JPH0353054Y2

JPH0353054Y2 -

Info

Publication number: JPH0353054Y2
Application number: JP1985172724U
Authority: JP
Priority date: 1985-11-08
Filing date: 1985-11-08
Publication date: 1991-11-19
Also published as: JPS6280030U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この考案は、合成樹脂によつて形成されたプー
リ、ローラ、ギヤ等のハウジングとその内側に挿
通された軸との相対的な回転の伝達、遮断を行な
う一方向クラツチに関するものである。

〔従来の技術〕

プーリ、ローラ等のハウジングとその内側に挿
通された軸との間に組込まれてハウジングと軸と
の相対的な回転の伝達、遮断を行なう一方向クラ
ツチは、上記ハウジングが合成樹脂で成形されて
いる場合、そのハウジングの内側に組込まれ、一
方向クラツチユニツトとして使用される場合がき
わめて多い。

上記一方向クラツチユニツトの一方向クラツチ
は、ユニツトの使用用途に応じて、要求されるト
ルク容量を備えたものが使用される。プリンタ、
フアクシミリ、複写機の紙送り部には、高い性能
のものが要求されないため、普通、トルク容量の
小さな、簡単な構成のコストの安い一方向クラツ
チを使用した一方向クラツチユニツトが採用され
ている場合がきわめて多い。

上記のような一方向クラツチの従来技術として
第４図および第５図に示したものがある。この一
方向クラツチは、ギヤ等のハウジング４０の内側
に組込まれる外輪４１の内径面に複数のインボリ
ユート形のクラツチカム面４２を周方向に等間隔
に形成し、外輪４１の内部に嵌合した保持器４３
には各クラツチカム面４２と対向する位置にポケ
ツト４４を設け、そのポケツト４４内にローラ４
５を収納し、そのローラ４５をクラツチカム面４
２に噛み込む方向に押圧するＳ字形の板ばね４６
を組込んである。また、外輪４１の外径面端部に
形成した大径孔部４７に含油軸受４８を嵌着して
前記保持器４３を抜け止めし、かつ、ごみの浸入
を防止している。

上記の構成から成る一方向クラツチＡの外輪４
１とその外側に嵌合されたハウジング４０の内径
面に形成した軸方向の突条４９を外輪４１の外径
面に設けた軸方向の溝５０に嵌合して相対的に回
り止めし、上記ハウジング４０の第４図に示す矢
印方向の回転時に、ローラ４５をクラツチカム面
４２と保持器４３の内側に挿通した軸５１の外周
面とに噛み込ませてハウジング４０の回転を軸５
１に伝え、ハウジング４０の逆方向の回転時には
回転伝達が遮断されるようにしてある。〔考案が
解決しようとする問題点〕ところで、上記のような一方向クラツチは、外
輪４１、保持器４３、ローラ４５、板ばね４６お
よび含油軸受４８を備える部品点数の多い構成で
あるため、組立てに手間がかかり、またコストも
高いという不都合がある。

そこで、この考案は、上記の不都合を解消し、
部品点数の少ない組立ての容易なコストの安い一
方向クラツチを提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、この考案は、外
輪の内径面に軸方向のローラ収納溝を設け、その
ローラ収納溝の内径面を外輪周方向に傾斜させて
クラツチカム面とし、上記外輪の内側に組込んだ
円筒形ばね部材には、ローラ収納溝と対向する位
置に窓を形成し、その窓の幅寸法をローラ収納溝
に組込んだローラの外径より小さくし、上記窓の
両側縁における一方の側縁に上記ローラをクラツ
チカム面に噛み込む方向に押圧する弾性片を折曲
げにより形成してその折曲げ部をローラ収納溝の
一側面における内径縁に係合し、他方の側縁には
ローラ収納溝の側面に係合する係合片を形成した
構成としたのである。

〔作用〕

上記のように、外輪の内側に組込んだ円筒形ば
ね部材に窓を形成し、その窓の幅寸法を外輪のロ
ーラ収納溝に収納されたローラの外径寸法より小
さくしたので、上記ローラを抜け止めすることが
でき、そのばね部材にローラ押圧用の弾性片を設
けた構成であるため、一方向クラツチをきわめて
少ない部品によつて形成することができ、組立て
が容易である。

また、ばね部材に設けた弾性片および係合片を
ローラ収納溝の側面に係合さたので、外輪に対し
てばね部材を位置決めすることができる。このた
め、ローラに対する弾性片の弾力は常に一定し、
クラツチカム面に対するローラの噛み込み応答性
が早く、精度のよいクラツチを提供することがで
きる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図および第２図は、一方向クラツチユニツ
トが示されている。この一方向クラツチユニツト
は、ハウジング１に形成したクラツチ嵌合凹部２
に一方向クラツチ１０と蓋２０とを嵌合し、上記
蓋２０の外径面に設けた突出部２１をクラツチ嵌
合凹部２の内径面に形成した係合溝２２に係合し
て蓋２０を抜け止めし、その蓋２０とクラツチ嵌
合凹部２の閉塞端とで一方向クラツチ１０を軸方
向に非可動に支持している。

実施例の場合、ハウジング１としてギヤを示し
たが、ローラやプーリ等であつてもよい。このハ
ウジング１の閉塞端と蓋２０の内径面は、一方向
クラツチ１０のオーバーラン時において、一方向
クラツチ１０の内側に挿通された軸３０に対して
スベリ軸受としての機能を発揮するため、上記ハ
ウジング１と蓋２０のそれぞれを自己潤滑性を有
する合成樹脂で成形するのが好ましい。また、蓋
２０はグリースの保有性を有する焼結合金で形成
してもよい。

前記一方向クラツチ１０は、焼結合金から成る
外輪１１を備え、その外輪１１の外径面には軸方
向の係合溝１２が形成され、その係合溝１２にク
ラツチ嵌合凹部２の内径面に設けた突出部３が嵌
合してハウジング１と外輪１１とを相対的に回り
止めしてある。上記外輪１１は含油処理され、ク
ラツチ係合溝１２等の自己潤滑を行なうようにな
つている。

なお、外輪１１は、強度と耐摩耗性の向上をさ
らに高めるため、浸炭焼入れを旋してある。

また、外輪１１の内径面には複数の軸方向のロ
ーラ収納溝１３が等間隔に形成され、そのローラ
収納溝１３の内径面は、周方向に傾斜してクラツ
チカム面１４とされている。

上記外輪１１の内側には、円筒形のばね部材１
５が嵌合されている。このばね部材１５は、第３
図に示すように、金属薄板を円筒形に成形したも
のであつて、一部が軸方向に切り離されている。
このばね部材１５には、外輪１１のローラ収納溝
１３と対向する位置に窓１６が形成され、の窓１
６の幅寸法は、上記ローラ収納溝１３に組込んだ
ローラ１７の外径寸法により小さくなり、上記窓
１６からばね部材１５の内径側にローラ１７の一
部が突出し得るようになつている。

また、窓１６の両側縁における一方の側縁中央
部には、Ｔ字形の弾性片１８が切り起こされ、そ
の弾性片１８は、ローラ収納溝１３の内部のロー
ラ１７に当接してそのローラ１７を押圧してい
る。また、弾性片１８の折曲げ部はローラ収納溝
１３の一側面における内径縁に係合している。一
方、窓１６の他方の側縁にはばね部材１５の外径
方向に係合片１９が起こされ、その係合片１９は
ローラ収納溝１３の側面と係合して外輪１１に対
してばね部材１５を位置決めしている。

実施例では示す一方向クラツチユニツトは上記
の構造から成り、この一方向クラツチユニツト
は、軸３０のまわりに嵌め合わせ、一方向クラツ
チ１０を介してハウジング１の一方向の回転のみ
を軸３０に伝え、または軸３０の一方向の回転の
みをハウジング１に伝える。

いま、第１図の矢印方向にハウジング１を回転
すると、ローラ１７がクラツチカム面１４と軸３
０の外周面に噛み込むため、ハウジング１の回転
を軸３０に伝えることができる。また、ハウジン
グ１を上記の逆方向に回転すると、ローラ１７
は、クラツチカム面１４と軸３０の外周面とで形
成される空間の広幅部に逃げるため、ハウジング
１の回転は軸３０に伝達されない。

ハウジング１と軸３０との相対的な回転の伝
達、遮断を行なう一方向クラツチ１０のばね部材
１５は、係合片とローラ収納溝１３の側面との係
合によつて位置決めされているため、ローラ１７
を押圧する弾性片１８は、ローラ１７に対して常
に一定の圧力で接触する。このため、ハウジング
１の矢印方向の回転時、ローラ１７をクラツチカ
ム面１４および軸３０の外周面に瞬時に噛み込ま
せることができる。

〔効果〕

以上のように、この考案に係る一方向クラツチ
においては、外輪、ばね部材およびローラから成
る部品点数のきわめて少ない構成であるため、組
立てがきわめて容易であり、コストの安い一方向
クラツチを提供することができる。また、ばね部
材に形成した窓の幅寸法をローラの外径より小さ
くしたので、ローラが窓から内径方向に抜け出る
のを防止することができる。このため、一方向ク
ラツチを組立状態で輸送することができ、回転軸
等に対する組立慮て容易である。さらに、ばね部
材に設けた弾性片の折曲げ部および係合片をロー
ラ収納溝の側面に係合してばね部材を外輪に対し
て回り止めしたので、ローラに対する弾性片の押
圧力は常に一定し、このためクラツチの噛み込み
動作が早く、精度の高い動作を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係る一方向クラツチを使
用した一方向クラツチユニツトの一実施例を示す
縦断正面図、第２図は同上の縦断側面図、第３図
は同上のばね部材の斜視図、第４図は従来の一方
向クラツチユニツトを示す縦断正面図、第５図は
同上の縦断側面図である。１１……外輪、１３……ローラ収納溝、１４…
…クラツチカム面、１５……ばね部材、１６……
窓、１７……ローラ、１８……弾性片、１９……
係合片。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

外輪の内径面に軸方向のローラ収納溝を設け、
そのローラ収納溝の内径面を外輪周方向に傾斜さ
せてクラツチカム面とし、上記外輪の内側に嵌合
した円筒形ばね部材には、上記ローラ収納溝と対
向する位置に窓を形成し、その窓の幅寸法をロー
ラ収納溝に組込んだローラの外径より小さくし、
上記窓の両側縁における一方の側縁に上記ローラ
をクラツチカム面に噛み込む方向に押圧する弾性
片を折曲げにより形成してその折曲げ部をローラ
収納溝の一側面における内径縁に係合し、他方の
側縁にはローラ収納溝の他側面に係合する係合片
を形成した一方向クラツチ。