JP5048893B2 - ブックブロック綴じ込み装置内で表紙に綴じ込むブックブロックの糊付けされた外面に表紙を擦り付けるための装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は、ブックブロック綴じ込み装置内で表紙に綴じ込むブックブロックの糊付けされた外面に表紙を擦り付けるための装置に係り、周回式の推進装置と駆動結合して制御される擦り付け装置の擦り付け領域に対向して配置され、前記周回式の推進装置の上方に垂直移動するサドル板上で搬送されるブックブロックの糊付けされた外面に対して表紙を圧着する２つの擦り付けローラからなる。
【０００２】
【従来の技術】
ブックブロック綴じ込み装置内において搬送されるブックブロックに対する擦り付け装置の調節は、例えば欧州特許第ＥＰ−Ａ−０１９８２０１号公報およびＤＥ−Ａ−３７１３８９６号公報に記載されているように、機械を停止した上で時間の係る作業を行って可能となる。ここで、サドル板上を搬送されるブックブロックに対して擦り付けローラを的確に整合させるために、擦り付け装置の駆動系は主駆動系から解除する必要がある。
【０００３】
既知のブックブロック綴じ込み装置は複数対の擦り付けローラ群を備えることが可能であり、ここでブックブロックの推進方向において最も手前側の対の擦り付けローラ、またはブックブロックに対して最も早く作用する対の擦り付けローラがブックブロックに対して調節され、後続する対の擦り付けローラは単に擦り付け動作を実行する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、精密な擦り付け工程に対する手動の調節可能性に伴ったその他の問題点を回避するため、前述した種類の装置において、擦り付け装置の調節に際して前記の問題を完全に解消することができる構造的な改良を達成することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、推進装置と擦り付け装置との間の駆動接続内にサドル板の位置と擦り付け装置の位置状態との間の相対関係を無段式に変更するよう調節可能な牽引要素伝達装置を設けることによって解決される。
【０００６】
本発明に係る装置の好適な追加構成形態において、牽引要素伝達装置は例えばチェーンまたは歯型ベルト等の周回式の牽引要素によって一方で推進装置と他方で擦り付け装置と駆動結合され、これは既存の機械構造に対して簡単な取り付け操作によって適用することができる。
【０００７】
好適な実施例において、推進装置および擦り付け装置の駆動軸または従軸周りを周回する牽引要素は２つの部分からなり、これらはそれぞれ横方向に離間した２つの転向ローラの固定的に取り付けられた一対のローラ群の周りでそれぞれ転向するとともに、前記一対のローラ群の転向ローラ間において開口状の部分環状断片をそれぞれ形成するようにしてガイド機構内において変位可能なスライド部材上に回転式に取り付けられた制御ローラの周りを周回するよう配設される。
【０００８】
他方、推進装置および擦り付け装置の駆動軸または従軸の周りを周回する牽引要素は、それぞれ一対のローラ群の横方向に離間した２つの制御ローラの間に固定的に取り付けられた転向ローラの周りに開口状の部分環状断片を形成するとともにガイド機構内において変位可能なスライド部材上に回転式に取り付けられた一対のローラ群の周りをそれぞれ周回するよう配設される、２つの部分から形成することができる。両方の牽引要素の構成は作用としては相違のないものであるが、後に挙げた構成例はより大寸法のスライド部材を必要とする。
【０００９】
さらに、各対のローラ群に滑車装置のように別のローラを追加することも可能であり、これによってスライド部材の調節工程はさらに減速して実施することができる。
【００１０】
スライド部材はガイド機構内において各一対のローラ群の両回転軸に沿って延在する平面に対して垂直に調節可能とし、これによって対称関係を形成することが好適である。
【００１１】
取り付けを簡略化するために、スライド部材を収容するよう形成されたガイド機構をブックブロック綴じ込み装置の枠部材と結合することが好適である。
【００１２】
スライド部材は手動でまたは制御可能なモータによって駆動することができ、この際駆動は機械式または直線駆動によって実施することができる。
【００１３】
スライド部材は転向ローラまたはローラとは反対の側にモータによってまたは手動で駆動されるネジ切りスピンドルによってボルト固定されたネジ切りブシュを備えることが好適であり、これによって小型かつアクセスが容易な構造が達成される。
【００１４】
スライド部材を予め調節して牽引要素を引張するために、制御ローラまたは各対のローラ群をスライド部材上においてその移動方向に沿って位置調節可能な面板上に取り付けることが好適である。
【００１５】
次に、本発明の実施例につき添付図面を参照しながら説明するが、図面上には詳しい説明を省略した構成要素も含まれている。
【００１６】
【実施例】
図１には、推進装置３を使用してサドル板４上で擦り付け装置５の作用領域内へ搬送されるブックブロックの糊付けされた表面に本の表紙（図示されていない）を擦り付ける装置１が示されている。推進装置３は駆動軸６上に固定された駆動輪７と自由に回転し得るように支持された３つの転向輪８を備えており、これらの周りを例えばチェーンまたは歯形ベルトからなる牽引要素９が延在している。牽引要素９上に固定されたサドル板４はその搬送軌道内の全ての位置において一定の姿勢を保持し、その際水平の上縁面１０を備える。サドル板４の縁面１０上には、表紙に綴じ込むために準備されたブックブロックを側方からサドル板４へ搬送し、このブックブロックはサドル板４上にまたがるように配置される。このため、ブックブロック２は前縁部を下にしてブックブロックを中央で広げるブックブロックディバイダ（図示されていない）を介して下方の矢印Ｂの方向の推進装置３の受容位置に搬送され、ここでブックブロック２内に下から上に進入するサドル板４によって受容される。
【００１７】
サドル板４上に受容されたブックブロック２はまず接着剤塗布領域（図示されていない）を通過し、そこで接着剤塗布装置によって両方の外面に接着剤が塗布される。
【００１８】
側面を糊付けされたブックブロック２が接着剤塗布装置の上方に配置された擦り付け装置５または擦り付けステーションに到達する前に、表紙１２が上方を向いたブックブロック２の搬送軌道に対して垂直に側方から供給され、この際前記表紙はブックブロックの背部１４またはサドル板４に対して均等に接合する。この状態は図２に示されており、背部が丸まったブックブロック２が丸み付けられた表紙１２に擦り付けられる。この表紙はサドル板４の両側の表紙支持台１３上に設置されている。恒常的に周回する推進装置３のサドル板４はブックブロック背部１４を表紙１２の丸み付けられた背部補強材１５に接近または接合させる。その後、擦り付け装置５は、推進装置３と同じ速度まで加速するようにして上方へ進み始める。ブックブロック背部１４から表紙１２の背部補強材１５までの距離は、ブックブロック２が擦り付け装置の始動に際していくらか表紙１２内に進入するよう選択される。
【００１９】
その後、擦り付け装置５は逆方向に反転させられ、擦り付けローラは、表裏表紙１８，１９が表紙支持台１３によって降下させられ下方に旋回する間に、擦り付けローラ１６，１７の回転によりキノコ形の突出部および前裏表紙１８，１９を超えて糊付けされたブックブロック２に表紙１２を擦り付ける。このため、擦り付けローラ１６，１７はキノコ形の突出部を問題なく通過し得るよう側方からバネ支持される。
【００２０】
肩部寸法Ｘと、ブックブロック背部１４とキノコ形状にプレスして形成される継ぎ目２１との間の距離が可変であるため、擦り付け装置５の動作は多様なブックブロックの背部領域断面に適応することができる。
【００２１】
ブックブロック背部または本の背部が直線状である場合において同様な方式が実行される。
【００２２】
擦り付け装置５の駆動は、推進装置３の駆動軸６と結合されたレバー伝達装置２２を介して実施される。図１に示されるように、これは軸２３を備えており、これに、レバー伝達装置２２の駆動輪２４と、制御レバー６７を付勢し制御軌道を形成する回転式制御部材２５が取り付けられている。制御部材２５にはレバーアーム２６の自由端が制御ローラを介して接続しており、このレバーアーム２６は反対側に回転軸２７を備えたレバーアーム２８と固定的に結合され制御レバー６７を形成している。レバーアーム２８の自由端には接続棒２９がヒンジ接続され、その他方端はロッカ３０の一端に結合されている。ロッカ３０は、その回転軸３１の対向側において、連結器３２を介して擦り付け装置５の支持台３３と結合されている。支持台３３内には擦り付けローラ１６，１７が取り付けられている。
【００２３】
推進装置３の駆動軸６とレバー伝達装置２２の軸２３は、“ブラックボックス”として図示された牽引要素伝達装置３４によって結合されており、これは図３および図４により詳細に示されている。制御部材２５を軸２３上で苦労して調節する代わりに、牽引要素伝達装置３４によって、または推進装置３の駆動軸６とレバー伝達装置２２の軸２３との間のサーボ制御によって静止状態または稼動状態の双方において回転角度調整を実行することができる。
【００２４】
推進装置３の駆動軸６と軸２３上の駆動輪２４との間の駆動結合は牽引要素３５を介して実施され、これは例えばチェーンまたは歯形ベルトによって形成することができる。
【００２５】
ブックブロック背部１４を丸み付けすることによって、プレスの際にキノコ形の突出部の形状ならびに継ぎ目からブックブロック背部までの距離が決定され、また背部の形状は本の使用時に重要なものとなる。従って、擦り付け装置の擦り付けローラの動作を多様な本の背部領域断面ならびに継ぎ目の状態の変化に最適に対応させることが重要である。
【００２６】
図３および図４には、推進装置３と擦り付け装置（図１参照）との間の駆動結合内に設置される牽引要素伝達装置３４の一構成例が示されている。推進装置３の駆動軸６上に取り付けられた歯形ベルト輪７は牽引要素３５の駆動側に部分的に巻き付くとともに擦り付け装置５のレバー伝達装置２２の軸２３上に取り付けられた歯形ベルト輪２４とも駆動結合されている。軸６および２３を介して牽引要素３５が２つの部分３６，３７に区分され、これらに対して横方向に離間した２つの転向ローラ３８，３９あるいは４０，４１からなる固定された各一対のローラ群とその間に配置された変位可能な制御ローラ４２，４３とがそれぞれ割り当てられている。転向ローラ３８ないし４１または制御ローラ４２，４３の間において、牽引要素３５の断片３６，３７が向かい合って開口する部分環状断片４４，４５をそれぞれ形成し、その長さは変位可能な制御ローラ４２，４３によってそれぞれ変更される。
【００２７】
牽引要素３５の断片３６，３７の長さ変更によって、同期結合された軸６と軸２３との間において無段式の移送変更を実施することができ、これによって稼動中に擦り付け装置５の擦り付けローラ１６，１７をブックブロック背部領域の断面形状に対して最適に調整および再調整することが可能となる。図３の方向矢印Ａ，Ｂによって示されるように、ネジ切りスピンドル４７によってスライド部材４６をＸ＋方向に付勢する際、牽引要素断片３６の伸張または牽引要素断片３７の短縮が生じ、これは軸２３と駆動軸６の間の回転角に位相変化をもたらすよう作用する。スライド部材４６を反対方向Ｘ−に付勢することによって駆動軸６と軸２３との間に逆方向の位相変化が生じる。
【００２８】
位相変化は、駆動軸６および／または軸２３上に電動軸を設けることによっても実現することができるが、これは現在において非経済的であると判断される。
【００２９】
本発明に係る装置において、牽引要素断片３６，３７は転向ローラ３８ないし４１の外側部分に配置することもでき、従って制御ローラ４２，４３によって形成される環状断片は互いに反対方向を向いた開放端部を備え、これによって制御ローラ４２，４３はより近く、対の３８，３９；４０，４１はより遠くに離間配置される。全てのローラ３８ないし４１は自由に回転し得るように取り付けられ、この際転向ローラ３８ないし４１はブックブロック綴じ込み装置の枠部材（図示されていない）に固定された板部材４８上に取り付けられ、制御ローラ４２，４３は各一対の転向ローラ３８，３９あるいは４０，４１の両軸に沿って延在する平面に対して垂直に移動可能なスライド部材４６上に取り付けられる。板部材４８のローラ３８ないし４１と反対側の面には、スライド部材４６の縦軸の両側に配置された２本の平行ガイド棒４９が固定されており、スライド部材４６はこの上を移動することができる。このため、スライド部材４６は、それぞれ板部材４８の凹部５０に貫入する、離間して配置された２つの軸受けブシュ５１を有する支持部材５２と、ドライバ５３とを備え、このドライバ内にはネジ切りスピンドル４７が進入しており、このスピンドルは別の端部にギアモータ５４と駆動結合されたスプロケット５５を備えている。ネジ切りスピンドル４７は板部材４８上に固定された支持部材５６に取り付けられ、ギアモータ５４は板部材４８に結合されたホルダ５７上に取り付けられている。歯形ベルトとして形成された牽引要素３５を調整または引張するために、制御ローラはそれぞれ面板５８，５９上に取り付けられ、これらの面板５８，５９はスライド部材４６の推進方向に移動可能であるとともにロックすることもできる。このため、制御ローラ４２，４３は、ボルト６０によって面板５８，５９上に固定された軸ピン６１上に取り付けられ、この上に歯形ベルト輪４２，４３を取り付けるための２つの深溝玉軸受け６２を備えている。
【００３０】
歯形ベルト３５の締め付けはいずれも締め付けボルト６３によって実施され、これは頭部側が面板５８，５９の推進方向内側の前面部に隆起するとともに、スライド部材４６上の面板５８，５９の間にビーム６４が移動可能にボルト固定されている。面板５８，５９はそれぞれ４つのガイドスロット６５を備えており、これをスライド部材４６内に固定されボルト頭部の下側にワッシャを備えたロックボルト６６が貫通している。
【００３１】
牽引要素伝達装置３４を小型に構成するために、既存のブックブロック綴じ込み装置の推進装置３の駆動軸６と擦り付け装置５のレバー伝達装置２２の軸２３との間に追加的な固定式転向ローラ６８が配設される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ブックブロック綴じ込み装置の擦り付け装置を示す概略構成図である。
【図２】 ブックブロック綴じ込み装置の推進装置を擦り付け装置前方または擦り付け装置中で切断した部分断面図である。
【図３】 本発明の装置の牽引要素伝達装置を示す構成図である。
【図４】 図３の線IV−IVに沿った牽引要素伝達装置の断面図である。
【符号の説明】
１ 装置
２ ブックブロック
３ 推進装置
４ サドル板
５ 擦り付け装置
６ 駆動軸
７ 駆動輪
８ 転向輪
９ 牽引要素
１０ 縁面
１２ 表紙
１３ 表紙支持台
１４ 背部
１５ 背部補強材
１６，１７ 擦り付けローラ
１８，１９ 前裏表紙
２１ 継ぎ目
２２ レバー伝達装置
２３ 軸
２４ 駆動輪
２５ 制御部材
２６，２８ レバーアーム
２７ 回転軸
２９ 接続棒
３０ ロッカ
３２ 連結器
３３ 支持台
３４ 牽引要素伝達装置
３５ 牽引要素
３６，３７ 断片
３８，３９，４０，４１，６８ 転向ローラ
４２，４３ 制御ローラ
４６ スライド部材
４７ スピンドル
４８ 板部材
４９ ガイド棒
５０ 凹部
５１ 軸受けブシュ
５２ 支持部材
５３ ドライバ
５４ ギアモータ
５５ スプロケット
５６ 支持部材
５７ ホルダ
５８，５９ 面板
６０ ボルト
６１ 軸ピン
６２ 深溝玉軸受け
６３ 締め付けボルト
６４ ビーム
６５ ガイドスロット
６６ ロックボルト
６７ 制御レバー
【産業上の利用分野】
この発明は、ブックブロック綴じ込み装置内で表紙に綴じ込むブックブロックの糊付けされた外面に表紙を擦り付けるための装置に係り、周回式の推進装置と駆動結合して制御される擦り付け装置の擦り付け領域に対向して配置され、前記周回式の推進装置の上方に垂直移動するサドル板上で搬送されるブックブロックの糊付けされた外面に対して表紙を圧着する２つの擦り付けローラからなる。
【０００２】
【従来の技術】
ブックブロック綴じ込み装置内において搬送されるブックブロックに対する擦り付け装置の調節は、例えば欧州特許第ＥＰ−Ａ−０１９８２０１号公報およびＤＥ−Ａ−３７１３８９６号公報に記載されているように、機械を停止した上で時間の係る作業を行って可能となる。ここで、サドル板上を搬送されるブックブロックに対して擦り付けローラを的確に整合させるために、擦り付け装置の駆動系は主駆動系から解除する必要がある。
【０００３】
既知のブックブロック綴じ込み装置は複数対の擦り付けローラ群を備えることが可能であり、ここでブックブロックの推進方向において最も手前側の対の擦り付けローラ、またはブックブロックに対して最も早く作用する対の擦り付けローラがブックブロックに対して調節され、後続する対の擦り付けローラは単に擦り付け動作を実行する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、精密な擦り付け工程に対する手動の調節可能性に伴ったその他の問題点を回避するため、前述した種類の装置において、擦り付け装置の調節に際して前記の問題を完全に解消することができる構造的な改良を達成することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、推進装置と擦り付け装置との間の駆動接続内にサドル板の位置と擦り付け装置の位置状態との間の相対関係を無段式に変更するよう調節可能な牽引要素伝達装置を設けることによって解決される。
【０００６】
本発明に係る装置の好適な追加構成形態において、牽引要素伝達装置は例えばチェーンまたは歯型ベルト等の周回式の牽引要素によって一方で推進装置と他方で擦り付け装置と駆動結合され、これは既存の機械構造に対して簡単な取り付け操作によって適用することができる。
【０００７】
好適な実施例において、推進装置および擦り付け装置の駆動軸または従軸周りを周回する牽引要素は２つの部分からなり、これらはそれぞれ横方向に離間した２つの転向ローラの固定的に取り付けられた一対のローラ群の周りでそれぞれ転向するとともに、前記一対のローラ群の転向ローラ間において開口状の部分環状断片をそれぞれ形成するようにしてガイド機構内において変位可能なスライド部材上に回転式に取り付けられた制御ローラの周りを周回するよう配設される。
【０００８】
他方、推進装置および擦り付け装置の駆動軸または従軸の周りを周回する牽引要素は、それぞれ一対のローラ群の横方向に離間した２つの制御ローラの間に固定的に取り付けられた転向ローラの周りに開口状の部分環状断片を形成するとともにガイド機構内において変位可能なスライド部材上に回転式に取り付けられた一対のローラ群の周りをそれぞれ周回するよう配設される、２つの部分から形成することができる。両方の牽引要素の構成は作用としては相違のないものであるが、後に挙げた構成例はより大寸法のスライド部材を必要とする。
【０００９】
さらに、各対のローラ群に滑車装置のように別のローラを追加することも可能であり、これによってスライド部材の調節工程はさらに減速して実施することができる。
【００１０】
スライド部材はガイド機構内において各一対のローラ群の両回転軸に沿って延在する平面に対して垂直に調節可能とし、これによって対称関係を形成することが好適である。
【００１１】
取り付けを簡略化するために、スライド部材を収容するよう形成されたガイド機構をブックブロック綴じ込み装置の枠部材と結合することが好適である。
【００１２】
スライド部材は手動でまたは制御可能なモータによって駆動することができ、この際駆動は機械式または直線駆動によって実施することができる。
【００１３】
スライド部材は転向ローラまたはローラとは反対の側にモータによってまたは手動で駆動されるネジ切りスピンドルによってボルト固定されたネジ切りブシュを備えることが好適であり、これによって小型かつアクセスが容易な構造が達成される。
【００１４】
スライド部材を予め調節して牽引要素を引張するために、制御ローラまたは各対のローラ群をスライド部材上においてその移動方向に沿って位置調節可能な面板上に取り付けることが好適である。
【００１５】
次に、本発明の実施例につき添付図面を参照しながら説明するが、図面上には詳しい説明を省略した構成要素も含まれている。
【００１６】
【実施例】
図１には、推進装置３を使用してサドル板４上で擦り付け装置５の作用領域内へ搬送されるブックブロックの糊付けされた表面に本の表紙（図示されていない）を擦り付ける装置１が示されている。推進装置３は駆動軸６上に固定された駆動輪７と自由に回転し得るように支持された３つの転向輪８を備えており、これらの周りを例えばチェーンまたは歯形ベルトからなる牽引要素９が延在している。牽引要素９上に固定されたサドル板４はその搬送軌道内の全ての位置において一定の姿勢を保持し、その際水平の上縁面１０を備える。サドル板４の縁面１０上には、表紙に綴じ込むために準備されたブックブロックを側方からサドル板４へ搬送し、このブックブロックはサドル板４上にまたがるように配置される。このため、ブックブロック２は前縁部を下にしてブックブロックを中央で広げるブックブロックディバイダ（図示されていない）を介して下方の矢印Ｂの方向の推進装置３の受容位置に搬送され、ここでブックブロック２内に下から上に進入するサドル板４によって受容される。
【００１７】
サドル板４上に受容されたブックブロック２はまず接着剤塗布領域（図示されていない）を通過し、そこで接着剤塗布装置によって両方の外面に接着剤が塗布される。
【００１８】
側面を糊付けされたブックブロック２が接着剤塗布装置の上方に配置された擦り付け装置５または擦り付けステーションに到達する前に、表紙１２が上方を向いたブックブロック２の搬送軌道に対して垂直に側方から供給され、この際前記表紙はブックブロックの背部１４またはサドル板４に対して均等に接合する。この状態は図２に示されており、背部が丸まったブックブロック２が丸み付けられた表紙１２に擦り付けられる。この表紙はサドル板４の両側の表紙支持台１３上に設置されている。恒常的に周回する推進装置３のサドル板４はブックブロック背部１４を表紙１２の丸み付けられた背部補強材１５に接近または接合させる。その後、擦り付け装置５は、推進装置３と同じ速度まで加速するようにして上方へ進み始める。ブックブロック背部１４から表紙１２の背部補強材１５までの距離は、ブックブロック２が擦り付け装置の始動に際していくらか表紙１２内に進入するよう選択される。
【００１９】
その後、擦り付け装置５は逆方向に反転させられ、擦り付けローラは、表裏表紙１８，１９が表紙支持台１３によって降下させられ下方に旋回する間に、擦り付けローラ１６，１７の回転によりキノコ形の突出部および前裏表紙１８，１９を超えて糊付けされたブックブロック２に表紙１２を擦り付ける。このため、擦り付けローラ１６，１７はキノコ形の突出部を問題なく通過し得るよう側方からバネ支持される。
【００２０】
肩部寸法Ｘと、ブックブロック背部１４とキノコ形状にプレスして形成される継ぎ目２１との間の距離が可変であるため、擦り付け装置５の動作は多様なブックブロックの背部領域断面に適応することができる。
【００２１】
ブックブロック背部または本の背部が直線状である場合において同様な方式が実行される。
【００２２】
擦り付け装置５の駆動は、推進装置３の駆動軸６と結合されたレバー伝達装置２２を介して実施される。図１に示されるように、これは軸２３を備えており、これに、レバー伝達装置２２の駆動輪２４と、制御レバー６７を付勢し制御軌道を形成する回転式制御部材２５が取り付けられている。制御部材２５にはレバーアーム２６の自由端が制御ローラを介して接続しており、このレバーアーム２６は反対側に回転軸２７を備えたレバーアーム２８と固定的に結合され制御レバー６７を形成している。レバーアーム２８の自由端には接続棒２９がヒンジ接続され、その他方端はロッカ３０の一端に結合されている。ロッカ３０は、その回転軸３１の対向側において、連結器３２を介して擦り付け装置５の支持台３３と結合されている。支持台３３内には擦り付けローラ１６，１７が取り付けられている。
【００２３】
推進装置３の駆動軸６とレバー伝達装置２２の軸２３は、“ブラックボックス”として図示された牽引要素伝達装置３４によって結合されており、これは図３および図４により詳細に示されている。制御部材２５を軸２３上で苦労して調節する代わりに、牽引要素伝達装置３４によって、または推進装置３の駆動軸６とレバー伝達装置２２の軸２３との間のサーボ制御によって静止状態または稼動状態の双方において回転角度調整を実行することができる。
【００２４】
推進装置３の駆動軸６と軸２３上の駆動輪２４との間の駆動結合は牽引要素３５を介して実施され、これは例えばチェーンまたは歯形ベルトによって形成することができる。
【００２５】
ブックブロック背部１４を丸み付けすることによって、プレスの際にキノコ形の突出部の形状ならびに継ぎ目からブックブロック背部までの距離が決定され、また背部の形状は本の使用時に重要なものとなる。従って、擦り付け装置の擦り付けローラの動作を多様な本の背部領域断面ならびに継ぎ目の状態の変化に最適に対応させることが重要である。
【００２６】
図３および図４には、推進装置３と擦り付け装置（図１参照）との間の駆動結合内に設置される牽引要素伝達装置３４の一構成例が示されている。推進装置３の駆動軸６上に取り付けられた歯形ベルト輪７は牽引要素３５の駆動側に部分的に巻き付くとともに擦り付け装置５のレバー伝達装置２２の軸２３上に取り付けられた歯形ベルト輪２４とも駆動結合されている。軸６および２３を介して牽引要素３５が２つの部分３６，３７に区分され、これらに対して横方向に離間した２つの転向ローラ３８，３９あるいは４０，４１からなる固定された各一対のローラ群とその間に配置された変位可能な制御ローラ４２，４３とがそれぞれ割り当てられている。転向ローラ３８ないし４１または制御ローラ４２，４３の間において、牽引要素３５の断片３６，３７が向かい合って開口する部分環状断片４４，４５をそれぞれ形成し、その長さは変位可能な制御ローラ４２，４３によってそれぞれ変更される。
【００２７】
牽引要素３５の断片３６，３７の長さ変更によって、同期結合された軸６と軸２３との間において無段式の移送変更を実施することができ、これによって稼動中に擦り付け装置５の擦り付けローラ１６，１７をブックブロック背部領域の断面形状に対して最適に調整および再調整することが可能となる。図３の方向矢印Ａ，Ｂによって示されるように、ネジ切りスピンドル４７によってスライド部材４６をＸ＋方向に付勢する際、牽引要素断片３６の伸張または牽引要素断片３７の短縮が生じ、これは軸２３と駆動軸６の間の回転角に位相変化をもたらすよう作用する。スライド部材４６を反対方向Ｘ−に付勢することによって駆動軸６と軸２３との間に逆方向の位相変化が生じる。
【００２８】
位相変化は、駆動軸６および／または軸２３上に電動軸を設けることによっても実現することができるが、これは現在において非経済的であると判断される。
【００２９】
本発明に係る装置において、牽引要素断片３６，３７は転向ローラ３８ないし４１の外側部分に配置することもでき、従って制御ローラ４２，４３によって形成される環状断片は互いに反対方向を向いた開放端部を備え、これによって制御ローラ４２，４３はより近く、対の３８，３９；４０，４１はより遠くに離間配置される。全てのローラ３８ないし４１は自由に回転し得るように取り付けられ、この際転向ローラ３８ないし４１はブックブロック綴じ込み装置の枠部材（図示されていない）に固定された板部材４８上に取り付けられ、制御ローラ４２，４３は各一対の転向ローラ３８，３９あるいは４０，４１の両軸に沿って延在する平面に対して垂直に移動可能なスライド部材４６上に取り付けられる。板部材４８のローラ３８ないし４１と反対側の面には、スライド部材４６の縦軸の両側に配置された２本の平行ガイド棒４９が固定されており、スライド部材４６はこの上を移動することができる。このため、スライド部材４６は、それぞれ板部材４８の凹部５０に貫入する、離間して配置された２つの軸受けブシュ５１を有する支持部材５２と、ドライバ５３とを備え、このドライバ内にはネジ切りスピンドル４７が進入しており、このスピンドルは別の端部にギアモータ５４と駆動結合されたスプロケット５５を備えている。ネジ切りスピンドル４７は板部材４８上に固定された支持部材５６に取り付けられ、ギアモータ５４は板部材４８に結合されたホルダ５７上に取り付けられている。歯形ベルトとして形成された牽引要素３５を調整または引張するために、制御ローラはそれぞれ面板５８，５９上に取り付けられ、これらの面板５８，５９はスライド部材４６の推進方向に移動可能であるとともにロックすることもできる。このため、制御ローラ４２，４３は、ボルト６０によって面板５８，５９上に固定された軸ピン６１上に取り付けられ、この上に歯形ベルト輪４２，４３を取り付けるための２つの深溝玉軸受け６２を備えている。
【００３０】
歯形ベルト３５の締め付けはいずれも締め付けボルト６３によって実施され、これは頭部側が面板５８，５９の推進方向内側の前面部に隆起するとともに、スライド部材４６上の面板５８，５９の間にビーム６４が移動可能にボルト固定されている。面板５８，５９はそれぞれ４つのガイドスロット６５を備えており、これをスライド部材４６内に固定されボルト頭部の下側にワッシャを備えたロックボルト６６が貫通している。
【００３１】
牽引要素伝達装置３４を小型に構成するために、既存のブックブロック綴じ込み装置の推進装置３の駆動軸６と擦り付け装置５のレバー伝達装置２２の軸２３との間に追加的な固定式転向ローラ６８が配設される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ブックブロック綴じ込み装置の擦り付け装置を示す概略構成図である。
【図２】 ブックブロック綴じ込み装置の推進装置を擦り付け装置前方または擦り付け装置中で切断した部分断面図である。
【図３】 本発明の装置の牽引要素伝達装置を示す構成図である。
【図４】 図３の線IV−IVに沿った牽引要素伝達装置の断面図である。
【符号の説明】
１ 装置
２ ブックブロック
３ 推進装置
４ サドル板
５ 擦り付け装置
６ 駆動軸
７ 駆動輪
８ 転向輪
９ 牽引要素
１０ 縁面
１２ 表紙
１３ 表紙支持台
１４ 背部
１５ 背部補強材
１６，１７ 擦り付けローラ
１８，１９ 前裏表紙
２１ 継ぎ目
２２ レバー伝達装置
２３ 軸
２４ 駆動輪
２５ 制御部材
２６，２８ レバーアーム
２７ 回転軸
２９ 接続棒
３０ ロッカ
３２ 連結器
３３ 支持台
３４ 牽引要素伝達装置
３５ 牽引要素
３６，３７ 断片
３８，３９，４０，４１，６８ 転向ローラ
４２，４３ 制御ローラ
４６ スライド部材
４７ スピンドル
４８ 板部材
４９ ガイド棒
５０ 凹部
５１ 軸受けブシュ
５２ 支持部材
５３ ドライバ
５４ ギアモータ
５５ スプロケット
５６ 支持部材
５７ ホルダ
５８，５９ 面板
６０ ボルト
６１ 軸ピン
６２ 深溝玉軸受け
６３ 締め付けボルト
６４ ビーム
６５ ガイドスロット
６６ ロックボルト
６７ 制御レバー
Claims (12)
- ブックブロック綴じ込み装置内で表紙（１２）に綴じ込むブックブロック（２）の糊付けされた外面に表紙（１２）を擦り付けるための装置（１）であり、周回式の推進装置（３）と駆動結合して制御される擦り付け装置（５）の擦り付け領域内に対向して配置され、上方に垂直移動する前記周回式の推進装置（３）のサドル板（４）上で搬送されるブックブロック（２）の糊付けされた外面に対して本の表紙（１２）の表裏面（１８，１９）を圧着する２つの擦り付けローラ（１６，１７）からなり、推進装置（３）と擦り付け装置（５）との間の駆動接続内にサドル板（４）の位置と擦り付け装置（５）の位置状態との間の相対関係を無段式に変更するよう調節可能な牽引要素伝達装置（３４）を設けることを特徴とする装置。
- 牽引要素伝達装置（３４）は周回式の牽引要素を介して一方で推進装置（３）の駆動軸（６）と他方で擦り付け装置（５）に付属する軸（２３）と駆動結合されることを特徴とする請求項１記載の装置。
- 軸（２３）は制御されたレバー伝達装置（２２）を介して擦り付け装置（５）と接続されることを特徴とする請求項１または２記載の装置。
- 推進装置（３）および擦り付け装置（５）の駆動軸または従軸（６）の周りを周回する牽引要素（３５）は２つの部分（３６，３７）から形成されていて、それらがそれぞれ横方向に離間した２つの転向ローラ（３８，３９；４０，４１）からなる固定的に取り付けられた一対のローラ群の周りでそれぞれ転向するとともに、前記一対のローラ群の転向ローラ（３８，３９；４０，４１）間において牽引要素（３５）の開口状の部分環状断片（４４，４５）をそれぞれ形成するようにしてガイド機構内において変位可能なスライド部材（４６）上に回転式に取り付けられた制御ローラ（４２，４３）の周りを周回するよう配設されることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の装置。
- 推進装置（３）および擦り付け装置（５）の駆動軸または従軸（６）の周りを周回する牽引要素（３５）は２つの部分から形成されていて、それらがそれぞれ一対のローラ群の横方向に離間した２つの制御ローラの間に固定的に取り付けられた転向ローラの周りに開口状の部分環状断片をそれぞれ形成するとともにガイド機構内において変位可能なスライド部材上に回転式に取り付けられた一対のローラ群の周りをそれぞれ周回するよう配設されることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の装置。
- 転向ローラ（３８，３９；４０，４１）と制御ローラ（４２，４３）との間の牽引要素（３５）の部分（３６，３７）はスライド部材（４６）の位置調節によって長さ変更が可能な開口状の部分環状断片（４４，４５）として形成されることを特徴とする請求項４または５記載の装置。
- スライド部材（４６）はガイド機構内において各一対のローラ群（３８，３９；４０，４１）の両回転軸に沿って延在する平面に対して垂直に変位可能である請求項６記載の装置。
- スライド部材（４６）を収容するよう形成されたガイド機構をブックブロック綴じ込み装置の枠部材と結合することを特徴とする請求項４ないし７のいずれかに記載の装置。
- スライド部材は制御可能なモータ（５４）に駆動結合することを特徴とする請求項４ないし８のいずれかに記載の装置。
- スライド部材（４６）は転向ローラ（３８ないし４１）または制御ローラ（４２，４３）とは反対の側にモータによって駆動されるネジ切りスピンドル（４７）によってボルト固定されたネジ切りブシュを備えることを特徴とする請求項９記載の装置。
- 制御ローラ（４２，４３）は、スライド部材の位置を調節し、および／または牽引要素（３５）をスライド部材（４６）上に締め付けるためにスライド部材の移動方向に沿って変位可能な面板（５８，５９）上に取り付けることを特徴とする請求項４ないし１０のいずれかに記載の装置。
- 擦り付け装置（５）はブックブロック（２）の推進方向に見て離間して配置された少なくとも２対の擦り付けローラ群（１６，１７）を備え、ブックブロック（２）の推進方向において最も手前側の擦り付け装置（１６，１７）がサドル板（４）の位置と擦り付け装置（５）の位置状態の間の相対関係を変更するために設けられることを特徴とする請求項１ないし１１のいずれかに記載の装置。
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