JPH0384094A - 摺動部材用の成形材料 - Google Patents

摺動部材用の成形材料

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JPH0384094A
JPH0384094A JP22095089A JP22095089A JPH0384094A JP H0384094 A JPH0384094 A JP H0384094A JP 22095089 A JP22095089 A JP 22095089A JP 22095089 A JP22095089 A JP 22095089A JP H0384094 A JPH0384094 A JP H0384094A
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蔭山 健持
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馬渕 俊昭
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、成形性と耐熱性に優れ、しかも摺動特性に優
れた、摺動部材用の成形材料として適した熱硬化性樹脂
組成物に関する。
[従来の技術] 現在一般に広く利用されている熱硬化性樹脂としては、
フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などがあ
る(昭和60年6月15日、■新技術開発センター発行
、「エンジニアリングプラスチック便覧」第149〜1
51頁参照)。
高分子系の摺動部材としては、このような熱硬化性樹脂
、特に自己潤滑性を有する樹脂に、摩擦特性の改善に効
果があることが認められているアスベスト、炭素繊維、
二硫化モリブデン(Host)、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)樹脂、黒鉛などのいわゆる固体潤滑
剤の粉末、および必要によりガラス繊維等の強化用繊維
を配合した複合成形材料を常法により成形して得た成形
品が一般に使用されている。このような複合摺動部材の
潤滑の主役は高分子材すなわち樹脂であり、これに配合
した固体潤滑剤は樹脂の摩耗を抑制する役割を果たし、
潤滑剤としてはあまり機能しないことが知られている(
昭和63年1月30日、丸首■発行、「新素材ハンドブ
ック」第518頁参照)。
特にポリイミド樹脂は、耐熱性、摺動特性、機械的性質
が優れているとして、高分子系複合材料からなる摺動部
材に一般に広く使用されているが、この樹脂は著しく高
価であるばかりでなく、摺動特性もなお十分であるとは
いえない。
最近になり、新規な熱硬化性樹脂として、縮合多環芳香
族化合物またはこれを主成分とする混合物を、酸触媒の
存在下で、少なくとも2個のヒドロキシメチル基または
ハロメチル基を有する芳香族化合物からなる架橋剤と加
熱反応せしめることにより、耐熱性に優れた縮合多環多
核芳香族炭化水素樹脂が得られることが提案された(特
開昭62521号および同62−522号公報参照)。
この芳香族炭化水素系樹脂は、ポリイミド樹脂よりはず
っと安価に製造できるにもかかわらず、耐熱性のみなら
ず、電気絶縁性、耐湿性、耐薬品性等にも優れており、
単独で、または複合材料として広い応用分野が期待され
ている。
この縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂の潤滑性、耐摩耗
性などの摺動特性については、未だ検討されていない。
しかし、この芳香族炭化水素樹脂は、金型で成形硬化さ
せる際に、金型表面に淡緑色の付着物が多く発生し、金
型を曇らせると同時に、成形品表面が光沢に欠けるとい
う欠点があることが判明した。そのため、金型を連続し
て使用することが困難で、成形性が劣る上、得られた成
形品の表面も平滑ではなく2、摺動部材としては不適当
であった。
[発明が解決しようとする諜B] 本発明は、ポリイミド樹脂を用いた場合に比べて安価で
、しかもそれより摺動特性に優れた高分子系複合材料か
らなる摺動部材用の成形材料を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、前述した縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂
を摺動部材用の樹脂として使用すべく検討した結果、こ
れに黒鉛粉末を配合することによって潤滑性および耐摩
耗性が著しく改善され、ポリイミド樹脂系摺動部材より
も優れた摺動特性が得られることを見出した。
また、本発明者は、前述した縮合多環多核芳香族炭化水
素樹脂に認められた成形時の金型の曇りおよびそれに付
随する問題が、この樹脂の成形硬化時に生じる滲出物に
起因することを突き止めた。
すなわち、この滲出物は酸触媒と縮合水に由来するもの
で、具体的な金型の曇り発生のメカニズムは、触媒とし
て使用した酸が硬化時に発生する縮合水に溶解して表面
に滲出し、金型の金属と反応して金属塩を生威し、金型
の表面に析出することにより金型の曇りを惹起すること
を究明した。
この知見に基づいてさらに検討した結果、樹脂の製造時
に、原料物質または架橋剤成分と反応性を有する酸触媒
を使用して酸を樹脂骨格に固定化するか、あるいは水不
溶性の酸触媒を使用することにより、酸触媒の縮合水へ
の溶解が防止され、上記の金型の曇りの問題が回避でき
ることを知った(特願平1−43630号)。これによ
り、上記芳香族炭化水素樹脂の成形性が改善され、金型
を連続使用して表面が平滑で光沢のある成形品を成形す
ることが可能となった。
ここに、本発明の要旨は、縮合多環芳香族化合物または
縮合多環芳香族化合物と単環芳香族化合物との混合物か
らなる原料物質と、少なくとも2個のヒドロキシメチル
基またはハロメチル基を有する芳香族化合物からなる架
橋剤とを、酸触媒の存在下に反応せしめて得た、流動点
150 ℃以下、水中での酸不溶化率50%以上の縮合
多環多核芳香族炭化水素樹脂に、&Il或物の全重量に
対して5〜70重量%の黒鉛を配合したことを特徴とす
る、摺動部材用の成形材料にある。この成形材料には、
さらに組成物の全重量に対して約5〜50重量%の強化
用繊維(炭素繊維、ガラス繊維など)を配合してもよい
以下、本発明の詳細な説明する。
本発明の成形材料の基材樹脂である縮合多環多核芳香族
炭化水素樹脂についてまず説明する。
この樹脂の原料物質は、縮合多環芳香族化合物またはこ
れと単環芳香族化合物との混合物である。
縮合多環芳香族化合物としては、ナフタレン、アセナフ
テン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、クリセ
ン、ナフタセン、フルオランテン、ペリレン、ピセンお
よびそれらのアルキル誘導体、各種ベンゾピレン、各種
ベンゾペリレン等の縮合多環炭化水素類、ならびにナフ
トール等のヒドロキシ置換誘導体が挙げられ、これらの
2種以上の混合物も使用できる。
原料物質として使用できる単環芳香族化合物としては、
フェノール、アルキルフェノール、レゾルシン等のフェ
ノール類や、アルキルベンゼン等の単環芳香族化合物が
挙げられ、これらを前記縮合多環芳香族化合物と併用す
ることができる。
以上のような2以上の芳香族化合物が、単結合、オキシ
基(−0−) 、メチレン基、フェニレン基またはキシ
リレン基等の結合基で連結された多核構造の芳香族化合
物、例えば、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェ
ニルメタン(以上は単環化合物〉、ビナフタレン(多環
化合物)等も単環あるいは多環型の原料物質として使用
できる。また、上記のような芳香族化合物を主成分とす
る石炭系または石油系の重質油類、ピッチ類も原料物質
として使用可能である。
好ましい原料物質は、縮合多環芳香族化合物としてナフ
タレンを含むものである。特に好ましい原料物質は、ナ
フタレン単独またはこれとフェノールとの混合物である
原料物質として、フェノールなどの単環芳香族化合物を
併用した場合には、硬化時にヘキサミン(ヘキサメチレ
ンテトラミン)などの硬化剤を使用できる。
本発明で用いる樹脂の製造に使用する架橋剤は、少なく
とも2個のヒドロキシメチル基またはハロメチル基を有
する芳香族化合物であり、このような化合物の例として
は、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、
ピレン等の単環もしくは縮合多環芳香族化合物またはそ
れらのアルキル誘導体等の芳香族炭化水素化合物のポリ
 (ヒドロキシメチル〉またはポリ (ハロメチル)置
換誘導体が挙げられる。ポリ(ヒドロキシメチル)誘導
体を使用することが一般に好ましい、特に好ましい架橋
剤は、ジヒドロキシメチルベンゼン(キシレングリコー
ル)、ジヒドロキシメチルキシレン、トリヒドロキシメ
チルベンゼン、ジヒドロキシメチルナフタレン等である
上記の原料物質と架橋剤とを酸触媒の存在下に反応させ
るが、本発明で用いる樹脂の製造においては、原料物質
または架橋剤の少なくとも一方と反応性を有する水溶性
の酸触媒か、水不溶性の酸触媒を使用することにより、
水中での酸不溶化率が50%以上の#l4i=が得られ
るようにする。具体的には、水溶性の酸触媒を使用する
場合には、架橋剤のヒドロキシメチル基またはハロメチ
ル基と反応性を有する有機スルホン酸、あるいは原料物
質と反応性のあるヒドロキシメチル基、ハロメチル基ま
たはホルミル基を有する有機スルホン酸が酸触媒として
有用である。また、水不溶性の酸触媒としては、ポリス
ルホン酸樹脂または疎水性の有機スルホン酸を使用する
ことができる。
ここで、樹脂の水中での酸不溶化率は、樹脂中に含まれ
る水溶性の酸を完全に水で抽出した後の酸の残存量を、
この酸抽出前の樹脂の酸含有量で除して求めたものであ
る。この樹脂の酸含有量は、樹脂を水と相溶性のある有
機溶剤(例、テトラヒドロフラン)にほぼ完全に溶解さ
せた溶液状態でアルカリにより中和滴定することにより
測定することができる。また、酸抽出後の滴定は、上記
のように樹脂を溶解した後、水を加えて樹脂を不溶化さ
せ、この不溶化物について、上記と同様に溶液状で滴定
することにより行う。
P−トルエンスルホン酸などの原料物質および架橋剤の
いずれとも反応性を有しない水溶性の酸を触媒として使
用すると、酸触媒は樹脂中に固定化されずに残留するた
め、得られた樹脂を洗浄して酸触媒を除去しても、なお
残留する酸触媒は実質的にすべてが水溶性であり、水中
での酸不溶化率50%以上の樹脂を得ることはできない
本発明で用いる、架橋剤のヒドロキシメチル基やハロメ
チル基と反応性を有する酸触媒としては、縮合多環芳香
族核(ナフタレン核など)またはフェノール核を有する
有機スルホン酸、またはカルボキシル基、アミノ基、エ
ポキシ基、不飽和炭化水素基等を有する有機芳香族スル
ホン酸が挙げられる。このうち特に好ましいのは、縮合
多環芳香族スルホン酸およびフェノールスルホン酸であ
り、具体的には、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフ
タレンスルホン酸、アセナフテンスルホン酸、アントラ
センスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフトールス
ルホン酸等である。
原料芳香族化合物と反応するヒドロキシメチル基、ハロ
メチル基またはホルミル基を有する有機スルホン酸とし
ては、ヒドロキシメチルベンゼンスルホン酸、ヒドロキ
シメチルナフタレンスルホン酸、ジヒドロキシメチルナ
フタレンスルホン酸、クロロメチルベンゼンスルホン酸
、クロロメチルナフタレンスルホン酸、ホルミルベンゼ
ンスルホン酸、ホルミルナフタレンスルホン酸等が挙げ
られる。
水不溶性の酸触媒としては、スチレン重合体をジビニル
ベンゼンで架橋させたものをスルホン化したポリスチレ
ンスルホン酸樹脂、フェノールスルホン酸、ナフタレン
スルホン酸等をアルデヒドか少なくとも2個のヒドロキ
シメチル基またはハロメチル基を有する芳香族化合物か
らなる架橋剤と縮合させたフェノールスルホン酸樹脂、
あるいは縮合多環多核芳香族樹脂のスルホン化物等を挙
げることができる。縮合多環多核芳香族樹脂のスルホン
化物は、縮合多環多核芳香族樹脂を濃硫酸でスルホン化
したのち、水溶性の酸を水洗浄等で除去することにより
容易に得ることができる。
また、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジドデシルベン
ゼンスルホン酸等の疎水基を有する水不溶性の有機スル
ホン酸化合物も使用することができる。
酸触媒の使用量は、原料物質との反応性、反応温度、合
成方法などにより影響を受けるが、−船釣には原料物質
と架橋剤との混合物に対して0.2重量%以上必要で、
好ましくは、1〜20重量%である。酸触媒の使用量が
0.2重量%以下では十分に縮合反応が進行せず、生成
する樹脂が十分な熱硬化性を示さない、また、20重量
%以上では、反応速度が速くなり過ぎて反応制御が困難
となるばかりでなく、生成する樹脂も不均質なものとな
り好ましくない。
架橋剤と被架橋原料(原料物質+酸触媒)の配合比は、
モル比で0.7〜6が好ましい。0.7以下であると生
成する樹脂は熱硬化性を示さず、逆に6以上になると架
橋剤が過剰となり、反応が逆に仰制傾向を示し、やや不
均質な生成物を与えることとなる。より好ましい範囲と
してはモル比で1〜3である。
前記原料物質、架橋剤および酸触媒を所定の割合で混合
及び加熱して縮合反応させると、酸触媒が反応性スルホ
ン酸である場合には、反応中に触媒が原料物質または架
橋剤と反応して、生成する樹脂中間槽金物の骨格中に固
定化されミ使用した触媒が水溶性のものであっても水に
対して実質的に溶解性を示さなくなる。また、水不溶性
の触媒を使用した場合も、樹脂生成物に含まれる酸触媒
は水に溶解しない。そのため、成形金型の曇りや腐食と
いう問題が回避できる。
反応温度は、約50〜200°C1好ましくは約80〜
180 ”Cである0反応圧力は、通常常圧ないし若干
の加圧であるが、反応の結果生成する縮合水を反応系か
ら除去して反応効率を高めるためには、減圧下で反応せ
しめることもできる。
反応は、溶融状態で行なうのが簡単であるが、適当な溶
媒または分散媒を用いて実施することもできる。また、
溶媒等を用いて反応させた場合、未反応の水溶性の遊離
酸が残留していても、溶媒分離時に除去できるので有利
である。溶融重合の場合でも、適当な溶媒で水溶性の遊
離酸を除去することができる。
前記の反応の進行に伴って反応物の粘度が上昇し、熱硬
化性樹脂(Bステージ樹脂)が得られるが、さらにこれ
を加熱して反応を進めると、不溶不融性の底形に使用し
えない硬化体が生成する。
したがって、本発明の成形材料に使用するには、Bステ
ージの段階で温度を下げて、反応を停止させ、流動点が
150℃以下の樹脂が得られるようにする。こ°の段階
の樹脂は、未だ加熱溶融性および溶剤溶解性を有してい
る未硬化の樹脂中間縮合物であり、容易に底形すること
ができ、また成形後に100〜350℃に加熱すること
によって容易に硬化し、熱硬化成形品とすることができ
る。
上述したように、本発明で用いる縮合多環多核芳香族炭
化水素樹脂は、流動点が150°C以下で、水中での酸
不溶化率が50%以上の未硬化、すなわち熱硬化性の樹
脂中間縮合物である。樹脂の流動点が150℃を超える
と、樹脂の成形性が低下する。
また、樹脂の水中での酸不溶化率が50%以下となると
、前述した樹脂の成形硬化時の金型の曇りが見られるよ
うになる。
従って、流動点150 ℃以下の未硬化中間縮合物の段
階で、水中での酸不溶化率が50%以上の樹脂が得られ
るように、原料物質、架橋剤および酸触媒のの種類をそ
の相互の反応性を考慮して選択する必要がある。
1例を挙げると、架橋剤と反応性を有する酸触媒を使用
する場合には、酸触媒と架橋剤との反応性が、この架橋
剤と原料物質(縮合多環芳香族化合物もしくはその混合
物)との反応性と同程度になるような酸触媒を使用する
ことが好ましい。具体的には、例えば、原料物質がナフ
タレンである場合には、酸触媒としてナフタレンスルホ
ン酸を使用すると、上記条件を満たすことができ、酸触
媒が樹脂中に有効に固定され、酸不溶化率50%以上の
樹脂を容易に得ることができる。
一方、酸触媒としてポリスルホン酸樹脂や疎水性の有機
スルホン酸などの水不溶性の有機酸を使用する場合には
、水中での酸不溶化率50%以上という条件は常に満た
されるので、この条件を満たすように考慮する必要はな
い。
本発明の摺動部材用の成形材料は、上記の未硬化の縮合
多環多核芳香族炭化水素樹脂に、黒鉛を配合したもので
ある。上記未硬化中間縮合物樹脂に黒鉛を混合すること
により、潤滑性、耐摩耗性などの摺動特性が大幅に改善
され、従来公知の熱硬化性樹脂、特にポリイミド樹脂を
基材とする摺動部材に比べても摺動特性がさらに優れた
摺動部材が得られる。一方、本発明で用いる樹脂にMo
5zやPTFE樹脂などの他の固体潤滑剤を混合した場
合には、摺動特性の改善はわずかである。従って、高分
子複合摺動部材において潤滑の主役は樹脂であり、固体
潤滑剤は潤滑剤としてあまり機能しないという従来の知
見からみて、本発明の樹脂と固体潤滑剤の特定の組合わ
せで特に顕著な摺動特性が得られることは全く驚くべき
ことである。
また、黒鉛をフェノール樹脂などの他の熱硬化性樹脂に
配合した場合にも、本発明のような優れた摺動特性を示
す摺動部材を得ることはできず、上記芳香族炭化水素樹
脂と黒鉛との組合せが示す効果が特異なものであること
がわかる。
この理由は明らかではないが、本発明で用いる縮合多環
多核芳香族炭化水素樹脂はヘンゼン環を多数有している
ため、同様の炭素6員環構造をとる黒鉛との馴染みが他
の樹脂に比べて非常によいために、黒鉛の配合により特
に著しく優れた摺動特性が得られるのではないかと考え
られる。
黒鉛としては、鱗片状または板状のものが望ましく、特
に炭素純度99.9重量%以上の鱗片状黒鉛が好ましい
黒鉛の添加量は、組成物の全重量に基づいて5〜70重
置%、好ましくは10〜60重量%の範囲内とする。黒
鉛の添加量が5重量%より少ないと、十分な摺動特性の
改善が得られない。また、70重景気より多くなると、
成形品の摺動特性は十分であるが、樹脂量が少なくなり
、成形性が低下する上、成形品の機械的特性も低下する
本発明の目的・効果をI員なわない限り、本発明の成形
材料に各種の充填材および強化材を添加することができ
る。これらの添加材は、有機質、無機質のいずれであっ
ても、また形状も繊維状、板状、粒状、中空状などのい
ずれでもよく、特に限定されるものではない。
本発明の成形材料に特に好適な添加材は、炭素繊維、ガ
ラス繊維などの繊維状強化材である。繊維状強化材を混
合すると、限界Pv値が改善され、より高い荷重あるい
はより速い滑り速度に耐えられるようになる。この目的
で、強化用繊維を、組成物の全重量の約5〜50重量%
、好ましくは約10〜40重量%の範囲内で添加しても
よい。
本発明の摺動部材用の成形材料は、前記の中間縮合物樹
脂、鱗片状あるいは板状などの黒鉛、および必要により
その他の添加材を常法により均一に混合することにより
得られる。混合法は特に限定されるものではないが、例
えば、ベレット状の樹脂を黒鉛および任意成分の他の添
加材とξキサーなどで予め乾式混合した後、ロールによ
り混練するか、またはニーグー、押出機等を用いて溶融
混合し、次いで粉砕・造粒するか、押出後に細断して、
ベレット等の粒状体とする方法がある。
本発明の成形材料から摺動部材を製造する場合の成形方
法も特に限定されない。摺動部材の形状に合わせて、圧
縮成形、トランスファー成形、射出成形などの慣用の成
形法を適宜選択して成形することができる。成形の前に
、成形材料の流れ性調整、または水分、溶媒などの揮発
性成分の除去のために、100〜120℃の温度で10
〜30分間の予熱処理を行ってもよいが、この予熱によ
り樹脂の実質的な硬化が起こらないように注意する。
成形後、成形体を100〜350 ℃の温度に1〜15
時間程度加熱すると、不溶不融性の熱硬化樹脂となり、
耐熱性、機械的特性、摺動特性に優れた摺動部材が得ら
れる。加熱・硬化は金型内で最後まで行うこともできる
が、金型内で短時間(例、数分間程度)加熱しである程
度硬化させた後、金型から出して加熱を続けることによ
り後硬化(ボストキュア)させるという2段階で行うこ
とが、成形操作が効率的となることから好ましい。
[実施例] 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例中、中間縮合物樹脂の流動点は、フローテスター
を使用し、6°C/minで樹脂試料を昇温させ、見掛
は粘度がI Xl05poiseになる温度を測定し、
この温度を流動点とした。
また、中間縮合物樹脂の水中での酸不溶化率は次のよう
にして決定した。樹脂試料1gをテトラヒドロフラン5
0gに熔解した溶液を、0.INの水酸化ナトリウム水
溶液で中和滴定して、この樹脂の酸含有量を求め、これ
を水による酸抽出前の樹脂の酸含有量とする。一方、樹
脂の別の試料1重量部にテトラヒドロフラン3重量部を
添加して樹脂を溶解し、得られた溶液に水10重量部を
加えて、水に不溶の樹脂その他の成分を沈殿させ、この
沈殿を濾別して得た水不溶分を減圧乾燥して、水溶性の
酸が抽出・除去された樹脂を得た。この樹脂の試料1g
を使用して、上記と同し条件で中和滴定することにより
、水による酸抽出後の樹脂の酸含有量を求める。このよ
うにして求めた酸抽出後の後の酸含有量を、酸抽出前の
酸含有量で除して、水中での酸の不溶化率を算出する。
亥1超生七二」工 原料物質としてナフタレン64.0 g (0,5モル
)、架橋剤として1.4−ジヒドロキシメチルヘンゼン
110.4 g(0,8モル)、及び酸触媒として2−
ナフタレンスルホン酸(1水和物) 10.4 g (
0,046モル)を、ガラス製の反応容器に仕込み、窒
素気流中で撹拌しながら110°Cで120分間反応せ
しめ、次の第1表に示す特性を示す熱硬化性の縮合多環
多核芳香族炭化水素樹脂を得た。
第1表 この熱硬化性樹脂を粉砕し、これに黒鉛または黒鉛と炭
素繊維を第2表に示す割合で配合した。
使用した黒鉛は、炭素含有199.9重量%以上の鱗片
状黒鉛であり、炭素繊維はPAN系の平均繊維長6II
I11のものであった。これらの材料をまずミキサーを
用いて乾式混合した後、ロール混練機を用いて、温度1
00°C1回転数2Orpm (前ロール)および24
 rpm (後ロール)で溶融混練し、カッター果ルに
よって、粒径3mm以下に粉砕して、成形材料を調製し
た。
得られた各成形材料から、金型温度180″C,成形圧
力300 kg/c+aの条件下での2分間の圧縮成形
により、直径50IIIIIIx厚さ3mの円板状の成
形品を得た。得られた成形品はいずれも表面が滑らかで
、良好な光沢を呈していた。また、金型の曇りは発生し
ておらず、連続成形が可能であった。
この成形品を250℃で12時間加熱することにより後
硬化(ボストキュア)させて得た円板状の熱硬化成形品
を各物性測定用の試験片とした。
なお、各物性はそれぞれ次の方法によって測定した。得
られた結果を第2表に併せて示す。
(1)@界PV値(kgf/cd−cm/5ec)JI
Sに7218に規定の「プラスチックの滑り摩耗試験方
法」に準して、相手材345Cに、滑り速度60cm/
secの条件で荷重を徐々に増加させて回転摩擦させ、
焼付により摩擦係数が急変する臨界点でのP (荷重)
とV(滑り速度)との積を臨界pv値として表示した。
(2)摩擦係数(μ)および 摩耗量(mg/ 1 、000a+−滑り距離)JIS
 K 7218に規定の「プラスチックの滑り摩耗試験
方法」に準じて、給米式摩擦摩耗試験機を用い、相手材
345 C、滑り速度60cm/sec、荷重4.5k
gf 、雰囲気温度室温で、滑り距離が3,000 m
になるまで連続運転し、10分毎に摩擦力(F)を測定
すると共に、運転終了時点での摩耗量を測定した。
なお、摩擦係数(μ〉は、荷重(P)で摩擦力(F)を
除して求めた10分毎の平均値である。また、摩耗量は
、滑り距離1.000 mあたりの平均値で示す。
第2表 前記実施例で調製した第1表に示す特性の熱硬化性樹脂
を使用し、次の第3表に示す原材料の配合割合で実施例
と同し操作で試験片を作製し、それぞれの物性を測定し
た。試験結果も第3表に併せて示す。
第3表 第2表および第3表の結果から明らかな通り、本発明で
用いる熱硬化性樹脂に固形潤滑剤として黒鉛を配合した
本発明の成形材料の場合には、比較例に比べて、限界p
v値が高く、摩擦係数および摩耗量が少なく、摺動特性
が著しく改善された。
これに対して、他の固形潤滑剤を配合した比較例1およ
び2では、本発明に比べて限界PV値、摩擦係数、摩耗
量のいずれも大きく劣っており、特に限界PV値、摩耗
量は固形潤滑剤を配合しない比較例3と同程度であり、
摺動特性の改善効果はわずかである。
止較班土二工 酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(1水和物) 8
.72 g (0,046モル)を用いた以外は前記実
施例と回し操作により、流動点104°C1水に対する
酸の不溶化率7%の熱硬化性の縮合多環多核芳香族炭化
水素樹脂を得た。
この熱硬化性樹脂を使用して、前記実施例1および2と
同し配合割合および同し操作で成形硬化せしめて円板状
の試験片を作製した。得られた熱硬化成形品は、いずれ
も表面が粗いばかりでなく、光沢もなかった。また、金
型表面には白色粉末状の物質が全面に付着し、この金型
を用いて繰り返し成形することはできなかった。
比較拠i 市販のフェノール樹脂(群栄化学株式会社製、商品名P
 S K−2320)を使用し、第4表に示す割合で硬
化剤のへキサミンおよび潤滑剤の黒鉛(実施例1で使用
したもの)を配合し、実施例1と同様にして成形材料を
調製した。
そして、この成形材料を用い、ボストキュア条件を18
0℃で8時間とした以外は、実施例1と同一条件で試験
片を作製し、各物性を測定した。その結果を第4表に示
す。
第4表 第4表に示す通り、通常のフェノール樹脂から調製した
成形材料は、限界PV値が実施例に比較して約1710
程度と非常に小さく、摩擦係数や摩耗量の結果も劣り、
落動特性の改善効果はほとんと認められない。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)縮合多環芳香族化合物または縮合多環芳香族化合
    物と単環芳香族化合物との混合物からなる原料物質と、
    少なくとも2個のヒドロキシメチル基またはハロメチル
    基を有する芳香族化合物からなる架橋剤とを、酸触媒の
    存在下に反応せしめて得た、流動点150℃以下、水中
    での酸不溶化率50%以上の縮合多環多核芳香族炭化水
    素樹脂に、組成物の全重量に対して5〜70重量%の黒
    鉛を配合したことを特徴とする、摺動部材用の成形材料
  2. (2)酸触媒が架橋剤と反応性を有する有機スルホン酸
    である、請求項1記載の摺動部材用の成形材料。
  3. (3)酸触媒がヒドロキシメチル基、ハロメチル基また
    はホルミル基を有する有機スルホン酸である、請求項1
    記載の摺動部材の成形材料。
  4. (4)酸触媒がポリスルホン酸樹脂または疎水性の有機
    スルホン酸である、請求項1記載の摺動部材用の成形材
    料。
  5. (5)組成物の全重量に基づいて5〜50重量%の強化
    用繊維をさらに配合した、請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の成形材料。
  6. (6)請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形材料を
    用いて成形した後、成形体を100〜350℃で加熱・
    硬化させて得た摺動部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0770580A (ja) * 1993-09-06 1995-03-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐揺動性軸受
JP2007016173A (ja) * 2005-07-08 2007-01-25 Starlite Co Ltd シール材
JP2021143280A (ja) * 2020-03-12 2021-09-24 シーシーアイホールディングス株式会社 減衰性付与剤及び減衰性材料

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