JP2961759B2 - 摺動部材用の成形材料 - Google Patents

摺動部材用の成形材料

Info

Publication number
JP2961759B2
JP2961759B2 JP22095089A JP22095089A JP2961759B2 JP 2961759 B2 JP2961759 B2 JP 2961759B2 JP 22095089 A JP22095089 A JP 22095089A JP 22095089 A JP22095089 A JP 22095089A JP 2961759 B2 JP2961759 B2 JP 2961759B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
resin
water
molding
aromatic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22095089A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0384094A (ja
Inventor
杉郎 大谷
健持 蔭山
俊昭 馬渕
嘉久 曽根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SUMIKIN KEMIKARU KK
Original Assignee
SUMIKIN KEMIKARU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SUMIKIN KEMIKARU KK filed Critical SUMIKIN KEMIKARU KK
Priority to JP22095089A priority Critical patent/JP2961759B2/ja
Publication of JPH0384094A publication Critical patent/JPH0384094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2961759B2 publication Critical patent/JP2961759B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、成形性と耐熱性に優れ、しかも摺動特性に
優れた、摺動部材用の成形材料として適した熱硬化性樹
脂組成物に関する。
[従来の技術] 現在一般に広く利用されている熱硬化性樹樹脂として
は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂など
がある(昭和60年6月15日、(株)新技術開発センター
発行、「エンジニアリングプラスチック便覧」第149〜1
51頁参照)。
高分子系の摺動部材としては、このような熱硬化性樹
脂、特に自己潤滑性を有する樹脂に、摩擦特性の改善に
効果があることが認められているアスベスト、炭素繊
維、二硫化モリブデン(MoS2)、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)樹脂、黒鉛などのいわゆる固体潤滑剤の
粉末、および必要によりガラス繊維等の強化用繊維を配
合した複合成形材料を常法により成形して得た成形品が
一般に使用されている。このような複合摺動部材の潤滑
の主役は高分子材すなわち樹脂であり、これに配合した
固体潤滑剤は樹脂の摩耗を抑制する役割を果たし、潤滑
剤としてはあまり機能しないことが知られている(昭和
63年1月30日、丸善(株)発行、「新素材ハンドブッ
ク」第518頁参照)。
特にポリイミド樹脂は、耐熱性、摺動特性、機械的性
質が優れているとして、高分子系複合材料からなる摺動
部材に一般に広く使用されているが、この樹脂は著しく
高価であるばかりでなく、摺動特性もなお十分であると
はいえない。
最近になり、新規な熱硬化性樹脂として、縮合多環芳
香族化合物またはこれを主成分とする混合物を、酸触媒
の存在下で、少なくとも2個のヒドロキシメチル基また
はハロメチル基を有する芳香族化合物からなる架橋剤と
加熱反応せしめることにより、耐熱性に優れた縮合多環
多核芳香族炭化水素樹脂が得られることが提案された
(特開昭62−521号および同62−522号公報参照)。
この芳香族炭化水素系樹脂は、ポリイミド樹脂よりは
ずっと安価に製造できるにもかかわらず、耐熱性のみな
らず、電気絶縁性、耐湿性、耐薬品性等にも優れてお
り、単独で、または複合材料として広い応用分野が期待
されている。
この縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂の潤滑性、耐摩
耗性などの摺動特性については、未だ検討されていな
い。しかし、この芳香族炭化水素樹脂は、金型で成形硬
化させる際に、金型表面に淡緑色の付着物が多く発生
し、金型を曇らせると同時に、成形品表面が光沢に欠け
るという欠点があることが判明した。そのため、金型を
連続して使用することが困難で、成形性が劣る上、得ら
れた成形品の表面も平滑ではなく、摺動部材としては不
適当であった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、ポリイミド樹脂を用いた場合に比べて安価
で、しかもそれより摺動特性に優れた高分子系複合材料
からなる摺動部材用の成形材料を提供することを目的と
する。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、上述した縮合多環多核芳香族炭化水素樹
脂を摺動部材用の樹脂として使用すべく検討した結果、
これに黒鉛粉末を配合することによって潤滑性および耐
摩耗性が著しく改善され、ポリイミド樹脂系摺動部材よ
りも優れた摺動特性が得られることを見出した。
また、本発明者は、前述した縮合多環多核芳香族炭化
水素樹脂に認められた成形時の金型の曇りおよびそれに
付随する問題が、この樹脂の成形硬化時に生じる滲出物
に起因することを突き止めた。すなわち、この滲出物は
酸触媒と縮合水に由来するもので、具体的な金型の曇り
発生のメカニズムは、触媒として使用した酸が硬化時に
発生する縮合水に溶解して表面に滲出し、金型の金属と
反応して金属塩を生成し、金型の表面に析出することに
より金型の曇りを惹起することを究明した。
この知見に基づいてさらに検討した結果、樹脂の製造
時に、原料物質または架橋剤成分と反応性を有する酸触
媒を使用して酸を樹脂骨格に固定化するか、あるいは水
不溶性の酸触媒を使用することにより、酸触媒の縮合水
への溶解が防止され、上記の金型の曇りの問題が回避で
きることを知った(特願平1−43630号)。これによ
り、上記芳香族炭化水素樹脂の成形性が改善され、金型
を連続使用して表面が平滑で光沢のある成形品を成形す
ることが可能となった。
ここに、本発明の要旨は、縮合多環芳香族化合物また
は縮合多環芳香族化合物と単環芳香族化合物との混合物
からなる原料物質と、少なくとも2個のヒドロキシメチ
ル基またはハロメチル基を有する芳香族化合物からなる
架橋剤とを、酸触媒の存在下に反応せしめて得た、流動
点150℃以下、水中での酸不溶化率50%以上の縮合多環
多核芳香族炭化水素樹脂に、組成物の全重量に対して5
〜70重量%の黒鉛を配合したことを特徴とする、摺動部
材用の成形材料にある。この成形材料には、さらに組成
物の全重量に対して約5〜50重量%の強化用繊維(炭素
繊維、ガラス繊維など)を配合してもよい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成形材料の基材樹脂である縮合多環多核芳香
族炭化水素樹脂についてまず説明する。
この樹脂の原料物質は、縮合多環芳香族化合物または
これと単環芳香族化合物との混合物である。
縮合多環芳香族化合物としては、ナフタレン、アセナ
フテン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、クリ
セン、ナフタセン、フルオランテン、ペリレン、ピセン
およびそれらのアルキル誘導体、各種ベンゾピレン、各
種ベンゾペリレン等の縮合多環炭化水素類、ならびにナ
フトール等のヒドロキシ置換誘導体が挙げられ、これら
の2種以上の混合物も使用できる。
原料物質として使用できる単環芳香族化合物として
は、フェノール、アルキルフェノール、レゾルシン等の
フェノール類や、アルキルベンゼン等の単環芳香族化合
物が挙げられ、これらを前記縮合多環芳香族化合物と併
用することができる。
以上のような2以上の芳香族化合物が、単結合、オキ
シ基(−O−)、メチレン基、フェニレン基またはキシ
リレン基等の結合基で連結された多核構造の芳香族化合
物、例えば、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェ
ニルメタン(以上は単環化合物)、ビナフタレン(多環
化合物)等も単環あるいは多環型の原料物質として使用
できる。また、上記のような芳香族化合物を主成分とす
る石炭系または石油系の重質油類、ピッチ類も原料物質
として使用可能である。
好ましい原料物質は、縮合多環芳香族化合物としてナ
フタレンを含むものである。特に好ましい原料物質は、
ナフタレン単独またはこれとフェノールとの混合物であ
る。
原料物質として、フェノールなどの単環芳香族化合物
を併用した場合には、硬化時にヘキサミン(ヘキサメチ
レンテトラミン)などの硬化剤を使用できる。
本発明で用いる樹脂の製造に使用する架橋剤は、少な
くとも2個のヒドロキシメチル基またはハロメチル基を
有する芳香族化合物であり、このような化合物の例とし
ては、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、アントラセ
ン、ピレン等の単環もしくは縮合多環芳香族化合物また
はそれらのアルキル誘導体等の芳香族炭化水素化合物の
ポリ(ヒドロキシメチル)またはポリ(ハロメチル)置
換誘導体が挙げられる。ポリ(ヒドロキシメチル)誘導
体を使用することが一般に好ましい。特に好ましい架橋
剤は、ジヒドロキチメチルベンゼン(キシレングリコー
ル)、ジヒドロキシメチルキシレン、トリヒドロキシメ
チルベンゼン、ジヒドロキシメチルナフタレン等であ
る。
上記の原料物質と架橋剤とを酸触媒の存在下に反応さ
せるが、本発明で用いる樹脂の製造においては、原料物
質または架橋剤の少なくとも一方と反応性を有する水溶
性の酸触媒か、水不溶性の酸触媒を使用することによ
り、樹脂中に含まれる酸触媒の水不溶化率(以下、水中
での酸不溶化率という)が50%以上の樹脂が得られるよ
うにする。具体的には、水溶性の酸触媒を使用する場合
には、架橋剤のヒドロキシメチル基またはハロメチル基
と反応性を有する有機スルホン酸、あるいは原料物質と
反応性のあるヒドロキシメチル基、ハロメチル基または
ホルミル基を有する有機スルホン酸が酸触媒として有用
である。また、水不溶性の酸触媒としては、ポリスルホ
ン酸樹脂疎水性の有機スルホン酸を使用することができ
る。
ここで、樹脂の水中での酸不溶化率は、樹脂中に含ま
れる水溶性の酸を完全に水で抽出した後の酸の残存量
を、この酸抽出前の樹脂の酸含有量で除して求めたもの
である。この樹脂の酸含有量は、樹脂を水と相溶性のあ
る有機溶剤(例、テトラヒドロフラン)にほぼ完全に溶
解させた溶液状態でアルカリにより中和滴定することに
より測定することができる。また、酸抽出後の滴定は、
上記のように樹脂を溶解した後、水を加えて樹脂を不溶
化させ、この不溶化物について、上記と同様に溶液状で
滴定することにより行う。
p−トルエンスルホン酸などの原料物質および架橋剤
のいずれとも反応性を有しない水溶性の酸を触媒として
使用すると、酸触媒は樹脂中に固定化されずに残留する
ため、得られた樹脂を洗浄して酸触媒を除去しても、な
お残留する酸触媒は実質的にすべてが水溶性であり、水
中での酸不溶化率50%以上の樹脂を得ることができな
い。
本発明で用いる、架橋剤のヒドロキシメチル基やハロ
メチル基と反応性を有する酸触媒としては、縮合多環芳
香族核(ナフタレン核など)またはフェノール核を有す
る有機スルホン酸、またはカルボキシル基、アミノ基、
エポキシ基、不飽和炭化水素基等を有する有機芳香族ス
ルホン酸が挙げられる。このうち特に好ましいのは、縮
合多環芳香族スルホン酸およびフェノールスルホン酸で
あり、具体的には、ナフタレンスルホン酸、アルキルナ
フタレンスルホン酸、アセナフテンスルホン酸、アント
ラセンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフトール
スルホン酸等である。
原料芳香族化合物と反応するヒドロキシメチル基、ハ
ロメチル基またはホルミル基を有する有機スルホン酸と
しては、ヒドロキシメチルベンゼンスルホン酸、ヒドロ
キシメチルナフタレンスルホン酸、ジヒドロキシメチル
ナフタレンスルホン酸、クロロメチルベンゼンスルホン
酸、クロロメチルナフタレンスルホン酸、ホルミルベン
ゼンスルホン酸、ホルミルナフタレンスルホン酸等が挙
げられる。
水不溶性の酸触媒としては、スチレン重合体をジビニ
ルベンゼンで架橋させたものをスルホン化したポリスチ
レンスルホン酸樹脂、フェノールスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸等をアルデヒドか少なくとも2個のヒドロ
キシメチル基またはハロメチル基を有する芳香族化合物
からなる架橋剤と縮合させたフェノールスルホン酸樹
脂、あるいは縮合多環多核芳香族樹脂のスルホン化物等
を挙げることができる。縮合多環多核芳香族樹脂のスル
ホン化物は、縮合多環多核芳香族樹脂を濃硫酸でスルホ
ン化したのち、水溶性の酸を水洗浄等で除去することに
より容易に得ることができる。
また、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジドデシルベ
ンゼンスルホン酸等の疎水基を有する水不溶性の有機ス
ルホン酸化合物も使用することができる。
酸触媒の使用量は、原料物質との反応性、反応温度、
合成方法などにより影響を受けるが、一般的には原料物
質と架橋剤との混合物に対して0.2重量%以上必要で、
好ましくは、1〜20重量%である。酸触媒の使用量が0.
2重量%以下では十分に縮合反応が進行せず、生成する
樹脂が十分な熱硬化性を示さない。また、20重量%以上
では、反応速度が速くなり過ぎて反応制御が困難となる
ばかりでなく、生成する樹脂も不均質なものとなり好ま
しくない。
架橋剤と被架橋原料(原料物質+酸触媒)の配合比
は、モル比で0.7〜6が好ましい。0.7以下であると生成
する樹脂は熱硬化性を示さず、逆に6以上になると架橋
剤が過剰となり、反応が逆に抑制傾向を示し、やや不均
質な生成物を与えることとなる。より好ましい範囲とし
てはモル比で1〜3である。
前記原料物質、架橋剤および酸触媒を所定の割合で混
合及び加熱して縮合反応させると、酸触媒が反応性スル
ホン酸である場合には、反応中に触媒が原料物質または
架橋剤と反応して、生成する樹脂中間縮合物の骨格中に
固定化され、使用した触媒が水溶性のものであっても水
に対して実質的に溶解性を示さなくなる。また、水不溶
性の触媒を使用した場合も、樹脂生成物に含まれる酸触
媒は水に溶解しない。そのため、成形金型の曇りや腐食
という問題が回避できる。
反応温度は、約50〜200℃、好ましくは約80〜180℃で
ある。反応圧力は、通常常圧ないし若干の加圧である
が、反応の結果生成する縮合水を反応系から除去して反
応効率を高めるためには、減圧下で反応せしめることも
できる。
反応は、溶融状態で行なうのが簡単であるが、適当な
溶媒または分散媒を用いて実施することもできる。ま
た、溶媒等を用いて反応させた場合、未反応の水溶性の
遊離酸が残留していても、溶媒分離時に除去できるので
有利である。溶融重合の場合でも、適当な溶媒で水溶性
の遊離後を除去することができる。
前記の反応の進行に伴って反応物の粘度が上昇し、熱
硬化性樹脂(Bステージ樹脂)が得られるが、さらにこ
れを加熱して反応を進めると、不溶不融性の成形に使用
しえない硬化体が生成する。したがって、本発明の成形
材料に使用するには、Bステージの段階で温度を下げ
て、反応を停止させ、流動点が150℃以下の樹脂が得ら
れるようにする。この段階の樹脂は、未だ加熱溶融性お
よび溶剤溶解性を有している未硬化の樹脂中間縮合物で
あり、容易に成形することができ、また成形後に100〜3
50℃に加熱することによって容易に硬化し、熱硬化成形
品とすることができる。
上述したように、本発明で用いる縮合多環多核芳香族
炭化水素樹脂は、流動点が150℃以下で、水中での酸不
溶化率が50%以上の未硬化、すなわち熱硬化性の樹脂中
間縮合物である。樹脂の流動点が150℃を超えると、樹
脂の成形性が低下する。また、樹脂の水中での酸不溶化
率が50%以下となると、前述した樹脂の成形硬化時の金
型が曇りが見られるようになる。
従って、流動点150℃以下の未硬化中間縮合物の段階
で、水中での酸不溶化率が50%以上の樹脂が得られるよ
うに、原料物質、架橋剤および酸触媒のの種類をその相
互の反応性を考慮して選択する必要がある。
1例を挙げると、架橋剤と反応性を有する酸触媒を使
用する場合には、酸触媒と架橋剤との反応性が、この架
橋剤と原料物質(縮合多環芳香族化合物もしくはその混
合物)との反応性と同程度になるような酸触媒を使用す
ることが好ましい。具体的には、例えば、原料物質がナ
フタレンである場合には、酸触媒としてナフタレンスル
ホン酸を使用すると、上記条件を満たすことができ、酸
触媒が樹脂中に有効に固定され、酸不溶化率50%以上の
樹脂を容易に得ることができる。
一方、酸触媒としてポリスルホン酸樹脂や疎水性の有
機スルホン酸などの水不溶性の有機酸を使用する場合に
は、水中での酸不溶化率50%以上という条件は常に満た
されるので、この条件を満たすように考慮する必要はな
い。
本発明の摺動部材用の成形材料は、上記の未硬化の縮
合多環多核芳香族炭化水素樹脂に、黒鉛を配合したもの
である。上記未硬化中間縮合物樹脂に黒鉛を混合するこ
とにより、潤滑性、耐摩耗性などの摺動特性が大幅に改
善され、従来公知の熱硬化性樹脂、特にポリイミド樹脂
を基材とする摺動部材に比べても摺動特性がさらに優れ
た摺動部材が得られる。一方、本発明で用いる樹脂にMo
So2やPTFE樹脂などの多の固体潤滑剤を混合した場合に
は、摺動特性の改善はわずかである。従って、高分子複
合摺動部材において潤滑の主役は樹脂であり、固体潤滑
剤は潤滑剤としてあまり機能しないという従来の知見か
らみて、本発明の樹脂と固体潤滑剤の特定の組合わせで
特に顕著な摺動特性が得られることは全く驚くべきこと
である。
また、黒鉛をフェノール樹脂などの他の熱硬化性樹脂
に配合した場合にも、本発明のような優れた摺動特性を
示す摺動部材を得ることはできず、上記芳香族炭化水素
樹脂と黒鉛との組合せが示す効果が特異なものであるこ
とがわかる。
この理由は明らかではないが、本発明で用いる縮合多
環多核芳香族炭化水素樹脂はベンゼン環を多数有してい
るため、同様の炭素6員環構造をとる黒鉛との馴染みが
他の樹脂に比べて非常によいために、黒鉛の配合により
特に著しく優れた摺動特性が得られるのではないかと考
えられる。
黒鉛としては、鱗片状または板状のものが望ましく、
特に炭素純度99.9重量%以上の鱗片状黒鉛が好ましい。
黒鉛の添加量は、組成物の全重量に基づいて5〜70重
量%、好ましくは10〜60重量%の範囲内とする。黒鉛の
添加量が5重量%より少ないと、十分な摺動特性の改善
が得られない。また、70重量%より多くなると、成形品
の摺動特性は十分であるが、樹脂量が少なくなり、成形
性が低下する上、成形品の機械的特性も低下する。
本発明の目的・効果を損なわない限り、本発明の成形
材料に各種の充填材および強化材を添加することができ
る。これらの添加材は、有機質、無機質のいずれであっ
ても、また形状も繊維状、板状、粒状、中空状などのい
ずれでもよく、特に限定されるものではない。
本発明の成形材料に特に好適な添加材は、炭素繊維、
ガラス繊維などの繊維状強化材である。繊維状強化材を
混合すると、限界PV値が改善され、より高い荷重あるい
はより速い滑り速度に耐えられるようになる。この目的
で、強化用繊維を、組成物の全重量の約5〜50重量%、
好ましくは約10〜40重量%の範囲内で添加してもよい。
本発明の摺動部材用の成形材料は、前記の中間縮合物
樹脂、鱗片状あるいは板状などの黒鉛、および必要によ
りその他の添加材を常法により均一に混合することによ
り得られる。混合法は特に限定されるものではないが、
例えば、ペレット状の樹脂を黒鉛および任意成分の他の
添加材とミキサーなどで予め乾式混合した後、ロールに
より混練するか、またはニーダー、押出機等に用いて溶
融混合し、次いで粉砕・造粒するか、押出後に細断し
て、ペレット等の粒状体とする方法がある。
本発明の成形材料から摺動部材を製造する場合の成形
方法も特に限定されない。摺動部材の形状に合わせて、
圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などの慣用の
成形法を適宜選択して成形することができる。成形の前
に、成形材料の流れ性調整、または水分、溶媒などの揮
発性成分の除去のために、100〜120℃の温度で10〜30分
間の予熱処理を行ってもよいが、この予熱により樹脂の
実質的な硬化が起こらないように注意する。
成形後、成形体を100〜350℃の温度に1〜15時間程度
加熱すると、不溶不融性の熱硬化樹脂となり、耐熱性、
機械的特性、摺動特性に優れた摺動部材が得られる。加
熱・硬化は金型内で最後まで行うこともできるが、金型
内で短時間(例、数分間程度)加熱してある程度硬化さ
せた後、金型から出して加熱を続けることにより後硬化
(ポストキュア)させるという2段階で行うことが、成
形操作が効率的となることから好ましい。
[実施例] 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例中、中間縮合物樹脂の流動点は、フローテスタ
ーを使用し、6℃/minで樹脂試料を昇温させ、見掛け粘
度が1×105poiseになる温度を測定し、この温度を流動
点とした。
また、中間縮合物樹脂の水中での酸不溶化率は次のよ
うにして決定した。樹脂試料1gをテトラヒドロフラン50
gに溶解した溶液を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で
中和滴定して、この樹脂の酸含有量を求め、これを水に
よる酸抽出前の樹脂の酸含有量とする。一方、樹脂の別
の試料1重量部にテトラヒドロフラン3重量部を添加し
て樹脂を溶解し、得られた溶液に水10重量部を加えて、
水に不溶の樹脂その他の成分を沈殿させ、この沈殿を濾
別して得た水不溶分を減圧乾燥して、水溶性の酸が抽出
・除去された樹脂を得た。この樹脂の試料1gを使用し
て、上記と同じ条件で中和滴定することにより、水によ
る酸抽出後の樹脂の酸含有量を求める。このようにして
求めた酸抽出後の後の酸含有量を、酸抽出前の酸含有量
で除して、水中での酸の不溶化率を算出する。
実施例1〜2 原料物質としてナフタレン64.0g(0.5モル)、架橋剤
として1,4−ジヒドロキシメチルベンゼン110.4g(0.8モ
ル)、及び酸触媒として2−ナフタレンスルホン酸(1
水和物)10.4g(0.046モル)を、ガラス製の反応容器に
仕込み、窒素気流中で撹拌しながら110℃で120分間反応
せしめ、次の第1表に示す特性を示す熱硬化性の縮合多
環多核芳香族炭化水素樹脂を得た。
この熱硬化性樹脂を粉砕し、これに黒鉛または黒鉛と
炭素繊維を第2表に示す割合で配合した。使用した黒鉛
は、炭素含有量99.9重量%以上の鱗片状黒鉛であり、炭
素繊維はPAN系の平均繊維長6mmのものであった。これら
の材料をまずミキサーを用いて乾式混合した後、ロール
混練機を用いて、温度100℃、回転数20rpm(前ロール)
および24rpm(後ロール)で溶融混練し、カッターミル
によって、粒径3mm以下に粉砕して、成形材料を調製し
た。
得られた各成形材料から、金型温度180℃、成形圧力3
00kg/cm2の件下での2分間の圧縮成形により、直径50mm
×厚さ3mmの円板状の成形品を得た。得られた成形品は
いずれも表面が滑らかで、良好な光沢を呈していた。ま
た、金型の曇りは発生しておらず、連続成形が可能であ
った。
この成形品を250℃で12時間加熱することにより後硬
化(ポストキュア)させて得た円板状の熱硬化成形品の
各物性測定用の試験片とした。
なお、各物性はそれぞれ次の方法によって測定した。
得られた結果を第2表に併せて示す。
(1)限界PV値(kgf/cm2・cm/sec) JIS K 7218に規定の「プラスチックの滑り摩耗試験方
法」に準じて、相手材S45Cに、滑り速度60cm/secの条件
で荷重を徐々に増加させて回転摩擦させ、焼付により摩
擦係数が急変する臨界点でのP(荷重)とV(滑り速
度)との積を臨界PV値として表示した。
(2)摩擦係数(μ)および摩擦量(mg/1,000m・滑り
距離) JIS K 7218に規定の「プラスチックの滑り摩耗試験方
法」に準じて、鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、相手材S4
5C、滑り速度60cm/sec、荷重4.5kgf、雰囲気温度室温
で、滑り距離が3,000mになるまで連続運転し、10分毎に
摩擦力(F)を測定すると共に、運転終了時点での摩耗
量を測定した。
なお、摩擦係数(μ)は、荷重(P)で摩擦力(F)
を除して求めた10分毎の平均値である。また、摩耗量
は、滑り距離1,000mあたりの平均値で示す。
比較例1〜3 前記実施例で調製した第1表に示す特性の熱硬化性樹
脂を使用し、次の第3表に示す原材料の配合割合で実施
例と同じ操作で試験片を作製し、それぞれの物性を測定
した。試験結果も第3表に併せて示す。
第2表および第3表の結果から明らかな通り、本発明
で用いる熱硬化性樹脂に固形潤滑剤として黒鉛を配合し
た本発明の成形材料の場合には、比較例に比べて、限界
PV値が高く、摩擦係数および摩耗量が少なく、摺動特性
が著しく改善された。これに対して、他の固形潤滑剤を
配合した比較例1および2では、本発明に比べて限界PV
値、摩擦係数、摩耗量のいずれも大きく劣っており、特
に限界PV値、摩耗量は固形潤滑剤を配合しない比較例3
と同程度であり、摺動特性の改善効果はわずかである。
比較例4〜5 酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(1水和物)8.
72g(0.046モル)を用いた以外は前記実施例と同じ操作
により、流動点104℃、水に対する酸の不溶化率7%の
熱硬化性の縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂を得た。
この熱硬化性樹脂を使用して、前記実施例1および2
と同じ配合割合および同じ操作で成形硬化せしめて円板
状の試験片を作製した。得られた熱硬化成形品は、いず
れも表面が粗いばかりでなく、光沢もなかった。また、
金型表面には白色粉末状の物質が全面に付着し、この金
型を用いて繰り返し成形することはできなかった。
比較例6 市販のフェノール樹脂(群栄化学株式会社製、商品名
PSK−2320)を使用し、第4表に示す割合で硬化剤のヘ
キサミンおよび潤滑剤の黒鉛(実施例1で使用したも
の)を配合し、実施例1と同様にして成形材料を調製し
た。
そして、この成形材料を用い、ポストキュア条件を18
0℃で8時間とした以外は、実施例1と同一条件で試験
片を作製し、各物性を測定した。その結果を第4表に示
す。
第4表に示す通り、通常のフェノール樹脂から調製し
た成形材料は、限界PV値が実施例に比較して約1/10程度
と非常に小さく、摩擦係数や摩耗量の結果も劣り、摺動
特性の改善効果はほとんど認められない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 111/04 C10M 111/04 //(C10M 111/04 107:30 103:02) B29L 31:16 C10N 20:00 (56)参考文献 特開 昭62−127350(JP,A) 特開 昭62−156124(JP,A) 特開 昭62−230843(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 65/00 - 65/04 C08K 3/00 - 13/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】縮合多環芳香族化合物または縮合多環芳香
    族化合物と単環芳香族化合物との混合物からなる原料物
    質と、少なくとも2個のヒドロキシメチル基またハロメ
    チル基を有する芳香族化合物からなる架橋剤とを、該架
    橋剤と反応性を有する有機スルホン酸、ヒドロキシメチ
    ル基、ハロメチル基もしくはホルミル基を有する有機ス
    ルホン酸、ポリスルホン酸樹脂、ならびに疎水性の有機
    スルホン酸よりなる群から選ばれた酸触媒の存在下に反
    応せしめて得た、流動点が150℃以下、樹脂中に含まれ
    る酸を完全に水で抽出した後の酸の残存量を酸抽出前の
    樹脂中の酸含有量で除して求めた酸の水不溶化率が50%
    以上の縮合多環多核芳香族炭化水素樹脂に、組成物の全
    重量に対して5〜70重量%の黒鉛を配合したことを特徴
    とする、摺動部材用の成形材料。
  2. 【請求項2】組成物の全重量に基づいて5〜50重量%の
    強化用繊維をさらに配合した、請求項1に記載の成形材
    料。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の成形材料を用い
    て成形した後、成形体を100〜350℃で加熱・硬化させて
    得た摺動部材。
JP22095089A 1989-08-28 1989-08-28 摺動部材用の成形材料 Expired - Fee Related JP2961759B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22095089A JP2961759B2 (ja) 1989-08-28 1989-08-28 摺動部材用の成形材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22095089A JP2961759B2 (ja) 1989-08-28 1989-08-28 摺動部材用の成形材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0384094A JPH0384094A (ja) 1991-04-09
JP2961759B2 true JP2961759B2 (ja) 1999-10-12

Family

ID=16759091

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22095089A Expired - Fee Related JP2961759B2 (ja) 1989-08-28 1989-08-28 摺動部材用の成形材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2961759B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3289425B2 (ja) * 1993-09-06 2002-06-04 住金ケミカル株式会社 耐揺動性軸受
JP4792843B2 (ja) * 2005-07-08 2011-10-12 スターライト工業株式会社 シール材
JP2021143280A (ja) * 2020-03-12 2021-09-24 シーシーアイホールディングス株式会社 減衰性付与剤及び減衰性材料

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0384094A (ja) 1991-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0821711B1 (en) Phenolic resin compositions with improved impact resistance
CN102459379B (zh) 用于橡胶制品的粘附促进体系
MXPA97008801A (en) Compositions of phenolic resins with improved resistance to impa
CA2190595A1 (en) Processible electrically conducting polyaniline compositions and processes for the preparation thereof
US3576788A (en) Polymeric compositions prepared by reacting aralkyl ethers with phenols and curing said compositions with hexamethylenetetramine
JP2961759B2 (ja) 摺動部材用の成形材料
US5017683A (en) Condensed polycyclic, polynuclear aromatic thermosetting resin having good moldability and heat resistance; and preparation thereof
US3879338A (en) Friction element composition
Manjula et al. Synthesis and mechanical properties of cardanol-formaldehyde (CF) resins and CF-poly (methylmethacrylate) semi-interpenetrating polymer networks
US3767612A (en) Friction element composition
US3878160A (en) Friction element composition
CN114573773A (zh) 采用胺类与醛类缩合制备改性高邻位邻甲酚醛树脂的方法
JPH033711B2 (ja)
CA1149096A (en) Phenolic resins with improved low temperature processing stability
US4642264A (en) Thermoset polymers and prepolymers with rapid curing, obtained by polycondensation of pyridine derivatives and aromatic dialdehydes and adding of phenolic compounds
US4264557A (en) Phenolic resins with improved low temperature processing stability
US4267141A (en) Phenolic resins with improved low temperature processing stability
JP3289425B2 (ja) 耐揺動性軸受
US2987495A (en) Composition comprising reaction product of phenolic material and butadiene-furfural condensate
CA1061039A (en) Antifriction polymer material
JPH0770585A (ja) 摺動材
JP3200369B2 (ja) 改質フェノール樹脂の製造方法
JPH01294729A (ja) 熱硬化性樹脂ならびにその製造方法
JP3075951B2 (ja) 摩擦材用樹脂組成物
CN109486095A (zh) 一种高性能耐磨酚醛基复合材料及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees