JPH037108Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、洗浄液にて洗浄された回転盤および
各種の成形要素を、成形室内で乾燥させる機能を
備えた回転式粉末圧縮成形機に関する。

〔従来技術〕

例えば回転式打錠機等の粉末圧縮成形機では、
回転盤の臼内に粉末を充填し、この粉末を上下の
杵で圧縮成形しているため、成形中、粉末が回転
盤、臼および杵を始めとして、回転盤の周囲に配
置された各種の成形要素に飛散して付着する。こ
のため、粉末の種類を変えて他の成形品を成形す
る場合には、上記回転盤等の各種の部品や成形要
素を洗浄液にて洗浄し、付着した粉末を除去する
必要がある。

この洗浄を行なうに当たつて、各種の部品や成
形要素を一つ一つ手作業で洗浄していたのでは、
作業に非常に手間が掛り、かつ面倒でもあるた
め、本出願人は回転盤や成形要素を収容した成形
室を液密構造として、一連の圧縮成形完了後に、
この成形室内に少なくとも上側の杵が漬かる高さ
位置にまで洗浄液を供給し、この液浴下において
回転式圧縮成形機を駆動することで、各種の部品
や成形要素を一体に洗浄する方法を開発し、既に
「特願昭60−236373号」として出願を完了してい
る。

そして、この洗浄方法では、洗浄液による洗浄
後に、成形室内に乾燥用空気を供給して、上記各
種の部品や成形要素を乾燥させることが行なわれ
ている。

〔問題点を解決するための手段〕

ところが、上記先行技術では、乾燥用空気を成
形室の一箇所から集中して送り込んでいるため
に、乾燥用空気が複雑な形状を有する回転盤や成
形要素の隅々にまで行き亙らないことが多く、こ
のため、乾燥効率が悪く、乾燥作業に時間を要す
るといつた不具合がある。

本考案はこのような事情にもとづいてなされた
もので、乾燥効率が極めて良好で、乾燥に要する
時間を短縮することができ、しかも、乾燥用空気
の供給系路と洗浄液の排出系路を共通化できる回
転式粉末圧縮成形機の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本考案においては、機体に密閉された
成形室を設け、この成形室内に、臼や杵を支持す
る回転盤を収容するとともに、この回転盤の周囲
に各種の成形要素を配置し、これら回転盤および
成形要素を、一連の圧縮成形動作の完了後に上記
成形室内で洗浄液にて洗浄し、この洗浄後に成形
室内に乾燥用空気を供給するようにした回転式粉
末圧縮成形機において、 上記成形室の底面に、この成形室に臨む上面が
開口され、しかも上記回転盤の周囲を連続して取
り囲む送風通路を設け、この送風通路に切換え手
段を介して乾燥用空気の供給源と排水通路を接続
するとともに、この送風通路の上面開口部に多数
の小孔を備えた多孔板を設置し、かつ上記成形室
の上端部には、乾燥用空気の排出口を設けたこと
を特徴としている。

〔作 用〕

この機構によれば、送風通路内に乾燥用空気が
供給されると、この送風通路の上面開口部には多
孔板が設置されているので、乾燥用空気はこの多
孔板に案内されて送風通路の全体に行き亘り、上
記多孔板上の小孔を通じて成形室内に向つて略均
一な圧力噴出する。この場合、送風通路は、成形
室の底面において回転盤の周囲を連続して取り囲
むように設けられているので、乾燥用空気は成形
室の底面から回転盤やその周囲に位置する成形要
素を包み込むようにして吹き出す。

このため、先の液体洗浄によつて濡れたままと
なつている回転盤や成形要素は、乾燥用空気の流
れに満遍なくさらされることになり、これら回転
盤や成形要素が強制的に乾燥される。そして、こ
の成形室内を上昇する乾燥用空気は、成形室の上
端部に達した後、排出口を通じて成形室の外部に
排出される。

したがつて、成形室の内面を始めとして、回転
盤や成形要素は、乾燥用空気に斑なく確実に接触
することになり、その分、乾燥効率が向上する。

また、洗浄液は、小孔を通じて送風通路内にも
流れ込むので、切換え手段を介して送風通路と水
通路を連通させれば、送風通路を通じて成形室内
に供給された洗浄液を排出することができる。

このため、洗浄液の排出系路と乾燥用空気の供
給系路を共通化できるので、機体の回りに数多く
の配管を引き回す必要もなく、その分、構造を簡
略化することができる。それとともに、機体回り
に広い配管用のスペースを確保する必要性もなく
なるから、成形機全体をコンパクト化することが
できる。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を、回転式打錠機に適用
した図面にもとづいて説明する。

第１図中符号１で示す回転式打錠機の機体は、
モータ２および減速機３を収容した下部フレーム
４、この下部フレーム４の上方に図示しない柱を
介して支持された上部フレーム５、およびこれら
上下のフレーム４，５間に開閉自在に支持された
複数の扉６とで構成され、この機体１の内部には
外方とは液密に区画された成形室７が設けられて
いる。

成形室７の内部には回転軸８が垂直方向に沿つ
て縦置きされており、この回転盤８の上下端部は
下部フレーム４および上部フレーム５に夫々軸受
９を介して回転自在に支持されているとともに、
その下端部は下部フレーム４内に導出されて、上
記減速機３の出力軸１０に連結されている。

回転軸８の外周には、これと一体に回転する回
転盤１１が取付けられている。この回転盤１１は
回転軸８の軸方向に離間した三箇所に、第１ない
し第３のフランジ部１２，１３，１４を同軸状に
備えており、その中間に位置する第２のフランジ
部１３の外周部には、数個から数十個の臼１５が
周方向に間隔を存して取付けられている。また、
第１のフランジ部１２には、臼１５の臼孔１５ａ
に上側から挿脱される上杵１６が支持されている
とともに、第３のフランジ部１４には臼孔１５ａ
内に下側から挿入される下杵１７が支持されてお
り、この下杵１７は臼孔１５ａの底を構成してい
る。

一方、上記成形室７内には、回転盤１１の周囲
に位置して各種の成形要素、つまり例えば上杵１
６の上下動を案内する上杵案内軌道１８、下杵１
７の上下動を案内する下杵案内軌道１９、この下
杵案内軌道１９を下部フレーム４上に支持する軌
道支持台２０、および回転盤１１の回転に伴つて
上杵１６と下杵１７が成形ポジシヨンに移動され
てきた際に、これら両杵１６，１７を上下方向に
押圧する加圧ローラ２１，２２が設置されてお
り、上側の加圧ローラ２１は上部フレーム５に支
持されているとともに、下側の加圧ローラ２２は
軌道支持台２０に隣接して設けたローラ支持台２
３に支持されている。

なお、成形要素としては上述の各種部品ばかり
でなく、その他図示しないが臼孔１５ａ内に粉末
を導く粉末供給器、回転盤１１上から成形品を取
出すスクレーパ、このスクレーパに連続して成形
室７の外方に成形品を導くシユート等があること
は勿論である。

ところで、上記成形室７の底面７ａを構成する
下部フレーム４の上面には、軌道支持台２０より
も外側に位置して、上記回転盤１１の周囲を連続
して取り囲む溝２４が形成されている。この溝２
４には機体１の外方に導出される連通管２５が接
続されており、この連通管２５には排水通路２７
および乾燥用空気の供給源となる熱風発生器２６
が、三方切換弁２８を介して接続されている。し
たがつて、三方切換弁２８を介して熱風発生器２
６と連通管２５とを連通させると、溝２４内に乾
燥用空気としての熱風が送風されるようになつて
おり、本実施例の場合はこの溝２４が熱風の送風
通路２９を構成している。そして、この溝２４は
成形室７に臨む上面が開口されており、この上面
開口部は着脱可能な多孔板３０によつて覆われて
いる。多孔板３０には多数の小孔３１が開設され
ており、これら小孔３１を通じて成形室７と送風
通路２９とが連通されている。

また、成形室７の上端部、本実施例の場合は成
形室７の天井面となる上部フレーム５には、成形
室７に開口する排出口３３が開設されており、こ
の排出口３３には一端が成形室７に臨み、かつ他
端が機体１の外部に開口する排気管３４が取付け
られている。さらに、この上部フレーム５には成
形室７に一端を臨ませて供給管３５が取付けられ
ており、この供給管３５の他端は図示しないポン
プ等を介して洗浄液タンク３６に連通されてい
る。

次に、所定の圧縮成形動作の完了後になされる
洗浄およびこの洗浄に引き続いて行なわれる乾燥
作業について説明する。

まず、洗浄の開始に先立ち、扉６を閉じて成形
室７を密閉するとともに、三方切換弁２８を操作
して連通管２５を閉じる。そして、成形品の成形
時と同様に、回転盤１１に臼１５や上下の杵１
６，１７を取付けたままの状態で、しかも、この
回転盤１１の周囲に各種の成形要素を配置したま
まの状態で、これらを収容した成形室７内に供給
管３５を通じて洗浄液を供給し、少なくとも上杵
１６が漬かる高さ位置にまで洗浄液を満たす。

次に、このような液浴下においてモータ２を動
作させて、回転盤１１を回転駆動させる。この回
転盤１１の回転により粉末の圧縮成形時と同様な
動作がなされ、このことにより洗浄液中に浸漬さ
れた回転盤１１、臼１５、上下の杵１６，１７、
および各種の成形要素が洗浄液との接触によつて
自動的に洗浄される。そして、この液浴洗浄が終
了したならば、三方切換弁２８を操作して連通管
２５と排水通路２７とを連通させ、成形室７内の
汚れた洗浄液を小孔３１から送風通路２９を通じ
て連通管２５に導き、成形室７の外部に排出す
る。

このようにして洗浄液の排出が完了したなら
ば、熱風発生器２６を動作させるとともに、三方
切換弁２８を切換えて連通管２５と熱風発生器２
６とを連通させる。すると、熱風が送風通路２９
内に供給されるが、この送風通路２９の成形室７
への開口部は、多孔板３０によつて覆われている
ので、熱風が連通管２５との接続部の近傍から集
中的に成形室７内に噴出することはなく、上記多
孔板３０に案内されて送風通路２９の全体に行き
亙り、この多孔板３０上の小孔３１を通じて成形
室７内に略均一な圧力で噴出する。

しかも、送風通路２９は、成形室７の底面７ａ
において回転盤１１の周囲を連続して取り囲むよ
うに設けられているので、乾燥用の熱風は、成形
室７の底面７ａから回転盤１１やその周囲に位置
する各種の成形要素を包み込むようにして吹き上
がる。

このため、先の液体洗浄によつて濡れたままと
なつている回転盤１１や成形要素は、上記乾燥用
の熱風の流れに満遍なくさらされることになり、
これら回転盤１１や成形要素が速やかに強制乾燥
される。そして、成形室７内を上昇する熱風は、
この成形室７の上端にまで達した後、ここに開口
する排気管３４を通じて機体１の外方に排出され
る。

このような本考案の一実施例によれば、乾燥用
の熱風は、乾燥を必要とする回転盤１１や成形要
素を包み込むようにして成形室７内に吹き上が
り、成形室７の隅々にまで満遍なく行き亘ること
になる。このため、成形室７の内面や回転盤１１
および各種の成形要素は確実かつ満遍なく熱風に
さらされることになり、その分、乾燥効率が向上
して、乾燥に要する時間を短縮することができ
る。

しかも、三方切換弁２８を操作して排水通路２
７と送風通路２９を連通させれば、成形室７内の
洗浄液を送風通路２９を利用して外方に排出する
ことができ、洗浄液の排出系路と乾燥用空気の供
給系路を共通化することができる。

このため、機体１の周囲に数多くの配管類を引
き回す必要もなく、その分、成形機の構造を簡略
化して、安価に提供することができる。それとと
もに、機体１の周囲に配管類を通すための広いス
ペースを確保する必要性もなくなるから、成形機
全体をコンパクト化することができる。

また、送風通路２９の上面開口部を覆う多孔板
３０は着脱可能であるから、送風通路２９内に異
物や入込んだとしても速やかに除去できるととも
に、送風通路２９内の清掃作業も容易に行なうこ
とができる。

なお、上述した実施例では、回転盤に臼や杵を
取付けたままの状態で洗浄および挟燥を行なうよ
うにしたが、本考案にこれに限らず、回転盤から
臼や杵を取外した状態で、洗浄および乾燥を行な
うようにしても良いし、洗浄手段も液浴式に特定
されず、例えば洗浄液を吹き付けるようにしても
良い。

また、送風通路は、下部フレームに設けた溝に
よつて構成されるものに限らず、例えば下部フレ
ームの上面に、成形室に臨む上面が開口された樋
状の部材を、回転盤の周囲を連続して取り囲むよ
うに設け、この樋状部材の内側空間を送風通路と
しても良い。

また、排気管も上部フレームに設けるものに限
らず、場合によつては扉の上端部に設けても良
い。

〔考案の効果〕

以上詳述した本考案によれば、乾燥用空気は、
乾燥を必要とする回転盤やその周囲に位置する各
種の成形要素を包む込むようにして成形室内に吹
き上がるので、これら回転盤や成形要素は、乾燥
用空気の流れに斑なく満遍なくさらされる。この
ため、成形室内での乾燥効率が極めて良好とな
り、乾燥に要する時間を短縮することができる。

しかも、切換え手段を操作して排水通路と送風
通路を連通させれば、成形室内の洗浄液を送風通
路を利用して外方に排出することができ、洗浄液
の排出系路と乾燥用空気の供給系路を共通化する
ことができる。このため、機体の周囲に数多くの
配管類を引き回す必要もなく、その分、成形機の
構造を簡略化して、安価に提供することができ
る。それとともに、機体の周囲に配管を通す広い
スペースを確保する必要性もなくなるから、成形
機全体のコンパクト化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図であ
る。 １……機体、７……成形室、１１……回転盤、
１５……臼、１６，１７……杵（上杵、下杵）、
１８……上杵案内軌道、１９……下杵案内軌道、
２０……軌道支持台、２１，２２……加圧ロー
ラ、２３……ローラ支持台、２６……供給源（熱
風発生器）、２８……切換え手段（三方切換弁）、
２９……送風通路、３０……多孔板、３１……小
孔、３３……排出口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 機体に、密閉された成形室を設け、この成形室
   内に、臼や杵を支持する回転盤を収容するととも
   に、この回転盤の周囲に各種の成形要素を配置
   し、これら回転盤および成形要素を、一連の圧縮
   成形動作の完了後に上記成形室内で洗浄液にて洗
   浄し、この洗浄後に成形室内に乾燥用空気を供給
   するようにした回転式粉末圧縮成形機において、 上記成形室の底面に、この成形室に臨む上面が
   開口され、しかも上記回転盤の周囲を連続して取
   り囲む送風通路を設け、この送風通路に切換え手
   段を介して乾燥用空気の供給源と排水通路を接続
   するとともに、この送風通路の上面開口部に多数
   の小孔を備えた多孔板を設置し、かつ上記成形室
   の上端部には、乾燥用空気の排出口を設けたこと
   を特徴とする回転式粉末圧縮成形機。