JPH0381390B2 - - Google Patents
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- JPH0381390B2 JPH0381390B2 JP60071480A JP7148085A JPH0381390B2 JP H0381390 B2 JPH0381390 B2 JP H0381390B2 JP 60071480 A JP60071480 A JP 60071480A JP 7148085 A JP7148085 A JP 7148085A JP H0381390 B2 JPH0381390 B2 JP H0381390B2
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Landscapes
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は耐キンク性(折れ曲がり性)、可撓性、
押潰し回復性に優れた平滑な内外表面を有する薄
肉小口径カテーテルに関するものである。 (従来の技術) 従来より生体内に流体を出し入れするために
種々のカテーテルが用いられている。このような
カテーテルは可撓性があつて肉厚の薄い事が求め
られる。しかしながら肉厚を薄くして流体の流量
を十分にとれるようにする事と、容易に潰れにく
くする事とは相反する。即ち、壁面を薄くすれば
する程カテーテルは使用中に潰れる危険性が増
す。万一カテーテルが潰れて閉塞すると、それを
使用している患者に重大な障害や、死をもたら
す。それ故こうしたカテーテルは小さな半径に曲
げたときにキンクして閉塞しない構造でなければ
ならない。 最近これらカテーテルに耐閉塞性をもたせるた
めカテーテルの壁面に螺旋状に線材や合成繊維等
の補強材を存在させることが提案されている。
(特開昭58−38565号など)かかる補強材を有する
カテーテルは「強化型」と呼ばれている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら通常「強化型」のカテーテルの螺
旋のピツチは1〜2mm程度、内径は3〜10mm、壁
面の厚さは1〜1.5mmであり、これ以上薄肉のも
ので満足のいく耐キンク性を有しているものはな
かつた。 さらにまた、補強用線材として金属性線材を用
いる場合には、確かに可撓性、耐キンク性に優れ
たカテーテルを得る事ができるが、流路が閉塞す
るような著しい外力が加わると金属線材は弾性限
度を越えた変形が行なわれ、伸長時の弾性率に乏
しいこともあつて、外力が除かれた後も殆んどか
回復せず、閉塞に近い状態になる重大な問題を有
していた。また、非金属性線材は、金属性線材に
比較し、弾性率が大巾に低いため、非金属性線材
を補強材として用いる際には、線材の径を太くし
たり、硬度の高いエラストマーを用いたり、肉厚
を厚くしたりする必要が生じると考えられていた
ためか小口径薄肉カテーテル用補強材として検討
されたことはない。 (問題点を解決するための手段) したがつて本発明の目的は可撓性、耐キンク性
に富み、かつカテーテル内の流体の流通を一時的
に閉止させる、クランプ類の使用によつてもカテ
ーテルの潰れによる管内流量の低下が少なく、ま
た耐圧性もよい、表面の平滑な薄肉小口径カテー
テルを提供することにある。 すなわち本発明は、壁内に螺旋状の非金属繊維
を埋め込んだ小口径チユーブの一端に挿入用先端
部を接続し、他端に内径が拡大されたコネクタ部
を接続した薄肉カテーテルであつて、初期引張抵
抗率yが1×102Kgf/mm2未満のエラストマーよ
りなる壁厚tが0.5mm以下で内径が20mm以下のチ
ユーブ壁内に、初期引張抵抗率Yが1×104Kg
f/mm2以下で、伸長弾性率が3%伸長時に70%以
上、かつ25℃、65%RHでの伸度が5%以上の螺
旋状の合成高分子有機材料からなる繊維を埋め込
み、該螺旋状繊維の直径d及び螺旋ピツチpをp
>dで、かつCk値が1〜30となるように構成し
たことを特徴とする薄肉小口径カテーテルであ
る。 ただし、Ck値は次式で表される値である。 Ck=Y・d4/y・D・p・t1/2(mm1.5) ここで、 Y:繊維の初期引張抵抗率(Kgf/mm2) y:エラストマーの初期引張抵抗率(Kgf/mm2) d:繊維の直径(mm) D:チユーブ内径(mm) t:チユーブ壁厚(mm) p:繊維の螺旋ピツチ(mm) 本発明のカテーテルの大きな特徴は、薄肉であ
りながら耐キンク性、可撓性に優れ、なおかつ、
小口径チユーブ部分を一時的にクランプして流体
の流通を閉止しても、クランプを外せば元に近い
形状に回復する点にある。小口径チユーブ部分に
この様に良好な押潰し回復性を持たせるためには
合成高分子有機材料からなる繊維を線材として用
いる事が必須であるが、なかでも弾性回復に秀で
た線材を選択する事が重要である。 本発明者らの検討結果によれば、小口径チユー
ブの押潰し回復性の目安としては、線材の伸長弾
性率が高い事が最も重要であり、3%伸長時の伸
長弾性率が70%以上ある事が必要である。ここで
伸長弾性率とは、引張試験機を用い、初荷重を加
えて一定伸び率まで引き伸ばし、荷重をとり除い
て2分間放置した後、初荷重を加えて残留伸びを
はかり、除重によるモドリを荷重による伸びで除
し、%で表示したもので、その測定方法は日本工
業規格のL1013に定められている。70%未満であ
ればクランプを解除した際に、小口径チユーブの
扁平化した内径の短径が、元の内径の20%以下に
しか回復し得ず、実用的とはいえない。伸張弾性
率が95%以上あると、内径の回復率は60%以上に
なり、極めて優れた押潰し回復性が得られる。 合成高分子有機材料からなる繊維を線材とする
線材の初期引張抵抗率や伸度も、押潰し回復性の
目安として重要である。初期引張抵抗率は回復時
の復元力に関連し、大きい程好ましいが、1×
104Kgf/mm2を超えるようなものは、伸度が著し
く低い事が多く、好ましくない。伸度は高い程、
弾性回復が強く発現するので好ましく、25℃、65
%RHでの伸度が3%未満のものは、クランプ時
に線材が折れる事があり、不適当である。伸度が
3%〜5%の間では回復後の耐圧性がやや劣る
が、5%以上ある場合には実用上十分な回復性、
耐圧性が達成される。 以上の諸特性をバランス良く具えた合成高分子
有機材料からなる繊維を線材として用いると、チ
ユーブ壁中に埋め込む線材の径が細くても、優れ
た耐キンク性、可撓性、押潰し回復性を有する、
小口径の薄肉チユーブが得られる。また、この線
材の径が細いため、線材に対してはチユーブ壁厚
を十分にとることが可能で、線材がチユーブ壁中
に完全に埋め込まれた平滑な表面を有するチユー
ブが得られる。線材の具体的な例としては、モノ
フイラメント、あるいはマルチフイラメントのい
ずれでもよいが、例えば各種の熱可塑性樹脂の繊
維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ポリスルホン
繊維、アラミド繊維や蛋白繊維などがある。なか
でもナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートなどのモノフイラメン
トは特に好適である。また所望によりこれらの線
材をラジオペークにしても良い。 小口径チユーブ部分の壁厚も本発明のカテーテ
ルにとつて重要な条件である。本発明では補強用
に合成高分子有機材料からなる繊維を線材として
用いているため、金属線材に比較して初期引張抵
抗率が小さく、小口径チユーブ壁厚が0.5mmを超
えると、十分な可撓性が得られない。 小口径チユーブの部分に関し、上記の他は特に
限定はないが、耐キンク性、可撓性および平面の
平滑性に優れた小口径の薄肉チユーブの例として
次のものを挙げる事ができる。即ち合成高分子有
機材料からなる繊維を線材とする線材の初期引張
抵抗率をYKgf/mm2、繊維の直径をdmm、エラス
トマーの初期引張抵抗率をyKgf/mm2、チユーブ
内径をDmm、壁厚をtmm、螺旋のピツチをpmmと
する時に y<1×102 Kgf/mm2 y<Y≦1×104 〃 d<t≦0.5 mm d<p かつ 1.0≦Ck<30 但し Ck=Y・d4/y・D・p・t1/2 の関係を満たす強化型の薄肉カテーテルである。 Ck値が1.0未満では、小口径チユーブは補強線
材によつてもキンクが発生する最小の曲げ半径
(最小曲げ半径)を小さくする事ができず、キン
クを生じ易いものであり、小さく曲げた状態での
使用ではチユーブの偏平度が大きく、チユーブ内
流体の流量低下が著しい。ここで、最小曲げ半径
とは、チユーブを曲げたときの線材の折れ及び座
屈がみられない最小の曲げ半径をいい、チユーブ
の中心線にて測定した値である。Ck値が10を超
えると耐キンク性は良いが、小さい曲げ半径で使
用するさいに、実用上問題にならない程度である
が、微小なヒダが発生する。さらにCk値が30を
超えると補強線材の線径に対して薄い壁厚しかと
れず、小さい曲げ半径で使用する際のチユーブ壁
の内部への凹みが大きくなり、内面に発生する大
きなヒダのためにチユーブ内流量の低下や、滞留
部を生じ、また、壁厚が薄くなりすぎる事により
耐圧性も低下し、好ましくない。 本例の小口径チユーブに用いられる合成高分子
有機材料からなる繊維を線材とする線材の繊維の
直径は壁厚より小さいものであれば良いが、通常
は0.4mm以下、好ましくは0.2mm以下、さらに好ま
しくは0.1mm以下である。径が小さい程壁厚を薄
く、かつ平滑に保つことができる。また線材の径
が細い程ピツチを小さくとれ、耐キンク性に優
れ、かつ可撓性、耐圧性にも優れた薄肉チユーブ
を得ることができる。本発明における通常のピツ
チは1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらに好
ましくは0.3mm以下である。 また、小口径チユーブ部分のエラストマーとし
てはあまり剛性の高いものは不適当で、初期引張
抵抗率が1×102Kgf/mm2以上では満足のいく可
撓性が発現しない。好適なエラストマーとして
は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコンゴ
ム、フツ素ゴム、あるいはこれらと同等の初期引
張抵抗率の素材がある。なかでもソフトセグメン
トとハードセグメントよりなるセグメント化ポリ
ウレタンは生体親和性が高く、かつ伸長弾性率も
ほぼ100%であるため、本発明による薄肉小口径
のカテーテル用に特に好適である。 本発明におけるカテーテルの内径は20mm以下、
より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8mm
以下であり、壁厚は0.5mm以下、好ましくは0.3mm
以下である。内径が20mmを超えると1.0≦Ck<30
の範囲にあつても小さく曲げた状態でのチユーブ
の偏平度が大きくなり、好ましくない。内径が20
mm以下であれば小さくまげた時でも表面にヒダが
生じるだけですみ、10mm以下ならば、そのヒダも
殆んど発生しない。また、壁厚が0.5mm以上の厚
いものでは、耐キンク性は良くなるが可撓性が劣
つており、0.3mm以下の薄さになると極めて優れ
た可撓性が発現する。 上記小口径チユーブの一端に接続される挿入用
先端は、前述の強化型薄肉チユーブに、内外表面
ともに平滑に接続、あるいは一体化された線材の
ないものであれば良く、公知の素材、および構造
のものを用いる事ができるが、挿入時に生体を傷
つける事のないように適度の丸み、あるいは柔軟
性を有する形態や素材が好ましい。また1つ以上
の側孔を有する構造にする事は、先端部分におけ
る閉塞を防止する上で有効であり、ラジオペーク
にする事も実用上有意義である。 小口径チユーブの他端に接続される内径が拡大
したコネクタ部は公知の素材および構造のものを
用いることができる。本発明ではコネクタ部と小
口径チユーブとの接続部におけるキンクを防止す
るため、例えば第1図に示すように上記接続部を
保護する構造にしている。すなわち第1図aでは
内口径の拡大されてなるコネクタ部6は、強化チ
ユーブ1との接続端において、チユーブ壁厚
(t)の1.5倍以上の壁厚を有し、かつ、一部分チ
ユーブの外表面側をカバーしている。コネクタ部
の厚みが1.5倍未満だと、体外循環回路などとコ
ネクターで接続した場合に、チユーブとコネクタ
部の接続部分が弱く、キンクし易い。極めて曲げ
半径の小さい用い方をする場合には、この厚みは
2倍以上ある方が安全確実にキンクを防止でき
る。また、コネクタ部が強化チユーブの外表面を
カバーする長さSは、チユーブ内径が太い程長く
する必要があり、通常は3mm以上、好ましくは5
mm以上である。この部分が長い程、チユーブとコ
ネクタ部の接続部分におけるキンク防止に効果が
あるが、長すぎるとカテーテルの挿入長を減少さ
せてしまう。 第1図bはコネクタ部6がコネクタ部を被覆す
るもう一つのエラストマー層7によつてチユーブ
とコネクタ部の接続部が補強されている。この場
合もチユーブ接続端においてチユーブ壁厚の1.5
倍以上の厚さとする必要がある。また第1図C
は、第1図bに示すコネクタ部6と補強用のエラ
ストマー層7を一体として成形した例である。 第1図cではコネクタ部6の内径が所望の長さ
l(通常10〜20mm)にわたりチユーブ1と同じ内
径を有している。 このためコネクタ部とチユーブとの接続部にお
ける耐キンク性を著しく向上させることができ
る。 本発明のカテーテルは次のように製造すること
ができる。まず挿入先端部は、例えば小口径チユ
ーブの内管、即ち線材を巻き付ける前の内表面
管、と一体で押出し機によつて押出すか、もしく
は、射出成形などにより別途成形したものを小口
径チユーブの端部に、少なくとも外表面はスムー
スになるように接着するか、あるいはまた、ポリ
マー溶液を小口径チユーブ用のマンドレル上に塗
布し、乾燥もしくは加熱硬化を繰り返すことによ
り、該小口径チユーブと一体化した先端を形成す
る、上記方法により小口径チユーブと先端部の接
続部の少なくとも外表面は平滑な状態にすること
ができる。接続部の外表面を平滑にしておく事
は、生体内への挿入や抜去を容易に、かつ生体を
傷つける事なく行なう上で重要である。さらにま
た、エラストマー溶液による再コーテイングなど
により、カテーテル内面側も平滑に接続しておく
と、該接続部における血栓形成、体液成分の沈着
などを防止しうる。 小口径チユーブ部分の成形方法も公知の方法を
用いることができる。例えばまず薄肉のチユーブ
を押出機により押出し、あるいはマンドレル上に
エラストマーの溶解液を被覆、乾燥する事によつ
て成形し(内管層成形)次いで合成高分子有機材
料からなる繊維を所定のピツチで巻付けたのち、
その上から内管層と同質のエラストマーを押出機
により押出してカバーし、あるいはエラストマー
の溶解液でコーテイング、乾燥する(外管層成
形)工程により小口径チユーブを得ることができ
る。 内管層と外管層に用いるエラストマーは同一で
なくても良いが、相互に親和性のあるものが、内
外層の一体化のために望ましい。内管層に、外管
層と比較して同等以上の硬度のエラストマーを用
いると、一層可撓性、耐キンク性に優れたチユー
ブを得ることができる。また合成高分子有機材料
からなる繊維を線材とする線材に予めエラストマ
ーや、ポリウレタン、エポキシ樹脂等の接着剤で
接着処理しておく事は、耐圧性に優れたものにす
る上で効果的である。 さらに、内管層と外管層の厚みの比を、線材が
壁厚のほぼ中央に位置するように調整すると、小
口径チユーブの内外表面の平滑性が特に優れたも
のになる。 内口径が拡大されたコネクタ部の成形は、例え
ば小口径チユーブ内管と同時に、内口径の拡大さ
れた肉厚チユーブとして押出機で押出して成形し
うるが、また予めプレス金型、もしくはマンドレ
ル上へのコーテイング等によつて内口径が小口径
チユーブの径より拡大された肉厚チユーブを作成
し、しかる後小口径チユーブと融着もしくは接着
によつて一体化することによつても成形できる。 なお本発明のカテーテルにあつて、長時間の抗
血栓性や、生体適合性が求められる場合には、そ
の目的に応じ好適な物質を結合、あるいはコート
する事は自由である。さらに又、本発明のカテー
テルを気管内チユーブをはじめ、他の目的に応用
する事も自由である。 第2図はこのようにして製造された本発明のカ
テーテルの一例である。本発明のカテーテルにお
いて、小口径チユーブ1は例えば切断された血管
の一方(例えば動脈の心臓側)内へ2の挿入用先
端部から挿入され、血管とともに緊縛される。コ
ネクタ部3から血液は導出され、ガス交換、透
析、過、濃縮、吸着等の必要な物質除去、交換
あるいは洗浄、浄化処理を施された後、例えば動
脈側の血管に設けられたカテーテルのコネクタ部
より体内に返送される。 (実施例) 実施例 1 熱可塑性セグメント化ポリウレタンエラストマ
ー(以下SPUという)シヨアー硬度(A)85を通常
の押出機にて内径3.0mm、壁厚0.10mmの内管チユ
ーブを押出し、該チユーブをマンドレルに挿入し
たのち、小型の旋盤にて、初期引張抵抗率4.5×
102Kgf/mm2、繊維直径0.20mm、かつ日本工業規
格JIS L 1013A法に準拠して測定した3%伸長
時の伸長弾性率が99%のナイロンモノフイラメン
トを、0.3mmのピツチで巻付けた。両端にフイラ
メントのない部分を10mmずつ残して、フイラメン
トを接着固定し、ついで内管チユーブに使用した
のと同種の熱可塑性SPU、シヨアー硬度(A)80の
6%テトラヒドロフラン(THF)溶液に浸漬し、
コーテイングすることにより外管層を形成し、両
端部各々10mmずつはフイラメントのない肉厚0.35
mmの内外面ともに平滑性の良い可撓性の小口径チ
ユーブを得た。このチユーブの内外層のポリウレ
タンエラストマーの初期引張抵抗率の平均値は
0.6Kgf/mm2であり、従つてCk値は2.3mm1.5であ
る。このチユーブは、キンクが発生する時の最小
曲げ半径が1.4D、耐圧は2.0Kgf/cm2以上であり、
耐キンク性、耐圧性に優れたものであつた。 次にこの小口径チユーブの片端に、外径が拡大
したマンドレルを挿入し、シヨアー硬度(A)85の
SPU溶液をコートし、強化チユーブ端部におけ
る厚みを0.7mmに調整した。また、この小口径チ
ユーブのもう一端を斜めに切断し、直径2mmの側
孔を2コ穿設し、しかる後該カテーテルをシヨア
ー硬度(A)80のSPU溶液に浸漬して再コートを行
ない、第2図に示すような構造を有する内径2.96
mm、肉厚0.39mmのカテーテルを得た。第2図にお
いて1は小口径チユーブ、2は挿入用先端部、3
はコネクタ部である。このものはCkが2.2mm1.5で、
耐キンク性、可撓性、耐圧性に優れ、平滑な内外
表面を有していた。また強化チユーブ部分をクラ
ンプで10分間押潰した後の回復性を測定したとこ
ろ、内径の最小流路径は2.1mmに回復し、流路の
閉塞はなく、十分実用性のあるものであつた。 実施例2〜6、比較例1、2 実施例1と同一のセグメント化ポリウレタンエ
ラストマーよりなる内径D(mm)の芯チユーブに
直径d(mm)のナイロンフイラメントを一定のピ
ツチP(mm)で螺旋状に巻付けた後、その表面を
実施例1と同様に上記エラストマーで被覆してチ
ユーブ壁厚t(mm)の下記に示す7種類の薄肉の
小口径チユーブを得た。これらのチユーブのCk
値とキンクの発生する最小曲げ半径の関係を表−
1に示す。また表−1の結果を第3図にグラフで
示す。 第3図から明らかなようにCk値が1.5の時は、
ほぼチユーブ内径の2.3倍の半径まで、またCk値
が25の時は内径の0.6倍の半径まで曲げないとキ
ンクが発生せず、優れた耐キンク性を示した。ま
た、実施例1と同じ方法により押潰し回復性を測
つたところ、この領域内のチユーブはいずれも最
小流路径が初期の50%以上に回復し、十分実用性
のあるものであつた。これに対し、Ck値が0.98
以下のチユーブは曲げることが困難であつた。ま
たCk値が35以上のチユーブはチユーブ全体のこ
しが弱く、曲げたときにチユーブ内に線材のひだ
ができた。また最小曲げ半径はCk値が5以上で
は平衡となつた。
押潰し回復性に優れた平滑な内外表面を有する薄
肉小口径カテーテルに関するものである。 (従来の技術) 従来より生体内に流体を出し入れするために
種々のカテーテルが用いられている。このような
カテーテルは可撓性があつて肉厚の薄い事が求め
られる。しかしながら肉厚を薄くして流体の流量
を十分にとれるようにする事と、容易に潰れにく
くする事とは相反する。即ち、壁面を薄くすれば
する程カテーテルは使用中に潰れる危険性が増
す。万一カテーテルが潰れて閉塞すると、それを
使用している患者に重大な障害や、死をもたら
す。それ故こうしたカテーテルは小さな半径に曲
げたときにキンクして閉塞しない構造でなければ
ならない。 最近これらカテーテルに耐閉塞性をもたせるた
めカテーテルの壁面に螺旋状に線材や合成繊維等
の補強材を存在させることが提案されている。
(特開昭58−38565号など)かかる補強材を有する
カテーテルは「強化型」と呼ばれている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら通常「強化型」のカテーテルの螺
旋のピツチは1〜2mm程度、内径は3〜10mm、壁
面の厚さは1〜1.5mmであり、これ以上薄肉のも
ので満足のいく耐キンク性を有しているものはな
かつた。 さらにまた、補強用線材として金属性線材を用
いる場合には、確かに可撓性、耐キンク性に優れ
たカテーテルを得る事ができるが、流路が閉塞す
るような著しい外力が加わると金属線材は弾性限
度を越えた変形が行なわれ、伸長時の弾性率に乏
しいこともあつて、外力が除かれた後も殆んどか
回復せず、閉塞に近い状態になる重大な問題を有
していた。また、非金属性線材は、金属性線材に
比較し、弾性率が大巾に低いため、非金属性線材
を補強材として用いる際には、線材の径を太くし
たり、硬度の高いエラストマーを用いたり、肉厚
を厚くしたりする必要が生じると考えられていた
ためか小口径薄肉カテーテル用補強材として検討
されたことはない。 (問題点を解決するための手段) したがつて本発明の目的は可撓性、耐キンク性
に富み、かつカテーテル内の流体の流通を一時的
に閉止させる、クランプ類の使用によつてもカテ
ーテルの潰れによる管内流量の低下が少なく、ま
た耐圧性もよい、表面の平滑な薄肉小口径カテー
テルを提供することにある。 すなわち本発明は、壁内に螺旋状の非金属繊維
を埋め込んだ小口径チユーブの一端に挿入用先端
部を接続し、他端に内径が拡大されたコネクタ部
を接続した薄肉カテーテルであつて、初期引張抵
抗率yが1×102Kgf/mm2未満のエラストマーよ
りなる壁厚tが0.5mm以下で内径が20mm以下のチ
ユーブ壁内に、初期引張抵抗率Yが1×104Kg
f/mm2以下で、伸長弾性率が3%伸長時に70%以
上、かつ25℃、65%RHでの伸度が5%以上の螺
旋状の合成高分子有機材料からなる繊維を埋め込
み、該螺旋状繊維の直径d及び螺旋ピツチpをp
>dで、かつCk値が1〜30となるように構成し
たことを特徴とする薄肉小口径カテーテルであ
る。 ただし、Ck値は次式で表される値である。 Ck=Y・d4/y・D・p・t1/2(mm1.5) ここで、 Y:繊維の初期引張抵抗率(Kgf/mm2) y:エラストマーの初期引張抵抗率(Kgf/mm2) d:繊維の直径(mm) D:チユーブ内径(mm) t:チユーブ壁厚(mm) p:繊維の螺旋ピツチ(mm) 本発明のカテーテルの大きな特徴は、薄肉であ
りながら耐キンク性、可撓性に優れ、なおかつ、
小口径チユーブ部分を一時的にクランプして流体
の流通を閉止しても、クランプを外せば元に近い
形状に回復する点にある。小口径チユーブ部分に
この様に良好な押潰し回復性を持たせるためには
合成高分子有機材料からなる繊維を線材として用
いる事が必須であるが、なかでも弾性回復に秀で
た線材を選択する事が重要である。 本発明者らの検討結果によれば、小口径チユー
ブの押潰し回復性の目安としては、線材の伸長弾
性率が高い事が最も重要であり、3%伸長時の伸
長弾性率が70%以上ある事が必要である。ここで
伸長弾性率とは、引張試験機を用い、初荷重を加
えて一定伸び率まで引き伸ばし、荷重をとり除い
て2分間放置した後、初荷重を加えて残留伸びを
はかり、除重によるモドリを荷重による伸びで除
し、%で表示したもので、その測定方法は日本工
業規格のL1013に定められている。70%未満であ
ればクランプを解除した際に、小口径チユーブの
扁平化した内径の短径が、元の内径の20%以下に
しか回復し得ず、実用的とはいえない。伸張弾性
率が95%以上あると、内径の回復率は60%以上に
なり、極めて優れた押潰し回復性が得られる。 合成高分子有機材料からなる繊維を線材とする
線材の初期引張抵抗率や伸度も、押潰し回復性の
目安として重要である。初期引張抵抗率は回復時
の復元力に関連し、大きい程好ましいが、1×
104Kgf/mm2を超えるようなものは、伸度が著し
く低い事が多く、好ましくない。伸度は高い程、
弾性回復が強く発現するので好ましく、25℃、65
%RHでの伸度が3%未満のものは、クランプ時
に線材が折れる事があり、不適当である。伸度が
3%〜5%の間では回復後の耐圧性がやや劣る
が、5%以上ある場合には実用上十分な回復性、
耐圧性が達成される。 以上の諸特性をバランス良く具えた合成高分子
有機材料からなる繊維を線材として用いると、チ
ユーブ壁中に埋め込む線材の径が細くても、優れ
た耐キンク性、可撓性、押潰し回復性を有する、
小口径の薄肉チユーブが得られる。また、この線
材の径が細いため、線材に対してはチユーブ壁厚
を十分にとることが可能で、線材がチユーブ壁中
に完全に埋め込まれた平滑な表面を有するチユー
ブが得られる。線材の具体的な例としては、モノ
フイラメント、あるいはマルチフイラメントのい
ずれでもよいが、例えば各種の熱可塑性樹脂の繊
維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ポリスルホン
繊維、アラミド繊維や蛋白繊維などがある。なか
でもナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートなどのモノフイラメン
トは特に好適である。また所望によりこれらの線
材をラジオペークにしても良い。 小口径チユーブ部分の壁厚も本発明のカテーテ
ルにとつて重要な条件である。本発明では補強用
に合成高分子有機材料からなる繊維を線材として
用いているため、金属線材に比較して初期引張抵
抗率が小さく、小口径チユーブ壁厚が0.5mmを超
えると、十分な可撓性が得られない。 小口径チユーブの部分に関し、上記の他は特に
限定はないが、耐キンク性、可撓性および平面の
平滑性に優れた小口径の薄肉チユーブの例として
次のものを挙げる事ができる。即ち合成高分子有
機材料からなる繊維を線材とする線材の初期引張
抵抗率をYKgf/mm2、繊維の直径をdmm、エラス
トマーの初期引張抵抗率をyKgf/mm2、チユーブ
内径をDmm、壁厚をtmm、螺旋のピツチをpmmと
する時に y<1×102 Kgf/mm2 y<Y≦1×104 〃 d<t≦0.5 mm d<p かつ 1.0≦Ck<30 但し Ck=Y・d4/y・D・p・t1/2 の関係を満たす強化型の薄肉カテーテルである。 Ck値が1.0未満では、小口径チユーブは補強線
材によつてもキンクが発生する最小の曲げ半径
(最小曲げ半径)を小さくする事ができず、キン
クを生じ易いものであり、小さく曲げた状態での
使用ではチユーブの偏平度が大きく、チユーブ内
流体の流量低下が著しい。ここで、最小曲げ半径
とは、チユーブを曲げたときの線材の折れ及び座
屈がみられない最小の曲げ半径をいい、チユーブ
の中心線にて測定した値である。Ck値が10を超
えると耐キンク性は良いが、小さい曲げ半径で使
用するさいに、実用上問題にならない程度である
が、微小なヒダが発生する。さらにCk値が30を
超えると補強線材の線径に対して薄い壁厚しかと
れず、小さい曲げ半径で使用する際のチユーブ壁
の内部への凹みが大きくなり、内面に発生する大
きなヒダのためにチユーブ内流量の低下や、滞留
部を生じ、また、壁厚が薄くなりすぎる事により
耐圧性も低下し、好ましくない。 本例の小口径チユーブに用いられる合成高分子
有機材料からなる繊維を線材とする線材の繊維の
直径は壁厚より小さいものであれば良いが、通常
は0.4mm以下、好ましくは0.2mm以下、さらに好ま
しくは0.1mm以下である。径が小さい程壁厚を薄
く、かつ平滑に保つことができる。また線材の径
が細い程ピツチを小さくとれ、耐キンク性に優
れ、かつ可撓性、耐圧性にも優れた薄肉チユーブ
を得ることができる。本発明における通常のピツ
チは1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらに好
ましくは0.3mm以下である。 また、小口径チユーブ部分のエラストマーとし
てはあまり剛性の高いものは不適当で、初期引張
抵抗率が1×102Kgf/mm2以上では満足のいく可
撓性が発現しない。好適なエラストマーとして
は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコンゴ
ム、フツ素ゴム、あるいはこれらと同等の初期引
張抵抗率の素材がある。なかでもソフトセグメン
トとハードセグメントよりなるセグメント化ポリ
ウレタンは生体親和性が高く、かつ伸長弾性率も
ほぼ100%であるため、本発明による薄肉小口径
のカテーテル用に特に好適である。 本発明におけるカテーテルの内径は20mm以下、
より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8mm
以下であり、壁厚は0.5mm以下、好ましくは0.3mm
以下である。内径が20mmを超えると1.0≦Ck<30
の範囲にあつても小さく曲げた状態でのチユーブ
の偏平度が大きくなり、好ましくない。内径が20
mm以下であれば小さくまげた時でも表面にヒダが
生じるだけですみ、10mm以下ならば、そのヒダも
殆んど発生しない。また、壁厚が0.5mm以上の厚
いものでは、耐キンク性は良くなるが可撓性が劣
つており、0.3mm以下の薄さになると極めて優れ
た可撓性が発現する。 上記小口径チユーブの一端に接続される挿入用
先端は、前述の強化型薄肉チユーブに、内外表面
ともに平滑に接続、あるいは一体化された線材の
ないものであれば良く、公知の素材、および構造
のものを用いる事ができるが、挿入時に生体を傷
つける事のないように適度の丸み、あるいは柔軟
性を有する形態や素材が好ましい。また1つ以上
の側孔を有する構造にする事は、先端部分におけ
る閉塞を防止する上で有効であり、ラジオペーク
にする事も実用上有意義である。 小口径チユーブの他端に接続される内径が拡大
したコネクタ部は公知の素材および構造のものを
用いることができる。本発明ではコネクタ部と小
口径チユーブとの接続部におけるキンクを防止す
るため、例えば第1図に示すように上記接続部を
保護する構造にしている。すなわち第1図aでは
内口径の拡大されてなるコネクタ部6は、強化チ
ユーブ1との接続端において、チユーブ壁厚
(t)の1.5倍以上の壁厚を有し、かつ、一部分チ
ユーブの外表面側をカバーしている。コネクタ部
の厚みが1.5倍未満だと、体外循環回路などとコ
ネクターで接続した場合に、チユーブとコネクタ
部の接続部分が弱く、キンクし易い。極めて曲げ
半径の小さい用い方をする場合には、この厚みは
2倍以上ある方が安全確実にキンクを防止でき
る。また、コネクタ部が強化チユーブの外表面を
カバーする長さSは、チユーブ内径が太い程長く
する必要があり、通常は3mm以上、好ましくは5
mm以上である。この部分が長い程、チユーブとコ
ネクタ部の接続部分におけるキンク防止に効果が
あるが、長すぎるとカテーテルの挿入長を減少さ
せてしまう。 第1図bはコネクタ部6がコネクタ部を被覆す
るもう一つのエラストマー層7によつてチユーブ
とコネクタ部の接続部が補強されている。この場
合もチユーブ接続端においてチユーブ壁厚の1.5
倍以上の厚さとする必要がある。また第1図C
は、第1図bに示すコネクタ部6と補強用のエラ
ストマー層7を一体として成形した例である。 第1図cではコネクタ部6の内径が所望の長さ
l(通常10〜20mm)にわたりチユーブ1と同じ内
径を有している。 このためコネクタ部とチユーブとの接続部にお
ける耐キンク性を著しく向上させることができ
る。 本発明のカテーテルは次のように製造すること
ができる。まず挿入先端部は、例えば小口径チユ
ーブの内管、即ち線材を巻き付ける前の内表面
管、と一体で押出し機によつて押出すか、もしく
は、射出成形などにより別途成形したものを小口
径チユーブの端部に、少なくとも外表面はスムー
スになるように接着するか、あるいはまた、ポリ
マー溶液を小口径チユーブ用のマンドレル上に塗
布し、乾燥もしくは加熱硬化を繰り返すことによ
り、該小口径チユーブと一体化した先端を形成す
る、上記方法により小口径チユーブと先端部の接
続部の少なくとも外表面は平滑な状態にすること
ができる。接続部の外表面を平滑にしておく事
は、生体内への挿入や抜去を容易に、かつ生体を
傷つける事なく行なう上で重要である。さらにま
た、エラストマー溶液による再コーテイングなど
により、カテーテル内面側も平滑に接続しておく
と、該接続部における血栓形成、体液成分の沈着
などを防止しうる。 小口径チユーブ部分の成形方法も公知の方法を
用いることができる。例えばまず薄肉のチユーブ
を押出機により押出し、あるいはマンドレル上に
エラストマーの溶解液を被覆、乾燥する事によつ
て成形し(内管層成形)次いで合成高分子有機材
料からなる繊維を所定のピツチで巻付けたのち、
その上から内管層と同質のエラストマーを押出機
により押出してカバーし、あるいはエラストマー
の溶解液でコーテイング、乾燥する(外管層成
形)工程により小口径チユーブを得ることができ
る。 内管層と外管層に用いるエラストマーは同一で
なくても良いが、相互に親和性のあるものが、内
外層の一体化のために望ましい。内管層に、外管
層と比較して同等以上の硬度のエラストマーを用
いると、一層可撓性、耐キンク性に優れたチユー
ブを得ることができる。また合成高分子有機材料
からなる繊維を線材とする線材に予めエラストマ
ーや、ポリウレタン、エポキシ樹脂等の接着剤で
接着処理しておく事は、耐圧性に優れたものにす
る上で効果的である。 さらに、内管層と外管層の厚みの比を、線材が
壁厚のほぼ中央に位置するように調整すると、小
口径チユーブの内外表面の平滑性が特に優れたも
のになる。 内口径が拡大されたコネクタ部の成形は、例え
ば小口径チユーブ内管と同時に、内口径の拡大さ
れた肉厚チユーブとして押出機で押出して成形し
うるが、また予めプレス金型、もしくはマンドレ
ル上へのコーテイング等によつて内口径が小口径
チユーブの径より拡大された肉厚チユーブを作成
し、しかる後小口径チユーブと融着もしくは接着
によつて一体化することによつても成形できる。 なお本発明のカテーテルにあつて、長時間の抗
血栓性や、生体適合性が求められる場合には、そ
の目的に応じ好適な物質を結合、あるいはコート
する事は自由である。さらに又、本発明のカテー
テルを気管内チユーブをはじめ、他の目的に応用
する事も自由である。 第2図はこのようにして製造された本発明のカ
テーテルの一例である。本発明のカテーテルにお
いて、小口径チユーブ1は例えば切断された血管
の一方(例えば動脈の心臓側)内へ2の挿入用先
端部から挿入され、血管とともに緊縛される。コ
ネクタ部3から血液は導出され、ガス交換、透
析、過、濃縮、吸着等の必要な物質除去、交換
あるいは洗浄、浄化処理を施された後、例えば動
脈側の血管に設けられたカテーテルのコネクタ部
より体内に返送される。 (実施例) 実施例 1 熱可塑性セグメント化ポリウレタンエラストマ
ー(以下SPUという)シヨアー硬度(A)85を通常
の押出機にて内径3.0mm、壁厚0.10mmの内管チユ
ーブを押出し、該チユーブをマンドレルに挿入し
たのち、小型の旋盤にて、初期引張抵抗率4.5×
102Kgf/mm2、繊維直径0.20mm、かつ日本工業規
格JIS L 1013A法に準拠して測定した3%伸長
時の伸長弾性率が99%のナイロンモノフイラメン
トを、0.3mmのピツチで巻付けた。両端にフイラ
メントのない部分を10mmずつ残して、フイラメン
トを接着固定し、ついで内管チユーブに使用した
のと同種の熱可塑性SPU、シヨアー硬度(A)80の
6%テトラヒドロフラン(THF)溶液に浸漬し、
コーテイングすることにより外管層を形成し、両
端部各々10mmずつはフイラメントのない肉厚0.35
mmの内外面ともに平滑性の良い可撓性の小口径チ
ユーブを得た。このチユーブの内外層のポリウレ
タンエラストマーの初期引張抵抗率の平均値は
0.6Kgf/mm2であり、従つてCk値は2.3mm1.5であ
る。このチユーブは、キンクが発生する時の最小
曲げ半径が1.4D、耐圧は2.0Kgf/cm2以上であり、
耐キンク性、耐圧性に優れたものであつた。 次にこの小口径チユーブの片端に、外径が拡大
したマンドレルを挿入し、シヨアー硬度(A)85の
SPU溶液をコートし、強化チユーブ端部におけ
る厚みを0.7mmに調整した。また、この小口径チ
ユーブのもう一端を斜めに切断し、直径2mmの側
孔を2コ穿設し、しかる後該カテーテルをシヨア
ー硬度(A)80のSPU溶液に浸漬して再コートを行
ない、第2図に示すような構造を有する内径2.96
mm、肉厚0.39mmのカテーテルを得た。第2図にお
いて1は小口径チユーブ、2は挿入用先端部、3
はコネクタ部である。このものはCkが2.2mm1.5で、
耐キンク性、可撓性、耐圧性に優れ、平滑な内外
表面を有していた。また強化チユーブ部分をクラ
ンプで10分間押潰した後の回復性を測定したとこ
ろ、内径の最小流路径は2.1mmに回復し、流路の
閉塞はなく、十分実用性のあるものであつた。 実施例2〜6、比較例1、2 実施例1と同一のセグメント化ポリウレタンエ
ラストマーよりなる内径D(mm)の芯チユーブに
直径d(mm)のナイロンフイラメントを一定のピ
ツチP(mm)で螺旋状に巻付けた後、その表面を
実施例1と同様に上記エラストマーで被覆してチ
ユーブ壁厚t(mm)の下記に示す7種類の薄肉の
小口径チユーブを得た。これらのチユーブのCk
値とキンクの発生する最小曲げ半径の関係を表−
1に示す。また表−1の結果を第3図にグラフで
示す。 第3図から明らかなようにCk値が1.5の時は、
ほぼチユーブ内径の2.3倍の半径まで、またCk値
が25の時は内径の0.6倍の半径まで曲げないとキ
ンクが発生せず、優れた耐キンク性を示した。ま
た、実施例1と同じ方法により押潰し回復性を測
つたところ、この領域内のチユーブはいずれも最
小流路径が初期の50%以上に回復し、十分実用性
のあるものであつた。これに対し、Ck値が0.98
以下のチユーブは曲げることが困難であつた。ま
たCk値が35以上のチユーブはチユーブ全体のこ
しが弱く、曲げたときにチユーブ内に線材のひだ
ができた。また最小曲げ半径はCk値が5以上で
は平衡となつた。
【表】
(発明の効果)
以上のように、本発明のカテーテルは
合成高分子有機材料からなる繊維を線材とし
て用いた、薄肉の強化チユーブ構造により、従
来の強化型カテーテルでは行なえなかつた、カ
テーテル本体部分におけるクランプによる流体
の流通閉止を可能にした。 薄肉であるため、同一外径でも流体の流量を
多く流せる。従つて、例えば血管への挿入に際
しては、従来より体表面に近い、より細い血管
からでも従来のカテーテルと同等の血流量を得
る事が可能であり、手術その他の操作が容易に
なる。 強化型であるため薄肉でも耐キンク性、耐圧
性、可撓性が優れており、安全である。 表面が平滑であり、生体組織を傷つけない。
などの優れた特徴を有しており、種々の医療分
野において有効に使用され得る。 などの優れた効果を奏している。
て用いた、薄肉の強化チユーブ構造により、従
来の強化型カテーテルでは行なえなかつた、カ
テーテル本体部分におけるクランプによる流体
の流通閉止を可能にした。 薄肉であるため、同一外径でも流体の流量を
多く流せる。従つて、例えば血管への挿入に際
しては、従来より体表面に近い、より細い血管
からでも従来のカテーテルと同等の血流量を得
る事が可能であり、手術その他の操作が容易に
なる。 強化型であるため薄肉でも耐キンク性、耐圧
性、可撓性が優れており、安全である。 表面が平滑であり、生体組織を傷つけない。
などの優れた特徴を有しており、種々の医療分
野において有効に使用され得る。 などの優れた効果を奏している。
第1図は本発明のカテーテルの小口径チユーブ
とコネクタ部の接続部の構造を示す断面図であ
り、第2図は本発明のカテーテルの斜視図であ
り、第3図は薄肉の小口径チユーブがキンクを起
さない最小曲げ半径とCk値との関係を示すグラ
フである。
とコネクタ部の接続部の構造を示す断面図であ
り、第2図は本発明のカテーテルの斜視図であ
り、第3図は薄肉の小口径チユーブがキンクを起
さない最小曲げ半径とCk値との関係を示すグラ
フである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 壁内に螺旋状の非金属繊維を埋め込んだ小口
径チユーブの一端に挿入用先端部を接続し、他端
に内径が拡大されたコネクタ部を接続した薄肉カ
テーテルであつて、初期引張抵抗率yが1×102
Kgf/mm2未満のエラストマーよりなる壁厚tが
0.5mm以下で内径が20mm以下のチユーブ壁内に、
初期引張抵抗率Yが1×104Kgf/mm2以下で、伸
長弾性率が3%伸長時に70%以上、かつ25℃、65
%RHでの伸度が5%以上の螺旋状の合成高分子
有機材料からなる繊維を埋め込み、該螺旋状繊維
の直径d及び螺旋ピツチpをp>dで、かつCk
値が1〜30となるように構成したことを特徴とす
る薄肉口径カテーテル。 ただし、Ck値は次式で表される値である。 Ck=Y・d4/y・D・p・t1/2(mm1.5) ここで、 Y:繊維の初期引張抵抗率(Kgf/mm2) y:エラストマーの初期引張抵抗率(Kgf/mm2) d:繊維の直径(mm) D:チユーブ内径(mm) t:チユーブ壁厚(mm) p:繊維の螺旋ピツチ(mm)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60071480A JPS61228877A (ja) | 1985-04-03 | 1985-04-03 | 薄肉小口径カテ−テル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60071480A JPS61228877A (ja) | 1985-04-03 | 1985-04-03 | 薄肉小口径カテ−テル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61228877A JPS61228877A (ja) | 1986-10-13 |
JPH0381390B2 true JPH0381390B2 (ja) | 1991-12-27 |
Family
ID=13461839
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60071480A Granted JPS61228877A (ja) | 1985-04-03 | 1985-04-03 | 薄肉小口径カテ−テル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61228877A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0688576A1 (en) | 1994-06-20 | 1995-12-27 | Terumo Kabushiki Kaisha | Vascular catheter |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0612722Y2 (ja) * | 1988-11-25 | 1994-04-06 | 株式会社町田製作所 | 医療用内視鏡の先端構成部 |
WO1990011793A1 (fr) * | 1989-04-13 | 1990-10-18 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | Catheter |
JP2545981B2 (ja) * | 1989-05-09 | 1996-10-23 | 東レ株式会社 | バルーン付カテーテル |
JPH0613846U (ja) * | 1992-02-26 | 1994-02-22 | 富士システムズ株式会社 | 医療用カテーテル |
JP5013380B2 (ja) * | 2009-10-29 | 2012-08-29 | 朝日インテック株式会社 | 医療用チューブ、及び、これを用いたカテーテル |
JP2012196498A (ja) * | 2012-06-14 | 2012-10-18 | Asahi Intecc Co Ltd | 医療用チューブ |
-
1985
- 1985-04-03 JP JP60071480A patent/JPS61228877A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0688576A1 (en) | 1994-06-20 | 1995-12-27 | Terumo Kabushiki Kaisha | Vascular catheter |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61228877A (ja) | 1986-10-13 |
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