JP2961759B2 - 摺動部材用の成形材料 - Google Patents
摺動部材用の成形材料Info
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Description
優れた、摺動部材用の成形材料として適した熱硬化性樹
脂組成物に関する。
は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂など
がある(昭和60年6月15日、(株)新技術開発センター
発行、「エンジニアリングプラスチック便覧」第149〜1
51頁参照)。
脂、特に自己潤滑性を有する樹脂に、摩擦特性の改善に
効果があることが認められているアスベスト、炭素繊
維、二硫化モリブデン(MoS2)、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)樹脂、黒鉛などのいわゆる固体潤滑剤の
粉末、および必要によりガラス繊維等の強化用繊維を配
合した複合成形材料を常法により成形して得た成形品が
一般に使用されている。このような複合摺動部材の潤滑
の主役は高分子材すなわち樹脂であり、これに配合した
固体潤滑剤は樹脂の摩耗を抑制する役割を果たし、潤滑
剤としてはあまり機能しないことが知られている(昭和
63年1月30日、丸善(株)発行、「新素材ハンドブッ
ク」第518頁参照)。
質が優れているとして、高分子系複合材料からなる摺動
部材に一般に広く使用されているが、この樹脂は著しく
高価であるばかりでなく、摺動特性もなお十分であると
はいえない。
香族化合物またはこれを主成分とする混合物を、酸触媒
の存在下で、少なくとも2個のヒドロキシメチル基また
はハロメチル基を有する芳香族化合物からなる架橋剤と
加熱反応せしめることにより、耐熱性に優れた縮合多環
多核芳香族炭化水素樹脂が得られることが提案された
(特開昭62−521号および同62−522号公報参照)。
ずっと安価に製造できるにもかかわらず、耐熱性のみな
らず、電気絶縁性、耐湿性、耐薬品性等にも優れてお
り、単独で、または複合材料として広い応用分野が期待
されている。
耗性などの摺動特性については、未だ検討されていな
い。しかし、この芳香族炭化水素樹脂は、金型で成形硬
化させる際に、金型表面に淡緑色の付着物が多く発生
し、金型を曇らせると同時に、成形品表面が光沢に欠け
るという欠点があることが判明した。そのため、金型を
連続して使用することが困難で、成形性が劣る上、得ら
れた成形品の表面も平滑ではなく、摺動部材としては不
適当であった。
で、しかもそれより摺動特性に優れた高分子系複合材料
からなる摺動部材用の成形材料を提供することを目的と
する。
脂を摺動部材用の樹脂として使用すべく検討した結果、
これに黒鉛粉末を配合することによって潤滑性および耐
摩耗性が著しく改善され、ポリイミド樹脂系摺動部材よ
りも優れた摺動特性が得られることを見出した。
水素樹脂に認められた成形時の金型の曇りおよびそれに
付随する問題が、この樹脂の成形硬化時に生じる滲出物
に起因することを突き止めた。すなわち、この滲出物は
酸触媒と縮合水に由来するもので、具体的な金型の曇り
発生のメカニズムは、触媒として使用した酸が硬化時に
発生する縮合水に溶解して表面に滲出し、金型の金属と
反応して金属塩を生成し、金型の表面に析出することに
より金型の曇りを惹起することを究明した。
時に、原料物質または架橋剤成分と反応性を有する酸触
媒を使用して酸を樹脂骨格に固定化するか、あるいは水
不溶性の酸触媒を使用することにより、酸触媒の縮合水
への溶解が防止され、上記の金型の曇りの問題が回避で
きることを知った(特願平1−43630号)。これによ
り、上記芳香族炭化水素樹脂の成形性が改善され、金型
を連続使用して表面が平滑で光沢のある成形品を成形す
ることが可能となった。
は縮合多環芳香族化合物と単環芳香族化合物との混合物
からなる原料物質と、少なくとも2個のヒドロキシメチ
ル基またはハロメチル基を有する芳香族化合物からなる
架橋剤とを、酸触媒の存在下に反応せしめて得た、流動
点150℃以下、水中での酸不溶化率50%以上の縮合多環
多核芳香族炭化水素樹脂に、組成物の全重量に対して5
〜70重量%の黒鉛を配合したことを特徴とする、摺動部
材用の成形材料にある。この成形材料には、さらに組成
物の全重量に対して約5〜50重量%の強化用繊維(炭素
繊維、ガラス繊維など)を配合してもよい。
族炭化水素樹脂についてまず説明する。
これと単環芳香族化合物との混合物である。
フテン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、クリ
セン、ナフタセン、フルオランテン、ペリレン、ピセン
およびそれらのアルキル誘導体、各種ベンゾピレン、各
種ベンゾペリレン等の縮合多環炭化水素類、ならびにナ
フトール等のヒドロキシ置換誘導体が挙げられ、これら
の2種以上の混合物も使用できる。
は、フェノール、アルキルフェノール、レゾルシン等の
フェノール類や、アルキルベンゼン等の単環芳香族化合
物が挙げられ、これらを前記縮合多環芳香族化合物と併
用することができる。
シ基(−O−)、メチレン基、フェニレン基またはキシ
リレン基等の結合基で連結された多核構造の芳香族化合
物、例えば、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェ
ニルメタン(以上は単環化合物)、ビナフタレン(多環
化合物)等も単環あるいは多環型の原料物質として使用
できる。また、上記のような芳香族化合物を主成分とす
る石炭系または石油系の重質油類、ピッチ類も原料物質
として使用可能である。
フタレンを含むものである。特に好ましい原料物質は、
ナフタレン単独またはこれとフェノールとの混合物であ
る。
を併用した場合には、硬化時にヘキサミン(ヘキサメチ
レンテトラミン)などの硬化剤を使用できる。
くとも2個のヒドロキシメチル基またはハロメチル基を
有する芳香族化合物であり、このような化合物の例とし
ては、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、アントラセ
ン、ピレン等の単環もしくは縮合多環芳香族化合物また
はそれらのアルキル誘導体等の芳香族炭化水素化合物の
ポリ(ヒドロキシメチル)またはポリ(ハロメチル)置
換誘導体が挙げられる。ポリ(ヒドロキシメチル)誘導
体を使用することが一般に好ましい。特に好ましい架橋
剤は、ジヒドロキチメチルベンゼン(キシレングリコー
ル)、ジヒドロキシメチルキシレン、トリヒドロキシメ
チルベンゼン、ジヒドロキシメチルナフタレン等であ
る。
せるが、本発明で用いる樹脂の製造においては、原料物
質または架橋剤の少なくとも一方と反応性を有する水溶
性の酸触媒か、水不溶性の酸触媒を使用することによ
り、樹脂中に含まれる酸触媒の水不溶化率(以下、水中
での酸不溶化率という)が50%以上の樹脂が得られるよ
うにする。具体的には、水溶性の酸触媒を使用する場合
には、架橋剤のヒドロキシメチル基またはハロメチル基
と反応性を有する有機スルホン酸、あるいは原料物質と
反応性のあるヒドロキシメチル基、ハロメチル基または
ホルミル基を有する有機スルホン酸が酸触媒として有用
である。また、水不溶性の酸触媒としては、ポリスルホ
ン酸樹脂疎水性の有機スルホン酸を使用することができ
る。
れる水溶性の酸を完全に水で抽出した後の酸の残存量
を、この酸抽出前の樹脂の酸含有量で除して求めたもの
である。この樹脂の酸含有量は、樹脂を水と相溶性のあ
る有機溶剤(例、テトラヒドロフラン)にほぼ完全に溶
解させた溶液状態でアルカリにより中和滴定することに
より測定することができる。また、酸抽出後の滴定は、
上記のように樹脂を溶解した後、水を加えて樹脂を不溶
化させ、この不溶化物について、上記と同様に溶液状で
滴定することにより行う。
のいずれとも反応性を有しない水溶性の酸を触媒として
使用すると、酸触媒は樹脂中に固定化されずに残留する
ため、得られた樹脂を洗浄して酸触媒を除去しても、な
お残留する酸触媒は実質的にすべてが水溶性であり、水
中での酸不溶化率50%以上の樹脂を得ることができな
い。
メチル基と反応性を有する酸触媒としては、縮合多環芳
香族核(ナフタレン核など)またはフェノール核を有す
る有機スルホン酸、またはカルボキシル基、アミノ基、
エポキシ基、不飽和炭化水素基等を有する有機芳香族ス
ルホン酸が挙げられる。このうち特に好ましいのは、縮
合多環芳香族スルホン酸およびフェノールスルホン酸で
あり、具体的には、ナフタレンスルホン酸、アルキルナ
フタレンスルホン酸、アセナフテンスルホン酸、アント
ラセンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフトール
スルホン酸等である。
ロメチル基またはホルミル基を有する有機スルホン酸と
しては、ヒドロキシメチルベンゼンスルホン酸、ヒドロ
キシメチルナフタレンスルホン酸、ジヒドロキシメチル
ナフタレンスルホン酸、クロロメチルベンゼンスルホン
酸、クロロメチルナフタレンスルホン酸、ホルミルベン
ゼンスルホン酸、ホルミルナフタレンスルホン酸等が挙
げられる。
ルベンゼンで架橋させたものをスルホン化したポリスチ
レンスルホン酸樹脂、フェノールスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸等をアルデヒドか少なくとも2個のヒドロ
キシメチル基またはハロメチル基を有する芳香族化合物
からなる架橋剤と縮合させたフェノールスルホン酸樹
脂、あるいは縮合多環多核芳香族樹脂のスルホン化物等
を挙げることができる。縮合多環多核芳香族樹脂のスル
ホン化物は、縮合多環多核芳香族樹脂を濃硫酸でスルホ
ン化したのち、水溶性の酸を水洗浄等で除去することに
より容易に得ることができる。
ンゼンスルホン酸等の疎水基を有する水不溶性の有機ス
ルホン酸化合物も使用することができる。
合成方法などにより影響を受けるが、一般的には原料物
質と架橋剤との混合物に対して0.2重量%以上必要で、
好ましくは、1〜20重量%である。酸触媒の使用量が0.
2重量%以下では十分に縮合反応が進行せず、生成する
樹脂が十分な熱硬化性を示さない。また、20重量%以上
では、反応速度が速くなり過ぎて反応制御が困難となる
ばかりでなく、生成する樹脂も不均質なものとなり好ま
しくない。
は、モル比で0.7〜6が好ましい。0.7以下であると生成
する樹脂は熱硬化性を示さず、逆に6以上になると架橋
剤が過剰となり、反応が逆に抑制傾向を示し、やや不均
質な生成物を与えることとなる。より好ましい範囲とし
てはモル比で1〜3である。
合及び加熱して縮合反応させると、酸触媒が反応性スル
ホン酸である場合には、反応中に触媒が原料物質または
架橋剤と反応して、生成する樹脂中間縮合物の骨格中に
固定化され、使用した触媒が水溶性のものであっても水
に対して実質的に溶解性を示さなくなる。また、水不溶
性の触媒を使用した場合も、樹脂生成物に含まれる酸触
媒は水に溶解しない。そのため、成形金型の曇りや腐食
という問題が回避できる。
ある。反応圧力は、通常常圧ないし若干の加圧である
が、反応の結果生成する縮合水を反応系から除去して反
応効率を高めるためには、減圧下で反応せしめることも
できる。
溶媒または分散媒を用いて実施することもできる。ま
た、溶媒等を用いて反応させた場合、未反応の水溶性の
遊離酸が残留していても、溶媒分離時に除去できるので
有利である。溶融重合の場合でも、適当な溶媒で水溶性
の遊離後を除去することができる。
硬化性樹脂(Bステージ樹脂)が得られるが、さらにこ
れを加熱して反応を進めると、不溶不融性の成形に使用
しえない硬化体が生成する。したがって、本発明の成形
材料に使用するには、Bステージの段階で温度を下げ
て、反応を停止させ、流動点が150℃以下の樹脂が得ら
れるようにする。この段階の樹脂は、未だ加熱溶融性お
よび溶剤溶解性を有している未硬化の樹脂中間縮合物で
あり、容易に成形することができ、また成形後に100〜3
50℃に加熱することによって容易に硬化し、熱硬化成形
品とすることができる。
炭化水素樹脂は、流動点が150℃以下で、水中での酸不
溶化率が50%以上の未硬化、すなわち熱硬化性の樹脂中
間縮合物である。樹脂の流動点が150℃を超えると、樹
脂の成形性が低下する。また、樹脂の水中での酸不溶化
率が50%以下となると、前述した樹脂の成形硬化時の金
型が曇りが見られるようになる。
で、水中での酸不溶化率が50%以上の樹脂が得られるよ
うに、原料物質、架橋剤および酸触媒のの種類をその相
互の反応性を考慮して選択する必要がある。
用する場合には、酸触媒と架橋剤との反応性が、この架
橋剤と原料物質(縮合多環芳香族化合物もしくはその混
合物)との反応性と同程度になるような酸触媒を使用す
ることが好ましい。具体的には、例えば、原料物質がナ
フタレンである場合には、酸触媒としてナフタレンスル
ホン酸を使用すると、上記条件を満たすことができ、酸
触媒が樹脂中に有効に固定され、酸不溶化率50%以上の
樹脂を容易に得ることができる。
機スルホン酸などの水不溶性の有機酸を使用する場合に
は、水中での酸不溶化率50%以上という条件は常に満た
されるので、この条件を満たすように考慮する必要はな
い。
合多環多核芳香族炭化水素樹脂に、黒鉛を配合したもの
である。上記未硬化中間縮合物樹脂に黒鉛を混合するこ
とにより、潤滑性、耐摩耗性などの摺動特性が大幅に改
善され、従来公知の熱硬化性樹脂、特にポリイミド樹脂
を基材とする摺動部材に比べても摺動特性がさらに優れ
た摺動部材が得られる。一方、本発明で用いる樹脂にMo
So2やPTFE樹脂などの多の固体潤滑剤を混合した場合に
は、摺動特性の改善はわずかである。従って、高分子複
合摺動部材において潤滑の主役は樹脂であり、固体潤滑
剤は潤滑剤としてあまり機能しないという従来の知見か
らみて、本発明の樹脂と固体潤滑剤の特定の組合わせで
特に顕著な摺動特性が得られることは全く驚くべきこと
である。
に配合した場合にも、本発明のような優れた摺動特性を
示す摺動部材を得ることはできず、上記芳香族炭化水素
樹脂と黒鉛との組合せが示す効果が特異なものであるこ
とがわかる。
環多核芳香族炭化水素樹脂はベンゼン環を多数有してい
るため、同様の炭素6員環構造をとる黒鉛との馴染みが
他の樹脂に比べて非常によいために、黒鉛の配合により
特に著しく優れた摺動特性が得られるのではないかと考
えられる。
特に炭素純度99.9重量%以上の鱗片状黒鉛が好ましい。
量%、好ましくは10〜60重量%の範囲内とする。黒鉛の
添加量が5重量%より少ないと、十分な摺動特性の改善
が得られない。また、70重量%より多くなると、成形品
の摺動特性は十分であるが、樹脂量が少なくなり、成形
性が低下する上、成形品の機械的特性も低下する。
材料に各種の充填材および強化材を添加することができ
る。これらの添加材は、有機質、無機質のいずれであっ
ても、また形状も繊維状、板状、粒状、中空状などのい
ずれでもよく、特に限定されるものではない。
ガラス繊維などの繊維状強化材である。繊維状強化材を
混合すると、限界PV値が改善され、より高い荷重あるい
はより速い滑り速度に耐えられるようになる。この目的
で、強化用繊維を、組成物の全重量の約5〜50重量%、
好ましくは約10〜40重量%の範囲内で添加してもよい。
樹脂、鱗片状あるいは板状などの黒鉛、および必要によ
りその他の添加材を常法により均一に混合することによ
り得られる。混合法は特に限定されるものではないが、
例えば、ペレット状の樹脂を黒鉛および任意成分の他の
添加材とミキサーなどで予め乾式混合した後、ロールに
より混練するか、またはニーダー、押出機等に用いて溶
融混合し、次いで粉砕・造粒するか、押出後に細断し
て、ペレット等の粒状体とする方法がある。
方法も特に限定されない。摺動部材の形状に合わせて、
圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などの慣用の
成形法を適宜選択して成形することができる。成形の前
に、成形材料の流れ性調整、または水分、溶媒などの揮
発性成分の除去のために、100〜120℃の温度で10〜30分
間の予熱処理を行ってもよいが、この予熱により樹脂の
実質的な硬化が起こらないように注意する。
加熱すると、不溶不融性の熱硬化樹脂となり、耐熱性、
機械的特性、摺動特性に優れた摺動部材が得られる。加
熱・硬化は金型内で最後まで行うこともできるが、金型
内で短時間(例、数分間程度)加熱してある程度硬化さ
せた後、金型から出して加熱を続けることにより後硬化
(ポストキュア)させるという2段階で行うことが、成
形操作が効率的となることから好ましい。
る。
ーを使用し、6℃/minで樹脂試料を昇温させ、見掛け粘
度が1×105poiseになる温度を測定し、この温度を流動
点とした。
うにして決定した。樹脂試料1gをテトラヒドロフラン50
gに溶解した溶液を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で
中和滴定して、この樹脂の酸含有量を求め、これを水に
よる酸抽出前の樹脂の酸含有量とする。一方、樹脂の別
の試料1重量部にテトラヒドロフラン3重量部を添加し
て樹脂を溶解し、得られた溶液に水10重量部を加えて、
水に不溶の樹脂その他の成分を沈殿させ、この沈殿を濾
別して得た水不溶分を減圧乾燥して、水溶性の酸が抽出
・除去された樹脂を得た。この樹脂の試料1gを使用し
て、上記と同じ条件で中和滴定することにより、水によ
る酸抽出後の樹脂の酸含有量を求める。このようにして
求めた酸抽出後の後の酸含有量を、酸抽出前の酸含有量
で除して、水中での酸の不溶化率を算出する。
として1,4−ジヒドロキシメチルベンゼン110.4g(0.8モ
ル)、及び酸触媒として2−ナフタレンスルホン酸(1
水和物)10.4g(0.046モル)を、ガラス製の反応容器に
仕込み、窒素気流中で撹拌しながら110℃で120分間反応
せしめ、次の第1表に示す特性を示す熱硬化性の縮合多
環多核芳香族炭化水素樹脂を得た。
炭素繊維を第2表に示す割合で配合した。使用した黒鉛
は、炭素含有量99.9重量%以上の鱗片状黒鉛であり、炭
素繊維はPAN系の平均繊維長6mmのものであった。これら
の材料をまずミキサーを用いて乾式混合した後、ロール
混練機を用いて、温度100℃、回転数20rpm(前ロール)
および24rpm(後ロール)で溶融混練し、カッターミル
によって、粒径3mm以下に粉砕して、成形材料を調製し
た。
00kg/cm2の件下での2分間の圧縮成形により、直径50mm
×厚さ3mmの円板状の成形品を得た。得られた成形品は
いずれも表面が滑らかで、良好な光沢を呈していた。ま
た、金型の曇りは発生しておらず、連続成形が可能であ
った。
化(ポストキュア)させて得た円板状の熱硬化成形品の
各物性測定用の試験片とした。
得られた結果を第2表に併せて示す。
法」に準じて、相手材S45Cに、滑り速度60cm/secの条件
で荷重を徐々に増加させて回転摩擦させ、焼付により摩
擦係数が急変する臨界点でのP(荷重)とV(滑り速
度)との積を臨界PV値として表示した。
距離) JIS K 7218に規定の「プラスチックの滑り摩耗試験方
法」に準じて、鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、相手材S4
5C、滑り速度60cm/sec、荷重4.5kgf、雰囲気温度室温
で、滑り距離が3,000mになるまで連続運転し、10分毎に
摩擦力(F)を測定すると共に、運転終了時点での摩耗
量を測定した。
を除して求めた10分毎の平均値である。また、摩耗量
は、滑り距離1,000mあたりの平均値で示す。
脂を使用し、次の第3表に示す原材料の配合割合で実施
例と同じ操作で試験片を作製し、それぞれの物性を測定
した。試験結果も第3表に併せて示す。
で用いる熱硬化性樹脂に固形潤滑剤として黒鉛を配合し
た本発明の成形材料の場合には、比較例に比べて、限界
PV値が高く、摩擦係数および摩耗量が少なく、摺動特性
が著しく改善された。これに対して、他の固形潤滑剤を
配合した比較例1および2では、本発明に比べて限界PV
値、摩擦係数、摩耗量のいずれも大きく劣っており、特
に限界PV値、摩耗量は固形潤滑剤を配合しない比較例3
と同程度であり、摺動特性の改善効果はわずかである。
72g(0.046モル)を用いた以外は前記実施例と同じ操作
により、流動点104℃、水に対する酸の不溶化率7%の
熱硬化性の縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂を得た。
と同じ配合割合および同じ操作で成形硬化せしめて円板
状の試験片を作製した。得られた熱硬化成形品は、いず
れも表面が粗いばかりでなく、光沢もなかった。また、
金型表面には白色粉末状の物質が全面に付着し、この金
型を用いて繰り返し成形することはできなかった。
PSK−2320)を使用し、第4表に示す割合で硬化剤のヘ
キサミンおよび潤滑剤の黒鉛(実施例1で使用したも
の)を配合し、実施例1と同様にして成形材料を調製し
た。
0℃で8時間とした以外は、実施例1と同一条件で試験
片を作製し、各物性を測定した。その結果を第4表に示
す。
た成形材料は、限界PV値が実施例に比較して約1/10程度
と非常に小さく、摩擦係数や摩耗量の結果も劣り、摺動
特性の改善効果はほとんど認められない。
Claims (3)
- 【請求項1】縮合多環芳香族化合物または縮合多環芳香
族化合物と単環芳香族化合物との混合物からなる原料物
質と、少なくとも2個のヒドロキシメチル基またハロメ
チル基を有する芳香族化合物からなる架橋剤とを、該架
橋剤と反応性を有する有機スルホン酸、ヒドロキシメチ
ル基、ハロメチル基もしくはホルミル基を有する有機ス
ルホン酸、ポリスルホン酸樹脂、ならびに疎水性の有機
スルホン酸よりなる群から選ばれた酸触媒の存在下に反
応せしめて得た、流動点が150℃以下、樹脂中に含まれ
る酸を完全に水で抽出した後の酸の残存量を酸抽出前の
樹脂中の酸含有量で除して求めた酸の水不溶化率が50%
以上の縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂に、組成物の全
重量に対して5〜70重量%の黒鉛を配合したことを特徴
とする、摺動部材用の成形材料。 - 【請求項2】組成物の全重量に基づいて5〜50重量%の
強化用繊維をさらに配合した、請求項1に記載の成形材
料。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の成形材料を用い
て成形した後、成形体を100〜350℃で加熱・硬化させて
得た摺動部材。
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JP4792843B2 (ja) * | 2005-07-08 | 2011-10-12 | スターライト工業株式会社 | シール材 |
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