JPH0357964B2 - - Google Patents

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JPH0357964B2
JPH0357964B2 JP16104483A JP16104483A JPH0357964B2 JP H0357964 B2 JPH0357964 B2 JP H0357964B2 JP 16104483 A JP16104483 A JP 16104483A JP 16104483 A JP16104483 A JP 16104483A JP H0357964 B2 JPH0357964 B2 JP H0357964B2
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JP
Japan
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gel
solvent
film
spinning
synthetic polymer
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JP16104483A
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JPS6052326A (ja
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Shosuke Nanri
Tokio Kawaguchi
Hiroshi Yasuda
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
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Publication of JPS6052326A publication Critical patent/JPS6052326A/ja
Publication of JPH0357964B2 publication Critical patent/JPH0357964B2/ja
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は従来の溶融押出や乾式押出・湿式押出
では得ることのできなかつた高強力・高モジユラ
ス(高弾性率)を有する繊維及びフイルム等を得
るためのゲル糸紡糸法及びゲルフイルム成形法に
おいて、そのゲル糸紡糸用及びゲルフイルム成形
用の紡糸溶液及びフイルム成形溶液の新規な調製
法並びに該ゲル糸紡糸及びゲルフイルム成形後の
延伸に関するものである。
巨大分子量を有する合成高分子重合体を素材と
して例えば繊維を製造しようとすれば、また第1
に従来の汎用法である溶融紡糸法を採用すること
が検討されるが、前記素材の性状によつては、常
法によつて加熱していく過程において融解の始ま
る前に熱分解乃至熱変色を起こして所期の目的を
達成することができないことがある。例えばポリ
ビニルアルコールやポリアクリロニトリルの様な
合成重合体は実質的に純粋な重合体として融解紡
糸することはできないとされているし、またポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイ
ロンの様な超高分子量物質では実質的な分解を伴
わずに融解紡糸することは技術的に不可能とされ
ている。
この様な状況に対し、適当な低分子量化合物の
助けによつて上記分解等を伴わずに紡糸を行なう
という技術が開発されている(特開昭55−107506
号等:以下ゲル糸紡糸法と略記することもある)。
当該発明によれば超高分子重合体が溶剤に溶解さ
れて液状での処理が可能となる結果、高分子重合
体の分解温度より十分低い温度での紡糸操作を行
なうことができる。上記公開公報の開示による
と、ポリオレフイン(ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレンプロピレン共重合体、ポリオキシ
メチレン、ポリエチレンオキシド等)、ポリアミ
ド(各種タイプのナイロン)、ポリエステル(ポ
リエチレンテレフタレート等)、アクリルポリマ
ー(ポリアクリロニトリル等)、ビニルポリマー
(ポリビニルアルコール、ポリビニリデンフルオ
ライト等)等が紡糸の対象となるが、例えばポリ
オレフイン類を例にとつて説明すると、ノナン、
デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラリン、デ
カリン等が好適溶剤として採用され得る。更に具
体例を挙げて説明すると、分子量が例えば150〜
300万に及ぶ超高分子量のポリエチレンやポリプ
ロピレンのデカリン溶液を130〜140℃で紡糸して
空冷又は液冷することにより、外見がゲル状で大
量(例えば97〜98%)のデカリンを含有するフイ
ラメントが得られるが、いつたんこれを巻取り更
に解除して熱延伸すると、分子配向が形成される
と共にデカリンが蒸発され極めて高強度のフイラ
メントが製造される。そして上記フイラメントを
一般にゲル繊維と称しており、高強力・高モジユ
ラスという特性を有するが故に当分野では極めて
大きな期待が寄せられている。
ところで上記ゲル繊維の製造に際しては、通常
の融解紡糸法で使用されているのと同様な押出紡
糸装置が使用されるが、この場合の最大の難点
は、要求される濃度の均一紡糸溶液を調整するこ
との難しさにある。即ち均一紡糸溶液を得ようと
すれば合成重合体と溶剤とを合成重合体の分解温
度に近い温度でミルにかけ、その上で長時間撹拌
混合しなければならないが、そのようにしても溶
剤中への合成重合体の均一溶解は充分に達成でき
ない場合が多い。特に高強力・高モジユラス繊維
を得るためには超高分子量の合成重合体が必要で
あり、この場合には溶剤中への合成重合体の分散
及び溶解が一層不均一になり、又、溶解時の溶液
粘度も粘稠となり、撹拌混合過程での気泡の混入
は避けられない。未溶解状で残つている分子のか
たまり、気泡の混入、溶液の不均一等は紡糸工程
では製糸不安定につながり、場合によつては製糸
不能の原因となる。又得られた最終繊維も品質の
劣るものとなる。
これら欠点を解決するための従来技術として
は、溶解紡糸工程において複数の溶解タンクを設
置し、一次溶解、二次溶解、…と強力な撹拌と長
い溶解時間をかけて溶解の均一化を図り、溶解液
を高温で保持しつつスクリユー型押出機に供給し
て紡糸する方法がある。この溶解方法ではある程
度の均一な溶解液を得ることができるが、溶解に
長時間がかかること、特に高強力、高弾性率、高
タフネス繊維を得るためには超高分子量の合成重
合体を使用することが必要であるが、超高分子量
重合体の場合には特に高温長時間の溶解が必要と
なり、そのため、合成重合体の大幅な分子量の低
下をまねく。さらに溶解タンク方式では強力な撹
拌混合により溶解の均一化をはかるため、溶液中
への微細な気泡の混入は避けられない。この様に
溶解タンク方式は溶解タンクの多段設置が必要で
あること、溶解に長時間がかかること、合成重合
体の分子量の低下が著しく生じること、気泡が混
入し易いことなどの多数の欠点がある。さらにこ
のような従来法による溶解液を紡糸工程に供給す
ると、長時間の安定紡糸ができず又得られる繊維
の品質も劣るものであり、工業的生産には不充分
である。
本発明者等は、高強力、高モジユラス繊維又は
フイルムをゲル糸紡糸法又はゲルフイルム成形法
によつて、工業的に有利に、長時間操業安定性良
くかつ高生産性のもとに、しかも製品品質的にも
極めて優れた状態で製造する方法につき鋭意研
究、検討を重ねた結果、ついに一定の目的を達成
するに至り、別途特許出願を行なつた。
即ち当該発明の要旨は、結晶性合成重合体の溶
液からゲル状繊維又はゲル状フイルムを製造し、
次いで該ゲル状繊維又はゲル状フイルムを高倍率
延伸することにより、高強力・高モジユラス繊維
又はフイルムの製造する方法において、該結晶性
合成重合体を一旦溶剤に溶解した後冷却して溶剤
を吸蔵するゲル粒状物となし、次いで該ゲル粒状
物を該ゲル粒状物に吸蔵されている溶剤と同一か
又は別の溶剤に分散又は溶解してゲル状繊維紡糸
工程又はゲル状フイルム成形工程に供給する点に
ある。
上記要旨からなる方法の実施によつて合成重合
体の分子量低下が防止されると共に気泡の混入も
なくなり、高強力・高モジユラス繊維又はフイル
ムを製造する為の保障を得たが、紡糸後の処理に
ついても従来法は色々の欠点を有しており、前述
した紡糸前工程の改良に対し、紡糸後工程の改良
を付加しないときは、結果的に高強力・高モジユ
ラス繊維又はフイルムを安定製造できるものでは
ないということが分つた。
即ち上記製造法から容易に理解できる様に、成
形後いつたん巻取られるゲル繊維又はフイルム中
には大量の溶剤が含まれている為、巻取テンシヨ
ンの変動の他、ワインダーの接圧や巻取後の時間
経過による溶剤脱離量差によるボビン内外層の物
性変化等が発生し、以後の加工、特に取引工程に
対して種々の障害要因となり、前記諸物性の不均
整を招いたり生産性の低下を招くという問題が内
在されていた。これに対しゲル繊維やフイルムを
ボビン等に巻取らずトウ缶等の中へ集積していく
という方法も検討された様であるが、ゲル繊維や
フイルムの集積時間が長くなるにつれて溶剤の脱
離が進行し、ゲル繊維やフイルムの長さ方向にむ
らが生じると共に、単なる集積方式である為ゲル
繊維内に異収縮が生じてやはり繊維やフイルムの
強度むらを生じるという欠点があつた。
本発明者等はこの様な状況を憂慮し、ゲル繊維
やフイルムの物性を安定化して更に向上せしめ且
つ高生産性の下に製造できる技術を確立すべく
種々検討を行なつて本発明の完成を見るに至つ
た。
即ち本発明は前記先願の要旨、つまりゲル粒状
物を溶剤に再分散又は再溶解させてから紡糸工程
又はフイルム成形工程に供し、そして口金から吐
出された紡糸々条又はフイルムを溶剤含有状態の
ままで冷却した後、これを直ちに巻取ることなく
引続いて連続的に熱延伸することを要旨とし、そ
の後始めて巻取るものであり、熱延伸前の巻取り
或は集積を省略したから、該処理に基づく諸欠点
を悉く解消することができ、前記目的が達成され
るに至つた。
本発明の第1の要旨は前出のゲル糸紡糸法又は
ゲルフイルム成形法における紡糸工程又はフイル
ム成形工程に供給する紡糸溶液及びフイルム成形
溶液の調製法として独特な方法を提供するもので
あり、前記した如く、結晶性合成重合体を一旦溶
剤に溶解した後冷却して溶剤を吸蔵するゲル粒状
物となし、次いで該ゲル粒状物を該ゲル粒状物に
吸蔵されている溶剤と同一か又は別の溶剤(これ
らの溶剤は紡糸工程又はフイルム成形工程に供給
される重合体溶液調製用の溶剤である)に均一分
散又は均一溶解して紡糸工程又はフイルム成形工
程に供給するものである。
次に本発明における溶剤を吸蔵するゲル粒状物
の製造法について詳しく説明する。まずゲル粒状
物を製造する場合の溶剤としては、ゲル糸紡糸又
はゲルフイルム成形用の結晶性合成重合体(本明
細書中では簡単のため、単に合成重合体と略称す
ることもある)を昇温下でのみ溶解する単一の低
分子量化合物または低分子量化合物の混合物が用
いられる。しかしながら昇温温度は合成重合体の
分解温度より低くなくてはならない。そして低温
度、例えば室温ではこの低分子量化合物またはこ
れらの混合物は該重合体に対して非溶剤であらね
ばならない。
かかる溶剤中に合成重合体の微粉末を適宜の重
量割合、好ましくはゲル糸紡糸溶剤又はゲルフイ
ルム成形用溶液中の合成重合体濃度とほぼ同一濃
度となるような割合(通常合成重合体濃度が約1
〜10重量%となるような濃度とするのが好まし
い)で添加し、該重合体が変質しない温度に加熱
昇温し、モホミキサー等の撹拌機を用いて撹拌混
合することにより該合成重合体を溶解する。この
場合、合成重合体の溶解が進むに従つて溶液が粘
稠化する。例えば合成重合体が超高分子量(例え
ば重量平均分子量で約1×106以上)のポリエチ
レンの粉末であり、溶媒として例えばデカリンを
使用する場合には、室温から約160℃まで約1時
間かけて撹拌しながら昇温し、160℃で約1時間
程度ゆつくりと撹拌して溶解する。このように本
発明のゲル粒状物を調製する場合の合成重合体の
溶解には長時間をかける必要はない。そしてこの
撹拌溶解を高温下で長時間行なうことは、合成重
合体の分子量低下につながるのでむしろ好ましく
ない。
本発明における溶剤を吸蔵するゲル粒状物を調
製する上で特に重要なポイントは、かくして溶解
した溶液の冷却条件にある。この冷却はできるだ
けゆつくりと徐冷することが重要である。この冷
却によつて溶剤を吸蔵する微小ゲル粒状物が製造
されるが、この場合徐冷しないで急冷すると、フ
イルム状又は餅状の粗大ゲル状物となり、平均粒
径が1mm以下であるような微小粒径のゲル粒状物
が得られない。そしてフイルム状又は餅状の粗大
ゲル状物は、所定濃度のゲル糸紡糸用均一紡糸液
又はゲルフイルム成形用均一溶液を製造する場合
に、紡糸液又はフイルム成形溶液調製用溶剤に均
一溶解せず、ゲル糸紡糸工程及び延伸工程におけ
る糸切れの発生原因となり、又ゲルフイルム成形
工程におけるフイルム破断の原因となり、更には
製品糸条及びフイルムの品質斑の原因となる。そ
してこの溶液を徐冷した場合には、前記しとよう
なフイルム状又は餅状の粗大ゲル状物の生成が抑
制され、殆んどのものが平均粒径1mm以下の溶剤
を吸蔵するゲル粒状物となる。しかしてかかる平
均粒径1mm以下のゲル粒状物は、ゲル糸紡糸用紡
糸液又はゲルフイルム成形用溶液調製用溶剤に容
易に均一溶解させることができることを本発明者
等は見出した。即ちかかる平均粒径1mm以下のゲ
ル粒状物を、例えばゲル糸紡糸液調製用溶剤中に
所定合成重合体濃度となるように添加し、ホモミ
キサー等の適宜の撹拌機を用いて撹拌することに
より均一分散液となし、該分散液をエクストルー
ダー型押出機を備えたゲル糸紡糸装置のエクスト
ルーダーホツパー中へ該ゲル粒状物の変質温度以
下の温度、好ましくは室温で供給し、該エクスト
ルーダー中で該ゲル粒状物を加熱溶解して、紡糸
口金より吐出し、吐出された糸条を紡糸口金直下
で適宜の冷却媒体(例えば冷却気体又は冷却液
体)で溶媒を含んだまま冷却してゲル糸条とな
し、次いでこれを直接巻取らずに、即ち巻取る前
に少なくとも一段延伸し、しかる後巻取る方法に
より、紡糸糸切れ等を伴なうことなく長時間連続
的に極めて安定した紡糸操業性のもとにゲル糸条
を紡糸することができる。
しかして前記のゲル粒状物を調製する際の徐冷
は、例えば高温溶解後の溶液を室温で一昼夜程度
放置することによつて容易に本発明に有用な平均
粒径1mm以下のゲル粒状物を得ることができる
が、このような自然放置による徐冷でなくても、
平均粒径1mm以下のゲル粒状物を得ることが可能
である。その方法としては、例えば徐冷を段階的
に行なう方法がある。即ち、合成重合体の前記高
温溶解溶液を該溶液の温度よりも低い温度に設定
した2段又はそれ以上の多段冷却温度条件下にそ
れぞれ適宜時間保持し、多段階で徐冷する方法で
ある。この方法によれば、自然冷却による徐冷の
場合よりも短時間で所期の目的とする好ましい微
小ゲル粒状物を得ることができる。
本発明における前記ゲル粒状物は、溶媒を吸蔵
する単球晶ゲルと、単球晶ゲルが2個以上集合し
て強固に結合した複合球晶ゲルとの混合物であ
る。そして前記徐冷は、ゲル粒状物中に占める単
球晶ゲルの割合を大きくする手段として有効であ
る。しかしてゲル糸紡糸用の紡糸溶液又はゲルフ
イルム成形用の成形溶液の調製を極めて簡単にか
つ短時間で行なうためには、ゲル粒状物中に占め
る単球晶ゲルの割合が極力大である方が好まし
く、特に単球晶ゲルが全体の50重量%以上、好ま
しくは70%以上を占めるのがよい。
更にゲル糸紡糸用又はゲルフイルム成形用溶剤
に対する溶解性が極めて良好な単球晶ゲルの大き
さが存在することも本発明者等は見出しており、
単球晶ゲルの平均球晶径が10〜200μm、特に
50〜100μmのものがこの目的のために好適であ
ることが判明した。ここで球晶径の測定は通常の
光学顕微鏡で観察することができる。単球晶ゲル
の平均球晶径は、球晶ゲルをランダムにサンプリ
ングして、n≧50個から算出される平均球径とし
て求められる。
又球晶ゲルに混在する複合球晶ゲルの割合は、
前記した如くできるだけ少ない方が溶剤に対する
溶解性の点で好ましいが、単球晶ゲルが20個以
下、好ましくは10個以下集合した複合球晶ゲルは
単球晶ゲルに次いで溶解性が優れているので、か
かる複合球晶ゲルの混在は溶解性に何ら支障をき
たさない。しかしながら単球晶ゲルが20個を越え
て集合した複合球晶ゲルは、溶剤に対する溶解性
が劣るので、かかる複合球晶ゲルの混入は好まし
くなく、適宜除去するのがよい。なお、本発明に
おいて単球晶ゲルは、通常の偏光顕微鏡で観察し
た場合、単球晶のマルテーズ・クロスを示すこと
から容易に判定することができる。
本発明におけるゲル粒状物をゲル糸紡糸工程又
はゲルフイルム成形工程に供給する方法として
は、前記した如く、ゲル糸紡糸液調製用又はゲル
フイルム成形溶液調製用溶剤中に所定重合体濃度
となるように添加し、ホモミキサー等で撹拌して
均一分散液となし、紡糸機の原料供給エクストル
ーダーホツパー又はフイルム成形機のエクストル
ーダーホツパー中へ投入し、該エクルトルーダー
中で該ゲル粒状物を均一溶解する方法が最も取扱
いが簡単でかつ経済的な方法であるが、本発明は
かかる方法に限定されるものではなく、例えば従
来法におけると同様に、紡糸液又はフイルム成形
用溶液調製用溶剤を多量貯留した溶解タンク中
に、該ゲル粒状物を所定重合体濃度となるように
投入し、加熱撹拌して均一溶液となし、これを保
温したままゲル糸紡糸工程又はゲルフイルム成形
工程へ供給してもよい。なお、この場合の溶解タ
ンクによる溶解は、ゲル粒状物の溶解性が極めて
優れているため、従来法よりもはるかに短時間で
均一溶解することができる。
本発明において、ゲル粒状物の溶解用溶剤は、
ゲル粒状物中に吸蔵されている溶剤と同一である
のが好ましいが、これとは別の溶剤でも勿論よ
く、該ゲル粒状物を加熱下に溶解することが可能
であつてかつゲル糸紡糸用又はゲルフイルム成形
溶液用溶剤として使用可能なものであれば如何な
るものでもよい。かかる溶剤はこれを溶解する合
成重合体の種類によつて異なるが、例えば合成重
合体がポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフインの場合には、例えばオクテン、ノナン、
デカン、ウンデカン、ドデカンまたはこれらの異
性体等の沸点が少なくとも100℃以上の脂肪族炭
化水素、脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素及
び高級直鎖炭化水素或は高級枝分れ炭化水素、沸
点が100℃以上の石油溜分、トルエン、キシレン、
ナフタリン、テトラリンやデカリンなどである
が、ハロゲン化炭化水素やその他の溶剤も使用で
きる。又これらの溶剤は前記ゲル粒状物を調製す
る際の溶剤としても勿論使用できる。又合成重合
体がポリアクリロニトリルの場合にはジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤が使
用できる。
本発明において、紡糸液又はフイルム成形溶液
中の最良の合成重合体濃度はトライアルアンドエ
ラーにより確立されねばならない。これは本質的
に3つのパラメーター、即ち(1)合成重合体溶剤の
相互作用、(2)合成重合体の分子量および(3)紡糸温
度に依存している。特定合成重合体用の溶剤が良
好であればある程最適紡糸濃度が高くなる。合成
重合体の分子量が高くなればそれだけ最適紡糸濃
度が低くなる。本発明の方法における紡糸温度
は、通常上限が合成重合体の分解温度または溶剤
の沸点により、一方下限が紡糸溶液の相分離また
はゲル化温度により夫々制限される。しかして合
成重合体が超高分子のポリエチレンの場合には、
該合成重合体濃度は約1〜15重量%、好ましくは
2〜8重量%、更に好ましくは2〜5重量%であ
る。
本発明においてゲル粒状物が変質しない温度以
下とは、該ゲル粒状物を含有する分散液中で該ゲ
ル粒状物が一部溶解凝集を生じて、均一分散液が
本質的に不均一分散液となるような温度以下の温
度をいう。本発明においては、ゲル糸紡糸又はゲ
ルフイルム成形されて溶剤を多量含有するゲル糸
又はゲルフイルムを、紡糸工程又はフイルム成形
工程の後ただちに巻取るのではなく、少なくとも
1回延伸し、しかる後巻取る。この延伸は一般に
加熱下に行なわれ、加熱媒体は特に限定されない
が、例えば加熱板等を用いて少なくとも2倍以
上、好ましくは3〜20倍の延伸倍率で行なうのが
よい。その他の加熱方法としては、ゲル繊維又は
フイルムが通過する管体内又は筒体内へ併流的又
は向流的に熱媒を流す方法、ゲル繊維又はフイル
ムをオーブン内へ通す方法が例示される。かかる
延伸によりゲル糸又はゲルフイルム中に含有され
ている溶剤を相当量除去する。通常紡糸又はフイ
ルム成形された直後のゲル糸又はゲルフイルム
は、溶剤を約90重量%以上含有しているが、前記
延伸により、溶剤が60重量%以下、好ましくは50
重量%以下含有されるようにするのがよい。この
場合、溶剤は一部蒸発し、一部液状のまましぼり
出される。このように紡糸工程又はフイルム成形
工程で一旦延伸してから巻取ると、巻取つた糸条
又はフイルムを次工程で巻返して使用する際に糸
条又はフイルムが相互に接着することがないの
で、解除性が極めて良好となる。この紡糸工程又
はフイルム成形工程で延伸しないで直ちに巻取る
場合には、巻取られたゲル糸又はゲルフイルムが
一部相互接着を起こし、次工程での解除性が悪
く、解除時に糸切れやフイルム破断を惹起する頻
度が増大する欠点がある。紡糸工程又はフイルム
成形工程で少なくとも1回(1段)延伸するとゲ
ル糸又はゲルフイルムの構造が安定化し、これに
より長時間巻取り可能となる。かくして得られた
ゲル糸又はゲルフイルムは次工程において更に延
伸を行なうことにより、高強力・高モジユラス繊
維又はフイルムにすることができる。
本発明における結晶性合成重合体とはゲル糸紡
糸又はゲルフイルム成形の可能な合成重合体であ
れば如何なるものでもよいが、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシ
ドなどのポリオレフイン;ポリアクリロニトリ
ル;ポリ(フツ化)ビニリデン;ポリビニルアル
コール;各種ポリアミド;ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートなどの各種
ポリエステル;等を挙げることができる。又これ
らの合成重合体の分子量としては、高ければ高い
程高強力・高モジユラス化の観点より好ましく、
通常重量平均分子量が1×105以上であるのがよ
い。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系及び
ポリアクリロニトリル系重合体の場合には、1×
105以上、更には1×106以上の高分子量化が可能
であるため、本発明においてはかかる超高分子量
の合成重合体を使用するのが特に好ましい。
本発明によれば、極めて簡単な方法により合成
重合体の分子量低下を伴なうことなく、ゲル糸紡
糸用及びゲルフイルム成形用の均一紡糸溶液及び
均一フイルム成形溶液を調製することが可能とな
り、かつゲル糸紡糸及びゲルフイルム成形を長時
間操業安定性良く実施することができ、更に紡糸
又はフイルム成形工程で巻取られた後の解除性が
良好であり、延伸工程において糸切れやフイルム
破断を生じることが殆んどないため、生産性が高
く、しかも製品々質も極めて優れたものが得ら
れ、ゲル糸紡糸及びゲルフイルム成形の工業的製
造技術として画期的なものである。特に紡糸用又
はフイルム成形用に供する合成重合体液を加熱す
ることなく常温でエクストルーダーに供給できる
点及び解除性が向上し延伸トラブルを発生しなく
なつた点で、取扱上及び装置設備経済上のメリツ
トが絶大である。
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
実施例 1 重量平均分子量が2×106である超高分子量ポ
リエチレンの微粉末を、デカリン中に該ポリエチ
レンの濃度が3重量%となるように添加し、
60rpmの撹拌速度で撹拌しながら40分かけて系を
160℃に昇温した。この際120℃付近からポリエチ
レンの溶解により系の粘度が急激に上昇したの
で、系の撹拌速度を以後1/10程度におとしながら
引き続き160℃で1時間撹拌を続け、ポリエチレ
ンのデカリン溶液を作成した。
次にかくして得た溶液を一昼夜自然放置により
徐冷し、ゲル状物を得た。このゲル状物中にはフ
イルム状及び粒径が1mmを越える粗大ゲルが若干
含まれていたが、殆んどのものは簡単な機械的撹
拌により平均粒径1mm以下の微小ゲル粒状物に単
離できる。微小ゲル粒状物のみを集めてホモミキ
サーで撹拌し、球状ゲルを単離してゲル粒状物を
構成する球状ゲルを顕微鏡観察したところ、単球
晶ゲルが全体の約80重量%を占め、残部は単球晶
ゲルが2〜10個集合して結合した複合球晶ゲルで
あつた。又この単球晶ゲルは、デカリンを約92重
量%(即ち、ポリエチレン8重量%)吸蔵してい
た。
次にかくして得たデカリンを吸蔵する平均粒径
1mm以下の微小ゲル粒状物を、紡糸液調製用溶剤
としてのデカリン中へポリエチレンの濃度が3重
量%となるように添加し、ホモミキサーを用いて
室温で撹拌してゲル粒状物の均一分散液を製造し
た。
次にこの均一ゲル粒状分散液を通常のスクリユ
ー型エクストルーダーを備えたゲル糸紡糸装置
(従来の一般溶融紡糸装置とほぼ同一の装置)の
エクストルーダーホツパー中へ常温で供給した。
なおエクストルーダー温度は150℃に設定したも
のを使用した。紡糸口金としては孔径0.8mm、孔
長8mmの単孔を40個穿設したものを使用し、紡糸
液の吐出量は46g/minとした。又紡糸ヘツドの
温度は156℃、紡糸口金面温度150℃とした。吐出
された糸条に対し紡糸口金直下で室温の空気を
0.4m/secの速度で吹当てて冷却し、デカリンを
含有したままのゲル糸を得た。次いで該ゲル糸を
紡糸口金下方に設けたたて型スリツト状熱板に接
触させて110℃で6倍の延伸倍率で第1段延伸し、
しかる後ボビンに巻取つた。
かくして60時間連続紡糸を行なつたが、この間
糸切れは全くなく、極めて安定した紡糸操業性が
得られた。
次にかくして得たゲル糸を延伸工程に供給して
延伸した。延伸工程における最初の延伸は、スリ
ツト状熱板に該ゲル糸を接触走行させながら135
℃で4倍延伸した。又かくして得た延伸糸を、再
びスリツト状熱板に接触走行させながら150℃で
2倍延伸した。即ち、紡糸工程に連続する第1段
延伸と合わせ合計3段で全延伸倍率48倍の延伸を
行なつた。60時間連続紡糸して得たゲル糸をかく
してすべて延伸したが、ゲル糸のボビン解除性は
良好でかつこの間延伸糸切れは一度もなく、優れ
た延伸操業性が得られた。
本実施例により製造されたポリエチレン延伸糸
は、強度46g/d、初期モジユラス1400g/d、
伸度5%の高強度、高モジユラス繊維であつた。
又該延伸糸は単糸間及び繊維長さ方向とも繊度斑
は殆んど認められず、又原料ポリエチレンに対し
分子量低下は殆んど認められなかつた。
比較例 1 実施例1と同一条件で紡糸を行ない、冷却後た
だちにボビンに巻取つた。このゲル繊維はボビン
の巻形状がくずれたものであつて、内層部のゲル
繊維が部分的に離溶剤したむらだらけの原糸であ
つた。またこの原糸を延伸加工に付したが、糸切
れが多発し延伸性は極めて悪いものであつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 結晶性合成重合体の溶液からゲル状繊維又は
    ゲル状フイルムを製造し、次いで該ゲル状繊維又
    はゲル状フイルムを高倍率延伸することにより、
    高強力、高モジユラス繊維又はフイルムを製造す
    る方法において、該結晶性合成重合体を一旦溶剤
    に溶解した後冷却して溶剤を吸蔵するゲル粒状物
    となし、次いで該ゲル粒状物を該ゲル粒状物に吸
    蔵されている溶剤と同一か又は別の溶剤に分散又
    は溶解してゲル状繊維紡糸工程又はゲル状フイル
    ム成形工程に供給し、紡糸口金から吐出された紡
    糸々条又は押出成形装置から押し出されたフイル
    ムを溶剤含有状態のままで冷却し、これを直ちに
    巻取ることなく引続いて連続的に熱延伸してから
    巻取ることを特徴とする高強力・高モジユラス繊
    維又はフイルムの製造方法。 2 結晶性合成重合体がポリエチレン、ポリプロ
    ピレン等のポリオレフイン、ポリアクリロニトリ
    ル、ポリ(フツ化)ビニリデン、ポリビニルアル
    コール、ポリアミド及びポリエステルの群から選
    ばれた一種又は二種以上の化合物である特許請求
    の範囲第1項記載の高強力・高モジユラス繊維又
    はフイルムの製造方法。 3 高強力・高モジユラス繊維又はフイルムが、
    重量平均分子量1×105以上のポリエチレン系、
    ポリプロピレン系又はポリアクリロニトリル系重
    合体からなる特許請求の範囲第1項又は第2項に
    記載の高強力・高モジユラス繊維又はフイルムの
    製造方法。 4 高強力・高モジユラス繊維又はフイルムが重
    量平均分子量1×105以上のポリエチレン系重合
    体からなる特許請求の範囲第1項乃至第3項のい
    ずれかに記載の高強力・高モジユラス繊維又はフ
    イルムの製造方法。
JP58161044A 1983-08-31 1983-08-31 高強力・高モジュラス繊維又はフィルムの製造方法 Granted JPS6052326A (ja)

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