JPH0378768B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は油入電器の油槽に係り、特に油槽側板
の一部に円弧状に突出したポケツト側板を有し、
縦補強梁で補強された油入電器の油槽に関するも
のである。

〔従来技術〕

電力需要の増大に伴い超々高圧で、かつ大容量
の送電が実施されており、このような送電系統に
使用される油入電器の重量は寸法と共に増加の一
途をたどつているが、このように超重量化した油
入電器を工場から据付現地へ輸送するのには、一
般に貨車やトレーラーあるいは船舶が使用され
る。このうち船舶は輸送機器に対して重量や寸法
にあまり輸送上の制限はないが、トレーラーや貨
車は道路の幅や強度、貨車の強度等の影響を受け
るため、油入電器の輸送重量や寸法の低減が望ま
れている。

ところで最近の油入電器では一般に横方向の寸
法が縦方向の寸法よりも大きいために、油槽の側
面に横方向の補強梁を設けずに縦方向の縦補強梁
を設けて、油入電器の油槽全体の強度を保持する
ことが行なわれている。

第１図から第３図にはこのような油入電器の油
槽の従来例が示されている。同図に示されている
ように油槽１は、巻線や鉄心等の油入電器本体２
および絶縁油を収納し、油槽側板３の一部に円弧
状に突出したポケツト側板４を有ており、縦補強
梁５で補強されている。そして油槽側板３とポケ
ツト側板４とはこれらの両側端部同志がすみ肉溶
接６をもつて溶接されており、縦補強梁５は油槽
側板３に同様にすみ肉溶接部７をもつて溶接され
てポケツト側板４のポケツト部以外の油槽１全周
を覆つている。なお同図において８は等電位線で
ある。

このように構成された油槽１で油槽側板３およ
びポケツト側板４のすみ肉溶接部６と油槽側板３
および縦補強梁５のすみ肉溶接部７とは、同じす
み肉溶接ですみ肉溶接部６が耐真空性、すみ肉溶
接部７が耐機械強度性を要求されるので、油槽側
板３の板厚の10倍ないし20倍の距離を確保する必
要がある。従つてポケツト側板４と縦補強梁５と
の距離が大きくなるため、真空引きの場合にすみ
肉溶接部６，７間の油槽側板３が変形して、油槽
側板３とポケツト側板４とすみ肉溶接部６に応力
が集中して割れの生じることがあつた。また油入
電器本体２から油槽１の角部への電界集中を緩和
するために油槽側板３とポケツト側板４とのすみ
肉溶接部６囲りは角取り作業をしなければならな
かつた。

〔発明の目的〕

本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、
油槽側板とポケツト側板との溶接部の割れ発生を
防止した油入電器の油槽を提供するこを目的とす
るのである。

〔発明の概要〕

すなわち本発明は、ポケツト側板に油槽側板を
一体的に形成し、このポケツト側板の油槽側側板
の側端部を油槽側板の側端部とを縦補強梁上に突
合せるように乗置して、側端部同志を溶接したこ
とを特徴とするものである。

〔発明の実施例〕

以下、図示した実施例に基づいて本発明を説明
する。第４図には本発明の一実施例例が示されて
いる。なお従来と同じ部品には同じ符号を付した
ので説明を省略する。本実施例では油槽側板３の
側端部とポケツト側板４の油槽側側板４ａの側端
部とを縦補強梁５上に突合せるように乗置して、
側端部同志を溶接した。このようにすることによ
り油槽側板３とポケツト側板４との溶接部（パツ
キング溶接部）９には応力が集中してかからない
ようにすることができるようになり、油槽側板３
とポケツト側板４との溶接部９の割れ発生を防止
した油入電器の油槽を得ることができる。

すなわちポケツト側板４の端部を曲線が形成さ
れるように折曲げて油槽側側板４ａを形成し、そ
の油槽側側板４ａの側端部と油槽側板３の側端部
とを縦補強梁５上に突合せて乗置する。この場合
に縦補強梁５はなるべくポケツト側板４側に近づ
けて設置する。そして油槽側板３およびポケツト
側板４の油槽側側板４ａの側端部同志をパツキン
グ溶接部９をもつて溶接し、縦補強梁５と油槽側
板３およびポケツト側板４とをすみ肉溶接部７を
もつて溶接する。このようにすることによりパツ
キング溶接部９は縦補強梁５で補強されるように
なつて、真空引き時の応力パツキング溶接部９に
集中してかからないようになり、パツキング溶接
部９を割れの発生のないものとすることができ
る。そして縦補強梁５をポケツト側板４側に近づ
けるようにしたので、従来のようにポケツト側板
４側の油槽側板３に応力の集中することがなくな
つて油槽側板３の機械的強度を向上させることが
でき、またポケツト側板４の端部を曲線部が形成
されるように折曲げたので、油入電器本体からの
電界集中が緩和されて、電界緩和のための角取り
作業を不要とすることができる。そしてまたパツ
キング溶接部９は縦補強梁５上で溶接作業ができ
るので溶接個所が減少し、溶接作業を短縮でき、
溶接部の確認を容易にできる。

第５図には本発明の他の実施例が示されてい
る。本実施例では縦補強梁５ａを箱形ステーで形
成した。そして油槽側板３とポケツト側板４の油
槽側側板４ａとの側端部同志を突合せ溶接部１０
をもつて溶接し、縦補強梁５ａと油槽側板３およ
びポケツト側板４の油槽側側板４ａとはすみ肉溶
接部７をもつて溶接した。この場合にもポケツト
側板４の油槽側側板４ａと油槽側板３との溶接部
である突合せ溶接部１０には応力が集中してかか
らないようにすることができるようになつて、前
述の場合と同様な作用効果をすることができる。

〔発明の効果〕

上述のように本発明は油槽側板とポケツト側板
とを縦補強梁上で溶接たので、溶接部は縦補強梁
で補強されて集中応力がかからないようになつ
て、割れの発生を防止することができるようにな
り、油槽側板とポケツト側板との溶接部の割れ発
生を防止した油入電器の油槽を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の油入電器の油槽の正面図、第２
図は従来の油入電器の油槽の要部横断面図、第３
図は第２図のＡ枠部の拡大断面図、第４図は本発
明の油入電器の油槽の一実施例の油槽側板とポケ
ツト側板との溶接部囲りの断面図、第５図は本発
明の油入電器の油槽の他の実施例の油槽側板とポ
ケツト側板との溶接部囲りの断面図である。 ２……油入電器本体、３……油槽側板、４……
ポケツト側板、５，５ａ……縦補強梁、９……パ
ツキング溶接部、１０……突合せ溶接部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 油入電器本体を収納すると共に、油槽側板の
   一部に円弧状に突出したポケツト側板を有し、か
   つ縦補強梁で補強されたものにおいて、前記ポケ
   ツト側板に油槽側板を一体的に形成し、このポケ
   ツト側板の油槽側側板の側端部と前記油槽側板の
   側端部とを前記縦補強梁上に突合せるように乗置
   して、前記側端部同志を溶接したことを特徴とす
   る油入電器の油槽。