JPH0354931Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 考案の目的 〈産業上の利用分野〉 本考案は、筆記具、特に硬筆筆記具の軸体に関
する。

〈従来技術〉 ボールペンの本体は、いずれも先端のボール保
持部に連結して細長い、またはやや胴太のインキ
筒が設けられていて前記本体を挿着するボールペ
ン軸体は断面丸形、角形を問わず、ペン本体を、
先端保持部のみ、またはインキ筒後端部あるいは
先端保持部とインキ筒後端部とを嵌着しているの
が一般である。しかしながら、これらの保持手段
はボールペン本体と軸体との間の組付け具合の自
由度が少なく、極めて固く組付けられていてイン
キ取換えの際に困難を感じるとか、でなければ緩
めで不安定であるなどの問題点がある。で、より
確実な組付構造のものは、軸体端部にネジを施し
ボール保持部に設けたネジを螺着するか、中央に
ボールペン保持部を挿通できる径の孔を有する袋
ナツト状締付具をねじ込み、ペン本体をボール保
持部とインキ筒後端部との両端で押えて軸体に組
付けている。これらは少なくとも２つの部材が必
要になるとか、各々にはネジ加工を要し工数がか
かること、両者の螺合部は、いずれかが原則的に
断面円形の外観でなければならない等の制約があ
る。

〈考案が解決しようとする問題点〉 そこで本考案は、その種ネジ構造を用いること
なく軸体のボールペン本体に対する組付けが確実
かつ適度であつて、その挿脱が必要に応じて容易
に行われるばかりでなく、軸体断面構造を利用し
てボールペンのクリツプの組付けが簡単にでき、
しかも、コストアツプすることなく外観が優美
で、ペンそれ自体の商品価値を高めることがで
き、しかも使い勝手のよいボールペン軸体を提供
することを目的とする。

(ロ) 考案の構成 〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、上記の目的を達成するために、次に
述べる構成要件を具備している。

(1) 外周を閉曲線により囲んだ空間の中心に、ボ
ールペンのインキ筒の外径とほぼ等しいか、や
や小径の内径を有する円筒状体を設け、前記円
筒状体は周方向に複数個に分割されていて、そ
れぞれの分割部材は前記円筒状体に対し外側方
向に伸びる一枚の弾性リブにより外周と一体的
に連結して成る横断面を備えた筒状体であるこ
とを特徴とするボールペン軸体。

(2) 断面外周は、つぶれた八角形を形成し、その
中心円筒状体は４分割されており、その各々が
一枚の薄いリブによつて、それぞれ外周壁の一
辺と一体的に連結されていることよりなる上記
第(1)構成記載のボールペン軸体。

(3) 軸体の一端面において、相隣るリブの筒周壁
内側での間隔よりも僅かに狭い巾で前記周壁を
長手軸方向に切欠いて、その切欠溝にクリツプ
本体を埋込むと共に、前記クリツプの内側に設
けた脚部および、それに連らなるバネ部を、前
記リブの周壁内側における間隔に等しい巾を備
え、前記クリツプに並行して、筒周壁とリブ基
部との間に形成された一対の挿通溝に支承した
挿入板の一端取付孔に装着したことよりなる上
記第(1)項記載のボールペン軸体。

〈作用〉 本考案軸体は長手軸方向のいずれの断面を採つ
ても同一であるから、軽合金の冷間押出し加工に
より、比較的に複雑な断面形であつても一体的に
能率よく成形でき、割合安価に入手可能である。
また、材質に軽合金を使用すれば、軸体のクリツ
プ溝などの加工が容易で、筒体内に設けた円筒状
区画部材中にボールペン本体のインキ筒を押込ん
で装着すると、リブ構造材に力がかかつて適度の
保持力が生じ、そのままでボールペン本体と軸体
とを円滑に一体的に組付けることができ、しか
も、インキ取換時のペン本体の引抜きが極めて容
易である。本考案軸体は上述のとおり断面構造が
複雑なので外力により曲げに対し丈夫であり、そ
れだけ肉薄に構成することもでき、そのままボー
ルペンの軸体として使用可能であつて外観も優美
で手触りが良く、角形に成形すれば使い勝手も良
好である。

さらに、軸体の一端において、その周壁の一辺
を長手軸方向に切欠し、クリツプ溝を形成すれ
ば、その溝内にクリツプを埋込むことができてデ
ザイン的に良好なばかりでなく、リブの基部と周
内壁との間に形成される一対の挿通溝に支承した
挿入板の装着と相俟つて、軸体にクリツプを簡単
に組付けることができる。

〈実施例〉 第１図は、本考案軸体の断面の一実施例で、材
質はアルミニウム合金で成形され、図中、１は、
つぶれた八角形を形成する周壁、２は前記周壁１
に囲まれた空間の中央に位置する円筒状体で、前
記筒状体は円周方向に４個の溝３で区画されてお
り、その内径は、ボールペン本体のインキ筒の外
径とほぼ等しいか、僅かに小さくできている。そ
して筒状体２の内径に前記インキ筒を挿入すると
きは筒状体内壁がインキ筒に全面的に接触する一
方、４つの溝巾が拡つてボールペン本体を適切に
押圧、保持し、これを軸体に組付ける。４は円筒
状体２の各区画部と同壁１との間を一体的に結ぶ
肉薄リブで、前記リブ４は、円筒状体２に対し放
射方向から外れた向きに伸びて周壁１に連結し、
筒状体２の径方向の自由度を保障している。リブ
４と周壁１との接続点は隅角部を外し、周壁内側
とリブ４とで向い合つた鋭角隅５を形成し、その
間隙に第２図に示すＬ形挿入板６を挿着できるよ
うにしている。

ボール保持部７と軸体１端面との接合部は、第
３図の斜視図にみられるように保持部７と軸体１
との間に補助筒８を挿入するか、保持部７側の上
端縁を軸体断面に合わせて整形することが望まし
い。補助筒８の軸体１側端は摺り割溝を施して軸
体内部のリブを嵌着できるようにし、軸体との組
付けを容易にすることもできる。そのときは軸体
端面の内部は座繰り加工を施しておくと良い。

再び、第２図において、同図はボールペン軸体
のクリツプ構造の分解部品斜視部であつて、図
中、１は軸体、６はＬ形挿入板で、薄金属板より
成形され、その巾は軸体周壁内側に、それぞれ形
成されている鋭角隅５，５間の間隔とほぼ同じ
か、僅かに広くなつていて、その両側を前記鋭角
隅５，５より成る挿通溝に圧入、組付けるように
されている。

折曲げ片９は、軸体に挿入板６をセツトしたと
きに軸体周壁との間でキヤツプ１０の脚を保持す
る役割を持つ。挿入板６の折曲げ隅にクリツプ取
付孔１１が穿設されていて、ここに軸体１の端面
において、その周壁の一辺を長手軸方向に切欠い
た切欠溝１２に埋込まれる、ほぼ、これと同形の
クリツプ１３の裏面に設けた脚部１４およびバネ
部材１５を挿入し、脚部１４を取付孔１１に嵌着
させるようにする。

その状態のままで挿入板を６を軸体１側に圧
入、組付けることによつて、クリツプ１３を軸体
１に装着することができ、そのとき、クリツプ１
３の表面と軸体１周表面とは殆んど同一に近くな
る。

１０は、キヤツプで、内側に一対の脚を備え、
これを軸体周壁の内側と挿入板６の押圧板との間
に挿着して軸体１の端面を塞ぎ、かつ整形する。
前記キヤツプの外形は、ほぼ軸体断面外形に等し
くすることが好ましい。

以上、本実施例に関する説明に当つて軸体１の
断面外形を、つぶれた八角形であるとして記述し
て来たが、これは他の形、たとえば三角形、四角
形等々軽金属による冷間押出し成形が可能であつ
て筆記具用軸体の形として好ましい形であれば必
ずしも八角形でなくともよい。

また、もつぱらボールペン軸体としての利用手
段について説明して来たが、同種の使用方法であ
ればシヤープペンシルなどを施しても技術的に同
一の範囲に属するものである。

(ハ) 考案の効果 以上のとおりであるから本考案軸体によれば、
軽金属の冷間押出し加工などの手段で比較的に低
コストでデザインが優美で、かつ高級感覚が得ら
れ、しかも使い勝手の良いボールペン軸体を提供
することができる上に、前記軸体はボールペン組
立工程において前述のような各種のメリツトを期
待することができるもので従来公知のボールペン
軸体と比較して格別の作用、効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案軸体の一実施例の断面図、第
２図は、軸体に組付けたクリツプの分解部品斜視
図、第３図は、ボールペンの先端部斜視図であ
る。 １……軸体、２……円筒状体、３……割溝、４
……リブ、５……鋭角隅。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 外周を閉曲線により囲んだ空間の中心に、ボ
   ールペンのインキ筒の外径とほぼ等しいか、や
   や小径の内径を有する円筒状体を設け、前記円
   筒状体は周方向に複数個に分割されていて、そ
   れぞれの分割部材は、前記円筒状体に対し外側
   方向に伸びる一枚の弾性リブにより外周と一体
   的に連結して成る横断面を備えた筒状体である
   ことを特徴とするボールペン軸体。 (2) 断面外周は、つぶれた八角形を形成し、その
   中心円筒状体は４分割されており、その各々が
   一枚の薄いリブによつて、それぞれ外周壁の一
   辺と一体的に連結されていることよりなる実用
   新案登録請求の範囲第(1)項記載のボールペン軸
   体。 (3) 軸体の一端面において、相隣るリブの筒周壁
   内側での間隔よりも僅かに狭い巾で前記周壁を
   長手軸方向に切欠いて、その切欠溝にクリツプ
   本体を埋込むと共に、前記クリツプの内側に設
   けた脚部およびそれに連らなるバネ部を、前記
   リブの周壁内側における間隔に等しい巾を備
   え、前記クリツプに並行して、筒周壁とリブ基
   部との間に形成された一対の挿通溝に支承した
   挿入板の一端取付孔に装着したことよりなる実
   用新案登録請求の範囲第(1)項記載のボールペン
   軸体。