JPH039608Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車体に昇降操作自在に取付けた苗植
付装置に複数の苗植付爪を設け、その苗植付爪の
一部のみを停止させるクラツチと操作具をレリー
ズワイヤーのインナーワイヤーで連動連結し、前
記操作具をクラツチ入り位置及び切り位置で位置
保持する機構を設け、畦際付近での端数条植付を
可能にした乗用型田植機の操作装置に関する。

従来、上記乗用型田植機において、端数条植行
程終了後、次行程での全条植付けに際して端数植
用クラツチの復帰操作忘れを回避するために、次
行程への機体旋回に伴ない必ず操作される苗植付
装置の駆動断続用クラツチレバーや昇降操作用レ
バー等に、端数植用クラツチの操作具を機械的に
連系させ、旋回時のそれらレバー操作に伴ない端
数植用クラツチが自動的に入り状態に切換えられ
るようにしていた。

しかしながら、端数植用クラツチの操作具を連
係させるために、レバー操作が重くなる欠点があ
り、さらに、連係構造の簡略化を図ろうとしてレ
バーと操作具とを直接的に連係させると、操作具
がレバーに近接してしまうという配置上の制約が
生じてレバー及び、操作具の操作が行ないにくく
なり、又、操作具をレバーから離れた所望の位置
に配設しようとすると連係構造が複雑になつてし
まうという欠点が生じた。

本考案の目的は、乗用型田植機の本来構造を利
用した合理的な改良で、端数植用クラツチの自動
複帰を軽い操作で行なえるようにし、しかも、連
係構造を簡略化しながら、操作具を所望の位置に
制約無く配置できるようにする点にある。

本考案による操作装置の特徴構成は、冒記乗用
型田植機において、前記レリーズワイヤーのアウ
ターワイヤーを長手方向で分割形成し、前記苗植
付装置の上昇に伴つて前記操作具を入り操作する
ように、前記アウターワイヤーの分割側端部を、
前記苗植付装置の昇降に伴つて接近離間する部材
に各別に連結してあることにあり、その作用・効
果は次の通りである。

つまり、次行程への旋回時に必ず操作される苗
植付装置の駆動上昇力を利用したインナーワイヤ
ーとアウターワイヤーとの相対摺動により端数条
植用クラツチの操作具を自動的に入り側に復帰さ
せるから、復帰操作忘れを確実に回避できること
は言うまでも無く、従来構成の如く苗植付装置昇
降用レバーに操作具を連係するに比して、苗植付
装置の人為昇降操作を極めて軽く行なうことがで
きるようになつた。

しかも、分割形成したアウターワイヤーの連結
支持構造を改良するという本来構造のみに対する
簡単な改良であるから、従来構成の如き他のレバ
ーとの連係構造を省くこてができ、かつ、そのこ
とによつて、操作具を制約無く所望の位置に配置
することができ、全体として、操作性を大巾に向
上し、かつ、構造の簡略化を図れるに至つた。

次に実施例を例示図に基づいて説明する。

左右一対の推進後車輪１と左右一対のステアリ
ング用推進前車輪２とを備えた走行車体に、原動
部３、塔乗運転部４、及び予備苗のせ台５を設
け、かつ、一定ストロークで横往復移動する苗の
せ台６、その苗のせ台６に左右に並べて載置した
６枚のマツト状苗の夫々の下端から順次一株分づ
つの苗を取出し泥面に植付ける６個の苗植付爪
７、及び、左右に並置した整地フロート８等諸装
置を備えた苗植付装置９を、リンク機構１０を介
して油圧シリンダ１１により駆動昇降操作自在に
車体の後部に連結装備し、もつて、乗用型田植機
を構成してある。

苗植付装置９に装備した植付ミツシヨンケース
１２と、前記原動部３とを、植付クラツチ１３、
及び苗植付装置９の昇降を許容する伝動軸１４を
介して連動し、植付ミツシヨンケース１２内にお
いて、それに横往復摺動自在に支承した苗のせ台
駆動用摺動軸１５と、苗植付爪７とに動力を分岐
伝達するように構成してある。

苗植付爪７の２個づつを一体駆動自在に支承し
た３個の植付チエーンケース１６に対して、植付
ミツシヨンケース１２からチエーン伝動機構１８
を介して取出された変速動力を、一本の横向き回
転軸１９を介してて分岐伝達するように構成する
と共に、植付チエーンケース１６に内装のチエー
ン伝動機構１６Ａの夫々と回転軸１９との連動部
に、それらの連動を各別に断続する端数植用クラ
ツチ２０を、夫々入り側にスプリング２０Ａで常
時付勢した状態で介装してある。

そして、車体側において運転部４近くに並設し
た３個の揺動レバー２１と端数植用クラツチ２０
とを、レバー２１を入り位置ON及び切り位置
OFFで保持するスプリング式トツグル機構２２
及び、レリーズワイヤー２３を介して各別に連動
連結し、もつて、畦際付近での植付作業に際し
て、それらレバー２１の選択的な切り操作により
所謂端数条植付けを容易に行なえるように構成し
てある。

尚、図中２４，２５は、植付クラツチ１３の操
作レバー、及び、苗植付装置昇降用油圧シリンダ
１１に対する操作レバーである。

平行四連リンク機構に構成された前記リンク機
構１０のうち、上部揺動リンク１０Ａと下部揺動
リンク１０Ｂとの後端部どうしを連動連結する縦
リンク１０Ｃの上端部に、それと一体的な上方延
出部１０ａを形成すると共に、各レリーズワイヤ
ー２３のアウターワイヤー２３Ａを車体側と苗植
付装置９側とに分割形成し、それら分割アウター
ワイヤー２３Ａの分割端部を、上部揺動リンク１
０Ａの後部側と、上方延出部１０ａの上端とに各
別に連結固定し、もつて、苗植付装置９の駆動上
昇時における上部揺動リンク１０Ａと上方延出部
１０ａとの相対離間に伴なうアウターワイヤー２
３Ａとインナーワイヤー２３Ｂとの相対的な強制
摺動により、切り位置OFFにある端数植用レバ
ー２１をインナーワイヤー２３Ｂの引張り作用で
トツプル機構２２の付勢力に打勝つて入り位置
ONに切換え、全てのレバー２１を入り状態と
し、かつ、そのトツグル機構２２の保持作用によ
りレバー２１を入り位置ONに保持するように構
成してある。

そして、全てのレバー２１が入り状態になつた
後の苗植付装置９の下降時におけるアウターワイ
ヤー２３Ａ分割端部どうしの接近に伴ないインナ
ーワイヤー２３Ｂを緩ませて各クラツチ２０をス
ペリング２０Ａによる入り付勢力で入り状態とす
るように構成してある。

つまり、端数植付け終了後、次行程での全条植
植付けに際して、行程移行のための旋回に伴なう
苗植付装置９の昇降時に全ての端数植用クラツチ
２０を入り状態に自動的に復帰できるように構成
してある。

図中２６は、苗植付装置９の昇降量誤差に起因
したアウターワイヤー２３Ａとインナーワイヤー
２３Ｂとの相対摺動量誤差を弾性作用で吸収させ
て、レバー２１の切換を円滑、かつ、確実にする
ように、インナーワイヤー２３Ｂに介装したスプ
リングである。

又、２７，２８は、分割したアウターワイヤー
２３Ａの車体側端部、及び、苗植付装置９側端部
に対する支持部材である。

運転部４において、左右ステツプ２９の外側端
部に、その略全長に亘る屈曲杆状のガード３０を
立設し、運転部４からのステツプ外側方の視界を
良好に維持しながら、そのガード３０により操縦
者の足がステツプ２９から不測にスベリ出ること
を防止し、安全性を向上するように構成してあ
る。

尚、アウターワイヤー２３Ａの分割端部を各別
に連結する部材として、苗植付装置９の上昇に伴
ない相対接近する部材を用い、その相対接近に伴
なうインナーワイヤー２３Ｂの実質的な緩み作
用、あるいは、押し作用により端数植用クラツチ
２０のレバー等操作具２１を、入り位置ONに切
換えるように構成しても良く、又、苗植付装置９
の昇降に伴なつて接近離間する部材１０Ａ，１０
ａとしては、リンク機構１０の他に、種々の本来
構成部材、あるいは、付加部材を適用することが
可能である。

更に、端数植用クラツチ２０の操作具２１を入
り位置ON及び、切り位置OFFで位置保持する機
構は、図面の如きスプリング式トツグル機構２２
を用いるに代えて、摩擦保持式や、デイテント式
等の種々の型式の機構を適用することが可能であ
り、それら機構を総称して位置保持機構２２と称
する。

又、端数植用クラツチ２０の操作具２１は、運
転部４近く等の車体側に代えて、必要に応じて苗
植付装置９側に配置しても良く、適宜配置変更が
可能である。

本考案は、複数条植用の各種型式の乗用型田植
機を対象とするものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る乗用型田植機の操作装置の
実施例を示し、第１図は乗用型田植機の全体側面
図、第２図は同平面図、第３図は苗植付爪駆動構
造を示す概略平面図、第４図は端数植用クラツチ
操作構造を示す拡大側面図である。 ７……苗植付爪、９……苗植付装置、１０Ａ，
１０ａ……接近離間部材、２０……クラツチ、２
１……操作具、２２……位置保持機構、２３……
レリーズワイヤ、２３Ａ……アウターワイヤー、
２３Ｂ……インナーワイヤー、ON……入り位
置、OFF……切り位置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に昇降操作自在に取付けた苗植付装置９に
   複数の苗植付爪７を設け、その苗植付爪７の一部
   のみを停止させるクラツチ２０と操作具２１をレ
   リーズワイヤー２３のインナーワイヤー２３Ｂで
   連動連結し、前記操作具２１をクラツチ２０入り
   位置ON及び切り位置OFFで位置保持する機構２
   ２を設けた乗用型田植機において、前記レリーズ
   ワイヤー２３のアウターワイヤー２３Ａを長手方
   向で分割形成し、前記苗植付装置９の上昇に伴つ
   て前記操作具２１を入り操作するように、前記ア
   ウターワイヤー２３Ａの分割側端部を、前記苗植
   付装置９の昇降に伴つて接近離間する部材１０
   Ａ，１０ａに各別に連結してある乗用型田植機の
   操作装置。