JPH0361117B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は潜熱蓄熱材を収納した蓄熱容器を多数
配置して構成したカプセル式蓄熱装置に有効な蓄
熱容器の構造に関する。

〔発明の背景〕

本発明に関連する従来例としては特開昭57−
16789号、実開昭57−160574号なるものがある。

このような従来技術においては、蓄熱槽（たと
えばポリエチレン、塩化ビニール、ステンレス、
銅、アルミニウム）内に、潜熱蓄熱材（たとえば
融点30℃の硫酸ナトリウム10水塩、融点48℃のチ
オ硫酸ナトリウム５水塩）が入つている。この蓄
熱槽に、熱媒体を用いて蓄熱材に熱を与えたり、
またそれにより熱を取り出して用いるものである
が、蓄熱材として、前述の無機含水塩を用いる
と、著しく過冷却を起し、所望の温度で潜熱を放
出してくれない。このため蓄熱容器の端部に細パ
イプを設けて、その内部に種結晶を入れておき、
この種結晶と蓄熱材が接触するようにしておく。
このようにすると種結晶を核として蓄熱材２を凝
固させ潜熱を放出させることができる。このため
蓄熱時においては、蓄熱材は融解されても、細パ
イプは融点以上にならないように外部に出して冷
却しておき、種結晶が融解しないようにしておく
ことが必要である。常に冷却が効果的に行なわれ
るためには、細パイプは適当な細さにしておくこ
とが必要である。しかしこのような蓄熱槽は次の
ような欠点を有している。すなわち、蓄熱槽を運
搬したり移動させたりする場合、細パイプが蓄熱
槽の外部に突出しているため邪魔であることと、
しばしば細パイプが、他の物体に引つかかり折れ
るという不都合があつた。

また前述の従来例は、材料が二相に分離して熱
放出不能になつたり、結晶の成長量が不十分で熱
の取得量が小さかつた。また、種結晶と細パイプ
内面が十分接触しておらず冷却不十分となり融解
消失するとか、細パイプ端部のキヤツプ部より空
気が侵入して種結晶が変質するとか、あるいは侵
入空気部の圧力と蓄熱容器の圧力バランスがくず
れて種結晶が蓄熱容器内の蓄熱材中に吸引されて
完全に融解して目的を達成できず信頼性の面で十
分でなかつた。

〔発明の目的〕

本発明は上述した従来の蓄熱容器の欠点を改善
し、運搬に便利であるとともに、細パイプの欠損
の少ない蓄熱容器を提供し、また熱の放出量が十
分で実用に供しまた種結晶の信頼性を向上するこ
とを目的とする。

〔発明の実施例〕

第１図は本発明の実施例に係る蓄熱容器の断面
図であり、第２図は第１図のＡ−A′断面図で、
細パイプ４を図示のごとくＵ字状に折曲げ、その
両端部を蓄熱容器１に接続したものである。そし
てこの蓄熱容器１を多数、流体の通る間隙部を残
すようにして配置し、１つの大きなカプセル式蓄
熱槽として用いる。このようにすると、従来の蓄
熱容器の様に、細い突出し部分が無くなり、それ
が他の物体に引つかかつて折れるということも無
い。またこのＵ字状パイプ４は、そのまま握手と
して利用でき運搬に便利である。またＵ字状パイ
プ４の両端部が、蓄熱容器１の接続されているの
で、内部の種結晶３と蓄熱材２との接触する部分
は、3′−ａと3′−ｂの２個所となり、結晶がすみ
やかに成長し、潜熱の取出しが容易となる。

そして多数に分割された各々の蓄熱容器にこの
ような種結晶３の入つたＵ字状パイプ４が付いて
いるので、蓄熱容器１の外面に物体を流すと、各
蓄熱容器１より一斉に熱放出が生じ単位時間当り
に取得する熱量が著しく高まり好都合となる。

またこのＵ字状パイプ４は気密構造となつてい
て、外部より空気が侵入して種結晶３自体を変質
させない。また空気が入ることがないので、蓄熱
材２部の圧力と種結晶３部の圧力バランスがくづ
れて、種結晶３が蓄熱材２中に吸引されて消失す
るということも防げる。またＵ字状パイプ４内壁
に種結晶３は密着していて、外部流体によつて良
く冷却され、種結晶３として良く機能する。

第３図は他の実施例である。Ｕ字状パイプ４は
第２図のように大きくなくても、この実施例を示
すごとく蓄熱容器１に対して小さいものであつて
もよい。

第４図は他の実施例である。これはＵ字状パイ
プ４の中間部に、もう一本の細パイプ５の一端を
図示のごとく接続し、その他端を蓄熱容器１に接
続し、これによりＵ字状部を２個所作つたもので
ある。このようにするとＵ字状パイプ４が機械的
に強くなり、欠損し難くなる。

第５図は他の実施例である。これは蓄熱容器１
の両端部に、Ｕ字状パイプ４を設け、さらに持ち
運びを便利にしたものである。種結晶３と蓄熱材
２との接触個所が多くなり、結晶成長もすみやか
になる。第５ａ図は第５図のＤ−D′断面の一例
であり、Ｕ字状パイプ４の長手方向にひだ１０を
付けて、Ｕ字状パイプ４の強度の向上と、Ｕ字状
パイプ４外面の冷却効果の向上を行つたものであ
る。

以上の実施例において、種結晶３内に多孔物質
（図示せず、たとえばグラスウール、モルトプレ
ーン、ガーゼ、布）を入れると、種結晶３が内部
で移動しないようにするのに効果が生ずる。また
蓄熱材２を、その毛細管力によつて吸引し、常に
蓄熱材２が種結晶３と接触するようにすることに
も役立つ。

またＵ字状パイプ４と蓄熱容器１とによつて囲
われた空洞部１１及び１１′を利用して、フアン、
ポンプ等によつて空気あるいは冷水を流すと種結
晶３が良く冷却され効果的である。

本発明は図示のごとく小さく分割した偏平型の
薄型容器構造としてあるが、これは材料の二相分
離を防止して、熱放出を常に円滑に行なわせるた
めである。また本発明を効果的に実施するために
は、蓄熱材および種結晶中にゲル化材（たとえば
デンプン、ゼラチン）を入れて粘度を高めるのが
よい。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、蓄熱
容器の運搬時において、１本の細パイプのような
突出し部分がなくなり、引つかかつて邪魔になる
ことがなく、またそれが折れて欠損してしまうこ
とがなくなり、Ｕ字状パイプはそのまま握手と
して利用でき、種結晶と蓄熱材との接触個所が
多くなつて結晶の成長がすみやかに行なわれ、
材料の二相分離が抑制され熱放出が円滑となり、
Ｕ字状パイプと蓄熱容器とによつて囲われた空
洞部は冷却用流体の通路として利用でき実用に供
して便利となり、種結晶の信頼性が著しく向上
し、安定して熱放出を行なわせることができるよ
うになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係る蓄熱容器の断面
図、第２図は第１図のＡ−A′断面図、第３図、
第４図、第５図は他の実施例図、第５ａ図は第５
図のＤ−D′断面図である。 １…蓄熱容器、２…蓄熱材、３…種結晶、４…
細パイプまたはＵ字状パイプ、５…細パイプ、１
０…ひだ、１１…空洞部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 蓄熱材を収納する蓄熱容器を偏平とし、該蓄
   熱容器の側端部に、該容器内部と連通するように
   Ｕ字状パイプの両端を接続し、該Ｕ字状パイプ内
   に該パイプの内壁のほぼ全面に接触せしめるよう
   にゲル化剤入りの種結晶を収納し、またこの種結
   晶を該蓄熱材の融点以下に保持し、該蓄熱材が該
   種結晶と常に接触するようにしたことを特徴とす
   る蓄熱容器。 ２ 前記Ｕ字状パイプ内に多孔物質を設け、この
   多孔物質内に前記種結晶を含浸した特許請求の範
   囲第１項記載の蓄熱容器。 ３ 前記Ｕ字状パイプ外面にひだを設けた特許請
   求の範囲第１項記載の蓄熱容器。