JPH0372984B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は液晶表示素子に関するものであり、更
に詳しくは電圧による制御を必要としない常時表
示パターン（以下、固定表示と呼ぶ）を形成した
液晶表示素子に関する。

ツイストネマテイツク型（TN型）液晶表示素
子は、透明電極上に横配向処理を施した一対の透
明電極板を、該配向処理方向が互いにほぼ直交す
る様に所定の間隔に相対向させ、該間隙に液晶を
封入して素子を構成し、該素子の前面及び背面に
偏光板をその偏光軸が互いに直交又は平行になる
様に配置して、表示を得られる様にしたものであ
る。偏光軸が互いに平行となる様に配置された場
合は、電圧無印加時には、背景及び表示電極パタ
ーン部分は光が透過されず、暗色であり、電圧を
印刷すると、表示電極パターン部分の液晶層の旋
光性が失われ、光は透過して明色となり、表示
（いわゆるネガ型表示）が行なわれる。

かかるネガ型TN表示素子に於て固定表示を行
う場合、従来より下記の様な方法が採られてい
た。

固定表示を必要とする透明電極パターン間
に、常時電圧の印加を行う。

固定表示を必要とするパターン形状に一方の
透明電極板上の横配向処理の方向を他方の透明
電極板上の横配向処理の方向とほぼ平行にす
る。

固定表示を必要とするパターン形状に少くと
も一方の偏光板の偏光性を部分的に無くする。

しかしながら、上記の方法は固定表示を行う
ために常時電圧の印加を行う必要があるばかりで
なく、複雑な表示の場合は電極パターン及びその
リードの配置が難しくなり、特に内部に文字を配
した枠状の固定表示は単層の電極では表示内面で
トランスフアーをとらない限りできなく、さらに
回路側への端子の接続数が増大する等の欠点があ
る。

又、上記の方法は部分的に横配向処理の方向
を異ならせるために、一般的な横配向処理の手段
であるラビング法、又は、斜方蒸着法において、
所定のパターンを有するメタルマスク等を用い
て、マスクラビング又はマスク斜方蒸着を必要と
するが、メタルマスクのパターニングには制限が
あり、固定表示パターンのパターン設計の自由
度、及びパターンの精度を欠いている。例えば、
第１図に示す様な環状の切れ目のない固定表示パ
ターンが必要な場合、斜線部の領域をマスクする
必要があるが、１の領域をマスクすることは、メ
タルマスクを用いる限り不可能である。又、第２
図に示す様に支柱２及び３を設けて第１図に近い
固定表示パターンを形成することは可能である
が、環に切れ目ができ表示品位に問題があり、目
的によつては好ましくない。さらに第３図に示す
様な固定表示パターンが必要な場合、４及び５の
部分をマスクするためのメタルマスク部分は細長
い形状となり、メタルマスク使用時に変形を起し
やすく、パターン精度及び解像度に問題がでてく
る。

又、上記の方法は、所定のパターン形状に偏
光性を無くした偏光板の信頼性に問題があるとと
もに、液晶表示素子に該偏光板を設置する時に、
特に粘着剤付該偏光板の場合、該偏光板上のパタ
ーンと、液晶表示素子のパターンとの位置合せの
難かしさがあり、製造上の問題となる。

一方、ネガ型TN表示素子で、特に素子の背面
に照明手段を設けて透過型の表示を行う場合、表
示電極パターン部及び、固定表示部を除いた背景
部の遮光度が大きい程、表示コントラストは高く
なるが、偏光板とTN表示素子の組合せにる遮光
度には限界があり、又背景色も偏光板による色に
限定されるという制約がある。

本発明はかかる現状に鑑み、なされたものであ
り、その目的とするところは、ネガ型TN表示素
子に於て常時表示を必要とする固定表示パターン
を形成するための簡便な方法を提供するものであ
り、同時に該固定表示パターンのコントラストを
上げる方法を提供するものである。

本発明は、電極上に配向処理を施した一対の透
明電極板を所定の間隔に相対向させ、該間隙に液
晶を封入して素子を構成し、該素子の前面及び背
面に偏光板を、その偏光軸が互いに平行となる様
に配置した液晶表示素子に於て、一方の透明電極
板上には、一方向に横配向処理がなされており、
他方の透明電極板上には、前記配向処理とほぼ平
行方向に横配向処理された第１の配向処理部分
（平行配向部分）と、ほぼ直交する方向に横配向
処理された第２の配向処理部分（TN配向部分）
を有し、かつ、該素子に、不透明又は半透明の所
定のパターンを有するマスクを設置し、前記マス
クが固定表示パターン形状の開口部を前記第１の
配向処理部分に有することにより、前記第１の配
向処理部分に光透過型の固定表示を形成したこと
を特徴とするネガ型液晶表示素子である。

本発明に於ける横配向処理は、透明電極板上
に、SiO₂等の無機物質を斜方蒸着することによ
り処理しても良く、又、電極上を直接、若しくは
無機物質、有機物質をオーバーコートした後、ラ
ビング等により実施しても良い。又、本発明で
は、一方の透明電極板上の横配向の方向が、固定
表示を必要とする部分を含む領域と、それ以外の
領域とで、ほぼ直交する２種類の横配向処理を必
要とするため、具体的には、所定のパターンを有
するメタルマスクによるマスクを設けた斜方蒸着
又は、ラビングを行うことにより形成される。た
だし、ここで用いられるメタルマスクのパターン
は、該パターン自体で固定表示を形成するもので
はなく、固定表示を必要とする部分を含む領域全
体を１つのパターンとする単純な形状であるの
で、上記したメタルマスクパターン設計上の問題
及び素子製造上の問題はない。さらに、本発明に
於ける固定表示パターンの形成は、上記の方法に
より達成された固定表示を必要とする部分を含む
領域（平行配向部分）に、所定のパターンを有す
るマスクを素子の前面又は背面に設置してなされ
るものであり、具体的にはスクリーン印刷等の印
刷法により、不透明又は半透明のインクを所定の
パターンに印刷して形成しようとするものであ
る。固定表示を必要とする領域全体は光は透過し
て明色の状態にあり、該領域に設置された上記マ
スクにより、マスクパターンの透明部分では、光
が透過して明色の状態、不透明部分では、光が透
過せず暗色の状態となり、コントラストの高い固
定表示が形成される。

又、印刷法によるマスクの代りに、フオトプロ
セスにより予め所定のパターンを有する不透明又
は半透明のフイルムを素子の前面又は背面に設置
しても同様にコントラストの高い固定表示が形成
され、さらに、固定表示パターンの解像度は、マ
スクがフオトプロセスによるため、印刷法より
も、より高いものが得られる。

以上、この方法によれば、固定表示パターンの
形成は印刷法又は所定のパターンを有するフイル
ムにより形成されるため、上記した従来の固定表
示方法の欠点、問題点がなくなり、さらに偏光板
とTN表示素子の組合せによる固定表示方法に比
較して、背景部分の遮光度が上昇し、コントラス
トが大幅に改善される。

以下、図面に基づき、実施例を詳細に説明す
る。第４図は自動車等用のスピードメーター、タ
コメーターを兼ね備えた液晶表示素子の例を示し
ている。６，７，８，９，１０の点線で囲まれた
領域を平行配向とし、その他の領域を全てTN配
向として、素子の前面及び背面の偏光板は、その
偏光軸が互いに平行となる様に配置されている。
さらに素子の一方の基板表面にスクリーン印刷法
により第５図に示す遮光性マスクパターンが印刷
されている。なお、第５図では、不透明部分を塗
りつぶす又はハツチングで示すと見にくくなるた
め枠のみで示しており、数字又は文字６Ａ，７
Ａ，８Ａ，９Ａ，１０Ａ及び長方形状のパターン
６Ｂ，８Ｂ，９Ｂの部分が透明に、他の部分が不
透明にされている。

これにより、バーグラフ式スピードメーターの
速度目盛６Ａ，（20，40，60，……，140）、単位
7A（Km／Ｈ）、タコメーターの回転数目盛８Ａ
（１，２，３，………７）、単位10A（×
1000rpm）、及びデジタル式スピードメーターの
単位９Ａ（Km／Ｈ）は光透過部分として固定表示
され、スピードメーター用バーグラフの各画素６
Ｂ、タコメーター用バーグラフの各画素８Ｂ及び
デジタル式スピード表示部９Ｂは、それぞれパタ
ーン化された透明電極による電圧印加手段によ
り、必要な部分のセグメントに電圧が印加された
時のみその部分が光透過状態となり、必要とする
情報の表示を可能とする。又、基板表面にスクリ
ーン印刷された該遮光性マスクの設置により、表
示に不必要な背景部分からの光透過を完全におさ
えることが出来、素子背面に照明手段を設置した
透過型表示方式としてのコントラストの向上が達
成されている。

さらに、この液晶表示素子の配向処理方法につ
いて詳細に説明する。先ず、一方の透明電極基板
の電極面上を一方向に綿布等でラビングし、他方
の透明電極基板の電極面上は、上記ラビング方向
と、重ね合せた時ほぼ直交する方向に一回目のラ
ビングを行い、次いで、一回目のラビングにより
配向処理された面上に第４図６，７，８，９，１
０を含む領域に穴のあいた第６図に示すメタルマ
スクを設置して一回目のラビング方向とほぼ直交
する方向に２回目のラビングを行う。２回目のラ
ビングを施した領域の配向方向は１回目のラビン
グによる配向方向の影響を全く受けることなく、
２回目のラビングによる配向方向のみによつて決
定される。２回目のマスクラビングに使用された
第６図のパターンを有するメタルマスクはパター
ン形状が単純であり、精度も低くてよいため製造
が容易であり、くり返して使用しても変形等を発
生することは非常に少く、パターン精度、解像度
を長期間にわたり低下させることはなく、たとえ
少し精度が低下した場合においても本発明では不
透明なマスクで被われているためほとんど問題を
生じない。例えば第６図のメタルマスクの左下の
長方形のパターン７Ｃの下辺側が破損してしまつ
た場合においてもその部分は不透明とされている
ため何ら表示品位には影響を及ぼさない。

上記実施例は、他方の透明電極基板の１回目の
ラビングにより、全面にTN配向を形成した後、
２回目のマスクラビングにより所定のパターンに
て、平行配向領域を形成したものであるが、逆に
先ず、１回目のラビングにより、全面に平行配向
を形成した後、第７図に示すパターンを有するメ
タルマスクを用いた２回目のマスクラビングによ
り、TN配向領域を形成しても表示性能には何ら
影響を与えるものではない。

又、上記実施例では遮光性マスクパターンはス
クリーン印刷法により設置されたが、フオトプロ
セス等により予め所定のパターンを有する遮光性
フイルムを同位置に設置しても同様の表示性能が
得られる。

又、この不透明なマスクの透明部分に他の着色
インク又は着色フイルムを配しておくことによ
り、よりカラフルな表示としても良く、例えばス
ピードメーターのバーグラフの目盛及びグラフの
60Km／Ｈ以下では緑色、61Km／Ｈ〜100Km／Ｈで
は黄色、それ以上では赤色のカラーフイルターを
設けることができる。

もちろん液晶表示素子のこの外の構造は公知の
種々のものが採用でき、シールの形状、電極取り
出しの方法、液晶注入口の形状及び数、トランス
フアーのとり方、面内スペーサー、面内シールの
有無、２層電極、２層セル、カラー偏光板、プラ
スチツク基板、基板上への回路素子の搭載、ノン
グレア処理、紫外線カツトフイルター等適宜使用
され設計されれば良い。特に大型の液晶表示素子
では、セル間隙を一定に保つため面内シール、即
ち表示面内へのシール材の部分的形成が好まし
く、本発明では、不透明マスクで表示面の一部を
被つているためこの面内シールを見えなくするこ
とができ表示品位が良い。

以上、説明した様に本発明による液晶表示素子
によれば、従来法による固定表示の欠点がなくな
り、コントラストが高く表示品位の良好な固定表
示の形成が可能となり、今後種々の応用が可能な
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来法による固定表示の欠点
を説明するための説明図、第４図〜第７図はそれ
ぞれ本発明実施例に係る液晶表示素子、固定表示
形成のためのマスクパターン、平行配向領域形成
のためのメタルマスクパターン、及びTN配向領
域形成のためのメタルマスクパターンを説明する
ための平面図。 ６，７，８，９，１０…平行配向領域。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電極上に配向処理を施した１対の透明電極板
   を所定の間隔に相対向させ、該間隙に液晶を封入
   して素子を構成し、該素子の前面及び背面に偏光
   板を、その偏光軸が互いに平行となるように配置
   した液晶表示素子に於て、一方の透明電極板上に
   は、一方向に横配向処理がなされており、他方の
   透明電極板上には、前記配向処理部分とほぼ平行
   方向に横配向処理された第１の配向処理部分と、
   ほぼ直交する方向に横配向処理された第２の配向
   処理部分を有し、かつ、該素子に、不透明又は半
   透明の所定のパターンを有するマスクを設置し、
   前記マスクが固定表示パターンの形状の開口部を
   前記第１の配向処理部分に有することにより、前
   記第１の配向処理部分に光透過型の固定表示を形
   成したことを特徴とするネガ型液晶表示素子。 ２ 所定のパターンを有するマスクが印刷法によ
   り形成された特許請求の範囲第１項記載の液晶表
   示素子。 ３ マスクが所定のパターンを有するフイルムに
   より形成されたことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の液晶表示素子。