JPH037749Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 考案の技術分野 本考案は、水冷オイルクーラの冷却プレートに
関する。さらに詳しくは、この冷却プレートの放
熱性の改良に関する。

(ロ) 技術の背景 自動車、工作機械等オイルを利用した機器が多
用されるようになつてきたことに伴い、加熱され
たオイルを冷却するオイルクーラも各種構造のも
のが提供されるようになつてきている。

このようなオイルクーラの中で、実公昭59−
28219号公報記載のように円形の冷却プレートを
用いた型式のもがある。

第３図は円形の冷却プレートを用いたオイルク
ーラの一般的構造を示したものであり、冷却水Ｗ
が循環するケース体１の内部に円形の冷却プレー
ト２が積層装置された構造が示されている。冷却
プレート２は中央部に穿孔された冷却オイルの流
出孔５とこの流出孔５を介して略対称位置に夫々
穿設されたオイル入口３、オイル出口４を備えて
おり、加熱されたオイルはオイル入口３からオイ
ル出口４に至る間に冷却プレート２の外部を循環
する冷却水Ｗに対し放熱するようになつている。
そして、冷却されたオイルはオイル出口４と連通
しているオイルフイルタ６に流入し、流出孔５か
ら所定の機器へ送り込まれるようになつている。

この円形の冷却プレート２はオイル入口３から
オイル出口４に至るオイル流路に流通抵抗の不均
等が存在するという不具合を有している。即ち、
オイル流路の内周と外周とでは流路距離に差があ
るためである。このため、第４図に示すように流
通距離の短い（流通抵抗の低い）内周にオイルが
主として流れることになる。

ところが、この内周は前述したように冷却され
たオイルが流出する流出孔５と隣接しており、冷
却されたオイルを再度加熱することになつてしま
う。また、冷却水Ｗが循環している外周に少しの
オイルしか流れないことは、オイルの全体の放熱
も低下することになる。

このため、円形の冷却プレートのオイルの流通
形態を改良する手段の開発が要望されている。

(ハ) 従来技術と問題点 円形の冷却プレートのオイルの流通形態を改良
する従来手段としては、例えば第５図〜第７図に
示すものがある。

この従来例は本出願人の先の提案に係る実願昭
58−119102号（実開昭60−27273号公照参照）を
示すもので、円形プレート２を一対の板材２ａ，
２ｂを接合する構造とし、前述した流出孔５、オ
イル入口３、オイル出口４以外の部分に第５図に
示すような規則的に配列された凹部７を設け、接
合によつて互いの板材２ａ，２ｂの凹部７の開口
部が部分的に対面交差してオイル流路８を形成す
るようにしたものである。このように形成された
オイル流路８に対して、オイルは第６図に示すよ
うに上下にジグザグ状に流れ、また、第７図に示
すように開口部同士が対面交差する凹部７へ広角
に流れることになる。従つて、前記第４図で示し
たオイルの不均等な流れが撹乱されることにな
り、オイルの均等な流通が奏されることになる。

また、他に本出願人は前述した凹部７の配列に
改良を加えた手段を実願昭59−95784号（実開昭
61−13177号公報参照）、実願昭59−131582号（実
開昭61−48280号公照参照）として先に提案し、
オイルの均等な流通を促進することを図つてい
る。

これ等従来例はオイルの均等な流通を図る手段
であり、前述した冷却オイルの加熱、オイルの放
熱の低下等の問題がかなり解決され得るが、充分
なものとはいえないものである。

(ニ) 考案の目的 本考案は前述した従来例にさらに改良を加えた
ものであり、その目的は、円形の冷却プレートの
外周に積極的にオイルを流通させることにより、
冷却プレートの放熱性能を向上することにある。

(ホ) 考案の構成 この目的を達成するため、本考案に係る水冷オ
イルクーラの冷却プレートは、中央部に穿設され
た冷却オイルの流出孔と、流出孔を介して略対称
位置に夫々穿設されたオイル入口およびオイル出
口と、流出孔、オイル入口、オイル出口以外の部
分に規則的に配列された凹部とを備えた一対の円
形の板材を、両板材の凹部の開口部が互いに部分
的に対面交差してオイル流路を形成するように接
合してなる水冷オイルクーラの冷却プレートにお
いて、オイル入口、オイル出口を通過する線に対
し平行な複数の線上に開口部の形状を円形とした
凹部を配列し、平行な各線上に配列された凹部の
開口部の径が同一線上では同一で前記流通孔から
離間する線に従い順次径が大となるようにすると
共に、全ての隣接する凹部の開口部の中心点間の
間隔を同一としたものである。

(ヘ) 考案の実施例 以下、本考案に係る水冷オイルクーラの冷却プ
レートの実施例を第１図、第２図に基づいて説明
する。

第１図は凹部７の配列状態を示したもので、凹
部７の開口部を円形とし、同一線Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ
上の凹部７の開口部の径Da，Db，Dc，Ddを同
一にしてある。この各線Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄはオイル
入口３、オイル出口４を通過する線に対して平行
となつており、流出孔５に最も近接した線Ｄから
離間するに従い各線Ｃ，Ｂ，Ａ上の凹部７の開口
部の径Dc，Db，Daが順次大となつている。そし
て、全ての隣接する凹部７の開口部の中心点間の
間隔Pa，Pb，Pc，Pd，Pe，Pf，Pgは同一とな
つている。

このような凹部７の配列とすることは、凹部７
の開口部が互いに対面交差する面積が内周から外
周へかけて順次大きくなるということであり、換
言すれば、オイルの流通抵抗が内周から外周にか
けて順次低くなるということであり、オイルは第
２図に示すように外周に主に流れるようになる。
このようなオイルの流通形態は、冷却プレート２
の内部におけるオイルの均等流通とは相反するも
のであるが、最も放熱効果の高い外周に積極的に
オイルを流通させ、また、冷却オイルが流出する
流出孔５に近接した内周に余りオイルを流れない
ようにすることによつて、冷却プレート２の放熱
性能を向上させることができるのである。

(ト) 考案の効果 以上のように、本考案に係る水冷オイルクーラ
の冷却プレートは、放熱効果の高い冷却プレート
の外周へ積極的にオイルを流し、また、冷却オイ
ルが流出する流出孔に近接する内周に余りオイル
を流さないため、放熱性能が向上する効果があ
る。また、この放熱性能の向上により、積層され
る冷却プレートの個数を減少させることが可能と
なり、水冷オイルクーラを小型化できる効果があ
る。

さらに、本考案に係る水冷オイルクーラの冷却
プレートにおける凹部の配列は、数値的表現が可
能であることから、設計および製造工作が容易で
ある効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る水冷オイルクーラの冷却
プレートの実施例を示す要部平面図、第２図は同
全体の平面図でオイルの流通形態を示す図、第３
図は円形の冷却プレートを用いた水冷オイルクー
ラの一般的構造を示す側面図、第４図は第３図の
冷却プレートにおけるオイルの流通形態を示す拡
大平面図、第５図は従来例を示す平面図、第６図
は第５図の要部拡大断面図、第７図は第５図の要
部拡大平面図である。 ２……冷却プレート、２ａ，２ｂ……板材、３
……オイル入口、４……オイル出口、５……流出
孔、７……凹部、８……オイル流路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央部に穿設された冷却オイルの流出孔と、流
   出孔を介して略対称位置に夫々穿設されたオイル
   入口およびオイル出口と、流出孔、オイル入口、
   オイル出口以外の部分に規則的に配列された凹部
   とを備えた一対の円形の板材を、両板材の凹部の
   開口部が互いに部分的に対面交差してオイル流路
   を形成するように接合して成る水冷オイルクーラ
   の冷却プレートにおいて、オイル入口、オイル出
   口を通過する線に対し平行な複数の線上に開口部
   の形状を円形とした凹部を配列し、平行な各線上
   に配列された凹部の開口部の径が同一線上では同
   一で前記流通孔から離間する線に従い順次径が大
   となるようにすると共に、全ての隣接する凹部の
   開口部の中心点間の間隔を同一としたことを特徴
   とする水冷オイルクーラの冷却プレート。