JPH0357599Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えば旅客機等の航空機の尾翼側胴
体構造に関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種の航空機の尾翼側胴体構造として
は、第２図に示すように、尾翼側胴体１の後部１
ａ内に金属製の椀型形状の圧力隔壁２を密封配置
し、この圧力隔壁２により、飛行中における外気
との圧力差を持たせて、キヤビン(C)内の気圧を安
定維持させるような構成となつている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このような従来構造のもので
は、圧力隔壁２が単一構造のため、飛行中に受け
る圧力変動あるいは振動等により、隔壁部に金属
疲労による亀裂等の破損箇所が生じると、この破
損箇所からキヤビン(C)側の空気(A)が、第２図２点
鎖線矢印で示すように、前記尾翼側胴体１の後部
１ａ側を通つて外部に放出し、この放出圧力によ
つて前記圧力隔壁２が破壊されて重大な事故に繋
がるという問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、飛行中における圧
力隔壁の隔壁部に金属疲労による亀裂等の破損箇
所が生じた際に、キヤビン側の空気の放出を確実
に防止することができるようにした航空機の尾翼
側胴体構造を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記した問題点を解決するために、本考案は、
内部に椀型形状の圧力隔壁を密封配置した航空機
の尾翼側胴体において、前記圧力隔壁の後方に補
助圧力隔壁機構を設け、この補助圧力隔壁機構
は、圧力隔壁の後方に対向して設置されたデイス
クプレートと、このデイスクプレートと前記圧力
隔壁との間にあつて一端が前記胴体に密封固定さ
れ他端が胴体後部側へ伸長可能なベローズ体と、
このベローズ体の他端に取り付けられて前記デイ
スクプレートと近接対向したシートプレートとを
備え、前記デイスクプレートには封止部と通気孔
が形成され、前記シートプレートにはデイスクプ
レートの封止部と密接嵌合可能な排気口が開設さ
れた構成としたものである。

［作用］ 本考案によると、圧力隔壁の後方の補助圧力隔
壁機構において、通常、デイスクプレートとシー
トプレートの間、及び圧力隔壁とシートプレー
ト、ベローズ体の間は、デイスクプレートに設け
た通気孔及びシートプレートに設けた排気口を通
じて外気圧と同圧になつており、ベローズ体には
差圧による応力が全く作用しない。

万一、飛行中に圧力隔壁が金属疲労によつて破
損し、その破損箇所から、地表付近の気圧に保持
されたキヤビン内の空気が胴体後方に放出される
と、その瞬間、放出空気によつて上昇するベロー
ズ内の気圧と、上空の低い外気圧と同圧であるデ
イスクプレート側の気圧の差によつて、ベローズ
体が伸長してシートプレートがデイスクプレート
側へ移動し、シートプレートの排気口がデイスク
プレートの封止部と密接嵌合して密閉されるの
で、補助圧力隔壁機構は二次的な圧力隔壁として
機能し、キヤビン側の空気が外部に放出されるの
を確実に防止することが可能になる。

［実施例］ 以下、本考案を第１図に示す一実施例を参照し
ながら説明する。なお、本考案に係る図示の実施
例において、第２図に示す従来構造のものと構成
が重複する部分は同一符号を用いて説明する。

すなわち、本考案に係る航空機の尾翼側胴体１
は、第１図に示すように、圧力隔壁２の後方にキ
ヤビン(C)側の空気(A)の放出圧力で二次的に作動す
る後述の補助圧力隔壁機構３を設置してなるもの
である。

上記補助圧力隔壁機構３は、圧力隔壁２の後方
にデイスクプレート４を対向位置させて設置固定
し、このデイスクプレート４の中央部に、前記圧
力隔壁２側に向け突出させた封止部５を設け、か
つその周囲に通気孔６を開口させる一方、前記圧
力隔壁２とデイスクプレート４との間にベローズ
体７を配置するとともに、その圧力隔壁２側の一
端７ａを前記胴体１の内周部にホルダー８を介し
て密封固定し、さらに、そのデイスクプレート４
側の他端７ｂにシートプレート９を取付け、この
シートプレート９の中央部、すなわち、前記デイ
スクプレート４の中央部に突出させた封止部５と
対応する位置に排気口１０を開口させてなる構成
を有するもので、通常、前記胴体１外の外気圧
P₀とベローズ体７内の気圧を前記デイスクプレ
ート４及びシートプレート９にそれぞれ開口させ
た通気孔６及び排気口１０による連通によつて同
圧になつている。

そして、上記圧力隔壁２に亀裂等が生じて、こ
の破損箇所から内気圧P₁のキヤビン(C)側の空気
(A)が胴体後方へ放出されると、この放出圧力で前
記ベローズ体７の伸長動作と共にシートプレート
９は、胴体後部１ａ側に向け伸長可能になつてい
て、このシートプレート９の可動により、シート
プレート９の排気口１０を前記デイスクプレート
の封止部５で閉塞し、これによつて、キヤビン(C)
側の空気(A)が外部に放出されるのを確実に防止す
ることを可能にしているものである。

なお、本考案は上記した実施例には何等限定さ
れないものであり、本考案の要旨を変えない範囲
で種々変更実施可能なことは勿論である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、上空を飛行中に圧力隔壁が万一破損しても、
その瞬間、破損箇所からの放出空気の圧力によつ
て作動する補助圧力隔壁機構が二次的な圧力隔壁
として機能するため、キヤビン側の空気が外部に
放出されるのを確実に防止することができるとい
うすぐれた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る航空機の尾翼側胴体構造
の一実施例を示す要部概略的断面図、第２図は従
来の航空機の尾翼側胴体構造を示す要部概略的断
面図である。 １……尾翼側胴体、２……圧力隔壁、３……補
助圧力隔壁機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に椀型形状の圧力隔壁を密封配置した航空
   機の尾翼側胴体において、前記圧力隔壁の後方に
   補助圧力隔壁機構を設け、この補助圧力隔壁機構
   は、前記圧力隔壁の後方に対向して設置されたデ
   イスクプレートと、このデイスクプレートと前記
   圧力隔壁との間にあつて一端が前記胴体に密封固
   定され他端が胴体後部側へ伸長可能なベローズ体
   と、このベローズ体の他端に取り付けられて前記
   デイスクプレートと近接対向したシートプレート
   とを備え、前記デイスクプレートには封止部と通
   気孔が形成され、前記シートプレートにはデイス
   クプレートの封止部と密接嵌合可能な排気口が開
   設されたことを特徴とする航空機の尾翼側胴体構
   造。