JPH0373624B2 - - Google Patents
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- JPH0373624B2 JPH0373624B2 JP62008076A JP807687A JPH0373624B2 JP H0373624 B2 JPH0373624 B2 JP H0373624B2 JP 62008076 A JP62008076 A JP 62008076A JP 807687 A JP807687 A JP 807687A JP H0373624 B2 JPH0373624 B2 JP H0373624B2
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- type titanium
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Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本発明は、材質特性、特に強度及び延性に優れ
たα+β型チタン合金薄板の製造方法に関するも
のである。 [従来の技術] Ti−6Al−4V合金(以下特に指定しない限り
α+β型チタン合金と呼称する。)はその優れた
機械的性質(高比強度)を生かし、航空機等に広
く利用されている。 この航空機の用途では多くの場合、α+β型チ
タン合金薄板を超塑性加工して使用されるが、こ
の場合機械的性質が均一でかつ組織の均一微細な
α+β型チタン合金薄板が要望されている。 このα+β型チタン合金は冷間加工が困難なこ
と、及び冷間加工では、その材質に強い異方性を
生ずるため、冷間加工によるα+β型チタン合金
薄板の製造は困難であり、従来はパツク熱間圧延
方法によるα+β型チタン合金薄板の製造方法が
採用されている。(特開昭59−35664号公報) このパツク熱間圧延方法とは、犠牲材である両
カバー材の間に、α+β型チタン合金板を1枚あ
るいは複数枚を挟みこんで熱間圧延を行うα+β
型チタン合金薄板の製造方法である。 然し、このパツク熱間圧延方法では、その多層
組立て構造により、圧延中の温度降下が少なく、
かつ圧延温度管理が困難なため、一般の圧延材と
比較して低温圧延等による材質の制御が困難であ
る。 又、パツク熱間圧延材は、薄板として使用され
るため材質と共に板厚精度、表面精度も十分良好
である必要がある。 このため、操業上1回のパツク熱間圧延での圧
下率にも制限を生じている。この点においても、
パツク熱間圧延方法において機械的性質に優れ、
組成の均一微細なα+β型チタン合金薄板を製造
するのは困難とされていた。 即ち、一般の圧延において、上記材質を向上さ
せる有効の圧延方法としては、例えばスラブ加熱
温度をα+β域の比較的高温の960〜930℃とし、
しかも大圧下加工とする等の採用は、操業上非常
に困難であつた。 [発明が解決すべき問題点] 本発明は、従来のパツク熱間圧延方法により、
製造されたα+β型チタン合金薄板のもつ低強
度、低延性値、粗大α晶組織等の材質上の問題点
を、従来と同程度の圧下比を加えるのみで、解決
する新しいα+β型チタン合金薄板のパツク熱間
圧延方法を提供することを目的とするものであ
る。 [問題点を解決するための手段] 本発明は、α+β型チタン合金板をT〓(β変態
点)以上に加熱し、50℃/分以上の冷却速度で
400℃以下まで冷却してコア材とし、該コア材を
用いてパツク圧延スラブを組立て、前記パツク圧
延スラブを(T〓−180)℃以上(Tβ−−50)℃
以下に加熱後、圧下比を2.5以上、クロス比を1.6
以下で圧延することを特徴とするα+β型チタン
合金の製造方法である。 [作用] 本発明は、α+β型チタン合金薄板のパツク熱
間圧延方法によるものであり、コア材製造方法と
パツク熱間圧延方法との両者を厳密に制御するこ
とにより、優れた材質特性をもつα+β型チタン
合金薄板を製造し得るものである。 本発明では、コア材をβ焼入れ(β変態点以上
の温度より焼入れを行う)することが重要な構成
要素の1つである。 従来のパツク熱間圧延ではコア材はα+β域圧
延を行つたα+β型チタン合金厚板より採取され
ている。 これは、パツク熱間圧延による圧下率は板厚精
度上、かつ表面精度上の制約から、軽圧下に制限
されているためであり、コア材としてはα+β域
圧延を行い、組織が予め均一化された材料を使用
することで、パツク熱間圧延での圧下率の制約か
らくる材質上の問題点を軽減する方法が採用され
ている。 即ち、コア材としてβ域圧延材を使用した場
合、コア材に残存する粒界α晶や粗大針状α晶に
よる組織の不均一が、軽圧下のパツク熱間圧延後
も残存することとなり、最終製品であるパツク熱
間圧延の曲げ性や延性値がコア材としてα+β域
圧延材を用いた場合と比較して劣ることとなる。 然し、α+β域圧延材をコア材として使用した
場合、組織の不均一性は軽減されるが、パツク熱
間圧延時(α+β域加熱)に初析α晶が肥大化し
てしまい、このため軽圧下であるパツク熱間圧延
後の最終のα+β型チタン合金薄板の初析α晶の
粒径は粗大なものとなつていた。 本発明ではコア材の組織をβ焼入れにより均一
なマルテンサイト組織とすることにより、パツク
熱間圧延加熱時の組織を微細な針状α晶を含む組
織とし、更に引続くパツク熱間圧延時の圧延条件
を併せて制御することにより、材質特性の優れた
α+β型チタン合金薄板をパツク熱間圧延により
製造し得るものである。 β焼入れされたコア材は、パツク熱間圧延加熱
時に、圧延加熱温度と平衡な体積分率をもつ針状
α晶を析出した組織となる。 この針状α晶は、圧延加熱温度が高温の場合、
針状α晶粒径は若干増大するが、針状α晶の体積
分率は大きく減少するため、低温度域で強度の加
工が加えられ、針状α晶に十分な加工歪みが加え
られる条件では、圧延加熱温度を比較的高温と
し、針状α晶の体積分率を少なくした方が最終圧
延組織の均一性が向上することとなる。 従つて、一般の圧延で素材としてβ焼入れスラ
ブを使用する場合、圧延加熱温度は960〜930℃、
圧延仕上り温度は800℃前後の製造条件が採用さ
れている。 然し、パツク熱間圧延では多層組立て構造によ
り、圧延中の温度降下が少なく、かつ圧延温度管
理が困難なため、圧延加熱温度を960〜930℃とし
た場合、最終パツク圧延材のα晶の粒径が肥大化
し、本発明の効果が失われてしまう。 即ち、圧延加熱温度で残存する初析針状α晶
は、圧延途中及び圧延後の徐冷過程で肥大化した
針状α晶には十分な加工歪みが加えられておら
ず、粗大な針状α晶組織が後工程まで残存する。 逆にパツク熱間圧延温度を(T〓−50℃)以下
と比較的低温とし、十分針状α晶を析出させた状
態より圧延を開始し、初析針状α晶に加工歪みを
加えた場合により微細組織が得られる。 従つてパツク圧延加熱温度を(T〓−50℃)以
下とすることが本発明の効果を生かす重要な必要
条件の1つである。 又、パツク熱間圧延後の組織を微細化し、材質
特性を向上させるためには、パツク熱間圧延時に
加工歪みを加える必要があるが、β焼入れされた
コア材を使用する場合、圧下比2.5以上の圧下を
加える必要がある。 又、Ti−6Al−4V合金の材質の異方性を除く
ためにはα+β域での圧延のクロス比を1とする
必要があるが、従来のパツク熱間圧延では一方向
圧延が採用されている。 即ちコア材を一方向圧延で製造し、これを90°
方向転換してパツク圧延スラブを組立てて、一方
向圧延を行い、クロス比を1とする圧延方法が採
用されている。 然し、本発明ではコア材はβ域に加熱されコア
材の圧延の効果は失われてしまい、従つてパツク
熱間圧延でのクロス比を1.6以下とすることが異
方性のない材質を得るための必要条件である。 本発明方法において、コア材の加熱温度をT〓
以上の温度と規定したのは、T〓未満の加熱温度
では焼入れ後も初析α晶が残存してしまい、その
結果最終パツク熱間圧延後の材質特性が劣化する
ためである。 即ち残存して初析α晶はパツク熱間圧延時に肥
大化するが、軽圧下のパツク圧延ではこの肥大化
した初析α晶の痕跡が残存し、不均一組織とな
る。但し、コア材の加熱温度がβ変態点以上の高
温となると、加熱時にコア材の表面スケール層厚
さが増大し、歩留りの低下を招くため、コア材の
加熱温度の上限をT〓+100℃とすることが望まし
い。 コア材のβ域からの冷却速度を50℃/分以上と
規定したのは、冷却速度を50℃/分未満とした場
合、β粒界にα晶が析出してしまい、その結果最
終パツク熱間圧延後の材質特性が劣化するためで
ある。 即ち、粒界α晶はパツク熱間圧延時に肥大化す
るが、軽圧下のパツク圧延ではこの肥大化した粒
界α晶の痕跡が残存し、不均一組織となる。 冷却速度は上記の理由で下限値を規定しなけれ
ばならないが、上限値については、組織上の観点
からは特に規定するものではない。 又、コア材のβ域からの冷却停止温度を400℃
以下と規定したのは、冷却停止温度が400℃以上
の場合、冷却停止粗大なα晶の析出が起り、その
結果、最終パツク熱間圧延後の材質特性が劣化す
るためである。この材質劣化の原因は上述の原因
と同様である。 冷却停止温度は上記の理由で上限値を規定しな
ければならないが、下限値については、組織上の
観点からは特に規定するものではない。 パツク圧延スラブの加熱温度を(T〓−180)℃
〜(T〓−50)℃と規定したのは(T〓−50)℃を
越える加熱温度とした場合、最終パツク圧延後の
組織が粗大化し、本発明による組織微細化の効果
が失われてしまうからである。 又、(T〓−180)℃未満の加熱温度では変形抵
抗が増大し、圧延が困難となるためである。 圧下比を2.5以上と規定したのは、圧下比が2.5
未満ではα+β型チタン合金パツク圧延材に十分
な加工歪みが与えられず、従つて最終パツク熱間
圧延後の組織が不均一な粗粒となる等材質特性が
劣化するためである。 圧下比は上記の理由で下限値を規定しなければ
ならないが、上限値については、組織上の観点か
らは特に規定するものではない。 クロス比を1.6以下と規定したのはクロス比が
1.6を越えると異方性が強くなり材質上の問題を
生ずるためである。 クロス比の下限値については、組織の異方性を
調整するため0.6とすることが望ましい。 ここで、圧下比及びクロス比は、次の通り定義
される。 圧下比=圧延前の板厚/圧延後の板厚クロス比 =圧延の最終パス方向と直角方向の圧下比 /圧延の最終パス方向と同方向の圧下比 クロス圧延とは、圧延方向を水平面で90°変更
して、圧延材をロールに相次いで通す圧延法であ
る。 又、後述する実施例においては、Ti−6Al−
4V合金をとりあげたが、本発明方法において対
象となるα+β型チタン合金とは、この他にTi
−6Al−6V−2Sn合金、Ti−3Al−2.5V合金、Ti
−2Al−2Mn合金、Ti−8Al−1Mo−1V合金等常
温でα相とβ相とが混在する組織を有するチタン
合金のすべてを意味するものである。 次に本発明の実施例について述べる。 [実施例] Ti−6%Al−4%V合金の直径550mm鋳塊を
1050℃に加熱後200mm厚さに熱間鍛造してコア材
圧延用スラブを作成した。 表1に用いた供試材の化学組成(重量%)を示
す。(T〓=980℃)
たα+β型チタン合金薄板の製造方法に関するも
のである。 [従来の技術] Ti−6Al−4V合金(以下特に指定しない限り
α+β型チタン合金と呼称する。)はその優れた
機械的性質(高比強度)を生かし、航空機等に広
く利用されている。 この航空機の用途では多くの場合、α+β型チ
タン合金薄板を超塑性加工して使用されるが、こ
の場合機械的性質が均一でかつ組織の均一微細な
α+β型チタン合金薄板が要望されている。 このα+β型チタン合金は冷間加工が困難なこ
と、及び冷間加工では、その材質に強い異方性を
生ずるため、冷間加工によるα+β型チタン合金
薄板の製造は困難であり、従来はパツク熱間圧延
方法によるα+β型チタン合金薄板の製造方法が
採用されている。(特開昭59−35664号公報) このパツク熱間圧延方法とは、犠牲材である両
カバー材の間に、α+β型チタン合金板を1枚あ
るいは複数枚を挟みこんで熱間圧延を行うα+β
型チタン合金薄板の製造方法である。 然し、このパツク熱間圧延方法では、その多層
組立て構造により、圧延中の温度降下が少なく、
かつ圧延温度管理が困難なため、一般の圧延材と
比較して低温圧延等による材質の制御が困難であ
る。 又、パツク熱間圧延材は、薄板として使用され
るため材質と共に板厚精度、表面精度も十分良好
である必要がある。 このため、操業上1回のパツク熱間圧延での圧
下率にも制限を生じている。この点においても、
パツク熱間圧延方法において機械的性質に優れ、
組成の均一微細なα+β型チタン合金薄板を製造
するのは困難とされていた。 即ち、一般の圧延において、上記材質を向上さ
せる有効の圧延方法としては、例えばスラブ加熱
温度をα+β域の比較的高温の960〜930℃とし、
しかも大圧下加工とする等の採用は、操業上非常
に困難であつた。 [発明が解決すべき問題点] 本発明は、従来のパツク熱間圧延方法により、
製造されたα+β型チタン合金薄板のもつ低強
度、低延性値、粗大α晶組織等の材質上の問題点
を、従来と同程度の圧下比を加えるのみで、解決
する新しいα+β型チタン合金薄板のパツク熱間
圧延方法を提供することを目的とするものであ
る。 [問題点を解決するための手段] 本発明は、α+β型チタン合金板をT〓(β変態
点)以上に加熱し、50℃/分以上の冷却速度で
400℃以下まで冷却してコア材とし、該コア材を
用いてパツク圧延スラブを組立て、前記パツク圧
延スラブを(T〓−180)℃以上(Tβ−−50)℃
以下に加熱後、圧下比を2.5以上、クロス比を1.6
以下で圧延することを特徴とするα+β型チタン
合金の製造方法である。 [作用] 本発明は、α+β型チタン合金薄板のパツク熱
間圧延方法によるものであり、コア材製造方法と
パツク熱間圧延方法との両者を厳密に制御するこ
とにより、優れた材質特性をもつα+β型チタン
合金薄板を製造し得るものである。 本発明では、コア材をβ焼入れ(β変態点以上
の温度より焼入れを行う)することが重要な構成
要素の1つである。 従来のパツク熱間圧延ではコア材はα+β域圧
延を行つたα+β型チタン合金厚板より採取され
ている。 これは、パツク熱間圧延による圧下率は板厚精
度上、かつ表面精度上の制約から、軽圧下に制限
されているためであり、コア材としてはα+β域
圧延を行い、組織が予め均一化された材料を使用
することで、パツク熱間圧延での圧下率の制約か
らくる材質上の問題点を軽減する方法が採用され
ている。 即ち、コア材としてβ域圧延材を使用した場
合、コア材に残存する粒界α晶や粗大針状α晶に
よる組織の不均一が、軽圧下のパツク熱間圧延後
も残存することとなり、最終製品であるパツク熱
間圧延の曲げ性や延性値がコア材としてα+β域
圧延材を用いた場合と比較して劣ることとなる。 然し、α+β域圧延材をコア材として使用した
場合、組織の不均一性は軽減されるが、パツク熱
間圧延時(α+β域加熱)に初析α晶が肥大化し
てしまい、このため軽圧下であるパツク熱間圧延
後の最終のα+β型チタン合金薄板の初析α晶の
粒径は粗大なものとなつていた。 本発明ではコア材の組織をβ焼入れにより均一
なマルテンサイト組織とすることにより、パツク
熱間圧延加熱時の組織を微細な針状α晶を含む組
織とし、更に引続くパツク熱間圧延時の圧延条件
を併せて制御することにより、材質特性の優れた
α+β型チタン合金薄板をパツク熱間圧延により
製造し得るものである。 β焼入れされたコア材は、パツク熱間圧延加熱
時に、圧延加熱温度と平衡な体積分率をもつ針状
α晶を析出した組織となる。 この針状α晶は、圧延加熱温度が高温の場合、
針状α晶粒径は若干増大するが、針状α晶の体積
分率は大きく減少するため、低温度域で強度の加
工が加えられ、針状α晶に十分な加工歪みが加え
られる条件では、圧延加熱温度を比較的高温と
し、針状α晶の体積分率を少なくした方が最終圧
延組織の均一性が向上することとなる。 従つて、一般の圧延で素材としてβ焼入れスラ
ブを使用する場合、圧延加熱温度は960〜930℃、
圧延仕上り温度は800℃前後の製造条件が採用さ
れている。 然し、パツク熱間圧延では多層組立て構造によ
り、圧延中の温度降下が少なく、かつ圧延温度管
理が困難なため、圧延加熱温度を960〜930℃とし
た場合、最終パツク圧延材のα晶の粒径が肥大化
し、本発明の効果が失われてしまう。 即ち、圧延加熱温度で残存する初析針状α晶
は、圧延途中及び圧延後の徐冷過程で肥大化した
針状α晶には十分な加工歪みが加えられておら
ず、粗大な針状α晶組織が後工程まで残存する。 逆にパツク熱間圧延温度を(T〓−50℃)以下
と比較的低温とし、十分針状α晶を析出させた状
態より圧延を開始し、初析針状α晶に加工歪みを
加えた場合により微細組織が得られる。 従つてパツク圧延加熱温度を(T〓−50℃)以
下とすることが本発明の効果を生かす重要な必要
条件の1つである。 又、パツク熱間圧延後の組織を微細化し、材質
特性を向上させるためには、パツク熱間圧延時に
加工歪みを加える必要があるが、β焼入れされた
コア材を使用する場合、圧下比2.5以上の圧下を
加える必要がある。 又、Ti−6Al−4V合金の材質の異方性を除く
ためにはα+β域での圧延のクロス比を1とする
必要があるが、従来のパツク熱間圧延では一方向
圧延が採用されている。 即ちコア材を一方向圧延で製造し、これを90°
方向転換してパツク圧延スラブを組立てて、一方
向圧延を行い、クロス比を1とする圧延方法が採
用されている。 然し、本発明ではコア材はβ域に加熱されコア
材の圧延の効果は失われてしまい、従つてパツク
熱間圧延でのクロス比を1.6以下とすることが異
方性のない材質を得るための必要条件である。 本発明方法において、コア材の加熱温度をT〓
以上の温度と規定したのは、T〓未満の加熱温度
では焼入れ後も初析α晶が残存してしまい、その
結果最終パツク熱間圧延後の材質特性が劣化する
ためである。 即ち残存して初析α晶はパツク熱間圧延時に肥
大化するが、軽圧下のパツク圧延ではこの肥大化
した初析α晶の痕跡が残存し、不均一組織とな
る。但し、コア材の加熱温度がβ変態点以上の高
温となると、加熱時にコア材の表面スケール層厚
さが増大し、歩留りの低下を招くため、コア材の
加熱温度の上限をT〓+100℃とすることが望まし
い。 コア材のβ域からの冷却速度を50℃/分以上と
規定したのは、冷却速度を50℃/分未満とした場
合、β粒界にα晶が析出してしまい、その結果最
終パツク熱間圧延後の材質特性が劣化するためで
ある。 即ち、粒界α晶はパツク熱間圧延時に肥大化す
るが、軽圧下のパツク圧延ではこの肥大化した粒
界α晶の痕跡が残存し、不均一組織となる。 冷却速度は上記の理由で下限値を規定しなけれ
ばならないが、上限値については、組織上の観点
からは特に規定するものではない。 又、コア材のβ域からの冷却停止温度を400℃
以下と規定したのは、冷却停止温度が400℃以上
の場合、冷却停止粗大なα晶の析出が起り、その
結果、最終パツク熱間圧延後の材質特性が劣化す
るためである。この材質劣化の原因は上述の原因
と同様である。 冷却停止温度は上記の理由で上限値を規定しな
ければならないが、下限値については、組織上の
観点からは特に規定するものではない。 パツク圧延スラブの加熱温度を(T〓−180)℃
〜(T〓−50)℃と規定したのは(T〓−50)℃を
越える加熱温度とした場合、最終パツク圧延後の
組織が粗大化し、本発明による組織微細化の効果
が失われてしまうからである。 又、(T〓−180)℃未満の加熱温度では変形抵
抗が増大し、圧延が困難となるためである。 圧下比を2.5以上と規定したのは、圧下比が2.5
未満ではα+β型チタン合金パツク圧延材に十分
な加工歪みが与えられず、従つて最終パツク熱間
圧延後の組織が不均一な粗粒となる等材質特性が
劣化するためである。 圧下比は上記の理由で下限値を規定しなければ
ならないが、上限値については、組織上の観点か
らは特に規定するものではない。 クロス比を1.6以下と規定したのはクロス比が
1.6を越えると異方性が強くなり材質上の問題を
生ずるためである。 クロス比の下限値については、組織の異方性を
調整するため0.6とすることが望ましい。 ここで、圧下比及びクロス比は、次の通り定義
される。 圧下比=圧延前の板厚/圧延後の板厚クロス比 =圧延の最終パス方向と直角方向の圧下比 /圧延の最終パス方向と同方向の圧下比 クロス圧延とは、圧延方向を水平面で90°変更
して、圧延材をロールに相次いで通す圧延法であ
る。 又、後述する実施例においては、Ti−6Al−
4V合金をとりあげたが、本発明方法において対
象となるα+β型チタン合金とは、この他にTi
−6Al−6V−2Sn合金、Ti−3Al−2.5V合金、Ti
−2Al−2Mn合金、Ti−8Al−1Mo−1V合金等常
温でα相とβ相とが混在する組織を有するチタン
合金のすべてを意味するものである。 次に本発明の実施例について述べる。 [実施例] Ti−6%Al−4%V合金の直径550mm鋳塊を
1050℃に加熱後200mm厚さに熱間鍛造してコア材
圧延用スラブを作成した。 表1に用いた供試材の化学組成(重量%)を示
す。(T〓=980℃)
【表】
上記スラブを950℃に加熱後、15.5mm厚さに熱
間圧延し、コア材素材とした。(クロス比は1) 素材は970℃より1000℃の温度域に加熱した後、
冷却速度40〜100℃/分の範囲で、500℃以下の温
度に焼入れコア材とした。 第1図に本発明方法の説明図を示す。 図において、1:コア材、2:カバー材、3:
溶接部、4:スペーサである。 図示する如く、パツクスラブは、前述の熱処理
を行つたコア材1を表面研削し15mm厚さに仕上げ
たものを3枚組合わせた後、カバー2として両面
に25mm厚さの炭素鋼を合せ、その四周を溶接部3
にてシーム溶接した作成した。 パツク熱間圧延は、上記パツクスラブを940〜
800℃に加熱し、圧下比1.5〜5の条件で圧延を行
つた。 このパツク熱間圧延のクロス比は、1.0より2.0
まで変化させた。 パツク熱間圧延材の熱処理条件は、720℃×30
分の空冷であり、熱処理材の機械的性質は平行部
12.5mm、G.L.50mmの板状引張試験片を最終圧延方
向に平行(L方向)と直角(T方向)方向に採取
して調査した。 又、超塑性加工において重要な材質因子である
α晶粒径(T〓)はパツク熱間圧延材を950℃に1
時間加熱後水焼入れした試験片でLZ面のα晶粒
径を100粒測定しその平均値をもつて評価した。 表2にパツク熱間圧延条件とこれにより得られ
た材質特性を示す。 本発明で限定する製造条件でTi−6Al−4V合
金薄
間圧延し、コア材素材とした。(クロス比は1) 素材は970℃より1000℃の温度域に加熱した後、
冷却速度40〜100℃/分の範囲で、500℃以下の温
度に焼入れコア材とした。 第1図に本発明方法の説明図を示す。 図において、1:コア材、2:カバー材、3:
溶接部、4:スペーサである。 図示する如く、パツクスラブは、前述の熱処理
を行つたコア材1を表面研削し15mm厚さに仕上げ
たものを3枚組合わせた後、カバー2として両面
に25mm厚さの炭素鋼を合せ、その四周を溶接部3
にてシーム溶接した作成した。 パツク熱間圧延は、上記パツクスラブを940〜
800℃に加熱し、圧下比1.5〜5の条件で圧延を行
つた。 このパツク熱間圧延のクロス比は、1.0より2.0
まで変化させた。 パツク熱間圧延材の熱処理条件は、720℃×30
分の空冷であり、熱処理材の機械的性質は平行部
12.5mm、G.L.50mmの板状引張試験片を最終圧延方
向に平行(L方向)と直角(T方向)方向に採取
して調査した。 又、超塑性加工において重要な材質因子である
α晶粒径(T〓)はパツク熱間圧延材を950℃に1
時間加熱後水焼入れした試験片でLZ面のα晶粒
径を100粒測定しその平均値をもつて評価した。 表2にパツク熱間圧延条件とこれにより得られ
た材質特性を示す。 本発明で限定する製造条件でTi−6Al−4V合
金薄
【表】
【表】
板を製造する場合のみYS>95Kgf/mm2、TS>
95Kgf/mm2、EL>15%、d〓<5μm、YS、TS異
方性<3Kgf/mm2といつた従来製法材の材質特性
(No.17)と比較して格段に優れた材質特性をもつ
Ti−6Al−4V合金薄板が製造される。 [発明の効果] 本発明のα+β型チタン合金板の製造方法によ
れば、強度、延性値、α晶組織等の機械的性質が
均質で組織の均一微細な材質特質に優れたα+β
チタン合金薄板を従来方法と同程度の圧下比を加
えるのみで製造出来る効果を奏するものである。
95Kgf/mm2、EL>15%、d〓<5μm、YS、TS異
方性<3Kgf/mm2といつた従来製法材の材質特性
(No.17)と比較して格段に優れた材質特性をもつ
Ti−6Al−4V合金薄板が製造される。 [発明の効果] 本発明のα+β型チタン合金板の製造方法によ
れば、強度、延性値、α晶組織等の機械的性質が
均質で組織の均一微細な材質特質に優れたα+β
チタン合金薄板を従来方法と同程度の圧下比を加
えるのみで製造出来る効果を奏するものである。
第1図は、本発明方法の説明図である。図にお
いて、 1:コア材、2:カバー材、3:溶接部、4:
スペーサである。
いて、 1:コア材、2:カバー材、3:溶接部、4:
スペーサである。
Claims (1)
- 1 α+β型チタン合金板をT〓(β変態点)以上
に加熱し、50℃/分以上の冷却速度で400℃以下
まで冷却してコア材とし、該コア材を用いてパツ
ク圧延スラブを組立て、前記パツク圧延スラブを
(T〓−180)℃以上、(T〓−50)℃以下に加熱後、
圧下比を2.5以上、クロス比を1.6以下で圧延する
ことを特徴とするα+β型チタン合金板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP807687A JPS63176452A (ja) | 1987-01-19 | 1987-01-19 | α+β型チタン合金板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP807687A JPS63176452A (ja) | 1987-01-19 | 1987-01-19 | α+β型チタン合金板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63176452A JPS63176452A (ja) | 1988-07-20 |
JPH0373624B2 true JPH0373624B2 (ja) | 1991-11-22 |
Family
ID=11683247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP807687A Granted JPS63176452A (ja) | 1987-01-19 | 1987-01-19 | α+β型チタン合金板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63176452A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005019489A1 (en) * | 2003-08-25 | 2005-03-03 | The Boeing Company | Method for manufacturing thin sheets of high-strength titanium alloys |
CN102107225A (zh) * | 2010-12-20 | 2011-06-29 | 宝钛集团有限公司 | 一种包覆叠轧钛合金薄板的叠轧包 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5935664A (ja) * | 1982-08-24 | 1984-02-27 | Nippon Stainless Steel Co Ltd | 冷延性にすぐれたα+β型チタン合金熱延板の製造方法 |
JPS60230968A (ja) * | 1984-04-27 | 1985-11-16 | Nippon Mining Co Ltd | チタン合金圧延板の製造方法 |
-
1987
- 1987-01-19 JP JP807687A patent/JPS63176452A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5935664A (ja) * | 1982-08-24 | 1984-02-27 | Nippon Stainless Steel Co Ltd | 冷延性にすぐれたα+β型チタン合金熱延板の製造方法 |
JPS60230968A (ja) * | 1984-04-27 | 1985-11-16 | Nippon Mining Co Ltd | チタン合金圧延板の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63176452A (ja) | 1988-07-20 |
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