JPH0357067B2

JPH0357067B2 -

Info

Publication number: JPH0357067B2
Application number: JP58218666A
Authority: JP
Priority date: 1983-11-22
Filing date: 1983-11-22
Publication date: 1991-08-30
Also published as: JPS60112676A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、塩基性の耐火セメント組成物に関
し、詳しくは、著しく高い耐火性と耐食性と高強
度発現性を示し、硬化遅れがなく施工上必要にし
て十分な作業性を有するセメント組成物に関す
る。従来から、アルミナセメントは、耐火性骨材と
配合しキヤスタブル耐火物として鉄鋼関係或いは
非鉄金属関係の炉材等に広く用いられているが、
塩基性骨材を用いると使用場所により著しくその
特性が劣るので、これを改良するため、マグネシ
アを60重量％以上含有させたものが知られている
（特開昭57−191256号公報）。しかしながら、このようにマグネシアを高含有
させたアルミナセメント組成物は、塩基性骨材の
使用には適しているが高温強度に欠け施工時に於
ける作業性も劣り、成形しても十分な強度が得ら
れないという欠点があつた。本発明者らはこれら
の欠点を解決すべく鋭意研究を進めた結果、マグ
ネシア含有量を５〜50重量％とすることにより高
温強度を著しく向上し、また、それに伴う作業性
の低下は特殊な添加剤の使用によつて克服できる
ことを見い出し、本発明を完成したものである。すなわち、本発明は、少なくともAl₂O₃分を45
重量％含有して成るアルミナセメント50〜95重量
部とマグネシア５〜50重量部から成る塩基性耐セ
メント組成物、及び該組成物100重量部に対し、
水溶性のポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸及
びそれらの酸の塩類（以下、ポリアクリル酸等と
いう）の少くとも一種を0.1〜３重量部及び／又
はヒドロオキシカルボン酸及びその塩並びに無機
炭酸塩（以下、ヒドロオキシカルボン酸等とい
う）から選ばれた少くとも一種を0.1〜２重量部
とを含有させて成る塩基性耐火セメント組成物で
ある。以下、本発明をさらに詳しく説明する。本発明で使用するアルミナセメントは、溶融法
或いは焼成法によつて製造することができ、通常
その鉱物組成は、CaO・Al₂O₃，CaO・2Al₂O₃，
12CaO・7Al₂O₃等の少くとも一種のカルシウム
アルミネートを主体としたもので、粒度は粒径
88μ以下、比表面積がブレーン法で0.2〜1.2m²／
ｇである。本発明では、Al₂O₃分の含有量が重要
であつて、45重量％未満であると耐火性が劣る。一方、マグネシアは、MgO成分として80重量
％以上含むものであれば天然品、溶融品、焼成品
のいずれも使用できるが、なかでも、焼成品は、
焼成温度を変えることによりその活性を変えるこ
とが出来、使用場所に適した強度が得られるので
好ましい。アルミナセメントとマグネシアの配合割合は、
アルミナセメント50〜95重量部、マグネシア５〜
50重量部の範囲である。マグネシアの割合が５重
量部未満では塩基性骨材による耐食性等の特性が
劣化し、また、50重量部をこえると高温強度及び
作業性が劣化する。以上述べた如く本発明は、高温強度、耐食性及
び作業性に著しく優れた塩基性耐火セメント組成
物である。すなわち、従来、キヤスタブル用骨材
として塩基性骨材を使用すると使用場所により著
しくその特性の劣化を呈し、従来品では使用困難
とされていた均熱炉及び加熱炉等の鉄鋼関係或い
は非鉄金属関係の炉材用耐火物としての使用が可
能となり、極めて大なる効果を有するものであ
る。第２の発明は、前述したセメント組成物の作業
性と強度発現性をさらに向上させるために、ポリ
アクリル酸等及び／又はヒドロオキシカルボン酸
等の特定量を混在せしめたものである。ポリアクリル酸等は主として硬化遅延剤として
機能する。その重合度は50〜10000であることが
望ましいが、配合量は、前述したセメント組成物
100重量部に対し0.1〜３重量部とする。0.1重量
部未満では硬化遅延効果が全くなく、また、３重
量部をこえると強度発現が悪くなる。ポリアクリ
ル酸又はポリメタクリル酸の水溶性塩としては、
ナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩があ
るが、性能と取り扱い易さから考えるとナトリウ
ム塩が好ましい。ヒドロオキシカルボン酸等は主として減水分散
剤として機能する。例示すれば、クエン酸、酒石
酸、リンゴ酸、グルコン酸などのヒドロオキシカ
ルボン酸やナトリウム、カリウム、アンモニウム
等の水溶性塩、さらには、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウ
ムなどをあげることができる。性能と取り扱い易
さの点から、クエン酸ナトリウムと炭酸ナトリウ
ムが好ましい。配合量は、前述したセメント組成
物100重量部に対し0.1〜２重量部である。0.1重
量部未満では効果がなく、また、２重量部をこえ
て添加する利点はない。以上の２成分を第１の発明のセメント組成物に
さらに含有せしめることにより、硬化遅れがなく
施工上必要にして十分な作業性を有するものとな
る。本発明のセメント組成物は、アルミナセメント
とマグネシアの所定量を配合し混合粉砕するか、
又はそれぞれの粉砕物を混合することによつて製
造することができ、ポリアクリル酸等とヒドロオ
キシカルボン酸等はあらかじめセメント組成物に
配合しておいてもよく、また、混練時に添加して
もよい。次に、本発明を実施例をあげて説明する。実施例１表１に示すアルミナセメントと表２のマグネシ
アを混合し表３に示すセメント組成物を得た。

【表】

【表】表３に示したセメント組成物20重量部とマグネ
シア骨材80重量部を配合して得られたキヤスタブ
ル耐火物の諸物性の測定結果を表４に示す。

【表】

【表】次に、表１のアルミナセメントＡを70重量部と
表２のマグネシア30重量部からなるセメント組成
物100重量部に、ポリアクリル酸ナトリウム
（PAS）、クエン酸ナトリウム（SC）、炭酸ナトリ
ウム（Na₂CO₃）を種々配合して得られたセメン
ト組成物20重量部とマグネシア骨材80重量部を混
合してなるキヤスタブル耐火物について、同様な
物性を測定した。添加剤の配合割合とその結果を
表５に示す。

【表】表４に示した通り、本発明のセメント組成物
は、比較例に比べて、高温強度と作業性はいずれ
も著しく優れていることがわかる。さらに、表５
に示したように、ポリアクリル酸等やヒドロオキ
シカルボン酸等の添加量が本発明で限定した範囲
よりも少ないと（比較例５、７、９及び11）瞬結
性となり高温強度も低下する。また、添加量が多
くなると（比較例６、８、10及び12）硬化時間が
長くなり実用性に欠け高温強度も低下する。なお、成分の測定と物性の測定は次の方法によ
つた。１成分の測定：JIS R2522に準ずる。２物性の測定 (1) フロー値の測定：耐火セメントを耐火性骨
材と配合し、JISR2553の方法にて水を加え
３分間混練しこの混合物をフローコーンに充
填し表面をならした後、フローコーンを垂直
方向に抜き取り15秒間に15回落下運動を与え
キヤスタブルの広がつた径の長さ（mm）を最
大と認められる方向とこれに垂直な方向につ
いて計り長さの平均値を整数に丸めフロー値
とする。 (2) その他の物性の測定：JIS R2553に準ず
る。実施例２表１に示すアルミナセメントを用い、表３実験
No.３記載のセメント組成物を作製し、その組成物
を用いて表５実験No.11に記載のように添加物を混
合し、キヤスタブル耐火物とした。このキヤスタブル耐火物を用いて、JIS M8512
記載の方法で耐火度を測定した。その結果を表６
に示す。一方、化学組成が、CaO41.5％、SiO₂33.7％、
Al₂O₃14％、MgO6.5％、及びTiO₂1.3％の新日鉄
製高炉スラグを高周波炉の黒鉛ルツボ内、1550℃
で溶解し、その中へ、前記キヤスタブル耐火物の
硬化後1000℃で２時間焼成した４×４×16cmの試
片を10時間浸漬し、損耗状態を目視で観察し耐食
性とした。結果を表６に併記する。なお、耐食性の評価は、損耗が少なければ◎、
それほどなければ○、損耗が多ければ×とした。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】１少なくともAl₂O₃分を45重量％含有して成る
アルミナセメント50〜95重量部とマグネシア５〜
50重量部を含有して成る塩基性耐火セメント組成
物。２少なくともAl₂O₃分を45重量％含有して成る
アルミナセメント50〜95重量部とマグネシア５〜
50重量部とから成る組成物100重量部に対し、水
溶性のポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸及び
それらの酸の塩類から選ばれた少なくとも一種を
0.1〜３重量部及び／又はヒドロオキシカルボン
酸及びその塩並びに無機炭酸塩から選ばれた少く
とも一種を0.1〜２重量部を含有させて成る塩基
性耐火セメント組成物。