JPH0360103B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はオーバヘツドタイプ迎灯機の冷却装置
に関する。 コンデンサーレンズ、光源ランプなどを水平方
向に離間して配置した所謂横型の幻灯機において
は、送風フアンをそのレンズ系を含む平面内に連
結して水平通風を行いスライドフイルム、コンデ
ンサーレンズ、光源ランプなどを同時に冷却する
ことが一般的である。 しかしながら、第２コンデンサーレンズおよび
スライドフイルムを、機枠上面に覆設した透光拡
散板の外側に位置させるオーバヘツドタイプの幻
灯機においては、横型幻灯機の冷却機構をそのま
ま適用しても第２コンデンサーレンズ、スライド
フイルムなどを充分に冷却することができず、加
えて光源ランプとしてハロゲンランプを使用する
場合には、光源ランプをスライドフイルムなどと
同等に冷却して所望の温度以下にすることによつ
てハロゲン再生サイクルが不活性になるなどの問
題がある。 この問題を解決するため、本願出願人は日本国
特許第967883号において、ランプハウスの一側部
に吸引フアンを連結し、コンデンサーレンズをラ
ンプハウスの上端に保持する支持部材をランプハ
ウスの上端に取り付け、機枠の上部を閉止する透
光拡散板から上方へ支持部材の上端縁を突出させ
ると共に、この上端縁をスライドフイルムの近傍
に位置させ、支持部材とコンデンサーレンズとの
間に設けた吸引口をランプハウスを経て吸引フア
ンに連通させたオーバヘツドタイプ幻灯機の冷却
装置を開示する。 更に、本願出願人は複数枚のスライドフイル
ム、プレパラートなどの透光性被写体を同一平面
内に着脱自在に整列配置して被写体の整理保存お
よび投影を行うためのスライドフアイルシートを
日本国特許第1055825号に開示した。このスライ
ドフアイルシートはスライドフイルムを装着した
フイルムマウントをシート底壁に平行に離間して
保持し、空気流入口及び空気流出口を介して、フ
イルムマウントとシート底壁とにより形成される
空間内を空気が流れるよう構成し、スライドフイ
ルムが加熱により損傷するのを防ぐものである。 しかし、上述したスライドフイルムを用いる場
合既述した冷却装置でもスライドフイルムを約60
℃以下に保持することは難しく、しかも映写に際
しては、スライドフイルムにとつても最も重要な
その乳剤定着面が、光源ランプを含む熱源側に位
置するので、最初に加熱されることになり、乳剤
定着面を十分に保護することができず、長時間に
亘り同一フイルムを映写することはカラースライ
ドの色彩の褪色、スライドフイルムの彎曲の問題
が生じ好ましくないと言う欠点があつた。それゆ
え、このような問題を解決し、乳剤定着面を含め
スライドフイルムを有効に保護するためには、ス
ライドフイルムをその下方から直接冷却できるよ
うな冷却装置が強く必要とされていた。 本発明の目的は上記欠点を解決し、スライドフ
イルムおよび／またはスライドフアイルシートを
従来の装置に較べ低い温度に維持することの出来
る装置を提供するにある。 この目的を達成するため、本願発明のオーバヘ
ツドタイプの幻灯機は、特に、筒状支持部材の側
部に、少なくとも１個の空気吹出し口を、スライ
ドフアイルシートの空気流入口に対応させて一体
に形成し、吹出しフアンにより供給される空気の
一部を、空気吹出し口から空気流入口を通じて矩
形規制の底壁とスライドフイルムとにより形成さ
れる空間内に流入させ、供給される空気の残部
を、透光拡散板とスライドフアイルシートとの間
の空間に流下させる構成としたことを特徴とす
る。 更に、筒状支持部材の上端に開口させた吸引口
に関連させて吸引フアンを設けると共に、吸引フ
アンと吹出しフアンとを単一の駆動軸に固定する
構成としたことを特徴とする。 以下本発明の実施例を図面につき説明する。 第１図は本発明の冷却装置を具えたオーバヘツ
ドタイプ幻灯機の好適な一実施例を示す。オーバ
ヘツドタイプ幻灯機のベース１に、伝熱性に優れ
筒形状をしたランプハウス２を固定する。このラ
ンプハウス２内には、光束を上方に屈曲させる反
射鏡８、水平方向に互いに平行に離間し支柱３で
保持されたそれぞれの取り付け部材に第１フイル
ター４、第１コンデンサーレンズ５、光源ランプ
６、そして光源ミラー７が収納されている。さら
に、ランプハウス２の一側部に吸い込みパイプ９
を介して吸引フアン１０を連結すると共に、ラン
プハウス２の上端開口部に、第２図に示す四角形
の筒状支持部材１１を取り付ける。そして、この
支持部材１１によつて円形の第２コンデンサーレ
ンズ１２の周辺部を保持し、レンズ１２を水平に
維持する。なお、円筒状支持部材１１は、その側
部に一体に形成され連結チユーブ１３を介して吹
出しフアン１４に到る空気吹出し口１５と、当該
筒状支持部材の上端に開口しランプハウスを経て
吸引フアン１０に到る吸引口１６とを有する。 この筒状支持部材１１の上端部を幻灯機の機枠
上面に覆設した水平な透光拡散板１７の上方に突
出させ、この上端部を、スライドフアイルシート
を幻灯機に固定する移動ステージ（図示せず）に
取り付けたスライドフアイルシート１８の近傍に
位置するよう配設する。ここで透光拡散板１７は
ランプハウス２に穿設した採光孔１９からの光に
より、スライドフアイルシート１８に装着したス
ライドフイルム２０の点検、検索を容易にする。 スライドフアイルシートを第３図に示す。スラ
イドフアイルシート１８は透明又は半透明材料で
形成され、それぞれスライドフイルムまたは、ス
ライドフイルムマウトを支持する矩形規制または
矩形窪み形状をした個々の隔室は、互いに平行に
離間して突出した着座部２１と、底壁２２と隔室
を限定する側壁２３、底壁２２又は側壁２３に形
成した空気流入口２４、及び空気流出口２５とを
有する。図では空気流入口２４と、空気流出口２
５とをそれぞれ１個有するスライドフアイルシー
トを示したが、必要に応じて空気流入、流出口の
個数を増減してもよい。 次にこの実施例に示す冷却装置の動作を説明す
る。吹き出しフアン１４を駆動すると空気は、第
４図に示す如く連結チユーブ１３を通り、空気吹
き出し口１５から斜め上方に吹出される。ここで
注意することは、この空気吹出し口１５は、投影
可能位置に置かれるスライドフアイルシート１８
に形成された空気流入口２４に対応するよう、筒
状支持部材の側部に一体に形成したので、当該空
気吹出し口１５から吹出される空気の一部は、ス
ライドフアイルシート１８の空気流入口２４を通
り、スライドフイルム２０と底壁２２との間に形
成された空間内に侵入し、スライドフイルム底面
及びスライドフアイルシートの底壁上面を冷却
し、空気流出口２５を経て下方に吹き出す。それ
ゆえ、スライドフイルム底面に設けられた乳剤定
着面に、空気吹出口１５から吹き出される冷却空
気が直接的に吹き付けられるので、乳剤定着面に
対する熱の影響を最小とすることができる。これ
に対し、空気吹出し口１５から吹き出された空気
の残部は筒状支持部材１１に保持された第２コン
デンサーレンズを冷却しながら吸引口１６を経て
ランプハウス２内に吸引される。吹出された空気
の残部は同時にスライドフアイルシート１８の底
壁２２の下面に当りシート１８を冷却すると共
に、スライドフイルム２０を冷却し空気流出口２
５から吹出された空気と合流し、更に第２コンデ
ンサーレンズを冷却し、吸引口１６を経てランプ
ハウス２内に吸引される。従つて、スライドフイ
ルム２０、第２コンデンサーレンズ１２、および
筒状支持部材の内部も一様に冷却される。この
時、吸引フアン１０も同時に駆動することは言う
までもない。 ランプハウス２内では、従来の装置と同様に、
空気はランプハウス２の壁面、反射鏡８、フイル
ター４、第１コンデンサーレンズ５などを冷却し
ながら次第に温度上昇し、最後に光源ランプ６お
よび光源ミラー７を冷却して、吸い込みパイプ９
へ吸入される。この時、ランプ位置では空気の温
度もある程度上昇しているのでランプが冷えすぎ
てハロゲン再生サイクルが不活性となるおそれは
全くない。 更に他の実施例では、幻灯機の機枠外径寸法を
コパクトにし、かつ幻灯機の重量を低減するた
め、単一の電動機により吸引フアン１０及び吹き
出しフアン１４を駆動する構成とすることも出来
る。すなわち、吸引空気流通路と吹出し空気流通
路とに交差して貫通する駆動軸に吸引フアン１０
及び吹出しフアン１４を通路壁を介して直列に固
定する。 なお、本発明はこの実施例にのみ限定されるこ
となく、例えば支持部材を四角筒形状以外の多角
筒形もしくは円筒形としても良く、空気吹出し口
を細長い開口とし、あるいは複数個設けても良
い。また、光源系が横置き型式、縦置き型式のも
のであつても良い。 ちなみに、本発明冷却装置と、従来装置とを一
定時間暖機運転させてそれらの内部温度をほぼ同
一とし、写真濃度２のフイルム下面に直径0.2mm
の銅−コンスタンタンの熱電対を粘着した供試フ
イルムを用いて約30分間に亘り、冷却性能に関す
る比較試験を行なつた。なお従来装置は、冷却空
気を供試フイルムの斜め上方に位置させたパイプ
から吹き出し、供試フイルムとスライドフアイル
シートとの間の空間に導くよう構成されたもので
あり、冷却空気の単位時間当りの風量は、本発明
装置と実質的に同量となるよう予め調整されたお
り、また光源としては、両装置ともに24V 150W
のハロゲンランプを用いた。その結果を次表に示
す。

【表】 この表から明らかなように、本発明装置によれ
ば、供試フイルムの温度を、冷却装置のない従来
装置に比して極めて低くできるばかりでなく、冷
却装置を有する従来の装置に比しても、更に３度
低く維持できることがわかる。これは空気吹出し
口を、スライドフアイルシートの空気流入口に対
応させ、コンデンサーレンズを保持する筒状支持
部材に一体に形成したことにより、冷却空気が空
気流入口に確実に導かれることに加え、コンデン
サーレンズを介して光源ランプにより加熱される
供試フイルム底面を冷却空気が直接に冷却し、更
には、幻灯機の他の部分を未だ冷却しない空気、
つまり空気吹出し口から吹き出された冷却空気の
一部が、透光拡散板とスライドフアイルシートと
の間の空間を流れてスライドフアイルシート下面
を冷却し、併わせてコンデンサーレンズを直接的
に冷却するためである。 それゆえ、本発明冷却装置は、従来装置に比べ
て、スライドフイルム下面の乳剤定着面に対する
熱の影響を一段と小さくすることができるので、
カラースライドフイルムの色彩が褪色しにくくな
り、またスライドフイルムの上下面の温度差も小
さくなるのでフイルムが湾曲することがなく、常
に鮮明な映像を得ることができる。 また、会議、デイスカツシヨン等において、人
物の影又は指し棒などの影がスクリーンに写され
ることがないよう、そのスクーンの後方に幻灯機
を配置し、スライドフイルムがセツトされたフア
イルシートを反転させて映写し、スクリーン前方
から映像を観察する、所謂背面映写を行なう場合
に於いては、フアイルシートがそのまま反転され
て投影されるため、第５図に示す如く従来装置で
は、反転されたフアイルシートの斜め上方に位置
するパイプから吹出された冷却空気が、空気流入
口２４を介してスライドフイルム２０とフアイル
シート１８との間の空間に流入するものの、第２
コンデンサーレンズ１２に対向するスライドフイ
ルム表面には、冷却空気が当らないことになる。 これに対し本発明装置によれば、冷却空気の空
気吹出し口をスライドフアイルシートの下方に配
設したので、冷却空気によりスライドフイルムを
一層強力に冷却することができ熱の影響は、本発
明装置を用いて通常の映写を行なつた場合と何等
変りがなく、常に鮮明画像が得られることに加
え、種々の映写方法に対しても、乳剤定着面を含
めてスライドフイルムを熱の影響から有効に保護
することができる。 なお、表中、「冷却装置なし」とあるのは、光
源からの赤外線をカツトするため、所謂防熱フイ
ルターを設けた幻灯機を示しており、参考例とし
て示したものである。なお、光源ランプとしてハ
ロゲンランプを使用すれば、ランプの発生する熱
量がいわゆる白熱電球より少ないので、スライド
フイルムの温度上昇を一層低く抑えることが出来
る。また吸引フアンと吹出しフアンとを同一の駆
動軸に固定することにより、幻灯機の外径寸法を
大きくすることなく所望の冷却効果を達成し得
る。 一方、スライドフアイルシートも同時に冷却さ
れるのでシート材料として低品位、低価格の材料
を使うことも出来る。 又本発明はフイルムマウントに装着したフイル
ムばかりでなくスライドフイルムを直接フアイル
シートに装着する型式のものにも適用可能であ
る。 尚、本発明冷却装置は矩形窪み内の底壁の中央
部をくり抜いた、所謂底ぬけのスライドフアイル
シートにも使用できるが、スライドフイルムとス
ライドフアイルシートとの間に空間が形成される
スライドフアイルシートに特に有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の好適な１実施例を図式的に示
す部分断面図、第２図は本発明に使用する支持部
材の好適な一例を示した斜視図、第３図は本発明
に使用するスライドフアイルシートの斜視図、第
４図は本発明を使用した時の冷却空気の流れを図
式的に表わした説明図であり、第５図は従来装置
を用いて背面映写を行なう様子を示す説明図であ
る。 １…ベース、２…ランプハウス、３…支柱、４
…フイルター、５…第１コンデンサーレンズ、６
…光源ランプ、７…光源ミラー、８…反射鏡、９
…吸い込みパイプ、１０…吸引フアン、１１…筒
状支持部材、１２…第２コンデンサーレンズ、１
３…連結チユーブ、１４…吹出しフアン、１５…
空気吸出し口、１６…吸引開口、１７…透光拡散
板、１８…スライドフアイルシート、１９…採光
孔、２０…スライドフイルム、２１…着座部、２
２…底壁、２３…側壁、２４…空気流入口、２５
…空気流出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 相互に離間して位置する光源ランプ、第１コ
   ンデンサーレンズを含み、下端をベースに固定し
   て上端を開放したランプハウスと、機枠上面に覆
   設した透光拡散板と、ランプハウスの上端に固定
   され第２コンデンサーレンズの周辺部を保持する
   と共に、透光拡散板の上方に突出する筒状の支持
   部材と、筒状支持部材の上方に位置して透光拡散
   板に平行に離間すると共に、複数個の矩形規制内
   にスライドフイルムを着脱可能に保持するスライ
   ドフアイルシートとを具え、このスライドフアイ
   ルシートが、前記矩形規制の底壁から上方に突出
   してスライドフイルムが着座する少なくとも一対
   の相互に離間するスライドフイルム着座部と、着
   座部の間の前記矩形規制の底壁又は前記矩形規制
   の側壁に設けた空気流入口及び空気流出口とを有
   するオーバヘツドタイプ幻灯機において、 前記筒状支持部材の側部に、少なくとも１個の
   空気吹出し口を、スライドフアイルシートの前記
   空気流入口に対応させて一体に形成して、吹出し
   フアンにより供給される空気の一部を、前記空気
   吹出し口から前記空気流入口を通じて前記矩形規
   制の底壁とスライドフイルムとにより形成される
   空間内に流入させ、前記空気の残部を、透光拡散
   板とスライドフアイルシートとの間の空間に流下
   させることを特徴とするオーバヘツドタイプ幻灯
   機。 ２ 相互に離間して位置する光源ランプ、第１コ
   ンデンサーレンズを含み、下端をベースに固定し
   て上端を開放したランプハウスと、機枠上面に覆
   設した透光拡散板と、ランプハウスの上端に固定
   され第２コンデンサーレンズの周辺部を保持する
   と共に、透光拡散板の上方に突出する筒状の支持
   部材と、筒状支持部材の上方に位置して透光拡散
   板に平行に離間すると共に、複数個の矩形規制内
   にスライドフイルムを着脱可能に保持するスライ
   ドフアイルシートとを具え、このスライドフアイ
   ルシートが、前記矩形規制の底壁から上方に突出
   してスライドフイルムが着座する少なくとも一対
   の相互に離間するスライドフイルム着座部と、着
   座部の間の前記矩形規制の底壁又は前記矩形規制
   の側壁に設けた空気流入口及び空気流出口とを有
   するオーバヘツドタイプ幻灯機において、 前記筒状支持部材の側部に、少なくとも１個の
   空気吹出し口を、スライドフアイルシートの前記
   空気流入口に対応させて一体に形成して、吹出し
   フアンにより供給される空気の一部を、前記空気
   吹出し口から前記空気流入口を通じて前記矩形規
   制の底壁とスライドフイルムとにより形成される
   空間内に流入させ、前記空気の残部を、透光拡散
   板とスライドフアイルシートとの間の空間に流下
   させる一方、前記筒状支持部材の上端に開口する
   吸引口をランプハウスを経てその外方に連通さ
   せ、この吸引口に関連させて吸引フアンを設ける
   と共に、吸引フアンと吹出しフアンとを単一の駆
   動軸に固定したことを特徴とするオーバヘツドタ
   イプ幻灯機。