JPH0375710B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、例えば家屋の屋根に設けられる自動
雪降ろし機に関する。

（従来の技術） 積雪地帯、特に湿つた雪が大量に降る地帯で
は、家屋の屋根に積つた雪をそのまま放置すると
雪の重さに家屋が耐え切れずに倒壊したり破損す
ることがあり、極めて危険である。このため、従
来では住人等が定期的または必要時に屋根に上が
つて屋根全体の積雪を手作業で雪降ろしする必要
があり、作業に多くの労力と時間を要していた。
また、一般に足場が悪く滑り易いため転落事故等
が発生し易く、作業に多くの危険が伴なう問題が
あつた。

（発明が解決しようとする問題点） 以上のように従来は家屋等の屋根に積つた雪を
人手により手作業で降ろすようにしているため、
雪降し作業に極めて多くの労力と時間を要し、ま
た作業に多くの危険が伴なうという問題を有する
もので、本発明はこの点に着目し、屋根の積雪を
人手を要さずに簡単な構造で確実に滑落させ得、
これにより建物を確実に保護しかつ作業者を労作
業および危険から解放し得る自動雪降ろし機を提
供しようとするものである。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明は、屋根の軒先部に回動軸を枢着すると
ともに、この回動軸に少なくとも軒上を覆う第１
の片および軒先から水平方向に突出する第２の片
からなるく字形をなす翼状の滑雪板と、棒状体お
よびこの棒状体の先端部に固定された錘からなる
振り子体とを軸着し、この振り子体により定常状
態では上記滑雪板を第１の片が軒部分の上面に接
する状態に保持し、かつ上記滑雪板の第２の片上
の積雪重量が所定重量を超えた場合にこの積雪重
量によるモーメント力により回動軸を軸として滑
雪板を回動させて滑雪板上の積雪を滑落させると
ともに、滑落後に上記滑雪板を上記定常状態に回
動復帰させるようにしたものである。

（作用） この結果、降雪により滑雪板上の積雪量が増加
し、第２の片上の積雪重量が第１の片上の積雪重
量と振り子体のモーメント力とを加算した重量を
超えると、この時点で上記第１の片の積雪重量に
よるモーメント力によつて滑雪板が回動してその
積雪が滑落することになるため、少なくとも軒上
の積雪は一定量を超える毎に自動的に降ろされる
ことになる。このため、屋根の最も破損し易い軒
部分は少なくとも確実に保護することができ、し
かも雪降ろしのために人手は全く不要となり、こ
れにより作業者を労作業と危険から解放すること
が可能となる。

（実施例） 第１図は、本発明の一実施例における自動雪降
ろし機の概略構成図である。この自動雪降ろし機
は、回動軸１に翼状の滑雪板２と振り子体３とを
それぞれ軸着したもので、上記回動軸１は屋根４
の軒先に図示しない軸支機構により回動自在に枢
着される。上記滑雪板２は、第２図に示す如く屋
根４の軒部分を覆う第１の片部２ａと、軒先から
突出し、かつ上記第１の片部２ａよりも面積が大
きく設定された第２の片部２ｂとから構成され、
相互にく字形をなしている。また、この滑雪板２
は、例えば第３図に示す如くアルミニウム軽合金
からなる枠体２１の表面側にステンレス箔等の金
属薄板２２を貼着したものから構成される。一方
振り子体３は、金属棒３１の先端部に所定の重さ
を有する重りを固着したもので、回動軸１に対し
第２図に示す如く常に矢印Ａ方向への回動力を付
与するように設けられている。

このような構成であるから、積雪量が比較的少
ない状態では、回動軸１は振り子体３による矢印
Ａ方向へのモーメント力により常に付勢されてお
り、これにより滑雪板２は第２図の実線イに示す
ように第１の片部２ａが屋根４の上面に接した状
態となつている。

さて、この状態で滑雪板２への積雪量が次第に
増加し、第２図の片部２ｂ上の積雪重量が第１の
片部２ａ上の積雪重量と振り子体３のモーメント
力による重力方向の力とを加算した重量を超える
と、この時点で滑雪板２は回動軸１を軸として矢
印Ｂ方向に回動し、第２図の破線口に示す状態と
なる。この結果、滑雪板２上に積つていた雪５は
屋根４の下へ滑落する。

また、このように積雪５が滑落すると、滑雪板
２は振り子体３のモーメント力（矢印Ａ方向）に
より回動軸１を軸として回動して第２図の実線イ
に示す定常状態に復帰し、以後積雪重量に応じて
以上の雪降ろし動作を繰り返す。

このように本実施例であれば、滑雪板２の第２
の片部２ｂ上の積雪重量が所定量を超える毎に滑
雪板２が回動してその積雪を滑落させ、かつこの
滑落後に滑雪板２を振り子体３のモーメント力に
より定常状態に復帰させる動作を繰り返し行なう
ようにしたので、自動的に軒上の積雪５を落とす
ことができ、これにより少なくとも最も破損を起
こし易い軒部分を確実に保護することができる。
また。人手を全く必要としないため、作業者を労
作業および危険から解放することができる。一般
に湿つた雪は屋根の上部よりも軒部分に厚くつも
る性質があり、この軒部分の積雪を自動的にかつ
確実に落とせるようにすることは実際上非常に有
効である。また、建物の軒先には一般に雨樋が設
けられているが、本実施例であればこの雨樋を確
実に保護することができる。

尚、本発明は上記実施例に限定されるものでは
ない。例えば、上記実施例では滑雪板２の第１の
片部２ａを軒部分を覆う程度の大きさとしたが、
さらに屋根の一部を覆えるように大きく構成して
もよい。また、屋根以外に例えば店舗の店先に設
置されるデザインテント等に取着してもよい。そ
の他、振り子体の構造や滑雪板の構造、形状、大
きさ、材質、軒先の設置位置等についても、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施で
きる。

［発明の効果］ 以上詳述したように本発明によれば、屋根の積
雪を人手を要さずに簡単な構造でかつ確実に滑落
させることができ、これにより建物を保護しかつ
作業者を労作業や危険から解放することができる
自動雪降ろし機を提供することができる。

また本発明によれば、滑雪板の形状をく字形を
なす翼状とし、定常状態において第２の片が軒先
から水平方向に突出するようにしたので、この第
２の片上に所定重量になるまで雪を確実に積雪さ
せ、これにより滑雪板を確実に回動動作させるこ
とができる。ちなみに、第２の片が軒先から下り
傾斜した状態で突出していたとすると、この第２
の片上に積もつた雪が、片の撓み等により所定重
量に達する前に自然滑落して、軒上の第１の片上
に積もつた雪のみが残留してしまうといつた不具
合が発生することがある。このような状態になる
と、軒上には積雪による大きな重量が加わつたま
まとなり、その結果軒の破損等が発生する心配が
あり非常に好ましくない。

さらに本発明によれば、滑雪板を定常状態に復
帰させるために振り子体を使用しているので、比
較的軽量の錘により大きなモーメント力を発生さ
せることができる。したがつて、軒に錘による大
きな重量負担をかけることなく、滑雪板を確実に
復帰させることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例における自動雪降ろし機
を説明するためのもので、第１図はその外観を示
す斜視図、第２図は側面図、第３図は滑雪板の構
造を示す平面図である。 １……回動軸、２……滑雪板、２ａ……第１の
片部、２ｂ……第２の片部、２１……枠体、２２
……金属薄板、３……振り子、３１……金属棒、
３２……重り、４……屋根、５……積雪。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 傾斜する屋根の軒先に回動自在に枢着された
   回動軸と、 この回動軸に軸着され、前記屋根の軒部分を少
   なくとも覆う第１の片および前記軒先から水平方
   向に突出する第２の片を有するく字形をなす翼状
   の滑雪板と、 前記回動軸に一端部が軸着される棒状体および
   この棒状体の他端部に固定された錘からなり、定
   常状態では前記滑雪板を第１の片が前記軒部分の
   上面に接する状態に保持し、かつ前記滑雪板の第
   ２の片上の積雪重量が所定量を超えた場合に、こ
   の積雪重量のモーメント力により前記回動軸を軸
   として前記滑雪板を回動させてその積雪を滑落さ
   せるとともに、滑落後に前記滑雪板を前記定常状
   態に回動復帰させる振り子体とを具備したことを
   特徴とする自動雪降ろし機。