JPH037121Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 本考案は、木材の両サイドを同時に加工する例
えばダブルエンドテノーナ、ダブルサイザー等と
いつた木材加工機械の左右両送材ベルトに対して
駆動力を付与する駆動機構の改良に関する。

ここで送材ベルトとは、ブロツクチエーン、キ
ヤタピラ式チエーン、タイミングベルト等の無端
状帯体を総称する。

ロ 従来技術 従来の両サイド同時加工用木工機においては、
例えば特開昭61−295001号公報に記載の如く、一
方のコラム側に設けたモータの駆動力を他方のコ
ラム側に備えた送材ベルト（キヤタピラ式送りチ
エーン）へ伝達するため、送材ベルトの駆動スプ
ロケツト同士を、両コラム間に架設した伝達軸で
連結すると共に、それに加えて加工材の幅によつ
て両コラム相互の間隔を変更可能とすべく、伝達
軸をキー形式のスプライン軸構造と成すと共に、
送材ベルトの駆動スプロケツトにスプラインボス
部を形成し、それらの組合わせによりコラムを伝
達軸の軸方向へ移動可能に構成していた。

ハ 考案が解決しようとする課題 上記従来の駆動機構は、両送材ベルトの駆動ス
プロケツト同士をキー形式のスプライン伝達軸で
連結させているため、コラム間の後端部中央に伝
達軸が水平に掛け渡され、それが作業の邪魔とな
る。又キー形式のスプライン機構は、金属同士が
直接摺接し合うため給油を必要とし、その上錆や
傷が生じてスムーズに動作せず、かじりや焼付き
を起こし易い。更に使用により摩耗して嵌め合い
公差が大きくなつてしまう。

そのため伝達軸１０の摺動方向に抵抗を生ずる
と、可動コラム３は伝達軸を備えない側との摺動
抵抗バランスが大きく崩れ、移動の際コラム２，
３相互の平行度が保てなくなつてしまう（第４
図）。

又嵌め合い公差の拡大によりスプライン機構に
がたつきが起こると、送材ベルト（ブロツクチエ
ーン４，４ａ）の走行（起動）タイミングにずれ
が生じ、第５図示の如く送り方向に面する基準辺
と送材方向とを直交に保つことができなくなつて
しまう。

ニ 課題を解決するための手段 本考案は、駆動力伝達の過程において生ずる上
記欠点に鑑み、鋭意研究の結果、キー形式のスプ
ラインに代る有効な伝達手段を見出し、その伝達
手段を効果的に利用してメンテナンスの簡易化と
同期精度の向上を図るもので、その構成は、伝達
軸の片端を、一方のコラム側に備えた送材ベルト
駆動軸に近接して配置された減速機構とモータ間
の伝達経路におけるコラムの下方に位置する任意
の回転軸に連結してコラムと直交状に配置すると
共に、その伝達軸の他端側を、他方のコラムにお
ける前記任意の回転軸に対応した回転軸とボール
スプライン機構を介して連結したことにある。

ホ 作用 伝達軸はコラムの下方位置に配置されているた
め作業の邪魔にならず、而もその伝達軸をボール
スプライン構造としたためスムーズに作動し、加
えてその優れた耐久性やねじり等に対する高い強
度によつて機械の加工精度、信頼性が向上する。
又伝達軸は、減速機構とモータとの伝達経路にお
ける高回転域で連結されているため、摩耗等によ
りがたつきを生じてもそのがたつきは減速機構の
出力側では実用上問題とならないまで減少され
る。

ヘ 実施例 図面は本考案の駆動機構を備えたダブルエンド
テノーナの実施例を示したもので、基台１に備え
られたスライドレール１ａの片端に、そのスライ
ドレール１ａと直交状に固定コラム２が備えられ
ていると共に、スライドレール１ａにはその固定
コラム２と平行状態を保ち、レールに沿つて摺動
する可動コラム３が備えられている。各コラム
２，３には、夫々送材ベルトであるブロツクチエ
ーン４，４ａと、そのブロツクチエーン４の上面
に対して押圧作用する多数の押えローラ５，５…
…を有した押圧ベルト６，６が固定、可動の両コ
ラムへ対称的に設けられている。基台１には固定
コラム２側にモータ７が据え付け固定され、その
モータ７の回転は、減速機構８を介して固定コラ
ム２に張設されたブロツクチエーン４の駆動スプ
ロケツト９及び伝達軸１０及び減速機構８ａを介
して可動コラム３に備えられたブロツクチエーン
４ａの駆動スプロケツト９ａへと夫々タイミング
プーリ相互間に張設したタイミングベルトにより
伝達されるようになつている。伝達軸１０は、ス
ライドレール１ａと平行に、両コラムの下部にお
いてその両側方を軸支され、中間部はボールスプ
ライン軸構造となつていて、そのボールスプライ
ンに対応する構造のボス部が、減速機構８ａを介
して駆動スプロケツト９ａと接続されている。又
両コラムには夫々木材加工具である丸鋸機１１及
びカツタ装置１２が備えられている。

このように構成されたダブルエンドテノーナ
は、可動コラムを固定コラムと平行状態を保つた
まま移動してコラム間の距離を変更でき、可動コ
ラムがどの位置にあつても、固定コラム側のモー
タと可動コラム側の減速機構とが伝達軸を介して
接続状態に保たれる。そしてその伝達軸はコラム
の下方に配置されているため、コラム間が解放さ
れて作業能率が向上する。又伝達軸は減速機構の
入力側における高回転域で両駆動スプロケツトに
対して同期を図り、而もボールスプライン機構の
採用によつて、抵抗が少なくスムーズにスライド
作動するので、焼き付きやかじりの心配もない。
それによりコラム間隔の調整作業において、両コ
ラムの平行度が正確に保たれ、又伝達軸のがたつ
きに起因する同期上の誤差は、ボールスプライン
構造の特性により減少する傾向にあり、而も伝達
軸が減速機の入力側で接続されているため、駆動
軸では微々たる誤差となり実動上問題とならない
範囲に収まる。実施例の場合は、1800rpmのモー
タを使用し、伝達軸へはこれを一旦1200rpmに落
して伝達し、駆動プーリへは更に減速機構で10分
の１に減速して伝達される。よつて従来は、伝達
軸でのぐらつき（遊び）があると、それが起動時
そのまま送材ベルトのアンバランスとなつて表わ
れるが、本考案の駆動機構では、ボールスプライ
ン構造によつて遊びが少なくなると共に、減速機
構を介して駆動軸へ伝達される回転の誤差は更に
10分の１へと減少される。又両コラムの平行精度
及び両送材ベルト速度の同期精度が向上すること
により、真直性と直交度は共に改善され、製品の
品質が良くなるのである。

尚本実施例においては、ダブルエンドテノーナ
について説明したが、ダブルサイザー、その他木
材の両サイドを同時加工する木工機であればその
機種を限定するものではなく、送材ベルトとして
ブロツクチエーン以外を使用できる。又伝達軸
は、モータの回転と同回転数の軸であつても、又
減速された軸であつても、減速機構とモータ間に
おける伝達経路の高速域に設けるならばその回転
速度は自由に選定してよく、位置も、コラムの下
方であればどこの位置でも差し支えない。

ト 効果 伝達軸にボールスプライン機構を採り入れるこ
とにより、摺動抵抗が減少してスライド運動がス
ムーズになり、コラム間隔調整時におけるコラム
相互の平行度に狂いが生じ難くなる。又伝達軸は
減速機構の入力側において、コラムの下側に配置
されているため、伝達軸の同期誤差は駆動スプロ
ケツトへ数分の１に減少して伝達され、ボールス
プラインの優れた摺動特性と相俟つて同期の精度
が向上し、コラム間が開放されて作業の邪魔とな
り難く、伝達軸にカバーする等して防塵対策も簡
単に行えるのでその実益は多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の駆動機構を備えたダブルエン
ドテノーナの要部を示す斜視図、第２図は同正面
図、第３図は駆動力伝達機構の系統を説明する模
式図、第４図は従来の駆動機構におけるコラムの
平行移動説明図、第５図は同じく従来の駆動機構
における送材状態の説明図である。 １……基台、１ａ……スライドレール、２……
固定コラム、３……可動コラム、４，４ａ……ブ
ロツクチエーン、５……押えローラ、６……押圧
ベルト、７……モータ、８，８ａ……減速機構、
９，９ａ……駆動スプロケツト、１０……伝達
軸、１１……丸鋸機、１２……カツタ機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 送材ベルトを備えた左右一対のコラムを、互に
   平行状態を維持しつつ両者の間隔を調整可能に設
   けると共に、一方のコラム側に設けたモータの駆
   動力を伝達軸を介して他方のコラム側へ伝達し、
   両送材ベルトを同期作動させる両サイド同時加工
   用木工機において、前記伝達軸の片端を、一方の
   コラム側に備えた送材ベルト駆動軸に近接して配
   置された減速機構とモータ間の伝達経路における
   コラムの下方に位置する任意の回転軸に連結して
   コラムと直交状に配置すると共に、その伝達軸の
   他端側を、他方のコラムにおける前記任意の回転
   軸に対応した回転軸とボールスプライン機構を介
   して連結したことを特徴とする両サイド同時加工
   用木工機の駆動機構。