし
て、環状のゴム製パツキン２３ｂ，２３ｃでもつ
て球体部１１を挾持して、凹部２３後端に設けた
取付段部２３ａ内に球体部１１を回動自在に収容
し、スロート部１２の浴槽内への突出角度を任意
に調節できるようになつている。 スロート部１２は、その内部に、前記混合室１
１ａと連通する所望径の流路１２ａを有し、この
流路１２ａ内には整流体１３が一体に形成されて
いる。 整流体１３は、流路１２ａの中心から内周面へ
向けて断面十字形な略放射状に延びる複数枚の整
流板１３ａから構成され、夫々の整流板１３ａは
循環水の噴出方向に沿つた所望の長さを備えてい
る。そうして、流路１２ａを循環水の噴出方向に
沿つた複数の分割流路１２ｂに区画している。 さらに、各整流板１３の混合室１１ａ側、即ち
流路１２ａ上流側の端部には、流路１２ａ中心か
ら内周面に向けて傾斜する傾斜面１３ｂを設けて
ある。 傾斜面１３ｂは前記端部中心から流路１２ａの
下流側へ向けて鋭角状に傾斜している。 本体部２は、その周壁に前室２４に連通する給
気口２４ａ、後室２５に連通する連通口２５ａを
設けており、前面開口２１を浴槽内に臨ませて槽
壁Ｂに装着してある。さらに、給気口２４ａには
エアー供給装置（不図示）に連絡する給気路４
を、連通口２５ａには吸水口（不図示）に連絡す
る循環路５を夫々連結してある。 噴射ノズル３は、循環路５によつて後室２５内
に供給される循環水を前記混合室１１ａへ向けて
勢い良く噴射できるように先端側を小径とする略
円錐形に形成してある。 循環路５は中途部に循環ポンプを備え、同ポン
プの作動によつて吸水口から吸込んだ浴槽水（循
環水）を後室２５へ送るようになつている。 尚、図中６は気泡流噴出装置Ａの先端部をカバ
ーする化粧カバーである。 以下に本実施例の作用を説明すると、循環路５
から供給される循環水を噴射ノズル３によつて混
合室１１ａに向けて噴射し、その噴出圧による吸
引作用でもつて給気口２４ａから供給される空気
を循環水（噴出流）に混入して気泡流を発生させ
る。 この時、上記循環水（噴出流）を、略放射状に
延びる複数の整流板１３ａによつていくつかの分
流に分割し、かつ夫々の整流板１３ａによつて各
分流の墳出方向を整え出来るだけ層流に近い状態
に整流しながら流路１２ａ内を通過させるをもつ
て、循環水（噴出流）表面における乱れの発生を
可能な限り少なくし、循環水（噴出流）が浴槽内
の浴槽水Ｃに衝突する際の衝撃音を出来るだけ小
さくする。同時に、傾斜面１３ｂによつて、循環
水（噴出流）が整流板１３ａの混合室１１ａ側の
端部に衝突する際の圧力抵抗を低減させ、循環水
（噴出流）を整流することによる気泡流の噴出圧
の低下を出来る限り少なくする。 また、パツキン２３ｂ，２３ｃが混合ノズル１
の振動を吸収して、その振動が槽壁Ｂへ伝わるこ
とを防ぐ。 尚、上述した実施例においては、整流体１３を
スロート部１２と一体に成形しているが、本考案
はこれに限定されず、スロート部１２と別体に成
形した整流体１３を所望の係着手段を用いてスロ
ート部１２に着脱自在に取付けることも可能であ
る。 また、整流体１３の断面形状は第３図に示すも
のに限定されず、第４図に示す様な外端を遊端と
する十字形、第５図に示す様な内端を遊端とする
十字形、第６図に示す様な各分割流路１２ｂ内を
区画する区画片１２ｃを備えた十字形、或いは第
７図〜第９図に示す様な流路１２ａ中心からスロ
ート部１２内周面に向けて放射する所望の断面形
状に形成することもできる。 また、傾斜面１３ｂの傾斜形状は第１図に示す
ものに限らず、第１０図に示す様な折曲形状、第
１１図に示す様な湾曲形状、さらに、第１２図に
示す様な流路１２ａの上流側へ向けて傾斜する形
状とすることも可能である。 本実施例においては、球体部１１をゴム製パツ
キン２３ｂ，２３ｃで挾持したことにより、第１
６図に示す従来品の如く、球体部１１をゴム製パ
ツキン２３ｂと合成樹脂製や金属製の受け具２３
ｄで挾持した場合に比べ、混合ノズル１振動を吸
収して、槽壁Ｂの共嗚をより防止することができ
る。 次に、第１３図に示す混合ノズル１について説
明する。この混合ノズル１は、上述した実施例の
混合ノズル１における整流体１３の流路１２ａ上
流側の端部に、傾斜面１３ｂに代えてエツジ１３
ｃを形成したことを特徴とする。 エツジ１３ｃは夫々の整流板１３ａ端部を、そ
の全長にわたつて断面鋭角状に形成することによ
り構成される。 而して、この混合ノズル１を用いれば、上記第
１図の実施例同様、整流体１３によつて循環水
（噴出流）を整流することで、この循環水（噴出
流）が浴槽水に衝突する際の衝撃音を出来るだけ
小さくする。 さらに、エツジ１３ｃによつて循環水（噴出
流）が整流体１３における流路１２ａ上流側の端
部に衝突する際の圧力抵抗を低減し、循環水（噴
出流）を整流することによる気泡流の噴出圧の低
下を出来る限り少なくする。 次に、第１４図に示す混合ノズル１について説
明する。この混合ノズル１は、上述した第１図の
実施例における傾斜面１３ｂにエツジ１３ｃを形
成したことを特徴とする。 エツジ１３ｃは傾斜面１３ｂをその全長にわた
り断面鋭角状になるよう形成して構成されてい
る。 而して、この混合ノズル１を用いれば、上記第
１図に示す実施例同様、整流体１３によつて循環
水（噴出流）を整流することで、この循環水（噴
出流）が浴槽水に衝突する際の衝撃音を出来るだ
け小さくする。 さらに、傾斜面１３ｂ及びエツジ１３ｃによつ
て、循環水（噴出流）が整流体１３における流路
１２ａ上流側の端部に衝突する際の圧力抵抗をよ
り低減する。よつて、循環水（噴出流）を整流す
ることによる気泡流の噴出圧の低下をより確実に
少なくする。 また、別表は、第１４図に示す混合ノズル１を
有する気泡流噴出装置Ａを備えた気泡浴槽（表中
Ｄ）と、第１６図に示す従来品A′を備えた気泡
浴槽（表中Ｅ）の、気泡流噴出時における騒音及
び噴出圧力の測定結果を示している。尚、騒音の
測定は浴槽の中央から１ｍ離れた床上1.2ｍの位
置、噴出圧力の測定は気泡流噴出装置Ａにおける
混合ノズル１の開口端面から１cm離れた位置で
夫々行つた。 この結果、この混合ノズル１を用いた気泡流噴
出装置Ａは、従来品A′に比べ、その騒音が4dB低
減し、よつて騒音エネルギーは約1/2に減少する
と共に、その噴出圧力は略同圧であることが確認
できた。

【表】 次に、第１５図に示す実施例について説明す
る。 この実施例においては、第１４図に示す整流体
１３を固定式の混合ノズル１に内設している。 この混合ノズル１はスロート部１２の後端に流
路１２ａより大径な混合室１１ａを形成すると共
に、外周に螺子部１４を刻設してなり、この螺子
部１４を凹部２３後端に螺合して同凹部２３内に
回動不能に取付けてある。 この実施例における気泡流噴出装置Ａは、その
先端部分の浴槽内へ突出量が制限される場合、即
ち、気泡流噴出装置Ａ取付用の凹窪部（不図示）
を備えていない普通の浴槽を気泡浴槽に改造する
場合に使用される。 尚、上記表に示した騒音及び噴出圧力の測定値
は、第１４図に示した混合ノズル１を用いた場合
に限らず、第１図、第４図〜第１３図、第１５図
に示した混合ノズル１を用いても同等かもしくは
それに近似した数値を得れることが確認できた。 （考案の効果） 本考案は以上の様に構成したことにより以下の
効果を有する。 請求項１又は２記載の気泡流噴出装置によれ
ば、スロート部中心から内周面に向けて放射状に
延び且つ循環水の噴出方向に沿う所望長さに設け
た数枚の整流板によつてその表面に出来るだけ乱
れが生じないよう循環水を整流しながら噴出し
て、循環水（噴出流）が浴槽水に衝突した際の衝
撃音を可能な限り小さくすることができる。 従つて、FRP製の浴槽やユニツトバスルーム
に用いても、気泡流噴出時に槽壁が共嗚して騒音
を発生する虞れがなく、入浴者に不快感を与える
虞れがないばかりか、集合住宅に設置する気泡浴
槽用に適した気泡流噴出装置を極めて簡単な構造
により提供できる。 加えて、傾斜面又はエツジによつて、整流体を
設けたことによる気泡流の噴出圧力の低下を可及
的に防ぐことができ、よつて気泡流を整流するこ
とによるマツサージ効果の低減を防ぐことかでき
る。 また、請求項３記載の気泡流噴出装置によれ
ば、上述した効果に加え、傾斜面とエツジとの相
乗効果により、整流体を設けたことによる気泡流
の噴出圧力の低下をより効果的に防ぐことがで
き、よつて気泡流を整流することによるマツサー
ジ効果の低減をより確実に防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第１５図は本考案気泡流噴出装置の一
実施例を示す縦断側面図、第２図は第１図に示す
混合ノズルの斜視図、第３図は第２図の３−３線
断面図、第４図〜第９図は整流体の変形例を示す
混合スロートの縦断正面図、第１０図〜第１４図
は整流体における傾斜面又はエツジの変形例を示
す混合スロートの縦断側面図、第１６図は従来装
置の断面図である。 尚、図中、Ｂ：槽壁、２：本体部、３：噴射ノ
ズル、１：混合ノズル、１２：スロート部、２４
ａ：給気口、１１ａ：混合室、Ａ：気泡流噴出装
置、１３ａ：整流板、１３：整流体、１３ｂ：傾
斜面、１３ｃ：エツジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 槽壁に装着した本体部内に設けられ浴槽内へ
   向けて循環水を噴出する噴射ノズルと、該噴射
   ノズルの前方に位置して噴射ノズルから噴出さ
   れる循環水に空気を混入する混合ノズルとを備
   え、前記混合ノズルは筒状に形成したスロート
   部の基端に給気口へ連絡する混合室を一体に設
   けて構成し、その混合室内に噴射ノズルの先端
   を挿入して、噴射ノズルから噴出された循環水
   にその噴出圧による吸引作用で混合室内にて空
   気を混入する気泡流噴出装置において、上記ス
   ロート部内に、循環水の噴出方向に沿う所望長
   さを備え、且つスロート部中心から内周面へ向
   けて略放射状に延びる複数枚の整流板からなる
   整流体を形成し、且つ各整流板の混合室側の端
   部を、スロート部中心から内周面に向けて傾斜
   する傾斜面としたことを特徴とする浴槽用気泡
   流噴出装置。 (2) 上記傾斜面に代えて、各整流板の混合室側の
   端部を断面鋭角なエツジ状に形成したことを特
   徴とする請求項１記載の浴槽用気泡流噴出装
   置。 (3) 傾斜面を断面鋭角なエツジ状に形成したこと
   を特徴とする請求項１記載の浴槽用気泡流噴出
   装置。