JPH0373676B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は故紙を圧縮梱包したベール故紙破砕装
置であつて、故紙のほぐれの状態をほゞ一定なら
しめ、しかもパルパーへの供給量を均一ならしめ
るベール故紙破砕装置である。

〔従来の技術〕

現在、我国の製紙原料は省資源、省エネルギー
の観点から故紙が利用され、原料として定着し
つゝあり重要な地位を占めている。

故紙は一般に強圧圧縮し梱包された立方体（例
えば一辺約900mmの立方体）、即ちベール故紙とし
て流通しており、製紙原料として使用するには、
ベール故紙をほぐした後、パルパー等で溶解し、
さらに脱墨処理している。

製紙工場では、大量の紙を連続製造している
が、故紙を原料とした場合、パルパー溶解後の脱
墨処理に見合つた供給量とすること及び故紙のほ
ぐれ程度をほゞ一定にしないとパルパー溶解速度
が不均一となり、溶解処理量にバラツキを生ず
る。

従来、ベール故紙は強圧圧縮されているため、
作業員がベール故紙をほぐすことは殆んど不可能
であり、仮りにほぐし得たしても極めて非能率で
ある。

そのため、ベール故紙をホークリフト等で高所
で持合げた後落下させてほぐすことが行われてい
るが、非能率であるばかりか、作業場が危険であ
りまた塵埃による作業環境の悪化をもたらし好ま
しくない。

それがため、従来かゝるベール故紙破砕装置も
若干提案されている。例えば(1)ホツパー中に解梱
したベール故紙を投入し、故紙塊底部をスクリユ
ーコンベア状の掻取部材で僅かづゝ掻取つてほぐ
す装置、(2)解梱したベール故紙をコンベアーで送
り、これを回転している大型の歯車状円板に側面
から押付けてほぐす装置等がある。

〔本発明が解決しようとする問題点〕

前述従来の装置中(1)のスクリユーコンベア状の
掻取部材では掻取り方向に設けた停止板に掻取
り、送られてきた故紙塊が強い力で押付けられ、
また押付けによつて停止板が破損するおそれがあ
る。かゝる破損を避けるためスクリユーコンベア
状の掻出部材を一旦逆回転して故紙塊を引戻した
後、再び正回転する必要があり、操作が繁雑であ
るかばりか機械の保守管理及び省エネルギー対策
上問題がある。

また、前期(2)の装置では回転する歯車状円板で
ほぐされて小型化した故紙塊になると高速で回転
する円板で飛ばされ、これが既にほぐされた故紙
中に混じるおそれがあり、故紙のほぐれの不均一
化を招来するという問題がある。

前述の如き欠点を改善するため、最近上下に互
いに相反する方向に移動するベルトコンベアでベ
ール故紙を破砕する装置も提案されているが、ベ
ール故紙を均一にほぐすことが困難であるばかり
か、ほぐされた故紙量を均一ならしめることが困
難である。

本発明は前述従来装置の欠点を改善し、ベール
故紙を連続的に破砕する装置で、しかもベール故
紙のほぐれ状態をほゞ一定ならしめ、かつ、パル
パーへの故紙供給量を均一ならしめることができ
るベール故紙破砕装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上下に取付けられ、かつ、互いに相反
する方向に移動する下側ベルトコンベアと上側ベ
ルトコンベアからなる破砕部と、計量器が取付け
られている取出しコンベアとからなるベール故紙
破砕装置において、取出しコンベアの計量器の信
号が演算器に入力されており、該演算器には予じ
め計量値が設定されており、該演算器で予じめ設
定した計量値と、取出しコンベアの計量値信号と
の差を演算し、該差の信号を速度制御器に入力し
て下側ベルトコンベアの速度を調節すると共に、
該速度信号が比率設定器に入力されており、該比
率設定器には予じめ上側ベルトコンベアと下側ベ
ルトコンベアとの速度比が設定されており、該比
率設定器で予じめ設定した速度比と、速度制御器
から入力した下側ベルトコンベアの速度信号とか
ら上側ベルトコンベアの速度を決定し、この速度
信号を速度制御器に入力して上側ベルトコンベア
の速度を調節する制御回路が組付けられているベ
ール故紙破砕装置である。

〔作用〕

本発明は以上の如き構成のものからなり、破砕
部における下側ベルトコンベアはベール故紙を破
砕部に搬送する役割と、僅かな間隔を存して相反
する方向に移動している上側ベルトコンベアの共
同作業によりベール故紙を破砕する役割とを果た
すものである。

本発明における破砕部は、上側及び下側ベルト
コンベアに夫々複数の爪が取付けられており、上
側ベルトコンベアは下側ベルトコンベアと相反す
る方向に移動している。従つて下側ベルトコンベ
アで搬送されて破砕部に達したベール故紙は、上
側及び下側ベルトコンベアの爪に引掛けられて回
転しつゝベール故紙表面から強圧圧縮した故紙が
掻取られる。

また、破砕部における上側ベルトコンベアは、
破砕部の入口側の一端がヒンジで係止され、出口
側は加圧機構によつて下側ベルトコンベアに押圧
自在とされた片持機構とされ、上側及び下側ベル
トコンベアの間で破砕されたベール故紙の破砕物
は取出しコンベアに移送されて、次のパルパー溶
解工程に送られるようになつている。

本発明で重要なことは、パルパー溶解工程へ供
給する故紙供給量を一定ならしめることと、ベー
ル故紙の破砕度を安定化することにあり、本発明
は前期装置に、次の如き制御回路を組付けたもの
である。

即ち、本発明は取出しコンベアに計量器を取付
け、この計量値の信号を出力し、該信号を演算器
に入力する。

演算器には、予じめ設定した計量値が入力され
ており、予じめ設定した計量値と、前記取出しコ
ンベアの計量値の信号との差を演算し、該差の信
号を下側ベルトコンベアの速度制御器に入力し、
該速度制御器で下側ベルトコンベアの速度を調節
する。

演算器に予じめ設定する計量値は、次のパルパ
ー溶解工程で連続的に溶解するに適した計量値で
あつて、破砕部で破砕され取出しコンベアに移送
される故紙量が前記予じめ設定した計量値より大
であると、次工程のパルパー溶解が充分でなく、
また小であると次工程のパルパー溶解処理能率の
低下、脱墨処理の低下をきたす。

従つて、本発明では取出しコンベアに計量器を
取付け、この計量値の信号を演算部に入力し、演
算部に於て予じめ設定した計量値との差を演算
し、該差から下側ベルトコンベアの速度を設節
し、パルパー溶解工程に供給する故紙量を一定値
となるように調節する。

この場合、計量値測定時点と制御時点との間に
若干時間的なズレがあり、また個々の計量値のバ
ラツキを防止するために、計測時点から演算時点
に至るまでの一定時間内の複数のデーターの平均
値を計測値とし、これと予じめ設定した計測値と
の差を演算することが望ましい。

他方、前記速度制御器は、下側ベルトコンベア
の速度の信号を比率設定器へ入力する。比率設定
器には、破砕部における下側ベルトコンベアの速
度V₁に対する上側ベルトコンベアの速度V₂との
速度比（V₂／V₁）が予じめ設定されている。

本発明の破砕部における前記速度比を適切な値
とすることが極めて重要であり、ベール故紙の硬
さ、破砕部の長さ、運転速度等によりその最適値
は異なるが、通常は比率設定器に予じめ設定する
速度比は0.4〜0.8の範囲内で適宜選択することが
好ましい。

即ち、速度比が0.8を越えると、上側ベルトコ
ンベアと下側ベルトコンベアとの相対速度が大と
なるため破砕効率は増加するが、反面破砕量が減
少し処理能力が低下する。また、速度比が0.4未
満では充分な破砕効率が得られないからである。

前記比率設定器へ下側ベルトコンベアの速度信
号が入力すると、該比率設定器では前記予じめ設
定した速度比と下側ベルトコンベアの速度信号と
から上側ベルトコンベアの速度を決定し、この速
度信号を速度制御器へ入力し、該速度制御器で上
側ベルトコンベアの速度を調節する。

即ち、本発明の制御回路は、取出しコンベアの
計量値から決定された下側ベルトコンベアの速度
を決定し、さらにこの速度からベール故紙破砕上
最適な上側ベルトコンベアの速度を決定するもの
であつて、これによりほゞ一定の破砕度でベール
故紙を破砕できると共に、破砕され、取出しコン
ベアに移送される故紙をほゞ一定量のものとして
パルパー溶解工程へ供給することができる。尚、
破砕部における上側ベルトコンベアには加圧部材
が取付けられており、ベール故紙の硬さ、大きさ
に応じて適宜加圧して破砕するが、必要によつて
はこの加圧圧力を別箇に又は前記制御回路に組込
んで圧力を調整することもできる。

〔実施例〕

図面は、本発明の一実施例を示したものである
が、以下図示例によつて本発明を具体的に説明す
る。本発明は破砕部１と、これに続く取出しコン
ベア２とからなり、破砕部１は該破砕部１入口側
外部へ延出している下側ベルトコンベア３と、上
側ベルトコンベア４とからなる。前記上側ベルト
コンベア４は、破砕部１の入口側の一端をヒンジ
５で回転自在に軸支され、その他端に加圧部材６
が取付けられた片持ち機構とされている。

前記下側ベルトコンベア３及び上側ベルトコン
ベア４の相対する面に、夫々複数の爪７が取付け
られ、かつ、下側ベルトコンベア３と上側ベルト
ンベア４が、図中矢印に示すように夫々互いに反
対方向へ移動するようになつている。

前記取出しコンベア２には計量器８が取付けら
れており、該計量器８の信号９が演算器１０に入
力されている。該演算器１０には予じめ設定した
計量値１１（次のパルパー溶解工程へ供給すべき
計量値）が入力されており、該演算器８は予じめ
設定した計量値１１と計量器８の信号９との差を
演算し、この差の信号１２を速度制御器１３に入
力するようになつており、該速度制御器１３は、
前記差の信号１２から下側ベルトコンベア３の速
度を算出して速度を調節するようになつている。

他方、前記速度制御器１３は下側ベルトコンベ
ア３の速度信号１４を出力し、該速度信号１４が
比率設定器１５に入力されている。該比率設定器
１５には下側ベルトコンベア３と上側ベルトコン
ベア４との速度比１６が予じめ設定されており、
該比率設定器１５は予じめ設定した速度比１６
と、前記速度信号１４とから上側ベルトコンベア
４の速度を決定し、この速度信号１７が速度制御
器１８に入力されて上側ベルトコンベア４の速度
を調節するようになつている。尚、図面中符号１
９は送り込みコンベア、２０は待機中のベール故
紙である。

下側ベルトコンベア３で搬送されたベール故紙
は破砕部１で下側ベルトコンベア３の爪７と、こ
れと逆方向に移動する上側ベルトコンベア４の爪
７とによつてベール故紙の角部が掻取られ、図面
中二点鎖線で示した如き円筒状Ｓとなり、さらに
回転しつゝ表面から掻取られ、掻取られた故紙は
下側ベルトコンベア３で順次送られて取出しコン
ベア２に移送される。

取出しコンベア２は、図中矢印方向へ破砕され
た故紙を移送して、次のパルパー溶解工程（図示
省略）へ供給する。

該取出しコンベア２は破砕部１から移送された
故紙を計量器８で計量し、この信号９が演算器１
０に入力される。演算器１０では予じめ設定した
計量値１１と、前記信号９との差を演算し、この
差の信号１２を出力し、速度制御器１３へ入力す
る。

速度制御器１３では前記差の信号１２から下側
ベルトコンベア３の速度を調節すると共に、その
速度信号１４を出力し、該速度信号１４を比率設
定器１５へ入力すり。該比率設定器１５は予じめ
設定された速度比と速度信号１４とから上側ベル
トコンベア４の速度を決定し、その速度信号１７
を速度制御器１８に入力し、該速度制御器１８が
上側ベルトコンベア４の速度を調節する。

また、破砕部１では処理されているベール故紙
の状況に応じて上側ベルトンベア４の加圧部材６
を調節して順次小型化して行く故紙塊を掻取るこ
とができるため、小型化した故紙塊が塊のまゝ取
出しコンベア２へ移送されることなく充分な破砕
度で処理することができると共に、破砕された故
紙はほゞ一定量として次のパルパー溶解工程へ送
られるから溶解不充分のおそれはなく、また破砕
度の不均一も殆んどない。

尚、図示を省略したが、破砕部１の入口側に光
電管を取付け、破砕部１におけるベール故紙の破
砕終了が近づくと、光電管がこれを検知し、送り
込みコンベア１９を稼働させ、待機中のベール故
紙２０を下側ベルトコンベア３に移送し、引続き
破砕処理が行なわれるため、ベール故紙の送り込
みからパルパー溶解工程に至る間連続的に処理す
ることができる。

〔発明の効果〕

以上の如く、本発明はベール故紙の破砕に当
り、下側ベルトコンベアと上側ベルトコンベアか
らなる破砕部と取出しコンベアからなる装置を用
いると共に、制御回路を組付けることによつて取
出しコンベアの計量値信号から下側ベルトコンベ
アの速度を調節して次のパルパー溶解工程に供給
する故紙量を一定ならしめると共に、比率設定器
から上側ベルトコンベアの速度を決定して破砕す
るため、ほゞ一定の破砕度で処理できるから、パ
ルパー溶解時の溶解速度を均一ならしめることが
でき、さらにベール故紙の送り込みからパルパー
溶解工程に至る間の連続処理が達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の説明図である。 １：破砕部、２：取出しコンベア、３：下側ベ
ルトコンベア、４：上側ベルトコンベア、５：ヒ
ンジ、６：加圧部材、７：爪、８：計量器、９，
１２：信号、１０：演算器、１１：設定計量値、
１３，１８：速度制御器、１４，１７：速度信
号、１５：比率設定器、１６：設定速度比。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下に取付けられ、かつ、互いに相反する方
   向に移動する下側ベルトコンベアと上側ベルトコ
   ンベアからなる破砕部と、計量器が取付けられて
   いる取出しコンベアとからなるベール故紙破砕装
   置において、取出しコンベアの計量器の信号が演
   算器に入力されており、該演算器には予じめ計量
   値が設定されており、該演算器で予じめ設定した
   計量値と、取出しコンベアの計量値信号との差を
   演算し、該差の信号を速度制御器に入力して下側
   ベルトコンベアの速度を調節すると共に、該速度
   信号が比率制定器に入力されており、該比率設定
   器には予じめ上側ベルトコンベアと下側ベルトコ
   ンベアとの速度比が設定されており、該比率設定
   器で予じめ設定した速度比と、速度制御器から入
   力した下側ベルトコンベアの速度信号とから上側
   ベルトコンベアの速度を決定し、この速度信号を
   速度制御器に入力して上側ベルトコンベアの速度
   を調節する制御回路が組付けられていることを特
   徴とするベール故紙破砕装置。