JPH0352495Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は主として食道内に突出した静脈瘤の治
療用としてフアイバースコープと併用する治療用
チユーブに関する。

（従来の技術） 従来、食道内に突出した静脈瘤の治療用として
フアイバースコープと併用する治療用チユーブと
しては、実開昭61−94035号公報で提案され第１
１図示のように、透明な可撓性材料から成り、フ
アイバースコープを挿脱自在とした挿通路ａを備
えたチユーブ本体ｂと、チユーブ本体ｂの部分的
に覆いかつ両端ｃがチユーブ本体ｂに密着された
バルーンｄと、バルーンｄに圧入する空気の供給
路ｅと、チユーブ本体ｂの先端部分に穿設した静
脈瘤の捕捉孔ｆとから成るものは知られている。
そして食道内にチユーブ本体ｂを挿入し、チユー
ブ本体ｂの挿通路ａ内に挿入されているフアイバ
ースコープで静脈瘤を確認したとき、第１２図示
のようにバルーンｄに供給路ｅから空気を圧入し
てバルーンｄを拡張させて食道内面ｇに圧接する
と共に、捕捉孔ｆ内に静脈瘤ｈを捕え、チユーブ
ｉの先端に管針ｊを備えたチユーブ針の管針ｊを
静脈瘤ｈに刺通した後チユーブｉを介して瘤の硬
化剤、止血剤等の注入を行うものである。

しかしながらこのような構成によるときは、バ
ルーンｄはチユーブ本体ｂに対して同軸状態にそ
の周方向に全周に亘つて拡張するように設けられ
ているため、食道内でバルーンｄを拡張させたと
きチユーブ本体ｂの先端部分は食道内面ｇより浮
き上つた状態となり易く、その結果チユーブ本体
ｂの先端部分と食道内面ｇとの間に〓間ｋを生じ
る。従つてチユーブ本体ｂの先端部分に設けた捕
捉孔ｆ内に静脈瘤ｈを確実に捕捉収容出来ないた
め、チユーブ針の管針ｊの静脈瘤ｈへの刺通が
仲々困難となつて硬化剤等の注入が迅速に行うこ
とが出来ない問題がある。またバルーンｄはチユ
ーブ本体ｂの先端部分より離れた位置に設けられ
ているため、静脈瘤より軽い出血があり、この出
血個所を圧迫することによつて止血処置を施すこ
とが出来る場合には、先ずチユーブ本体ｂの先端
部分でフアイバースコープにより出血個所を確認
し、次いでチユーブ本体ｂを前進させバルーンｄ
と出血個所とを一致させた後、バルーンｄに供給
路ｅを介して空気を圧入し拡張させて出血個所を
圧迫して止血処置を行わなければならないので操
作が極めて複雑である。

（解決しようとする問題点） 本考案は静脈瘤の位置を確認した後、静脈瘤を
治療処理し易いように確実に捕捉収容することが
出来る食道静脈瘤の治療用チユーブを提供しよう
とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記の問題点を解決するためになさ
れたものであつて、透明な可撓性材料から成り、
フアイバースコープを挿脱自在とした挿通路を備
えたチユーブ本体と、チユーブ本体の先端部分に
穿設した静脈瘤の捕捉孔と、捕捉孔と軸方向が略
同位置であつて捕捉孔とは周方向が略反対方向位
置に捕捉孔を除いてチユーブ本体の外周に設けら
れ、拡張させたとき前記捕捉孔とは反対方向にチ
ユーブ本体に対して偏心状態に拡張するバルーン
と、バルーンに連通しバルーンに圧入する空気の
供給路とから成ることを特徴とする。

（実施例） 以下本考案を図面により説明する。

第１図ないし第７図は本考案実施の１例を示す
ものである。

図面で、１はチユーブ本体、２はバルーンを示
す。

チユーブ本体１はテフロン、ポリアミド、ポリ
塩化ビニール等のように透明でかつ人体との接触
において無害の可撓性合成樹脂から成り食道等の
体腔内に挿入し得る長さを有し、フアイバースコ
ープを挿脱自在としたフアイバースコープの挿通
路３を備えるものである。そしてチユーブ本体１
の先端部分１ａに縦断面形状が略半円形の静脈瘤
の捕捉孔４を穿設すると共に、チユーブ本体１内
に捕捉孔４と連通し、チユーブ本体１と同質材か
ら成るチユーブ５ａの先端に管針５ｂを接続した
チユーブ針５を挿脱自在としたチユーブ針挿通路
６を設けた。またチユーブ本体１内のチユーブ針
挿通路６の反対位置に後記するバルーン２内に圧
入する空気の供給路７を設けると共に、この供給
路７に三方コツク等の弁体８ａを備える空気供給
チユーブ８を連設した。更にチユーブ本体１の後
端部分１ｂにチユーブ本体１の軸方向に平行にか
つ周方向に間隔を存して複数の翼片９を設けた。

バルーン２はチユーブ本体１と同質材から成る
薄膜材であり、そしてチユーブ本体１の先端部分
１ａに設けた捕捉孔４の反対側のチユーブ本体１
の外周面との間に空気を導入し得る〓間Ｓが形成
されるようにチユーブ本体１に沿わせてバルーン
２を設けた。そして第５図示のようにチユーブ本
体１内に設けた供給路７よりバルーン２内に空気
を圧入し拡張させたとき、捕捉孔４の位置と反対
方向にチユーブ本体１に対して偏心状態に拡張す
るようにした。また第６図示のように食道内でバ
ルーン２を拡張させた際食道内面１０に圧接せる
拡張したバルーン２内の圧縮空気の反発力でチユ
ーブ本体１をバルーン２の拡張方向と反対方向す
なわち捕捉孔４側に押圧して、食道内に突出せる
静脈瘤Ｗを捕捉孔４内に捕捉収容出来るようにし
た。

また図示例では、チユーブ本体１と同質材から
成り、チユーブ本体１よりも長く、かつ先端部分
に穿設した複数の孔１１ａを備え、後端部分にカ
テーテルチツプ１１ｂを備えた胃チユーブ１１
を、チユーブ本体１に配設すると共に、胃チユー
ブ１１の先端部分をチユーブ本体１の先端より前
方側に突設させた。

前述のように構成したので、バルーン２はチユ
ーブ本体１の先端部分１ａに設けた捕捉孔４とは
反対方向に拡張するように設けられているので、
チユーブ本体１を食道内に挿入し、チユーブ本体
１の挿通路３に挿通されているフアイバースコー
プで静脈瘤Ｗを見つけ、その位置を確認し、捕捉
孔４と静脈瘤Ｗとを合致させて、バルーン２内に
供給路７より空気を圧入すれば、バルーン２は捕
捉孔４とは反対方向のみに拡張し、静脈瘤Ｗが存
在する位置の反対側の食道内面１０に圧接する。
従つて静脈瘤Ｗ位置とは反対側の食道内面１０に
圧接したバルーン２はチユーブ本体１を捕捉孔４
側に押圧するので、静脈瘤Ｗを捕捉孔４内に突入
させて確実に捕捉収容することが出来る。その結
果チユーブ針挿通路６内に挿通させたチユーブ針
５の管針５ｂを捕捉孔４内に捕捉収容された静脈
瘤Ｗに直接かつ容易に刺通出来て、その後硬化剤
等の注入処理を迅速に行うことが出来る。また縦
断面形状を略半円形とした捕捉孔４をチユーブ本
体１の先端部分１ａに設けたので、食道内に突出
している静脈瘤Ｗを捕捉孔４で捕捉出来るから、
静脈瘤Ｗを速やかに捕捉孔４内に突入させ収容す
ることが出来る。

更に静脈瘤Ｗが軽い出血をし、この出血個所を
圧迫によつて止血処理を施すときは、第７図示の
ようにチユーブ本体１を周方向に回転させて静脈
瘤Ｗにバルーン２を当接させ、供給路７から空気
を圧入してバルーン２を拡張させるのみでよいか
ら、従来のようにバルーン２がチユーブ本体１の
先端部分から離れていないのでバルーン２と静脈
瘤Ｗとの合致を速やかに行うことが出来るため止
血処置が極めて簡単である。またチユーブ本体１
の後端部分１ｂに複数の翼片９を設けたので、こ
の翼片９を指で掴むことによつて、チユーブ本体
１を滑べることなく安定状態に掴持出来るから、
チユーブ本体１の食道内への挿入、および食道内
でチユーブ本体１の先端部分１ａに設けた捕捉孔
４或いはバルーン２を静脈瘤Ｗに合致させる際の
チユーブ本体１の前進、後退およびチユーブ本体
１の周方向への回転を円滑にかつ確実に行うこと
が出来る。

尚図示例のようにチユーブ本体１に複数の孔１
１ａを備える胃チユーブ１１を設けたときは、胃
チユーブ１１を食道を介して胃の内に挿入するこ
とが出来るから、胃の内に滞留している血液、粘
液、ガス等を孔１１ａおよび胃チユーブ１１を介
して吸引し、人体外に排除することが出来る。

前記実施例でチユーブ本体１に設けたフアイバ
ースコープの挿通路３と、チユーブ針５の挿通路
６とを夫々別個に設けたが、捕捉孔４をフアイバ
ースコープの挿通路３と連通させ、この挿通路３
をフアイバースコープと、チユーブ針５との併用
挿通路としてもよい。

またバルーン２をチユーブ本体１の外周面との
間に空気を導入し得る〓間Ｓが形成されるように
チユーブ本体１の外周面に沿わせて設け、チユー
ブ本体１に対して偏心状態に拡張させるようにし
たが、バルーン２を袋状に形成し、その一部分を
捕捉孔４の反対位置のチユーブ本体１に固着し、
袋状のバルーン２内に空気を圧入したとき拡張し
た袋状のバルーン２が捕捉孔４の反対位置のチユ
ーブ本体１上に重なるようにしてもよい。

第８図は本考案の変形例を示すものであつて、
チユーブ本体１のバルーン２が設けられている先
端部分１ａを除きその後端側のチユーブ本体１に
複数の孔１２を穿設し、更にチユーブ本体１内に
この複数の孔１２と連通する通路１３を設けたも
のである。

このようにするときは、食道内の静脈瘤Ｗの治
療処理と平行させて食道内に滞留している血液、
粘液、ガス等を孔１２および通路１３を介して吸
引し、人体外に排除することが出来る。

またバルーン２の拡張により静脈瘤Ｗより心臓
側の静脈を流れる血液を圧迫遮断し、静脈瘤Ｗに
施した硬化剤等が静脈により流出拡散するのを防
止することが必要とするような症例のときは、第
９図および第１０図示のようにチユーブ本体１の
バルーン２およびその反対位置の捕捉孔４が設け
られている先端部分１ａより先端側のチユーブ本
体１のバルーン２側にもう一つの縦断面形状が略
半円形の捕捉孔１４を設け、かつチユーブ本体１
内にこの捕捉孔１４に連通し、チユーブ針の挿通
路１５を設けた治療用チユーブを用いてもよい。

（考案の効果） このように本考案によるときは、透明な可撓性
材料から成り、フアイバースコープを挿脱自在と
した挿通路を備えたチユーブ本体と、チユーブ本
体の先端部分に穿設した静脈瘤の捕捉孔と、捕捉
孔と軸方向が略同位置であつて捕捉孔とは周方向
が略反対方向位置に捕捉孔を除いてチユーブ本体
の外周に設けられ、拡張させたとき前記捕捉孔と
は反対方向にチユーブ本体に対して偏心状態に拡
張するバルーンと、バルーンに連通しバルーンに
圧入する空気の供給路とから成るものである。従
つてバルーンを捕捉孔とは反対位置のチユーブ本
体の先端部分の外周に設け、かつ捕捉孔とは反対
方向であつてチユーブ本体に対して偏心状態で拡
張するようにしたので、静脈瘤と捕捉孔とを合致
させバルーンを拡張させることによつてチユーブ
本体を捕捉孔側に押圧し、静脈瘤を捕捉孔内に突
入させて確実に捕捉収容することが出来るから、
静脈瘤への治療処理を迅速に行うことが出来る。
またバルーンによる静脈瘤の圧迫治療操作を行う
場合チユーブ本体を静脈瘤と捕捉孔と合致させた
位置から静脈瘤が捕捉孔と反対方向のバルーンの
拡張部に当接する位置まで周方向に回転させれば
よく従来のようにバルーンを前後に移動させるこ
となく簡単にかつ適確に行うことが出来る等の効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第７図は本考案実施の１例を示す
もので、第１図は一部截除した側面図、第２図は
底面図、第３図は第１図の−線截断面図、第
４図は第１図の−線截断面図、第５図はバル
ーンを拡張した状態を示す第３図同様の截断面
図、第６図および第７図は本考案品の使用状態を
示す説明用線図、第８図は本考案品の変形例を示
す側面図、第９図は本考案の他の実施例を示す底
面図、第１０図は第９図の−線截断面図、第
１１図は従来品を示すもので、Ａは斜視図、Ｂは
ＡのＢ−Ｂ線截断面図、第１２図は従来品の使用
状態を示す説明用線図である。 １……チユーブ本体、１ａ……先端部分、２…
…バルーン、３……挿通路、４……捕捉孔、７…
…供給路、Ｗ……静脈瘤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 透明な可撓性材料から成り、フアイバースコー
   プを挿脱自在とした挿通路を備えたチユーブ本体
   と、チユーブ本体の先端部分に穿設した静脈瘤の
   捕捉孔と、捕捉孔と軸方向が略同位置であつて捕
   捉孔とは周方向が略反対方向位置に捕捉孔を除い
   てチユーブ本体の外周に設けられ、拡張させたと
   き前記捕捉孔とは反対方向にチユーブ本体に対し
   て偏心状態に拡張するバルーンと、バルーンに連
   通しバルーンに圧入する空気の供給路とから成る
   ことを特徴とする食道静脈瘤の治療用チユーブ。