JPH036844B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は摩擦疵の発生が少なく成品精度が高い
Ｈ形鋼の圧延に好適なローラガイドに関する。

（従来の技術） 従来、Ｈ形鋼の圧延については圧延ロールの前
後に圧延材のウエブ部分を案内誘導するウエブガ
イドを設置していたが、圧延材先端部におけるフ
ランジの片延びやフランジの内狭まり等により圧
延材のフランジ部分が圧延ロール孔型に噛み込む
ことや、圧延材が反りを起しウエブガイドと摩擦
して疵を発生させること等が成品精度低下の主な
原因となつていた。一方、寸法精度を高めるため
にウエブガイドの上下の〓間を狭く設定して、こ
れら圧延材の圧延前変形を整形し圧延ロール孔型
に正確に案内しようとすると、フリクシヨンガイ
ドであるためにガイドと圧延材との摩擦が増加し
て成品のウエブ部全面に摩擦疵が発生すること
や、最悪の場合にはウエブガイドに圧延材が詰ま
る等の問題があり、やむを得ずウエブガイドの〓
間を広く設定していた。また、巾方向の〓間につ
いてはウエブガイドの外側面で圧延材のフランジ
部分を案内していたが、ウエブガイド外側面と圧
延材のフランジ部分との巾方向の〓間を狭く設定
すると摩擦疵が発生するためにウエブガイドと圧
延材の巾方向の〓間をやむを得ず広く設定して圧
延していた。このため圧延材の巾方向の振れを規
制することができず、ウエブガイドと圧延材のウ
エブの円弧部分とが摩擦して圧延材に疵がついた
り、圧延材が水平ロールに正確に噛み込まないた
めに水平ロールの円弧部分が圧延材のフランジを
削り取り、水平ロールに焼付を発生させる等の原
因となつていた。

また、周知のように形鋼は多品種少量生産であ
り、圧延サイズ換えを頻繁に行なうことが多く、
従来は圧延する形鋼のサイズに合せてサイズ換え
毎にガイドチエンジをしており、これらサイズ変
えに要する圧延休止時間が長く圧延設備の稼動率
を低下させる原因となつていたこと、圧延サイズ
毎にガイドを準備しなくてはならないことから、
その購入費用や維持整備に要する費用が大きな負
担となつている。これらの問題を解決する手段と
して、従来次のような方法があつた。

第１例として、上下ウエブガイドを各々中央
部、左・右の両側部に３分割してボルトにより固
定し、圧延サイズ毎に各々寸法の異なる中央部と
両側部分との組合せを変更することにより圧延サ
イズの変更を行い、従来の圧延サイズ毎にガイド
を準備しなければならなかつた欠点を解決しよう
とするもの（特開昭第53−56149号）がある。

第２例として、ウエブガイドを中心から左右に
２分割し、互いにねじのリードが逆のスピンドル
とスピンドルに螺合するナツトによつて左右のウ
エブガイドを連結し、ナツトを回動することによ
り巾方向にその寸法を調整可能として圧延サイズ
の変更に対応しようとするもの（実開昭第52−
72538号）がある。

第３の例としては、ウエブガイド側縁部を切欠
いてローラを設け、該ローラの外側端面にＨ形鋼
のウエブ円弧部と相似の円弧部を設けて圧延材を
ローラにより案内し、従来のフリクシヨンガイド
による摩擦を防止することによつて疵の発生を解
消しようとするもの（実公昭第57−45047号）が
ある。

（発明が解決しようとする課題） 上述の従来例には各々改良点を見出し得るが、
未解決の問題が残されている。

第１例については、ウエブガイドを特に摩耗し
易い左右部分と中央部との３部分に分割してこれ
ら３部分をボルトにより組合せ固定することによ
り圧延サイズを可変に構成し、圧延サイズの変更
は各々複数種類の中央部と左右部分とを圧延サイ
ズに合せて準備しておき、その組合せにより対応
しようとするものであるが、ガイドを圧延サイズ
毎に準備しなくてよい利点があるものの、中央部
分と両側部分を圧延サイズに合せて一定数量準備
しなくてはならないことや、サイズ換え毎に中央
部分との組合せを変更しなくてはならないことな
どから、ガイド購入費用の低減や維持整備に要す
る費用の低減等の問題について根本的解決とはな
らなかつた。

第２例については、ガイドの巾が調整可能であ
ることから圧延サイズ毎にウエブガイドを準備す
る必要がないものの、フリクシヨンガイドである
ことから圧延材のウエブ部分とガイドとの摩擦疵
を防止することや、圧延材の振れによつて圧延材
が圧延ロールに正確に案内されずに圧延ロール孔
型に噛みこんで焼付を起すこと等を防止すること
ができなかつた。

第３例はウエブガイドにローラを設けて圧延材
を案内誘導するものであるが、ローラは横ローラ
のみであつて、圧延材のウエブ部分の保持を目的
としており、圧延材の巾方向を正確に案内誘導す
る機能に乏しく、ローラ端面を圧延材のウエブ円
弧部と相似な形状とすることにより、該円弧部で
圧延材の巾方向の案内をするよう考慮されている
ものの、圧延材が巾方向に振れた場合すなわち蛇
行した場合や、圧延材のフランジの内狭まりや片
延び部分を抱合した場合には、ローラの端面と圧
延材のフランジ部分とが摩擦してフランジ部分を
削り取つて疵を発生させる問題があり、この他に
も巾が調整できないことから圧延サイズ換え毎に
ガイドチエンジを必要とすることや圧延サイズ毎
に同数のガイドを準備しなくてはならないこと等
の問題があつた。

以上から本発明の目的は次のとおりである。

第１に、ウエブ部分の案内をするウエブ用ガイ
ドローラに加えてフランジ部分を案内するフラン
ジ用ガイドローラを設け、従来解決されていなか
つたガイドと圧延材のフランジとの摩擦を無くす
ることである。また、摩擦疵を避けるためにやむ
を得ず広く設定していたガイドの〓間を、これら
摩擦の少ないガイドローラによつてウエブとフラ
ンジを案内することにより、圧延材を抱合する〓
間を精密に設定することを可能とし、圧延ロール
噛み込み前の変形を伴う圧延材を上下左右から案
内整形すると共に圧延ロール孔型に正確に案内誘
導することにより摩擦疵や噛み違い疵がなく、寸
法精度の高い成品を生産することである。

第２にはガイドの巾を調整可能として、圧延サ
イズの変更の際にはガイドをその都度交換するこ
となく、ウエブの寸法に合せてガイドの巾を調整
することにより、迅速なサイズ換えを可能とし
て、設備稼動率の向上を図り、且つガイドの保有
数を減じて維持整備費用の低減を図ることであ
る。

（課題を解決するための手段） 本発明は、圧延ロールの出口及び入口に用いる
形鋼用ローラガイドであつて、上下一対のアツパ
ーガイドとロアーガイドからなり、アツパーガイ
ド及びロアーガイドは各々中央部であるセンター
ブラケツト１と互いに対称に設けられた左右のサ
イドガイド部であるサイドガイド２，２との３部
分により構成されている。

以下出口ガイドと入口ガイドの構造、アツパー
ガイドとロアーガイド構造がほぼ同一構造を成す
ことから、入口ガイドのアツパーガイドについて
のみ説明する。

まず圧延材の摩擦疵を防止して成品精度を向上
させる手段について説明する。第１〜４図に示す
ようにサイドガイド２，２には横ローラ３，３と
縦ローラ４，４とが各々ベアリング３ｂ，４ｂと
共に回転自在に水平軸であるローラピン３ａと垂
直軸であるローラピン４ａによつてそれぞれ軸支
されており、横ローラ３と縦ローラ４はローラ端
面が圧延材Ｗのウエブ円弧部ｒと摩擦して疵を発
生させることのないように、このウエブ円弧部か
ら離れて配置されており、横ローラ３は圧延材の
ウエブ平面部を、縦ローラ４はフランジ平面部を
それぞれ誘導案内し、ガイドローラと圧延材のウ
エブ円弧部ｒとの摩擦による疵の発生を避けるよ
う構成されている。縦ローラ４はローラピン４ａ
が偏芯軸となつており、第４図に示すように改削
等により縦ローラ４のサイドガイド２からの突出
量ｅが不足してウエブ円弧部ｒとサイドガイド２
の外側部が摩擦する場合には、ピツチプレート４
ｃの固定位置を変更しサイドガイド２の外側部か
らの縦ローラ４の突出量ｅを調整して、圧延材Ｗ
とサイドガイド２との摩擦を防止できるよう構成
されている。

次にローラガイドの巾を圧延サイズに合せて調
整可能とする手段について説明すると、アツパー
ガイドはセンターブラケツト１と左右のサイドガ
イド２，２の３部分から構成されており、センタ
ーブラケツト１とサイドガイド２とは２本の摺動
可能なスライドスピンドル５，５と１本の両端に
互いに逆のリードのねじ部を有するスクリユスピ
ンドル６とにより巾方向に調整可能に結合されて
おり、スクリユスピンドル６はセンターブラケツ
ト１に回転可能に嵌合され、スクリユスピンドル
６の両端の互いに逆のリードのねじ部は左右のサ
イドガイド２に設けられた雌ねじ部と螺合してい
る。スクリユスピンドル６の中央部にはウオーム
ホイル６ａが設けられ、ウオームホイル６ａには
ウオームシヤフト７の先端に設けられたウオーム
７ａが螺合しており、ウオームシヤフト７を回動
すると、その回動方向に応じて左右のサイドガイ
ド２は、その巾の広狭が中心振分調整される。

（作用） 圧延材Ｗはサイドガイドに補助誘導されてサイ
ドガイド入口側の横・縦のガイドローラに抱合さ
れ、次にサイドガイド出口側の圧延ロール直近に
配置された横・縦のガイドローラによつて抱合さ
れる。この場合、圧延材先端部にはフランジの片
延び、フランジの内狭まりや反りを発生している
ことが多く、この部分が横縦に配列された各々二
組のガイドローラにより上下左右から抱合整形さ
れて圧延ロールに案内誘導されるから圧延材は正
確に圧延ロールに噛み込むことになり精度の高い
圧延が行なわれる。

このように圧延材Ｗのウエブ部とフランジ部
が、各々２組の横・縦のガイドローラによつて４
点支持されることによりサイドガイドと摩擦を生
じることなく正確に圧延ロールの孔型に案内誘導
されるため、従来のように圧延材とウエブガイド
との摩擦により発生していた摩擦疵や、圧延材が
正確に圧延ロール孔型へ案内されないために発生
していた圧延ロールの噛み込み疵等のない高精度
の成品を圧延することが可能となる。

（実施例） 以下本発明の一実施例について第１〜４図に基
き説明する。

水平圧延ロールＲの直近に配置されるローラガ
イドは上下一対をなすアツパーガイドＵとロアー
ガイドＬからなり、これらアツパーガイドとロア
ーガイドはほぼ同一構造であることから、アツパ
ーガイドＵについてのみ説明する。

まずガイドローラによる圧延材の抱合手段につ
いて説明すると、アツパーガイドＵはセンターブ
ラケツト１、左右のサイドガイド２，２の３部分
により構成されており、これら左右のサイドガイ
ド２は互いに対称に構成されており、サイドガイ
ド２には圧延材のウエブを案内する横ローラ３と
圧延材のフランジを案内する縦ローラ４が設けら
れており、横ローラ３は横ローラピン３ａによつ
てベアリング３ｂと共に回転自在にサイドガイド
２に軸支されており、第４図に示すように横ロー
ラピン３ａはサイドガイド２の外側面から嵌入固
定され、サイドガイド２の外側面から突出しない
よう形状を定められてサイドガイド２に固定され
る。また、横ローラ３はウエブ円弧部ｒから離れ
た平面部を抱合しており、横ローラ３の端面がウ
エブ円弧部ｒや圧延材Ｗのフランジと接触して摩
擦疵を発生することのないよう構成されている。
一方、圧延材Ｗのフランジを案内する縦ローラ４
は、偏心軸である縦ローラピン４ａによりベアリ
ング４ｂと共に回転自在にサイドガイド２に軸支
されており、縦ローラピン４ａ上部には偏心量を
調整するピツチプレート４ｃがボルト４ｄにより
固着され、ピツチプレート４ｃの固定位置を変更
することによりサイドガイド２からの縦ローラ４
の突出量ｅを調整可能としてあるから、縦ローラ
４の改削等により縦ローラ４の突出量が不足して
サイドガイド２の外側部と圧延材Ｗとに摩擦が生
じる場合等には調整によりこれを解決することが
できる。また、縦ローラ４は圧延材Ｗのウエブ円
弧部ｒから離れたフランジの平面部を抱合してお
り、ウエブ円弧部ｒと縦ローラ４の端面やサイド
ガイド２の外側面との接触による摩擦疵の発生を
防止するよう構成されている。

次にローラガイドの巾を圧延サイズに合せて中
心振分調整する手段について説明すると、アツパ
ーガイドＵはセンターブラケツト１、左・右サイ
ドガイド２，２により構成され、これら３部分は
前後に設けられた２本のスライドシヤフト５，５
及びスクリユスピンドル６により巾方向に摺動可
能に結合されており、スクリユスピンドル６はセ
ンターブラケツト１に回転可能に軸支され、スク
リユスピンドル６に螺設された互いに逆のリード
を有するねじ部に左右サイドガイドに設けられた
雌ねじ部が螺合しており、スクリユスピンドル６
に螺設されたウオームホイル６ａとウオームシヤ
フト７の一端に設けられたウオーム７ａが螺合し
ており、このウオームシヤフトを回動することに
より、その回動方向に応じて左・右サイドガイド
２，２が押し引きされることにより、巾の広狭を
中心振分調整することができる。

（発明の効果） 本発明によれば、従来のフリクシヨンガイドに
代えてガイドローラにより摩擦なく圧延材のウエ
ブとフランジを案内することができるから摩擦疵
の発生を防止でき、摩擦がないことからガイドの
〓間を狭く設定することが可能となり、圧延ロー
ルに圧延材を正確に案内誘導でき、成品精度の高
い成品を生産できる。そしてガイドの巾を圧延サ
イズの変更に合せて調整でき、しかも縦ローラの
位置を微調整できるから簡単にオンライン上で変
更できることから圧延サイズ換えに伴う工場設備
の休止時間を短縮して設備稼動率を向上させるこ
とができると共にＨ形鋼に対して精度の高い拘束
案内ができる。さらに、縦横の各ローラをウエブ
円弧部から離して、横ローラは圧延材のウエブの
平面部を、縦ローラはフランジの平面部をそれぞ
れ誘導案内できるからガイドローラと圧延材のウ
エブ円弧部との摩擦による疵の発生を確実に避け
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す側面図、第２
図は平面図、第３図は一部断面正面図、第４図は
第２図の−線における断面図である。 Ｒ……水平圧延ロール、ｒ……圧延材の円弧
部、Ｗ……圧延材、１……中央部であるセンター
ブラケツト、２……左右の各サイドガイド部であ
る左右のサイドガイド、３……横ローラ、３ａ…
…水平軸であるローラピン、４……縦ローラ、４
ａ……垂直軸であるローラピン、４ｃ……ピツチ
プレート、６……スクリユスピンドル、６ａ……
ウオームホイル、７……ウオームシヤフト、７ａ
……ウオーム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 圧延ロールの出入口に設けられＨ形鋼の案内
   誘導に用いる上下一対のローラガイドにおいて、 上下ガイドは中央部、移動可能の左サイドガイ
   ド部及び右サイドガイド部とからなり、 上記中央部に設けられ、ウオームシヤフトによ
   つて回転されるウオームホイルを有し、両端部に
   互いにリードが逆の雄ねじを有するスピンドル
   と、 左右各サイドガイド部に設けられている軸受部
   に偏心軸である垂直軸を軸支してあり、ローラ回
   転中心が偏心しピツチプレートによつて偏心量が
   可変である上記垂直軸に、左右各ガイドの外側面
   よりもローラ面が突出するように回転自在に支持
   されている縦ローラと、 左右各サイドガイド部に水平に支持された水平
   軸に、上ガイドの下面及び下ガイドの上面よりも
   ローラ面が突出するように回転自在に支持されて
   いる横ローラと を具備しており、 上記スピンドルの雄ねじは上記左右の各サイド
   ガイド部に設けられている雌ねじに螺合している
   ことを特徴とするＨ形鋼用ローラガイド。